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2章 覇気の章
海賊団シルト
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クロノス博士の家を出て、アリシアのお屋敷を目指して
南東に歩を進めてしばらく、目の前に、周りを
石の城壁に囲まれた
要塞のような大きな建物が見えてきました。
「何だろう、あの大きな城みたいな建物は・・・?」すぐるが建物を見ていると、
ロレンスが説明します。
「あれは連邦刑務所、札付きの犯罪者や、連盟に反逆した者たち、
最近、世間を騒がせている
混沌の帝国の者たちが捕えられている牢獄だ」
すると、謎の飛行物体が、連邦刑務所の方に近づいてくるのが見て取れました。
「なんじゃ?あの帆掛け船は・・・?」
リリスが指した方を見ると、それは空に浮く大きな帆船に代わりました。
船のマストに掲げられている十字架が描かれた盾をあしらったデザインの旗を見て
ロレンスはハッとします。
「間違いない!シルトの船だ!」ロレンスが真っ先に駆け出すと、
すぐるとリリスも後に続きます。
シルトの船は大砲で連邦刑務所の城壁や外壁を破壊すると、
船からトリケラトプスの頭を持つ鎧兵、
小悪魔の忍者や悪魔族の騎士といった様々な種族の者たちが現れ、
看守たちを襲撃し始めました。
戦力はシルトの者たちの方が圧倒的に上で、看守たちは次々にやられていきます。
そして、ロレンスはシルトの首領と思われる、
水晶の甲羅を持ち、頭に二本の角を生やし、
直立した亀のモンスターに向かって行き、
ガイアストーン(鋼鉄に勝る硬さと強度を持つ黒い石)と
聖木(儀式により、鉄より硬くなった木材)で作られた石斧を取り出し、
亀のモンスター目がけて振り下ろそうとすると、
亀のモンスターは見向きもしないで金属質の装甲に
おおわれた左手で石斧の強烈な一撃を受け止めました。
「バカな・・・!この斧を素手で止めるだと・・・!しかも見ないで・・・!」
亀のモンスターはそのままロレンスを斧ごと押し返します。
「なんだ?邪魔をするな!」
「そうはいくか!ここには連盟が捕えたカオス帝国のやつらも捕まっている!
逃がさせてたまるか!」ロレンスがこう叫ぶと、亀のモンスターは静かに言いました。
「ここにはおれの仲間や連盟に刃向った者たちがいる、おれはそいつらを救いにきた・・・!」
「連盟は世界平和のために働いている!連盟に捕まったのは悪いやつらばかりだぞ!」
ロレンスがこう言うと、亀のモンスターはぶれることのない声でこう叫びます。
「世の中はうまくだませたようだが、このメガロはだまされんぞ!
ロレンスよ目を覚ませ!混沌の帝国は確かに悪いが、
幻想界平和連盟はもっと悪い!!世界の平和を乱している張本人だぞ!」
メガロの言葉に、三人は信じられないという顔をしました。
「何を言っているんだ・・・!?」
「えっ!?」
「何じゃと!?」三人は戸惑いましたが、気を取り直し、メガロに向かって行きます。
「だまされるな!みんな、ヤツを止めるぞ!」リリスは口から全力の炎を吐きかけますが、
メガロは口から白く輝く吹雪を吐き出して、リリスの炎をたやすくかき消し、
リリスは半分凍り付きながらふっとばされてしまいました。
すぐるも魔法の杖から魔法のエネルギー弾を放ちますが、
メガロも氷の盾の魔法で、すぐるの魔法を鏡のように跳ね返し、
すぐるは体勢を崩してしまいます。
ロレンスも気の力で肉体を強化し、そのスピードで動きの鈍いメガロをかき乱そうとしますが、
メガロは目を閉じて集中し、ロレンスをも上回るスピードで十字の杖を扱い、ロレンスもふっとばされてしまいます。
結局、囚人は逃がされ、彼らを乗せたメガロの船は飛び去ってしまいました。
「・・・あいつらは一体何なんだ・・・?」
すぐるが上空で小さくなっていく船を眺めながら言うと、ロレンスが注意しました。
「やばい、人が集まって来た!ここを去るぞ!」
三人はジパング国の入り口になっている橋の近くにあるホテルに
避難すると、改めてロレンスから話を聞きました。
「あいつらは『海賊団シルト』。
世界中を騒がせている海賊団だ。
権力者にいじめられている者たちや、
恵まれない者たちを助けている武闘派義賊集団。
さっきのように、目的のためなら法も犯す。
だから、我々連邦警察も動かないわけにはいかないんだ」
翌朝すぐるは、新聞『メトロタイムズ』の一面を読むと、
昨日のシルトによる連邦刑務所襲撃事件が大きく報じられているのを見ました。
『昨日の夕刻、海賊団シルトが連邦刑務所を襲撃した。
刑務所には混沌の帝国の者や連盟によって捕えられた囚人たちが収監されていた。
これを重く見た幻想界平和連盟は、シルト首領メガロを世界手配する事を発表。
連盟代表のメシア女史は「メガロこそ、混沌の帝国のボスであり、
世界支配をたくらむ、第三の『魔王』である!」とコメントしている』すぐるは混乱していました。
「本当にあのメガロが混沌の帝国のボスなのかな・・・?」
ロレンスとリリスは確信した声で答えます。
「ああ、きっとそうだぜ!帝国のやつらを逃がしたからな」
「妾も同感よ!すぐるはあの者が正しいことをしておるように見えたのか!?」
「確かに、あのやり方はかなり荒っぽいし、刑務所を襲撃するなんて正気とは思えないけど、
