『完結』セプトクルール 超文明Sの野望

マイマイン

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プロローグ

西の保安官

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 スピネル国よりずっと西の方にある大きな国『ニューヨー連邦れんぽう』、そこの治安と平和を守る『連邦警察』は、日夜犯罪と戦っていますが、そのニューヨー連邦の北にある開拓地かいたくちは、混沌の帝国カオスエンパイアの幹部『グリード』によって苦しめられています。ですが、ヤツは開拓地を牛耳る大地主で、ちゃんとした犯罪はんざい証拠しょうこがないと、さすがの連邦警察も動けなかったのです。

 それに今、ニューヨー連邦をさわがせているのは、混沌の帝国カオスエンパイアだけではありません。かつて、連邦を恐怖きょうふおとしいれた『科学かがくの夜明け団』、それは科学の力で、世界を支配しようとした秘密結社で、幹部たちは今、連邦刑務所けいむしょ収監しゅうかんされていますが、その残党たちはいまだに連邦で悪さをり返し、いつの日にか、組織そしきが復活するチャンスを虎視眈々こしたんたんねらっていたのでした。

 連邦警察に所属しょぞくするホワイトタイガーの獣人じゅうじん『ジェロニモ・ロレンス』、白い虎の耳と手足と尾を持つ、たくましい人間の本体に、白いシャツと青い短パンを着用し、銀の短髪たんぱつと言う出で立ちの少年で、手には、鋼鉄こうてつにもまさかたさと強度きょうどを持つ石『ガイアストーン』と、鉄よりも強い『聖木せいぼく』で作られた石斧いしおのを持っています。彼はまだ新米の警察官ですが、そのやる気は誰にも負けず、警察の証である、Pの文字が書かれた金の星形のバッジと警察のほこりを胸に、今日も連邦に属する北の砂漠さばくの国アラビンス国の首都サンドムを警ら(パトロール)をしていました。

「よし、今日も異常なしか・・・」晴れ渡る中、ロレンスは、頭にターバンを巻いた商人たちがじゅうたんを広げ、アクセサリーやナイフなどの道具、果物などの食料品と言った物を陳列ちんれつして、商売に精を出している露店ろてんが並ぶ中を歩き回って言います。そんな中、砂漠の町の日中に、茶色のマントと頭巾ずきんに身を包んだ怪しい男たちが建物の裏にコソコソともぐりこんでいるのを見つけ、ロレンスは、気づかれないようかげで様子を見ることにしました。

「よし、いよいよ明日決行だ・・・!」マントを着込んだ男たちが話しています。
「おう!ありったけの爆薬ばくやくみ込んだ例の列車を、あのグリードがいる開拓地に突っ込ませて町を壊滅させてやるんだ・・・!」これに、三人目のマント男は、不安そうな声で言いました。
「でもよ、連邦警察に見つかったら、全てはパーだぞ・・・?それに、意味あるのかな・・・?」

「何をびくついているんだ?オレたちは、この国をグリードから救うためにやっているんだぞ!?」
「そうだ!目の上のタンコブであるグリードに変わって、オレたちが開拓地を支配し、我々科学の夜明け団の復活を宣言せんげんし、世界支配の足掛あしがかりにするんだ!決行は明日午前四時、他の列車が動き出す前にやるぞ!」それを聞いたロレンスは、気づかれないようその場を去りました。

 アラビンスの警察しょに戻ったロレンスは早速、科学の夜明け団が明日やろうとしている計画の一部始終を、警部けいぶをしている父親や、仲間の警察官たちに伝えました。

「何言っているんだ!?」
「ウソつくなよ!ガキどものいたずらだろ?」
「ロレンス巡査じゅんさ、お前まだなり立てで、ヒマだからそんなこと言ったんだろ!?」
「考えが小さいぞ、あんな小悪党こあくとうどもに、世界を変えられるもんか!」連邦警察には人間、ライオンや虎やおおかみの獣人族、ドワーフ族と言った様々な種族の警察官が在籍ざいせきしていますが、その大部分は、新米のロレンスの言う事なんて、まるで信じませんでした。

「・・・くっ!こうなったら、一人で何とかするしかないか・・・!」その様子を、父親のホーク警部は、じっと見ています。

 翌朝よくあさ四時前、ロレンスはまだ暗いえきの方へと向かうと、まるでお屋敷やしきを思わせる駅舎えきしゃからホームの方へ歩み寄り、線路の方へと飛び降ります。何車線も行きかっている線路せんろには、煙突えんとつが目立つ大小さまざまな機関車きかんしゃ、お客を乗せるための青い客車などがいくつも停車しており、その中で、つんと来る刺激臭しげきしゅうを感じ取れる、十両じゅうりょう編成へんせいまどがない鉄のコンテナばかりの列車に近づきました。

「これは・・・火薬だな・・・!?ぷんぷんしまくるぜ・・・!」ロレンスがコンテナのはしごに捕まり、列車の天井に上ると、その列車だけがゆっくりと北の方へと動き出したのです。

 間もなく、爆薬を積んだ貨物列車は、勢いよく線路の上を走り出し、目の前の砂漠の風景が流れ出すと、ロレンスは先頭の機関車目指して進んで行きます。そして、機関車の操縦室そうじゅうしつに着くと、あの科学の夜明け団のマント男三人がいました。

「なっ!お前は!?」
「オレは連邦警察のジェロニモ・ロレンスだ!さあ、今すぐ機関車を停車させろ!」
「ここでジャマされてたまるか!こうしてやる!」マント男は、ブレーキのレバーを引き抜いてしまったのです。
「これでこの列車は止まらねぇぜ!」マント男たちは機関車を出て行き、携帯けいたいグライダーで、外へと出て行ってしまいました。

「くそっ!こうなったら、機関車の連結れんけつ部分を外すしかないぜ!」ロレンスは、機関車のすぐ後ろにある車両に飛び乗り、連結部分のくさりを思いっきり引っ張ります。

「くそっ!なんて固い連結部分だ・・・!」そこで、ロレンスは気の力による肉体強化技を使いましたが、連結部分は魔力で施錠せじょうされているのか、力を込めても、石斧を叩きつけても、全く動きません。
「くそっ!こんな列車を町に突っ込ませるわけにはいかないんだ!頼む!はずれてくれーっ!」すると、後ろの方から虎の手が現れ、鎖を引っ張り出したのです。

「と、父さん!」ロレンスは、瓜二うりふたつな顔をしたホーク警部の顔をのぞきこみました。
「お前がウソを言うとは思えなかったんでな・・・!ついて来てよかった・・・さあ、一緒いっしょに外すぞ!」二人は全力でもって、連結部分の鎖を引っ張ると、連結のホックが少しずつ動き、ついには大きな金属音きんぞくおんをたてて連結部分が外れ、機関車のみが先に突っ走って行き、後の貨物列車は、次第にスピードが落ちて行き、ついには、完全に停車しました。二人の目の前には、開拓地の木製の家々が見えていたのです。
 
 ロレンス親子の活躍により、開拓地に突っ込んだのは機関車だけで済み、ロレンス巡査が言ったことは、全て真実であったことがわかり、他の警官たちは反省モードになりました。あの後、科学の夜明け団の残党たちは町で御用ごようとなり、町に突っ込んだ機関車も、修理しゅうりすればまた走れることがわかりました。そして、ロレンス巡査は父から「町を守ろうとしたことは立派だったが、無茶しすぎだ」とおきゅうをすえられたそうです。
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