『完結』セプトクルール 超文明Sの野望

マイマイン

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プロローグ

スピネル王国と混沌の帝国 後編

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 その夜、ローブに着替えたカインは一人で自宅を出て、薄暗い空のもと、北にある王城を目指そうとすると、目の前にテイルが現れました。
「カイン、一人で王城に行くつもり!?」
「テイル、何でここに!?」
「あなたの考えている事なんて、お見通しよ!私もあいつらの話を聞いていたの」
「テイル、そこをどいてくれないかな?」
「どうして?」

「・・・ぼく、いつもテイルにたよってばかりだから・・・一人でも仕事ができるようにならないとダメかなって・・・!だから・・・どいてくれ!」それを聞いたテイルはキッとカインを見据みすえて言います。
「バカね!私はあなたの唯一ゆいつ無二むにのパートナーでしょ!だったら、助けたり助けられたりなんて当然とうぜんよ!ねぇ、一緒いっしょに行こう!それとも一人で行くなら、私を打ち倒して行きなさい!」

「うっ・・・!」カインはハッとします。
「いつも私の試合しあいを見ているカインなら、私の実力は知っているでしょ?あなたが殴り合いで私に勝てるわけないわ!さあ、えらびなさい!返り討ちにされるか!一緒に行くか!?」カインはぎゅっと目をつむり、やがて口を開きました。

「・・・やっぱり、テイルにはかなわないなぁ・・・」
「それでこそ私のカインよ、一人でカッコつけるなんて、らしくないんだから!」テイルはカインを抱き寄せ、カインのほおに優しくキスをしました。二人は王城を目指します。

 その夜、石を組み上げてつくられた赤い屋根の王城では、あの不良三人が見張りの兵士たちの視線をけながら、目的のショーケースがある場所へと忍び足で向かいます。
 三人の目の前にあるガラスのショーケースの中には、絶滅ぜつめつした高度なかめせいじゅうアルケリスの甲羅こうらをつくっていた、紫の六角柱の結晶体が入っており、不良三人は、持ち前の金槌かなづちを振り上げ、ショーケースをろうとすると、ショーケースの裏側うらがわかくれていたテイルとカインが現れました。

「げげっ!テイルとカイン!?」
「逃げろっ!」不良三人が逃げ出すと、テイルとカインもその後を追います。
 不良三人は、町の北東にある倉庫に逃げ込むと、テイルとカインもそこへ直行します。
「げげっ!ここまで追ってきやがった!こうなったら、やっちまえ!」不良三人をふくめ、十人ほどのスペクター団員たちが、ナイフや警棒けいぼうりかざしておそってくるのを、テイルは無駄むだのない動きでそれらをかわし、パンチやキックを次々に決めて、スペクター団員たちを倒していきます。テイルは素手すでによるかく闘技とうぎけた武闘家ぶとうかだったのです。カインも、ナイフや警棒で向かってくるスペクター団員たちを、手から魔力による白い弾丸だんがんを放ってむかち、次々とスペクター団員たちを吹っ飛ばしていきます。

「くそっ・・・!この優男・・・回復しかできないと思っていたが・・・?」
「アンタズルいよ!魔法を使うなんて・・・!」スペクター団員は痛さにはらを押さえながら言います。
「君だって武器を持っていたじゃないか、ズルいのはおたがい様だ」
「ほう、中々やるな・・・!」制服姿で金髪きんぱつを逆立てたリーダー格の少年が両手を叩いて言いました。

「オレはスペクター団総長そうちょうのスライ!お前らはいつもオレたちの邪魔じゃまばかりしやがって!特にテイル!いい子ぶりっこのてめぇへのムカつきはカイン以上だ!今日こそお前の天下も終わりだ!」これにテイルはぶれることのない視線でスライを見据みすえて言います。

「それはアンタたちが悪いことばかりしているからでしょ!あいにく私は、そういうのを見過ごしにできない性分しょうぶんなの!」
「そうか、さっきも言ったが、今度こそお前は終わりだ!これを見ろ!」スライは右ポケットから黒光りする一丁の拳銃けんじゅうを取り出しました。

「見ろ!『混沌の帝国カオスエンパイア』のスカウトマンからもらった本物の銃だ!どうだ!?所詮しょせん、武闘家なんて近づいてなぐるしかのうのないただのバカさ!コイツのてきじゃない!」スピネル国では小さな銃火器であっても、一般人がそれを手にいれるのはむずかしく、取り締まりの対象になっています。

「くっ・・・!卑怯ひきょうな・・・!」カインが身構みがまえます。
「そうさ!卑怯こそ最強の手段!格闘技なんか、タダのお遊びさ!」しかし、テイルは動じません。
「・・・この私の前で武道ぶどうをバカにするなんて、いい度胸どきょうじゃない・・・!」テイルはしずかだが怒りのこもった声で言いました。

「テイル、さすがにあぶないよ!」カインが心配になってテイルにけ寄りますが、彼女は左腕でカインを制します。
「撃てるものなら撃ちなさいよ・・・!あら、アンタの手、ふるえているわよ・・・?」テイルがクスクス笑いながら言うと、スライは怒ります。

「う・・・うるせー!」テイルはスライが引き金を引く手の動きを見て、見事なタイミングでよこに動いて銃弾じゅうだんをかわして一気にけ出し、スライとの距離きょりちぢめ、左手で彼の銃を持つ右手を取りました。

「さあ・・・銃は役に立ったかしら・・・?それで力を入れているの?」テイルはさらに左手をひねると、スライは痛がって銃を落とし、右手でスライのはらを殴りつけ、彼はそのままうずくまって両膝りょうひざを着きました。
「・・・くそっ!なんでてねぇんだよ・・・?」スライはうらめしそうにテイルの顔をにらみつけます。

「さあね、アンタがよわいからよ・・・!私に勝ちたかったら、まず、卑怯を卒業する事ね・・・!」テイルはじっとスライの目を見据えて言い放ちました。そして、間もなく騒ぎを聞きつけた城の兵士や警官たちがやって来て、スペクター団員たちは捕まって行きます。

「やつらめ、しくじりおったか・・・!せっかく銃をプレゼントしてやったと言うのに・・・!」かげで様子を見ていたフードをかぶった三人組の男たちが言いました。

「やはり、頭の弱いガキどもを使って結晶を持ってこさせるのは間違まちがいだったな・・・!」
「まあいい、あれはもしもの時のそなえだ。結晶はまた別の機会に・・・!それよりも今は、『復活祭ミレニアム』に必要な準備をせねばな・・・!」
「そうだな、我らが『混沌の帝国カオスエンパイア』に栄光えいこうあれ・・・!」
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