『完結』夜の姫君 シャノン

マイマイン

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1章 秘密組織AHMS

シャノンの正体

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 シャノンが学校から帰ってくると、郵便ゆうびん受けに見慣みなれない手紙が入っていたので、読んでみました。

『シャノン嬢へ、まさるは預かった!返してほしければ、丘の上のぼくの城までおこしいただきたい!AHMSリーダー、バーナバス・ドラクルより』シャノンはバーナバスからの手紙をにぎりしめながらいかりにふるえています。

「何てこと・・・!どうりで学校で見かけなかったわけね・・・!許せない!」

 シャノンは黒いドレスに身を包み、シャノンの家の北にある丘の上を目指していきました。途中で、麻里子とすれ違っても気づくことなく、丘の上を目指します。

 ほどなくして、日本には不似合いな、白い石を積み上げて造られた城にたどり着きました。待ってましたとばかりに、城の入口の両開りょうびらきの門が開き、シャノンは城の中へと進んでいきます。

「待っていたよ!ナイトプリンセス・シャノン!」城のエントランスには、黒いスーツとマントを着込んだバーナバスを中心に、AHMSのメンバーが集まっていて、まさるはしばられています。

「バーナバス、私は来たよ!さぁ、まさる君を放してもらうよ!」これに、バーナバスは首を横に振ります。

「それは、ぼくたちの仲間になってもらわないとできない相談だね!」これにシャノンも首を横に振りました。

「あなたたちの仲間になんてなれない!暴力ぼうりょくで主義主張を通したり、どさくさにまぎれて略奪をするような連中の仲間になんて!」

「フン!君は、自分はぼくと違うと思っているだろ?人間と共存できると思っているだろ?所詮しょせん、君もぼくと同じさ!さぁ、あれを見ろ!」

 バーナバスが後ろを見上げると、大階段の向こうにある大窓から、満月が力強くかがやいているのが見て取れたのです。その瞬間しゅんかん、シャノンの目つきが鋭くなり、大きく鋭い犬歯をむき出しの野獣のような形相に変わっていきました。

「やはり、今日は封魔薬を注射していなかったみたいだね、どれだけあがいても、バンパイアの本能には勝てないのさ!」

「バンパイアだって・・・!?やっぱりシャノンは普通の人じゃなかった!?」まさるが驚いていると、バーナバスが言いました。

「その通り!どれだけ理性的にふるまっても、満月にはもっとも本能的になる!その人間に毒された考えも、血を味わえば変わるだろう!?さぁ、シャノンよ、こいつの血を吸うのだ!」

 バーナバスはまさるをシャノンの前に差し出すと、シャノンは、赤く光る瞳を向け、じりじりと近づいてきます。

「ああ・・・シャノンさん・・・正気に戻って!」しかし、バーナバスはあざ笑うかのように言います。
「ムダだ!人間の心とバンパイアの本能、両者には超えられないかべがある!

 そもそも、バンパイアのシャノンが、なぜ人間のお前に近づいたと思う?ひそかにお前をねらっていたんだよ!新鮮しんせんな血をいただき、いのち美貌びぼうするためにね!」それを聞いて、まさるはハッとします。

「シャノンさんがあの時、『私から逃げられるなんて思わないで』って言ったのは、全てはこのために!?」

 シャノンは両手をまさるの両肩りょうかたに置き、鋭いきばをむいて、彼の首筋くびすじみつこうとすると、まさるはぎゅっと両目を閉じます。しかし、その牙が彼の首筋に突き立てられることはなかったのです。
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