11 / 97
プロローグ
幻想界平和連盟
しおりを挟む
幻想界ではかつて、世界支配を目論む者、『魔王』の侵攻に、二度もさらされたので、魔王の侵略に対抗するため、または次の魔王を出さないために、そして、幻想界の平和と人々の幸せのために、
『幻想界平和連盟』が組織されたのです。
この組織は、幻想界の二大宗派『正教会』と『分教会』の二つから成り立ち、かつて対立していた二つの教会を、連盟代表のメシア女史が、一つにまとめ上げました。最近、幻想界中を騒がせている混沌の帝国が大々的に悪さをすると、当然、連盟はそれに対抗し、必ず帝国相手に勝利してきました。その華々しい功績に、人々は連盟を大いに賞賛し、連盟は人々の心を確実につかんで行きます。
しかし、そんな連盟を懐疑的に見ている者がいたのです。連盟を形作っている二大宗派の一つ、分教会の聖堂騎士団の団長、『メガロ・グレイシャー』です。彼は幻想界では絶滅したとされる亀の聖獣『アルケリス』の生き残りで、最初は連盟に全く疑問(ぎもん)を持っていなかったのですが、連盟が必ず帝国の動きを察知し、勝利をおさめてきた事を、いぶかしく思っていたのでした。
ここは、北のさいはてにある北極圏の国、ラップランドのノースポールです。雪が積もった屋根を持つレンガ造りの家々の間を、生きている雪だるま、雪の精ジャックフロスト、人間やエルフ族など、様々な種族が、コートを着込んで行きかっています。その町の北の方に、分教会の総本山『ポーラー大聖堂』があり、円い色とりどりのステンドグラスと、突き出た三本の高い尖塔は、平和への祈りの強さを表しているかのようでした。
その団長室の机の前で、メガロは頭を抱え込んでいます。水晶のクラスターを甲羅に使い、猛牛を思わせる二本の角と魚の尾を生やし、緑の瞳を持つ、直立した青い亀と言う外見を持つメガロは、どことなく直立したトカゲの種族、リザードマンをほうふつとさせる姿をしていますが、それよりも大きく、もっと厳つい姿をしています。しかし、そんな外見とは裏腹に、実際のメガロはクールで知的な感じと、強きをくじき、弱きを助ける任侠な性格をしており、決して弱い者いじめをしません。また、相手を種族や生まれなどで分け隔てなく接することが出来る、器の大きさも兼ね備えていました。
「・・・うむ、一週間前のクリスマスも混沌の帝国による、プレゼント工場『ドリーム・インダストリー』の強奪事件も、毎回のように連盟が勝利をおさめたか・・・いくらなんでも、出来すぎている・・・!まるで、そうなることを知っていたかのように・・・!」メガロが考え込んでいると、戸を叩く音とともに、緑の服と二つの房に分かれた帽子をかぶった小悪魔の少年が入ってきます。
「キャプテン、指示通りこれを持ちだしてきたッス!」小悪魔はメガロに一枚の正方形型のデータディスクを差し出しました。
「よくやったぞスプラウト、連盟はおれにさえ秘密にしておきたいことがあるようだ・・・!」
メガロは早速、聖堂内の解析室で、先ほどのデータディスクの中をモニターで確認してみると、彼は両の眼を大きく見開いて言います。
「・・・やはりそうか・・・!このままでは大変なことになる!自由の死だ!」そばにいたスプラウトも言います。
「やはり、キャプテンの推測は当たっていたッスね!?」これに、メガロはスプラウトの方を向いて言いました。
「そういうことだ!スプラウトよ、この事をセント・ニコラウス殿と、他の聖堂騎士たちに伝えてくれ!ハヌマーンやスカーレットにも報告せねばな・・・!」スプラウトは早速、解析室を飛び出します。
団長室には、スプラウトによって連れてこられた騎士団員たちが、メガロの周りにいます。トリケラトプスの頭と尾を持つ鎧兵の姿をした竜の騎士ランスロット、黄色いドレスをまとった赤毛の鳥人族ハーピーの少女シルフィー、そして、銀色の鎧と鉄仮面をつけた人間のファフナーの三名です。
「すまないッス・・・!他の騎士団員たちは、連盟の事を信じきっていたり、悪魔族のオイラのいう事なんてまるで信じてくれなかったッス・・・!集められたのは、ここにいる分だけ・・・!」スプラウトがうなだれて言うと、メガロは彼の肩に右手を置いて言います。
