まおはちゆと結ばれたい

ちぇのあ

文字の大きさ
6 / 10

蒼月(前)

しおりを挟む
陽射しと共に起きれば、今日も隣にちゆちゃんが綺麗な寝顔を僕に見せてくれている。
そうか、昨日のよく歩いて疲れて、すぐに一緒に眠ったんだ。
今朝は久しぶりに自分で食材を調理している。
今後野営する事が増えるからな。
食事は自分で用意しなければならない。
遊樹鳥のガラや脂身でスープを煮込んだので味見する。
なかなかに良い出汁が取れた。
スープ以外にもモツを陽水で仕入れた野菜と煮込んで塩味で鍋にした。
少し味見をすれば、人参も甘葉もキャベツも味がよく染み込んでいて美味しい。

真桜「よし、魔樹の魔水でご飯も炊いたし、果物の切り身も用意したし、ちゆちゃんが起きるまで寝顔を見守るか♪」

ネグリジェに身を包む彼女を側で見守る。
歳に似合わない程の幼い寝顔が可愛い。

真桜「いつもちゆちゃんが甘えてくれるからちゆちゃんに任せてるけど、たまにはこちらからも積極的になりたい所だな。」

かと言って寝ている彼女に積極的になるのは魔王の意地が許さない。
彼女の表情を見て、目にかかった髪を整えて、頭を撫でる。

真白「魔王様!これより蒼月へ総攻撃を仕掛けます!是非魔王様のお力添えを。」

真桜「いや…籠城してる兵はほぼ逃走して、残った兵は生き残る為に味方の死体を食い漁る始末だと聞いているぞ。俺がわざわざ出向かなくとも…。」

真白「何を仰いますか魔王様!」

真桜「俺の代わりに、変身が得意な魔族に俺の影武者をさせれば良いだろう。」

真白「何を仰いますか魔王様!」

しばらく出陣させたがる真白とちゆちゃんの側に居たい俺との間で、話が平行線を辿る。
とにかく手柄を魔王にとらせる風潮が先代から続いている。
魔王の威厳を保つ為に必要なのはわかるが…それにしても、真白は幹部の癖に語彙が貧弱じゃないか?

真桜「仕方ない…すぐにかたをつけるぞ!」

真白「その粋です!魔王様!」

僕は少しスープを味わい、ちゆちゃんの可愛らしい寝顔を名残惜しそうに見てから部屋を出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

処理中です...