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散策
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寝室に陽射しが差し込み、眠たそうにカーテンを閉め直して二度寝しようと顔を横に向ける。
そこには端正でお人形のような美少女が目を閉じ、僕の前で眠っている。
いつか彼女の眩しい笑顔を見ながら、優しく頭を撫でたいものだ。
千癒「んう・・・」
まだカーテンの陽射しが彼女に当たっている。もう一度閉め直す。もう起きたかな?
真桜「ずっと見ていても飽きないぐらい可愛い・・・」
千癒「・・・スースー」
前髪に隠れてしまった彼女の顔が見えない。
僕はそっと頬に触れてまた寝顔を見られるようにする。
僕は彼女の隣に横になると、目を閉じてもう少し惰眠を貪る事にした・・・。
ん・・・柔らかい感触を顔辺りに感じる。
目を開けると顔一つ分の距離でちゆちゃんがその瞳
を僕に向けている。
千癒「まおくん、おはよ♪」
僕は朝から胸を高鳴らせながら返事をする。
真桜「ちゆちゃん、おはよ!」
千癒「まおくん、ぐっすり眠れた?」
真桜「ああ、ばっちりだよ!ちゆちゃんもよく眠れたかな?」
千癒「うん!こんなにぐっすり眠れたの久しぶりだなあ♪」
そうか、最近まで野営していたんだ。
魔王城に近づくにつれて戦闘の頻度はあがり、ろくに眠れなかったのだろう。
おのれ王国め・・・許すまじ。
真桜「ちゆちゃん、今日は僕とお出掛けしないかい?」
千癒「いいよ♪どこに行くのー?」
真桜「中立都市でちゆちゃんの服を選びに行こうと思うんだ。」
千癒「うん!まおくんにあたしに似合う服を選んで欲しいな♪」
人形神の料理長「魔王様、朝食ができました。支度を済ませたらお越し下さい。」
真桜「おお、わかった。」
さて、マントを羽織っていつもの魔王っぽい禍々しい黒い服を来て…。ちゆちゃんと食卓へ座る。
千癒「この果実美味しい…♪」
真桜「うむ…魔力が漲る感覚だ」
人形神の料理長「それは先代がかつてマナの秘境で手にした…」
真桜「まさか伝説の神樹に成るという…!マナの実…!」
人形神の料理長「…に味と形を模した昼下がりの実。」
まあ、何もない日にそんな伝説の食材が出るわけないよな。朝からびっくりした。
真桜「真白」
魔王の幹部「はい魔王様」
真桜「蒼月の首尾はどうだ?」
真白「供給を断ち城内では夜な夜な逃亡兵が増えています。」
なるほど、それなら犠牲を払わずとも落城に持ち込めそうだな。援軍が来る動きもないようだ。
真桜「それにしても、この吸い物は良い味だな。」
千癒「こんなおいしい吸い物、初めて食べたよ♪」
人形神の料理長「旬の魚は脂がのっていて良い魚介出汁が出てます。」
ちゆちゃんと一緒に吸い物をおかわりする。まだ春は始まったばかり。朝の肌寒さを体の内側から補っていく。
千癒「おいしかったー。」
真桜「だね、一日の活力はおいしいごはんから始まるのだ。」
護衛や幹部の真白に見送られてちゆちゃんと城門を出る。この前刺客が来たり勇者が攻め込んできたりしたが、基本的に魔王城近辺は治安が良い。眷族の魔物が護衛の役目を果たすので人間側は迂闊に近づけない。魔王城の城下町には人間に似合う服は置いてないだろう。やはり中立都市へ向かう必要がある。
千癒「日向が気持ちいいねっ。」
真桜「うん、これなら薄着でも大丈夫だね。」
魔王っぽいマントをしまい、カジュアルな服を羽織る。中立都市とは言え魔王が居ると知られるのは良くないからな。多少の変装は必要だ。
真白「魔王様ー!」
城門へ走ってくる真白。何かを手渡される。
千癒「真桜くん、何もらったの?」
真桜「霧隠れだね、この小刀を一振りすると任意の対象を周りから隠せるんだ。」
都合良く前方に動物が木の実をかじっている。僕は小刀を振ると千癒ちゃんと動物の元へ近寄る。
千癒「気付かないで木の実かじってるね♪」
真桜「うむ、効果は健在のようだな。」
木の実を食べ終える所を二人で見守る。
そして街道沿いの遊歩道を程良い木陰と陽射しに包まれながら進んでいく。
千癒「良い風・・・。」
真桜「心地良い・・・今日はお出かけ日和だね。」
木陰を抜けるといつの間にか魔王領を抜けて、遠くに小さく中立都市・・・陽水が見えてきた。交わる左右の街道からも人が行き来してにぎやかになってきた。
さらに街道を進むと何やら良い匂いがしてきた。
街の外にも露店でにぎわっているようだ。
千癒「真桜くん、あれ食べよっ。」
真桜「何かの煮込み料理かな、いいね食べよう♪」
かわいらしくおねだりされて上機嫌になる。朝食だけだと少し物足りなかったからな。しかし良い匂いだ、見た感じ山菜や動物の肉を煮込んだ感じだな。
さっそく二人分を購入し、近くに腰掛けて彼女と食べる。出汁が具によく染みていて美味しい。
千癒「真桜くん、ごちそうさま♪」
真桜「ふふ、美味しかったね♪」
おなかが落ち着くまで二人で腰掛けて話す。ちゆちゃんは住み慣れてきたから、一通り街を案内してくれると言う。とても楽しみだ。
そこには端正でお人形のような美少女が目を閉じ、僕の前で眠っている。
いつか彼女の眩しい笑顔を見ながら、優しく頭を撫でたいものだ。
千癒「んう・・・」
まだカーテンの陽射しが彼女に当たっている。もう一度閉め直す。もう起きたかな?