「そうか・・・それでもよくやった。皆もおれの話を信じてくれてうれしい」これに、ランスロットはこう言います。
「メガロ殿が冗談であんな話をするとは思えなかったのでね・・・!」シルフィーも言います。
「そうそう、アタシもなんだか連盟は怪しいって思っていたもん」
「オレはキャプテンメガロの事を信じていたからな」そして、スプラウトが言います。
「それで、セント・ニコラウス殿は信じてくれて、礼のディスクを渡しておいたッス。それで、キャプテンのスターシップ『アーケロン号』を手配してくれたッス!」
「よし、今すぐアーケロン号に乗り込んで、ここを出るぞ!」
メガロは皆を連れて、聖堂にあるスターセイルシップ発着場へと急ぎます。十字路に差し掛かった時、メガロたちの目の前に、鎧に身を固めた聖堂騎士たちが行く手を阻(はば)みました。
「メガロ団長!スプラウト!ランスロット!シルフィー!ファフナー!お前たちを、連盟への反逆罪で逮捕する!」
「ほう、連盟はよほどおれたちがジャマらしいな!」聖堂騎士たちが剣を抜くと、メガロはみんなが身構えるよりも早く、口から凍える白い吹雪を吐きかけ、聖堂騎士たちは半分以上凍り付き、動けなくなり、その隙に、メガロたちは東の発着場へと急ぎます。
外の発着場に、太陽や星の光を帆に受けて走る帆船スターセイルシップの『アーケロン号』が停泊しており、メガロたちはすぐさまタラップを駆け上がり、出航させました。緑と赤のオーロラが揺らめく空にスターセイルシップは浮き上がり、追手が来たころには船は空の点と化していました。
『幻想界平和連盟』が組織されたのです。
この組織は、幻想界の二大宗派『正教会』と『分教会』の二つから成り立ち、かつて対立していた二つの教会を、連盟代表のメシア女史が、一つにまとめ上げました。最近、幻想界中を騒がせている混沌の帝国が大々的に悪さをすると、当然、連盟はそれに対抗し、必ず帝国相手に勝利してきました。その華々しい功績に、人々は連盟を大いに賞賛し、連盟は人々の心を確実につかんで行きます。
しかし、そんな連盟を懐疑的に見ている者がいたのです。連盟を形作っている二大宗派の一つ、分教会の聖堂騎士団の団長、『メガロ・グレイシャー』です。彼は幻想界では絶滅したとされる亀の聖獣『アルケリス』の生き残りで、最初は連盟に全く疑問(ぎもん)を持っていなかったのですが、連盟が必ず帝国の動きを察知し、勝利をおさめてきた事を、いぶかしく思っていたのでした。
ここは、北のさいはてにある北極圏の国、ラップランドのノースポールです。雪が積もった屋根を持つレンガ造りの家々の間を、生きている雪だるま、雪の精ジャックフロスト、人間やエルフ族など、様々な種族が、コートを着込んで行きかっています。その町の北の方に、分教会の総本山『ポーラー大聖堂』があり、円い色とりどりのステンドグラスと、突き出た三本の高い尖塔は、平和への祈りの強さを表しているかのようでした。
その団長室の机の前で、メガロは頭を抱え込んでいます。水晶のクラスターを甲羅に使い、猛牛を思わせる二本の角と魚の尾を生やし、緑の瞳を持つ、直立した青い亀と言う外見を持つメガロは、どことなく直立したトカゲの種族、リザードマンをほうふつとさせる姿をしていますが、それよりも大きく、もっと厳つい姿をしています。しかし、そんな外見とは裏腹に、実際のメガロはクールで知的な感じと、強きをくじき、弱きを助ける任侠な性格をしており、決して弱い者いじめをしません。また、相手を種族や生まれなどで分け隔てなく接することが出来る、器の大きさも兼ね備えていました。
「・・・うむ、一週間前のクリスマスも混沌の帝国による、プレゼント工場『ドリーム・インダストリー』の強奪事件も、毎回のように連盟が勝利をおさめたか・・・いくらなんでも、出来すぎている・・・!まるで、そうなることを知っていたかのように・・・!」メガロが考え込んでいると、戸を叩く音とともに、緑の服と二つの房に分かれた帽子をかぶった小悪魔の少年が入ってきます。
