まおはちゆと結ばれたい

ちぇのあ

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蒼月(後)

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時は夕刻を過ぎた。
亡骸を葬り宴を終えて、ミノタウロス達と魔鉱石の鎧を蒼月に配置し魔王城へ戻る。

城門へ行くとちゆちゃんが立っている。
朝起きたら居なかったらのだから、だいぶ退屈してたのだろう。
ちゆちゃんの元へ駆け寄る。

真桜「ちゆちゃんただいま♪」

千癒「まおくん、お仕事お疲れ様!早くお部屋もどろっ?」

真桜「そうだね!」

蒼月を手に入れ、戦果は十分だ。
ちゆちゃんと部屋に戻る。

夕食のレシピを考えている間に部屋着に着替えた彼女とくつろいでいる。
白いワンピースで胸元を紐で結ぶタイプだ。

真桜「夕食で食べたいものはあるかな?」

千癒「朝にまおくんが作ったモツ鍋、また食べたいなあ。」

真桜「いいね、実は料理長に下準備は頼んで置いたんだ。」

彼女と厨房に行くと、鍋の肉や野菜が弱火でコトコト煮込まれている。
今回は味付けに、昼下がりの実の果汁を肉や野菜に漬けて染み込ませた。

真桜「甘くなりすぎないか、少し心配だな。」

千癒「さっき、まおくんを食べたいって言っておけば良かったなぁ。」

ふぁっ!?
僕は驚きのあまり魔王とは思えない表情になる。

真桜「ちゆちゃん、年頃の女の子がそんなこと言っちゃダメだよ。」

千癒「えへへ、まおくんが帰ってきて喜びすぎちゃった。」

真桜「なっ…。」

なんて可愛い事を言うんだ。
今日の一番の戦果だと言える。
蒼月がおまけの霞んで見えるぐらいだ。
思わず頭を撫でると、笑顔で僕を見上げてくれる。
しばらく撫でている間に、鍋から良い匂いがしてきた。

真桜「そろそろ夕食にしようか。」

千癒「うん♪」

ちゆちゃんに先に座ってもらい、僕も一品作ることにしよう。
魔王領自慢の米のおかずに、バトルクラブの甲羅に実や森で採集した茸山菜を混ぜたグラタンを作った。
バトルクラブ自体の出汁も効いていて美味しい。

真桜「おまたせー!」

千癒「わぁ、おいしそう♪」

温かい食べ物は身体に良い。
良い食事が明日への活力になる。

千癒「まおくん♪」

彼女が僕にスプーンを手渡して、瞳を閉じる。
僕はグラタンをよく冷まして、彼女の柔らかそうな唇へ運ぶ。

千癒「えへへ、おいしい♪」

真桜「ふふ、ちゆちゃんは甘えんぼだなあ♪」

鍋もごはんも美味しく頂く。
鍋にはさらに魚介出汁を足すのもありかもしれないな。
食後には昼下がりの実の切り身をちゆちゃんと食べた。
魔力も少しずつ底上げされるのも有難い。

真桜「部屋に戻ろっか?」

千癒「うん、いいよ♪」

部屋に戻り、ちゆちゃんを撫でつつこれからの事を考える。
蒼月を抑えた事で、王国の脅威はだいぶ薄くなった。
兵力に余裕が出たので俺が直に魔王領を守る必要がなくなり、興味のあった魔王領の奥にある未開の地域を探検しようと思う。
歴代の魔王からの言い伝えでは、効果の高い薬の原料や、伝説級の武具や防具が眠っていると聞く。
しかし探検に行く前に、同盟が進んでいる周辺国の内情を探る必要がある。
明日から俺自ら探りに行こう。
真白が万が一に備えて、危機があれば見守っている護衛が助力してくれるらしい。
昨日も付いてきていたようだ。
まったく気付かなかったぞ。

真桜「ちゆちゃん、明日からまた出掛けないといけなそうだ。」

千癒「今回は戦いじゃないんだぁ。ちゆも連れていってくれる?」

真桜「魔王領の外を探りに行くから、危ない旅になるかも知れないんだ。連れていくわけには…」

千癒「この前みたいに隠れたり、まおくんに守ってもらうから大丈夫だよ…ね?」

真桜「この真桜に任せて!僕がちゆちゃんを守る!」

千癒「まおくん…♪」

僕の根負けでちゆちゃんと明日から諸国を探りに行くことになった。
確かにしばらくちゆちゃんに会えなくなるのは寂しい。
それならば、彼女とこの世界を巡るほうが有意義なのではないか。
彼女と同じ部屋の同じベッドで眠る。
これがいつもの事になっている。
しかし僕がそれに慣れるにはまだ時間がかかりそうだ。

真桜「ちゆちゃんおやすみ。」

千癒「えへへ、まおくんとおやすみする。ぎゅーして?」

苺パジャマに着替えた彼女をひとしきり愛でて、嬉しそうな彼女の表情を見る。
夜が更け充分に彼女を撫でてぎゅーもちゅーもして可愛がってから、二人共瞳を閉じて眠った。
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