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30話 掃除の仕事
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「大丈夫よ、サージュ」
「でも……」
何度も大丈夫だと言っても、サージュはミミの後ろをついてくる。
ミミは頭にかぶった帽子を少しだけ上げてサージュを見た。自分の行動を反省したミミは、外に出るときは帽子をかぶって白い耳を隠すようにしている。
掃除の依頼日の今日も、身なりをしっかり整えて家を出たのだが――。
依頼主の家へ行くと知ると、サージュは心配だからとついてきてしまったのだ。
肉事件はミミにダメージを与えていたが、サージュにも大きなトラウマとなってしまっているようだ。街に出ようとすると、必ずついて来ようとするようになってしまっている。
同じやり取りを繰り返しているうちに、いつの間にか依頼主の家に着いてしまっていた。
「大きなお店ね」
赤レンガ通りの店の中でもひときわ大きいな薬屋で、貴族も買いに来ると聞いている。
ミミは自分の服をもう一度確認した。いつもはスカートだが、掃除をするときだけは乗馬用のスタイルをもとに、動きやすい服装にしている。国都にも流行の服装があるのだが、それらはおもに貴族たちの中でのもので、平民たちの服装は様々だ。流行の衣服を身に着ける者もいれば、民族衣装を身にまとっている者もいる。多種多様な種族が賑わう国都だけあって、他者の服装にはおおらかだった。
ミミはサージュの服装も確認した。出会ったころは傷みと汚れが目立った服を着ていたが、今はミミが用意した新しい服を着ている。成長を見越して、サイズは大きめの服を選び、今は手足の裾を折って着ていた。この服装なら、貴族がいるかもしれないお店へ入っても大丈夫だろう。
サージュはミミの視線に気づかずに、お店を見上げて気まずそうに目を泳がせている。ミミは不思議に思い、声をかけようとしたとき、後ろから明るい声が聞こえてきた。
「ミミさん、ようこそ!」
振り返ると依頼主の婦人が、後ろに使用人らしき人たちを従えて立っている。ミミの後ろにいるサージュに気づくと、婦人は大きく目を見開いた。
「まあ! サージュさん! 今日もお仕事かしら?」
サージュのことを婦人たちは知っているらいしい。周りの人たちも穏やかな目をサージュに向けている。ミミが言葉を出そうとした瞬間、サージュは前に出てきて婦人たちに言った。
「今日はミミの護衛です」
「「まあ!」」
婦人たちは手を頬にあてて、感嘆の声を出している。
「あ、あのこの子は……」
「ふふ、なんてすてきな護衛さんでしょうか。さあ、おふたりとも中に入ってくださいませ」
婦人は笑顔でミミたちを店の中へ招き入れた。
案内されたのは広い子ども部屋で、中はおもちゃであふれている。
「ひとり息子が可愛いと、夫も義父母も見境なくおもちゃを買い与えてしまうのよ」
婦人は部屋の状況を見渡しながら、困っているのとつぶやいた。部屋の白い壁には色鮮やかな線が豪快に広がっている。小さな声が聞こえてミミが振り返ると、後ろに立っていたサージュの足元に、三歳ぐらいの男の子がまとわりついていた。
サージュに遊んでほしいのか、興味深そうに見上げながら、愛らしい白銀の耳としっぽを動かしている。男の子には狼獣人族の特徴が色濃く表れていた。肉食獣の上位にいる種族から出される無自覚の圧に、ミミは緊張を強くしてしまう。これは本能的なもので仕方がない症状だった。
「この子はご先祖様の血が濃いせいか、産まれたときから力も魔力も強くて……子ども同士で遊んだことがないのよ。だけど……」
婦人は次の言葉を続けずに子どもたちを凝視している。男の子はサージュの足や腕をぎゅうぎゅうに掴んでいるのだが、サージュは顔色ひとつ変えずにミミを見ていた。
「サージュさん、掴まれて痛くはない?」
婦人の声には驚きと心配が含まれていたのだが、サージュは平気です、と言うだけだ。
その言葉を聞いて、婦人の顔がわずかに輝いた。
「この子と遊んであげてくれないかしら?」
「あしょんで……」
小さな声は男の子のもので、期待に満ちた目をサージュに向けている。
サージュは黙ってミミを見ていた。ミミが小さく頷くと、サージュの眉間に一瞬だけ皺が寄ったのだが、すぐに承諾の返事が聞こえてきた。
部屋の中には、子どもの笑い声が聞こえてくる。
その声を聴きながら、ミミは店の使用人たちと部屋の掃除をはじめていた。婦人も使用人たちもミミの作る薬草の洗剤に興味深々で、あちらこちらから質問が飛んでくる。領地では当たり前に作り使っていた洗剤が、国都では知られていないことにミミは驚く。
掃除に必要な薬草たちをミミは領地の自宅の庭で育てていたのだが、森にも生えているので知られていると思っていたのだ。
しかし、国都の薬草屋では見かけなかった。売ろうと思いたくさん摘んできた薬草たちは、こうして自分で使ってしまっているので、残りは少なくなってきている。春になったら近くの森に入ってまた摘んでこよう。できれば長屋の庭を借りて、種をまきたい。いっぱい採れるようになったら、掃除用として自分で売ってみるのもいいかもしれない。
商売のことなど何もわからないのに、こうしていろいろなお店の人たちと接していると、自分にも何かできることがあるかもしれないと勇気が湧いてくる。
「まあ! こんなにきれいになるなんて! 凄いわ!」
落書きはきれいに落ちて、おもちゃも工夫して片づけた。一日がかりではあったのだが、その日に終わることができてミミは胸をなでおろした。
目の前にはお茶のいい匂がして、色とりどりのお菓子たちが並んでいる。遊び疲れたのか男の子は婦人の膝で眠り、サージュはミミの隣でお菓子をおいしそうに食べていた。
「昼食までごちそうになったのに、おやつまで頂けるなんて。ありがとうございます」
昼食のサンドイッチもおいしかったが、今食べているお菓子の甘さも疲れた身体にしみわたっている。
「ふふ、お口に合ってよかったわ。ねえ、ミミさん。本格的に掃除屋さんの仕事、やってみない?」
婦人の言葉にミミの心臓が跳ねた。
「もしよかったら、私の知り合いを何人か紹介できるわよ?」
「ぜひ、よろしくお願いします!」
考えるよりも先に、言葉が飛び出していた。
これはきっとチャンスと言うもので、そうそうあるものではない。結果がどうなろうとも、ミミがやることは決まっている。一生懸命頑張るのみだ。
「ミミさん、今日はありがとう。サージュさん、またうちの子と遊んであげてね。あとお薬が必要になったらまたお渡しするわね」
サージュは驚きつつも、小さく頷いた。頬が赤くなっているのは照れているからだろうか。
ミミは掃除のときに聞いたことを思い出した。
『サージュさん、以前うちの店に薬を買いにきたのよ。大切な人の手が荒れてしまっていて、治す薬がほしいって』
夕焼けの空はあっというまに夜を運んでくる。
風は冷たくて、冬はすぐそこなのに、ミミはぽかぽか温かい。サージュはいつもミミの心を温めてくれるのだ。
「サージュ、湯屋に寄ってから帰ろうか」
「うん!」
サージュの顔が輝いて、ミミも嬉しくなった。
「でも……」
何度も大丈夫だと言っても、サージュはミミの後ろをついてくる。
ミミは頭にかぶった帽子を少しだけ上げてサージュを見た。自分の行動を反省したミミは、外に出るときは帽子をかぶって白い耳を隠すようにしている。
掃除の依頼日の今日も、身なりをしっかり整えて家を出たのだが――。
依頼主の家へ行くと知ると、サージュは心配だからとついてきてしまったのだ。
肉事件はミミにダメージを与えていたが、サージュにも大きなトラウマとなってしまっているようだ。街に出ようとすると、必ずついて来ようとするようになってしまっている。
同じやり取りを繰り返しているうちに、いつの間にか依頼主の家に着いてしまっていた。
「大きなお店ね」
赤レンガ通りの店の中でもひときわ大きいな薬屋で、貴族も買いに来ると聞いている。
ミミは自分の服をもう一度確認した。いつもはスカートだが、掃除をするときだけは乗馬用のスタイルをもとに、動きやすい服装にしている。国都にも流行の服装があるのだが、それらはおもに貴族たちの中でのもので、平民たちの服装は様々だ。流行の衣服を身に着ける者もいれば、民族衣装を身にまとっている者もいる。多種多様な種族が賑わう国都だけあって、他者の服装にはおおらかだった。
ミミはサージュの服装も確認した。出会ったころは傷みと汚れが目立った服を着ていたが、今はミミが用意した新しい服を着ている。成長を見越して、サイズは大きめの服を選び、今は手足の裾を折って着ていた。この服装なら、貴族がいるかもしれないお店へ入っても大丈夫だろう。
サージュはミミの視線に気づかずに、お店を見上げて気まずそうに目を泳がせている。ミミは不思議に思い、声をかけようとしたとき、後ろから明るい声が聞こえてきた。
「ミミさん、ようこそ!」
振り返ると依頼主の婦人が、後ろに使用人らしき人たちを従えて立っている。ミミの後ろにいるサージュに気づくと、婦人は大きく目を見開いた。
「まあ! サージュさん! 今日もお仕事かしら?」
サージュのことを婦人たちは知っているらいしい。周りの人たちも穏やかな目をサージュに向けている。ミミが言葉を出そうとした瞬間、サージュは前に出てきて婦人たちに言った。
「今日はミミの護衛です」
「「まあ!」」
婦人たちは手を頬にあてて、感嘆の声を出している。
「あ、あのこの子は……」
「ふふ、なんてすてきな護衛さんでしょうか。さあ、おふたりとも中に入ってくださいませ」
婦人は笑顔でミミたちを店の中へ招き入れた。
案内されたのは広い子ども部屋で、中はおもちゃであふれている。
「ひとり息子が可愛いと、夫も義父母も見境なくおもちゃを買い与えてしまうのよ」
婦人は部屋の状況を見渡しながら、困っているのとつぶやいた。部屋の白い壁には色鮮やかな線が豪快に広がっている。小さな声が聞こえてミミが振り返ると、後ろに立っていたサージュの足元に、三歳ぐらいの男の子がまとわりついていた。
サージュに遊んでほしいのか、興味深そうに見上げながら、愛らしい白銀の耳としっぽを動かしている。男の子には狼獣人族の特徴が色濃く表れていた。肉食獣の上位にいる種族から出される無自覚の圧に、ミミは緊張を強くしてしまう。これは本能的なもので仕方がない症状だった。
「この子はご先祖様の血が濃いせいか、産まれたときから力も魔力も強くて……子ども同士で遊んだことがないのよ。だけど……」
婦人は次の言葉を続けずに子どもたちを凝視している。男の子はサージュの足や腕をぎゅうぎゅうに掴んでいるのだが、サージュは顔色ひとつ変えずにミミを見ていた。
「サージュさん、掴まれて痛くはない?」
婦人の声には驚きと心配が含まれていたのだが、サージュは平気です、と言うだけだ。
その言葉を聞いて、婦人の顔がわずかに輝いた。
「この子と遊んであげてくれないかしら?」
「あしょんで……」
小さな声は男の子のもので、期待に満ちた目をサージュに向けている。
サージュは黙ってミミを見ていた。ミミが小さく頷くと、サージュの眉間に一瞬だけ皺が寄ったのだが、すぐに承諾の返事が聞こえてきた。
部屋の中には、子どもの笑い声が聞こえてくる。
その声を聴きながら、ミミは店の使用人たちと部屋の掃除をはじめていた。婦人も使用人たちもミミの作る薬草の洗剤に興味深々で、あちらこちらから質問が飛んでくる。領地では当たり前に作り使っていた洗剤が、国都では知られていないことにミミは驚く。
掃除に必要な薬草たちをミミは領地の自宅の庭で育てていたのだが、森にも生えているので知られていると思っていたのだ。
しかし、国都の薬草屋では見かけなかった。売ろうと思いたくさん摘んできた薬草たちは、こうして自分で使ってしまっているので、残りは少なくなってきている。春になったら近くの森に入ってまた摘んでこよう。できれば長屋の庭を借りて、種をまきたい。いっぱい採れるようになったら、掃除用として自分で売ってみるのもいいかもしれない。
商売のことなど何もわからないのに、こうしていろいろなお店の人たちと接していると、自分にも何かできることがあるかもしれないと勇気が湧いてくる。
「まあ! こんなにきれいになるなんて! 凄いわ!」
落書きはきれいに落ちて、おもちゃも工夫して片づけた。一日がかりではあったのだが、その日に終わることができてミミは胸をなでおろした。
目の前にはお茶のいい匂がして、色とりどりのお菓子たちが並んでいる。遊び疲れたのか男の子は婦人の膝で眠り、サージュはミミの隣でお菓子をおいしそうに食べていた。
「昼食までごちそうになったのに、おやつまで頂けるなんて。ありがとうございます」
昼食のサンドイッチもおいしかったが、今食べているお菓子の甘さも疲れた身体にしみわたっている。
「ふふ、お口に合ってよかったわ。ねえ、ミミさん。本格的に掃除屋さんの仕事、やってみない?」
婦人の言葉にミミの心臓が跳ねた。
「もしよかったら、私の知り合いを何人か紹介できるわよ?」
「ぜひ、よろしくお願いします!」
考えるよりも先に、言葉が飛び出していた。
これはきっとチャンスと言うもので、そうそうあるものではない。結果がどうなろうとも、ミミがやることは決まっている。一生懸命頑張るのみだ。
「ミミさん、今日はありがとう。サージュさん、またうちの子と遊んであげてね。あとお薬が必要になったらまたお渡しするわね」
サージュは驚きつつも、小さく頷いた。頬が赤くなっているのは照れているからだろうか。
ミミは掃除のときに聞いたことを思い出した。
『サージュさん、以前うちの店に薬を買いにきたのよ。大切な人の手が荒れてしまっていて、治す薬がほしいって』
夕焼けの空はあっというまに夜を運んでくる。
風は冷たくて、冬はすぐそこなのに、ミミはぽかぽか温かい。サージュはいつもミミの心を温めてくれるのだ。
「サージュ、湯屋に寄ってから帰ろうか」
「うん!」
サージュの顔が輝いて、ミミも嬉しくなった。
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