前世で伝説の暗殺者だった俺、異世界でもしっかりと無双する〜俺の暗殺術が異世界で通用しすぎる件について〜

ハナマル

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5. 古代遺跡

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 「シオン様、セリーナ様、ギルドマスターがお呼びです」



 ギルドに行くと、ルカさんから声がかかった。例の決闘から3週間ほど経過したが、おっさんにはよく召集される。



「また、指名依頼かな…」



 …恐らくそうだろう。指名依頼とは、おっさんが危険度の高い依頼だと判断した依頼を、信頼する冒険者に担当させることである。報酬も良いので、俺たちにとってありがたい。もし今回の招集も指名依頼だった場合、俺たちは4回目の指名依頼に赴くことになる。





「よく来てくれた」



「…あぁ、用件は何だ?」



 そう聞くとおっさんは真剣な顔で答えた。



「指名依頼だ。」

 …。予想通りだな。



「承知した。依頼内容を教えてくれ。」



「…最近、森の様子がおかしいのは気づいておるか?」

 森とは、この街のすぐ隣にある“魔の森”のことである。そう、俺が村からの旅立ちの日に通ったのは、何を隠そうこの“魔の森”なのだ



「やはりか」



「気づいておったか、さすがだな。」

 最近、森ではめったに出ない魔獣が増えている。実際、過去3回の俺たちへの指名依頼は、あの森では出るはずのない高ランク魔獣の討伐であった。セリーナと初めて会った時に討伐したブラッド・タイガーも本来群れで現れることはないらしい。



「…冒険者のためにも看過できない問題なのだ。お前たちには森の深くまでの調査を依頼したい」



「…深くとはどのくらいだ?」



「可能な範囲でいい。報酬は弾む」



「…セリーはどう思う?」



 あの決闘以来、セリーナとはパーティーを組んでいる。セリーナはBランク冒険者で、かなりの魔法能力を有している。18歳でBランクというのは、異例なようだ。…まあ、俺ほどではないが。

 ちなみに“セリー”というのは彼女の愛称である。



「私は受けてもいいと思う。森の様子がおかしいのは冒険者にとって危険。一度調査しておいた方がいい…」



「…そうだな。受けよう。俺もそう思う。」



「ありがとう。では、準備でき次第、向かってくれ」






「おかしい…」



「あぁ」

 セリーの言う通り、おかしい。森に入って4時間ほど。かなりのスピードで深部に向かっている。途中までは、高ランク魔獣や魔獣の群れが姿を現し、討伐するという流れが何度もあった。しかし、途中からは魔獣の姿はもちろん、動物の姿すら見当たらない。



(危険な予感がする。これ以上は…)



「シオンっ!これ見て!」



 前を歩くセリーの声に従うと

「――ッ!?これは…」

 穴が開いている。直径1キロメートルほどであろうか。階段があり、下に降りていけるようだ。底は見えない。



 穴の縁に立つと、底から吹き上げる風が土と錆の匂いを運んできた。

 …その風には、どこか人を拒絶する“意思”のようなものが混ざっているように思える。



「どうする?」

 セリーは問いかける。

「…帰還だ。まずはマスターに報告しよう」






 ――町に戻り、すぐにおっさんに報告する。



「古代遺跡か…」



「だろうな」



「…だとしたら、森の様子が変化することも頷けるな」

 古代遺跡。通称ダンジョン。宝と死が隣り合う場所である。階層に分かれ、通常、深部の階層ほど強い魔獣が出現する。階層数は遺跡によってそれぞれのようだ。現代に突然現れ、そのあまりに強力な魔力に周囲の環境が大きく変えられてしまうこともある。有名な遺跡には冒険者の町“テル=アルカ”にある〔光神塔ディーヴァ・スパイア〕があり、これは世界最高の100階という階層数を有する。ちなみにこの遺跡を攻略したものはまだいないらしい。




「…入らずに帰ってきてしまったがよかったか?」



「十分だ。よい判断だった。」



「これからどうする?」



「…ふむ。王都のギルドから遺跡探索に慣れている冒険者を派遣してもらうことにする。お前の任務はここまでだ。今回は本当に助かった。ありがとう」



 …仕方がないだろう。俺たちは魔獣の相手には慣れているが遺跡攻略は専門外だ。ここは王都とやらの専門家に任せた方がよいだろうな。



「承知した。また何かあれば頼ってくれ」

 そういうと俺とセリーはマスター室を後にする。





 “王都のSランクパーティーが新しい遺跡の攻略に失敗した”



 そんな話を耳にしたのは、遺跡発見から2か月が経過したころだった。




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