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第2話 一つ賭けをしませんか
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ボールルームは謎の貴公子の登場でどよめいている。ああ、明日の新聞の一面紙の見出しは決まりだわ。こんなスキャンダル、みんな大好物なんだもの。私は軽く目眩を覚えて後ろに二歩後ずさった。
「エヴェリーナ、これは一体どういうことなんだ?」
「お父様、私にも何がなんだか……だって私にエルフの知り合いなんている訳ないじゃない!」
父は真っ青な顔でコナー氏に頭を下げ続けた。その間、通りすがりのエルフと名乗った男はじっと私の顔を見つめている。その表情が甘く蕩けるような目付きで、ぞわりと鳥肌が立った。絶対に、初対面の女性に向ける目線ではない。
「貴様、人の婚約式を台無しにしてタダで済むと思うなよ!」
コナー氏が声を荒げて詰ると、エルフの男は笑ってこちらに近付いてきた。
「タダで済まないのはどちらでしょうね。なりふり構わず手に入れたいものがある、そのお気持ちは理解できます――その相手がエヴェリーナでなければ、ね。」
ガラス玉のように透き通るその瞳は、コナー氏を射殺すような目つきをしている。
「さて、答え合わせをしましょうか」
この場にはそぐわない明るい声で彼は両手を胸元にかざす。すると彼の手元には七色の光が集まった。プリズムが太陽の光を通して虹の宝石を生んだようで、その光はコナー氏から贈られたダイヤモンドより、もっとずっと美しく輝いている。それはボールルームの天井に広がった。
魔法――それはこの世ならざるものが行使する、未知の力。虹色の光の泉からは次から次へと写真が湧き、招待客の手元に収まっていく。
「……これは?」
「あら、コナー氏が写っていますわ」
写真は父の手元にも舞い落ちたので、横から覗き込む。モノクロの写真の中で会話をしている二人の男。一人はコナー氏、もう一人は……。
「この人は、私に投資話を持ちかけた男じゃないか……!」
コナー氏が、ブルーダイヤモンドの権利書を鞄から出す所。それを男が受け取る所。さらにコナー氏が小切手を男に握らせる所……活動写真のように、どんどん動いて変化する。そして男は父がいるサロンへ――。
父の顔色が怒りに染まってみるみる内に赤く変わるのとは逆に、コナー氏の顔は真っ青になっていった。
「困窮した貴族に偽の投資話を持ちかけて、借金で首を回らなくさせてからさも善意かのように救済として婚約を持ちかける……いやはや、エルフの私ではそのような下衆の極み、考えにも及びませんでした」
拍手をして微笑むエルフの男に迫られ、コナー氏はどんどん後ろに下がっていく。ついには壁際に追い詰められ、泣きそうな顔でこちらを見ていた。
そんな顔をしてももちろん助け舟を出すつもりはないが、エルフの男の手にはシャンデリアの光を反射させる程に輝く剣が握られていた。
「さあ、この婚約を無効にし大人しく立ち去るか、婚約者を賭けて私と戦うか選びなさい。ミスリルの剣の切れ味を味わってみたいですか?」
この上なく物騒な台詞だが、表情と全く合っていない。にこやかに微笑む彼の瞳には、泡を吹いて恐怖に引き攣るコナー氏が映り込んでいた。
そこでようやく私は声を上げた。
「あ……貴方!一体何の権利があって人の婚約式に乱入してきたの!」
剣を握り今にもコナー氏に振りかざそうとした彼が、ゆっくりとこちらを振り返る。
近くで見れば見るほど美しく整った顔立ちだった。思わず胸がときめきそう――になる訳もない。だって振り向いた彼の目付きは捕食者のそれだったのだから。
「……貴方は彼と結婚したいのですか?愛し合っているとでも?」
「あ、愛は結婚してからでもなんとかなるわ!私は領地を守らなくてはいけないの!」
精一杯胸を張って虚勢をはるが、どんどん彼の瞳が色を失くしていく。待って、怖い。怖すぎる。こんなに狂気を孕んだ瞳を、私は知らない。
「で、どうしますか?」
そんな私を無視してコナー氏の頬に剣先をぺちぺちと突き付けると、彼は両手をあげて高らかにこう言った。
「こここ婚約は無効です!エヴェリーナ嬢とは結婚しません、許してください!」
その台詞を聞いたエルフは満足そうに微笑み、私の方を見て笑った。
「彼、貴女と結婚しないそうですよ」
「……なっなっ!なんてことしてくれたのよー!!」
その日ロンドンの最高級ホテルで淑女の雄叫び声が聞こえたとか、聞こえていないとか。
♢♢♢
婚約式はお開きになり、コナー氏はその場から逃げるように走り去った。
「そんな……借金……領地……婚約……」
頭を抱えてその場に座り込んだ私の目の前に、エルフの男が跪く。頬は薔薇のように赤く染まり、潤んだ瞳で私を見ていた。
「順番が逆になってしまいましたが……エヴェリーナ、どうか私と永遠の愛を誓って下さい。このままここで婚約式やりましょっか」
「いや可笑しくない!?なんでなの!?っていうか貴方誰!?」
本日二度目の雄叫びがボールルームに響く。その場にいるのは、父とメアリー、私とエルフ。
「申し遅れました、私こういう者でして」
彼が差し出したのは、縁にオリーブのエンボス加工がされた名刺。
「アルサリオン・フォン・アヴァロン……住所はティル・ナ・ノーグ……?何これ、貴方ふざけてるの?」
「まさか。私は貴女に嘘等申しません。正真正銘のエルフですよ。貴女に恋焦がれる、ただのエルフです」
遠い昔に読んだお伽噺。この世界には遥か遠い西の果てにアマンという大陸があり、そこには精霊の国と魔物の国が存在する。遠い昔、人間と精霊たちは仲良くしていたけど、人間の文明の発展に伴い少しずつ交流が廃れ、遂にはその門を閉ざしてしまった。魔法を使い、精霊の国に住む、長命で美しい種族――それがエルフだ。
「そのエルフがどうして私のことを知っているの?」
「エルフは何でも知ってますよ」
父とメアリーが茫然と私たちを見ていることに気がつく。父は安堵の声を出して俯いた。
「ああ、お前があんな男に嫁がなくて良かった……」
「本当ですよ、あんな狐みたいな男にお嬢様をくれてやるだなんて、私本当に嫌だったんです!」
「しかし借金はなんとしたものか……」
そう、婚約が無効になったとて、何一つ解決はしていない。先立つものが無ければ領地を手放さなくてはいけないという現実に、打ちのめされそうになる。
「実に簡単な話ですよ。借金は私が肩代わりする。彼女は私と結婚してエルフの国で暮らす。それで全てが解決ですよ、エイヴェリー男爵」
簡単な話。その言葉に私は引っかかった。私の人生が決まるというのが、簡単な話?これじゃあ結婚相手がコナーからこのアルサリオンというエルフに変わっただけだ。気付けば私は震える声を振り絞り、目一杯アルサリオンを睨みつけていた。
「……嫌よ」
「え?今なんと……」
「だから!私は貴方とは絶対に結婚しないわ!」
彼を取り巻く空気が急転直下するのを肌で感じた。それでも私は私の誇りを取り戻さなくてはいけない。流され、振り回され、私の人生を私を愛していない者に、これ以上委ねる訳にはいかないと強く思った。
ジェインエア、どうか貴女の勇気を私に頂戴。
「……理由をお伺いしても?」
「貴方は私を愛していないし、私も貴方を愛していないからよ。簡単な話ですって?私のことを何も知らないくせに!これ以上誰かに振り回されるのはごめんだわ、私は売り物のお人形じゃないの!」
「エヴェリーナ……」
父とメアリーが心配そうに私の腰を支えてくれる。私の温かな大切な家族。ああ、私はようやく思い知った。
愛のない結婚が本当に、心の底から嫌だったのだ。
「お父様、ごめんなさい。やっぱり私……お父様とお母様みたいに愛のある結婚がしたい。そうじゃないならずっとお父様と暮らしたいの……」
「……お父様は、いつかはお前より先に死んでしまうんだよ」
「そうしたら修道院に入るわ。見知らぬ国へ一人で嫁ぐよりマシよ」
父の大きな手が、私の頬から流れる涙を優しく拭ってくれた。メアリーが子どもを落ち着かせるように、私の背中をとんとん、と叩いてくれる。
エルフの男は細いため息を吐き、貼り付けた笑顔で提案を投げかけた。
「――一つ、賭けをしませんか?」
「……賭け?」
「はい。私にチャンスを下さい。期間は一年間。私のことを婚約者として扱って下さい。ただし、期間内に貴女が私のことを愛さなければ、結婚は諦めます。もし貴方が私を愛してくれたなら――貴女は一生、私のものだ」
ぞくりとするような熱情。一体どうしてそんな目で私を見るのか、どうしても分からない。
「貴方がどちらの選択をしても、借金は私がお支払いすることを約束します」
「そんなの、貴方に損しかないわ」
「大丈夫です。貴方は私のことを、絶対に好きになりますから」
「……怖ッッ!!」
拝啓、天国のお母様。天国から見ていらっしゃいますか?どうやら私はとんでもない者に好かれてしまったようです。でも、私は絶対に負けたりしません、どうか安心して見守っていて下さいね。
「お嬢様、アルサリオン様とっても素敵な方じゃありませんこと?メアリーはコナーさんよりいいと思いますよ。ええ、お嬢様にこんなドレスをプレゼントするようなあの人より……」
こそこそとメアリーが耳打ちをしたその瞬間、アルサリオンの瞳に仄暗い嫉妬の炎が灯るのを、その場にいた全員が目撃した。彼の心をそのまま写し取ったかのように、手に赤い炎が宿る。
「そのドレスは彼からの贈り物?……不愉快ですね、今すぐ脱いでくれます?燃やしますから」
「……っ!この変態エルフ!」
前言撤回!神様お母様、どうかエヴェリーナをこの悪魔のようなエルフの魔の手からお救い下さい!
これは、私と通りすがりのエルフが互いの人生を賭けて全身全霊で挑む、365日の物語。
「エヴェリーナ、これは一体どういうことなんだ?」
「お父様、私にも何がなんだか……だって私にエルフの知り合いなんている訳ないじゃない!」
父は真っ青な顔でコナー氏に頭を下げ続けた。その間、通りすがりのエルフと名乗った男はじっと私の顔を見つめている。その表情が甘く蕩けるような目付きで、ぞわりと鳥肌が立った。絶対に、初対面の女性に向ける目線ではない。
「貴様、人の婚約式を台無しにしてタダで済むと思うなよ!」
コナー氏が声を荒げて詰ると、エルフの男は笑ってこちらに近付いてきた。
「タダで済まないのはどちらでしょうね。なりふり構わず手に入れたいものがある、そのお気持ちは理解できます――その相手がエヴェリーナでなければ、ね。」
ガラス玉のように透き通るその瞳は、コナー氏を射殺すような目つきをしている。
「さて、答え合わせをしましょうか」
この場にはそぐわない明るい声で彼は両手を胸元にかざす。すると彼の手元には七色の光が集まった。プリズムが太陽の光を通して虹の宝石を生んだようで、その光はコナー氏から贈られたダイヤモンドより、もっとずっと美しく輝いている。それはボールルームの天井に広がった。
魔法――それはこの世ならざるものが行使する、未知の力。虹色の光の泉からは次から次へと写真が湧き、招待客の手元に収まっていく。
「……これは?」
「あら、コナー氏が写っていますわ」
写真は父の手元にも舞い落ちたので、横から覗き込む。モノクロの写真の中で会話をしている二人の男。一人はコナー氏、もう一人は……。
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父の顔色が怒りに染まってみるみる内に赤く変わるのとは逆に、コナー氏の顔は真っ青になっていった。
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そんな顔をしてももちろん助け舟を出すつもりはないが、エルフの男の手にはシャンデリアの光を反射させる程に輝く剣が握られていた。
「さあ、この婚約を無効にし大人しく立ち去るか、婚約者を賭けて私と戦うか選びなさい。ミスリルの剣の切れ味を味わってみたいですか?」
この上なく物騒な台詞だが、表情と全く合っていない。にこやかに微笑む彼の瞳には、泡を吹いて恐怖に引き攣るコナー氏が映り込んでいた。
そこでようやく私は声を上げた。
「あ……貴方!一体何の権利があって人の婚約式に乱入してきたの!」
剣を握り今にもコナー氏に振りかざそうとした彼が、ゆっくりとこちらを振り返る。
近くで見れば見るほど美しく整った顔立ちだった。思わず胸がときめきそう――になる訳もない。だって振り向いた彼の目付きは捕食者のそれだったのだから。
「……貴方は彼と結婚したいのですか?愛し合っているとでも?」
「あ、愛は結婚してからでもなんとかなるわ!私は領地を守らなくてはいけないの!」
精一杯胸を張って虚勢をはるが、どんどん彼の瞳が色を失くしていく。待って、怖い。怖すぎる。こんなに狂気を孕んだ瞳を、私は知らない。
「で、どうしますか?」
そんな私を無視してコナー氏の頬に剣先をぺちぺちと突き付けると、彼は両手をあげて高らかにこう言った。
「こここ婚約は無効です!エヴェリーナ嬢とは結婚しません、許してください!」
その台詞を聞いたエルフは満足そうに微笑み、私の方を見て笑った。
「彼、貴女と結婚しないそうですよ」
「……なっなっ!なんてことしてくれたのよー!!」
その日ロンドンの最高級ホテルで淑女の雄叫び声が聞こえたとか、聞こえていないとか。
♢♢♢
婚約式はお開きになり、コナー氏はその場から逃げるように走り去った。
「そんな……借金……領地……婚約……」
頭を抱えてその場に座り込んだ私の目の前に、エルフの男が跪く。頬は薔薇のように赤く染まり、潤んだ瞳で私を見ていた。
「順番が逆になってしまいましたが……エヴェリーナ、どうか私と永遠の愛を誓って下さい。このままここで婚約式やりましょっか」
「いや可笑しくない!?なんでなの!?っていうか貴方誰!?」
本日二度目の雄叫びがボールルームに響く。その場にいるのは、父とメアリー、私とエルフ。
「申し遅れました、私こういう者でして」
彼が差し出したのは、縁にオリーブのエンボス加工がされた名刺。
「アルサリオン・フォン・アヴァロン……住所はティル・ナ・ノーグ……?何これ、貴方ふざけてるの?」
「まさか。私は貴女に嘘等申しません。正真正銘のエルフですよ。貴女に恋焦がれる、ただのエルフです」
遠い昔に読んだお伽噺。この世界には遥か遠い西の果てにアマンという大陸があり、そこには精霊の国と魔物の国が存在する。遠い昔、人間と精霊たちは仲良くしていたけど、人間の文明の発展に伴い少しずつ交流が廃れ、遂にはその門を閉ざしてしまった。魔法を使い、精霊の国に住む、長命で美しい種族――それがエルフだ。
「そのエルフがどうして私のことを知っているの?」
「エルフは何でも知ってますよ」
父とメアリーが茫然と私たちを見ていることに気がつく。父は安堵の声を出して俯いた。
「ああ、お前があんな男に嫁がなくて良かった……」
「本当ですよ、あんな狐みたいな男にお嬢様をくれてやるだなんて、私本当に嫌だったんです!」
「しかし借金はなんとしたものか……」
そう、婚約が無効になったとて、何一つ解決はしていない。先立つものが無ければ領地を手放さなくてはいけないという現実に、打ちのめされそうになる。
「実に簡単な話ですよ。借金は私が肩代わりする。彼女は私と結婚してエルフの国で暮らす。それで全てが解決ですよ、エイヴェリー男爵」
簡単な話。その言葉に私は引っかかった。私の人生が決まるというのが、簡単な話?これじゃあ結婚相手がコナーからこのアルサリオンというエルフに変わっただけだ。気付けば私は震える声を振り絞り、目一杯アルサリオンを睨みつけていた。
「……嫌よ」
「え?今なんと……」
「だから!私は貴方とは絶対に結婚しないわ!」
彼を取り巻く空気が急転直下するのを肌で感じた。それでも私は私の誇りを取り戻さなくてはいけない。流され、振り回され、私の人生を私を愛していない者に、これ以上委ねる訳にはいかないと強く思った。
ジェインエア、どうか貴女の勇気を私に頂戴。
「……理由をお伺いしても?」
「貴方は私を愛していないし、私も貴方を愛していないからよ。簡単な話ですって?私のことを何も知らないくせに!これ以上誰かに振り回されるのはごめんだわ、私は売り物のお人形じゃないの!」
「エヴェリーナ……」
父とメアリーが心配そうに私の腰を支えてくれる。私の温かな大切な家族。ああ、私はようやく思い知った。
愛のない結婚が本当に、心の底から嫌だったのだ。
「お父様、ごめんなさい。やっぱり私……お父様とお母様みたいに愛のある結婚がしたい。そうじゃないならずっとお父様と暮らしたいの……」
「……お父様は、いつかはお前より先に死んでしまうんだよ」
「そうしたら修道院に入るわ。見知らぬ国へ一人で嫁ぐよりマシよ」
父の大きな手が、私の頬から流れる涙を優しく拭ってくれた。メアリーが子どもを落ち着かせるように、私の背中をとんとん、と叩いてくれる。
エルフの男は細いため息を吐き、貼り付けた笑顔で提案を投げかけた。
「――一つ、賭けをしませんか?」
「……賭け?」
「はい。私にチャンスを下さい。期間は一年間。私のことを婚約者として扱って下さい。ただし、期間内に貴女が私のことを愛さなければ、結婚は諦めます。もし貴方が私を愛してくれたなら――貴女は一生、私のものだ」
ぞくりとするような熱情。一体どうしてそんな目で私を見るのか、どうしても分からない。
「貴方がどちらの選択をしても、借金は私がお支払いすることを約束します」
「そんなの、貴方に損しかないわ」
「大丈夫です。貴方は私のことを、絶対に好きになりますから」
「……怖ッッ!!」
拝啓、天国のお母様。天国から見ていらっしゃいますか?どうやら私はとんでもない者に好かれてしまったようです。でも、私は絶対に負けたりしません、どうか安心して見守っていて下さいね。
「お嬢様、アルサリオン様とっても素敵な方じゃありませんこと?メアリーはコナーさんよりいいと思いますよ。ええ、お嬢様にこんなドレスをプレゼントするようなあの人より……」
こそこそとメアリーが耳打ちをしたその瞬間、アルサリオンの瞳に仄暗い嫉妬の炎が灯るのを、その場にいた全員が目撃した。彼の心をそのまま写し取ったかのように、手に赤い炎が宿る。
「そのドレスは彼からの贈り物?……不愉快ですね、今すぐ脱いでくれます?燃やしますから」
「……っ!この変態エルフ!」
前言撤回!神様お母様、どうかエヴェリーナをこの悪魔のようなエルフの魔の手からお救い下さい!
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