真桜「ずっと見ていても飽きないぐらい可愛い・・・」
千癒「・・・スースー」
前髪に隠れてしまった彼女の顔が見えない。
僕はそっと頬に触れてまた寝顔を見られるようにする。
僕は彼女の隣に横になると、目を閉じてもう少し惰眠を貪る事にした・・・。
ん・・・柔らかい感触を顔辺りに感じる。
目を開けると顔一つ分の距離でちゆちゃんがその瞳
を僕に向けている。
千癒「まおくん、おはよ♪」
僕は朝から胸を高鳴らせながら返事をする。
真桜「ちゆちゃん、おはよ!」
千癒「まおくん、ぐっすり眠れた?」
真桜「ああ、ばっちりだよ!ちゆちゃんもよく眠れたかな?」
千癒「うん!こんなにぐっすり眠れたの久しぶりだなあ♪」
そうか、最近まで野営していたんだ。
魔王城に近づくにつれて戦闘の頻度はあがり、ろくに眠れなかったのだろう。
おのれ王国め・・・許すまじ。
真桜「ちゆちゃん、今日は僕とお出掛けしないかい?」
千癒「いいよ♪どこに行くのー?」
真桜「中立都市でちゆちゃんの服を選びに行こうと思うんだ。」
千癒「うん!まおくんにあたしに似合う服を選んで欲しいな♪」
人形神の料理長「魔王様、朝食ができました。支度を済ませたらお越し下さい。」
真桜「おお、わかった。」
さて、マントを羽織っていつもの魔王っぽい禍々しい黒い服を来て…。ちゆちゃんと食卓へ座る。
千癒「この果実美味しい…♪」
真桜「うむ…魔力が漲る感覚だ」
人形神の料理長「それは先代がかつてマナの秘境で手にした…」
真桜「まさか伝説の神樹に成るという…!マナの実…!」
人形神の料理長「…に味と形を模した昼下がりの実。」
まあ、何もない日にそんな伝説の食材が出るわけないよな。朝からびっくりした。
真桜「真白」
魔王の幹部「はい魔王様」
真桜「蒼月の首尾はどうだ?」
真白「供給を断ち城内では夜な夜な逃亡兵が増えています。」
なるほど、それなら犠牲を払わずとも落城に持ち込めそうだな。援軍が来る動きもないようだ。
真桜「それにしても、この吸い物は良い味だな。」
千癒「こんなおいしい吸い物、初めて食べたよ♪」
人形神の料理長「旬の魚は脂がのっていて良い魚介出汁が出てます。」
ちゆちゃんと一緒に吸い物をおかわりする。まだ春は始まったばかり。朝の肌寒さを体の内側から補っていく。
千癒「おいしかったー。」
真桜「だね、一日の活力はおいしいごはんから始まるのだ。」
護衛や幹部の真白に見送られてちゆちゃんと城門を出る。この前刺客が来たり勇者が攻め込んできたりしたが、基本的に魔王城近辺は治安が良い。眷族の魔物が護衛の役目を果たすので人間側は迂闊に近づけない。魔王城の城下町には人間に似合う服は置いてないだろう。やはり中立都市へ向かう必要がある。
千癒「日向が気持ちいいねっ。」
真桜「うん、これなら薄着でも大丈夫だね。」
魔王っぽいマントをしまい、カジュアルな服を羽織る。中立都市とは言え魔王が居ると知られるのは良くないからな。多少の変装は必要だ。
真白「魔王様ー!」
城門へ走ってくる真白。何かを手渡される。
千癒「真桜くん、何もらったの?」
真桜「霧隠れだね、この小刀を一振りすると任意の対象を周りから隠せるんだ。」
都合良く前方に動物が木の実をかじっている。僕は小刀を振ると千癒ちゃんと動物の元へ近寄る。
千癒「気付かないで木の実かじってるね♪」
真桜「うむ、効果は健在のようだな。」
木の実を食べ終える所を二人で見守る。
そして街道沿いの遊歩道を程良い木陰と陽射しに包まれながら進んでいく。
千癒「良い風・・・。」
真桜「心地良い・・・今日はお出かけ日和だね。」
木陰を抜けるといつの間にか魔王領を抜けて、遠くに小さく中立都市・・・陽水が見えてきた。交わる左右の街道からも人が行き来してにぎやかになってきた。
さらに街道を進むと何やら良い匂いがしてきた。
街の外にも露店でにぎわっているようだ。
千癒「真桜くん、あれ食べよっ。」
真桜「何かの煮込み料理かな、いいね食べよう♪」
かわいらしくおねだりされて上機嫌になる。朝食だけだと少し物足りなかったからな。しかし良い匂いだ、見た感じ山菜や動物の肉を煮込んだ感じだな。
さっそく二人分を購入し、近くに腰掛けて彼女と食べる。出汁が具によく染みていて美味しい。
千癒「真桜くん、ごちそうさま♪」
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