「キャプテン、指示通りこれを持ちだしてきたッス!」小悪魔はメガロに一枚の正方形型のデータディスクを差し出しました。
「よくやったぞスプラウト、連盟はおれにさえ秘密にしておきたいことがあるようだ・・・!」
メガロは早速、聖堂内の解析室で、先ほどのデータディスクの中をモニターで確認してみると、彼は両の眼を大きく見開いて言います。
「・・・やはりそうか・・・!このままでは大変なことになる!自由の死だ!」そばにいたスプラウトも言います。
「やはり、キャプテンの推測は当たっていたッスね!?」これに、メガロはスプラウトの方を向いて言いました。
「そういうことだ!スプラウトよ、この事をセント・ニコラウス殿と、他の聖堂騎士たちに伝えてくれ!ハヌマーンやスカーレットにも報告せねばな・・・!」スプラウトは早速、解析室を飛び出します。
団長室には、スプラウトによって連れてこられた騎士団員たちが、メガロの周りにいます。トリケラトプスの頭と尾を持つ鎧兵の姿をした竜の騎士ランスロット、黄色いドレスをまとった赤毛の鳥人族ハーピーの少女シルフィー、そして、銀色の鎧と鉄仮面をつけた人間のファフナーの三名です。
「すまないッス・・・!他の騎士団員たちは、連盟の事を信じきっていたり、悪魔族のオイラのいう事なんてまるで信じてくれなかったッス・・・!集められたのは、ここにいる分だけ・・・!」スプラウトがうなだれて言うと、メガロは彼の肩に右手を置いて言います。
「そうか・・・それでもよくやった。皆もおれの話を信じてくれてうれしい」これに、ランスロットはこう言います。
「メガロ殿が冗談であんな話をするとは思えなかったのでね・・・!」シルフィーも言います。
「そうそう、アタシもなんだか連盟は怪しいって思っていたもん」
「オレはキャプテンメガロの事を信じていたからな」そして、スプラウトが言います。
「それで、セント・ニコラウス殿は信じてくれて、礼のディスクを渡しておいたッス。それで、キャプテンのスターシップ『アーケロン号』を手配してくれたッス!」
「よし、今すぐアーケロン号に乗り込んで、ここを出るぞ!」
メガロは皆を連れて、聖堂にあるスターセイルシップ発着場へと急ぎます。十字路に差し掛かった時、メガロたちの目の前に、鎧に身を固めた聖堂騎士たちが行く手を阻(はば)みました。
「メガロ団長!スプラウト!ランスロット!シルフィー!ファフナー!お前たちを、連盟への反逆罪で逮捕する!」
「ほう、連盟はよほどおれたちがジャマらしいな!」聖堂騎士たちが剣を抜くと、メガロはみんなが身構えるよりも早く、口から凍える白い吹雪を吐きかけ、聖堂騎士たちは半分以上凍り付き、動けなくなり、その隙に、メガロたちは東の発着場へと急ぎます。
外の発着場に、太陽や星の光を帆に受けて走る帆船スターセイルシップの『アーケロン号』が停泊しており、メガロたちはすぐさまタラップを駆け上がり、出航させました。緑と赤のオーロラが揺らめく空にスターセイルシップは浮き上がり、追手が来たころには船は空の点と化していました。
0
あなたにおすすめの小説
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
ワンダーランドのおひざもと
花千世子
児童書・童話
緒代萌乃香は小学六年生。
「ワンダーランド」という、不思議の国のアリスをモチーフにした遊園地のすぐそばに住んでいる。
萌乃香の住む有栖町はかつて寂れた温泉街だったが、遊園地の世界観に合わせてメルヘンな雰囲気にしたところ客足が戻ってきた。
クラスメイトがみなお店を経営する家の子どもなのに対し、萌乃香の家は普通の民家。
そのことをコンプレックス感じていた。
ある日、萌乃香は十二歳の誕生日に不思議な能力に目覚める。
それは「物に触れると、その物と持ち主との思い出が映像として見える」というものだ。
そんな中、幼なじみの西園寺航貴が、「兄を探してほしい」と頼んでくるが――。
異能×町おこし×怖くないほのぼのホラー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる