『完結』夜の姫君 シャノン

マイマイン

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2章 ドラクル伯爵の野望

バラ十字団の砦

 山を下り、そこから東に進むと、人の手が加えられていない原生林げんせいりんが広がっています。

「この森の奥に、ぼくたちバラ十字団の砦があるんだ」すぐるの案内で森に入ると、中はきりがかかっていて、先がよく見えません。
神秘的しんぴてき光景こうけいだけど、うかつに奥に行ったら迷いそうね」シャノンが言いました。

「だから、見通しをよくしよう」すぐるが絵筆の杖をかざすと、先端せんたんの房から光が放たれ、辺りをまばゆく照らします。光が収まると、先ほどの霧がだいぶ晴れて見通しがよくなっています。

「へぇ、さすがバラ十字団の魔法使い」
「うむ、すぐるの魔力はその辺の者より高いようじゃ」
「さぁ、行こう」

 すぐるの案内で、シャノン、まさる、リリスは、森の中を進んでいきます。しばらくすると、緑色のとんがり屋根が特徴とくちょうの、石をくみ上げてつくられたとうが目立つ城にたどり着きました。

「ここがぼくたちバラ十字団の砦だ」
「この辺が教会に襲われないのは、霧に包まれた樹海じゅかいにあるから、なかなか見つからないんだ」

「まぁね、このあたりは独特の磁場じばもあって、方位ほうい磁石じしゃくも役に立たなくなるんだ、さぁ、入ろう」
 すぐるが両開きの扉に手をふれると、扉は左右に開き、四人は中に入っていきます。

 砦のエントランスは、大きい広間になっており、そこでなんと、団長のブライアンが、青白いローブをまとったとんがり帽子の魔法使いの青年と戦っていたのです。その周りを、バラ十字団の魔法使いたちが見守ります。

「目をくらませろ!ブラインド!」ブライアンがやりの様な杖から魔法の霧を放ち、相手の魔法使いを包み込みます。すると、ブライアンは霧に包まれている相手に向かって雷の魔法を放ちます。

 相手も氷の魔法を放って反撃しますが、霧のせいで相手が見えず、氷の弾丸はブライアンに当たりません。ブライアンは電撃でんげきを放っては場所移動を繰り返し、相手は何もできずに倒れてしまいました。

「見たか!?ぼくに歯向かった者はこうなるのだ!文句もんくがあるのなら前に出ろ!相手をしてやる!」周りの者はおびえた目つきでふるえています。そこで、すぐるが静かだが怒りのこもった目で言いました。

「・・・なんなら、ぼくが相手をするけど?」すぐるが前におどり出ると、ブライアンはハッとします。

「・・・誰かと思えば、お前か!?裏切り者のすぐる!なぜ、組織そしきに背を向けた!?」
「・・・今の組織のすることが間違いだと思ったからだよ」
「間違いだと?じゃあ、教会のすることが正しいと言いたいのか!?」すぐるは首を横に振ります。

「・・・教会のする事が正しくないのはわかっている。だからこそ、仲間たちの救出きゅうしゅつには力を貸した。でも、人間に戦いを挑むのは間違っている!そう思ったから、ぼくは組織を抜けた!」

「なんだと!?お前は前団長の孫なのを鼻にかけ、周りからちやほやされてきたからわからないのか?元々、お前は誰かと争うのをけてきたから、人間からなめられてきた!そんな奴がぼくに挑戦するだと!?笑わせるな!いいだろう!」すぐるがシャノンたちに言いました。

「これはぼくとブライアンの真っ向勝負だ、みんなは手を出さないで」シャノンたちはうなずきます。
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