不思議だ、あのメガロってやつからはなぜか悪意を感じなかったんだ。
一体・・・何者なんだろう?何が真実なんだろう?」
南東に歩を進めてしばらく、目の前に、周りを
石の城壁に囲まれた
要塞のような大きな建物が見えてきました。
「何だろう、あの大きな城みたいな建物は・・・?」すぐるが建物を見ていると、
ロレンスが説明します。
「あれは連邦刑務所、札付きの犯罪者や、連盟に反逆した者たち、
最近、世間を騒がせている
混沌の帝国の者たちが捕えられている牢獄だ」
すると、謎の飛行物体が、連邦刑務所の方に近づいてくるのが見て取れました。
「なんじゃ?あの帆掛け船は・・・?」
リリスが指した方を見ると、それは空に浮く大きな帆船に代わりました。
船のマストに掲げられている十字架が描かれた盾をあしらったデザインの旗を見て
ロレンスはハッとします。
「間違いない!シルトの船だ!」ロレンスが真っ先に駆け出すと、
すぐるとリリスも後に続きます。
シルトの船は大砲で連邦刑務所の城壁や外壁を破壊すると、
船からトリケラトプスの頭を持つ鎧兵、
小悪魔の忍者や悪魔族の騎士といった様々な種族の者たちが現れ、
看守たちを襲撃し始めました。
戦力はシルトの者たちの方が圧倒的に上で、看守たちは次々にやられていきます。
そして、ロレンスはシルトの首領と思われる、
水晶の甲羅を持ち、頭に二本の角を生やし、
直立した亀のモンスターに向かって行き、
ガイアストーン(鋼鉄に勝る硬さと強度を持つ黒い石)と
聖木(儀式により、鉄より硬くなった木材)で作られた石斧を取り出し、
亀のモンスター目がけて振り下ろそうとすると、
亀のモンスターは見向きもしないで金属質の装甲に
おおわれた左手で石斧の強烈な一撃を受け止めました。
「バカな・・・!この斧を素手で止めるだと・・・!しかも見ないで・・・!」
亀のモンスターはそのままロレンスを斧ごと押し返します。
「なんだ?邪魔をするな!」
「そうはいくか!ここには連盟が捕えたカオス帝国のやつらも捕まっている!
逃がさせてたまるか!」ロレンスがこう叫ぶと、亀のモンスターは静かに言いました。
「ここにはおれの仲間や連盟に刃向った者たちがいる、おれはそいつらを救いにきた・・・!」
「連盟は世界平和のために働いている!連盟に捕まったのは悪いやつらばかりだぞ!」
ロレンスがこう言うと、亀のモンスターはぶれることのない声でこう叫びます。
「世の中はうまくだませたようだが、このメガロはだまされんぞ!
ロレンスよ目を覚ませ!混沌の帝国は確かに悪いが、
幻想界平和連盟はもっと悪い!!世界の平和を乱している張本人だぞ!」
メガロの言葉に、三人は信じられないという顔をしました。
「何を言っているんだ・・・!?」
「えっ!?」
「何じゃと!?」三人は戸惑いましたが、気を取り直し、メガロに向かって行きます。
「だまされるな!みんな、ヤツを止めるぞ!」リリスは口から全力の炎を吐きかけますが、
メガロは口から白く輝く吹雪を吐き出して、リリスの炎をたやすくかき消し、
リリスは半分凍り付きながらふっとばされてしまいました。
すぐるも魔法の杖から魔法のエネルギー弾を放ちますが、
メガロも氷の盾の魔法で、すぐるの魔法を鏡のように跳ね返し、
すぐるは体勢を崩してしまいます。
ロレンスも気の力で肉体を強化し、そのスピードで動きの鈍いメガロをかき乱そうとしますが、
メガロは目を閉じて集中し、ロレンスをも上回るスピードで十字の杖を扱い、ロレンスもふっとばされてしまいます。
結局、囚人は逃がされ、彼らを乗せたメガロの船は飛び去ってしまいました。
「・・・あいつらは一体何なんだ・・・?」
すぐるが上空で小さくなっていく船を眺めながら言うと、ロレンスが注意しました。
「やばい、人が集まって来た!ここを去るぞ!」
三人はジパング国の入り口になっている橋の近くにあるホテルに
避難すると、改めてロレンスから話を聞きました。
「あいつらは『海賊団シルト』。
世界中を騒がせている海賊団だ。
権力者にいじめられている者たちや、
恵まれない者たちを助けている武闘派義賊集団。
さっきのように、目的のためなら法も犯す。
だから、我々連邦警察も動かないわけにはいかないんだ」
翌朝すぐるは、新聞『メトロタイムズ』の一面を読むと、
昨日のシルトによる連邦刑務所襲撃事件が大きく報じられているのを見ました。
『昨日の夕刻、海賊団シルトが連邦刑務所を襲撃した。
刑務所には混沌の帝国の者や連盟によって捕えられた囚人たちが収監されていた。
これを重く見た幻想界平和連盟は、シルト首領メガロを世界手配する事を発表。
連盟代表のメシア女史は「メガロこそ、混沌の帝国のボスであり、
世界支配をたくらむ、第三の『魔王』である!」とコメントしている』すぐるは混乱していました。
「本当にあのメガロが混沌の帝国のボスなのかな・・・?」
ロレンスとリリスは確信した声で答えます。
「ああ、きっとそうだぜ!帝国のやつらを逃がしたからな」
「妾も同感よ!すぐるはあの者が正しいことをしておるように見えたのか!?」
「確かに、あのやり方はかなり荒っぽいし、刑務所を襲撃するなんて正気とは思えないけど、
不思議だ、あのメガロってやつからはなぜか悪意を感じなかったんだ。
一体・・・何者なんだろう?何が真実なんだろう?」
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