好きな人には好きな人が

伊能こし餡

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夜道を歩く時

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 現実はいつだって残酷なもの

 好きな人には決まって私以外の好きな人がいる

 略奪愛なんて好みじゃないし

 二番目で良いなんてことも思えない

 でもたまには夢を見たっていいじゃない

 例えば夜の歩道を歩く時

 月明かりに照らされる君を想像したっていいじゃない

 二人寄り添って歩く想像をしてもいいじゃない

 例えば一人でドライブする時

 隣でうたた寝する君を想像したっていいじゃない

 そうやって想像するだけで

 私の心は満たされるの

 だって愛すれば愛するほど分かるんだもの

 一生君を夢に見るだけだって

 ほら、歩道はこんなにも銀色に光っていて

 まるでヴァージンロードみたいで

 私の足を早めてくれる

 あぁ

 私はこんなにも君が好きなのに

 あぁ

 こんなにも愛してるのに

 幸せはいつもこの両の手からこぼれ落ちる

 好きよ

 愛してる
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