『完結』セプトクルール 超文明Sの野望

マイマイン

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プロローグ

エルニスとキャンベルの便利屋

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 テイルとカインのバディがスペクター団を解散かいさんい込んだ翌日、城下町の中央に位置いちする、緑の芝生しばふと木々がしげる公園に、白い壁に青い屋根の小さな家がっており、その出入り口の木戸にかかげられている看板には、こう書かれていました。『エルニスとキャンベルの店』と。

「キャンベルちゃん、そっちの調子はどう?」
「ぼちぼちですよ、エルニスさん」建物たてものの中は白い壁紙かべがみにみがかれたフローリングの床で、全体的にこぎれいな印象です。そこで話しているのは、青いじゅう脚類きゃくるい(恐竜の種類)の本体に、白い天使のつばさを背に生やし、頭に二本のヤギみたいな角と緑のトサカがある、黄色いひとみおすのドラゴンのエルニスと、ふちが赤い白のローブと、先端に魔法の炎が灯ったとんがり帽子をかぶった、赤毛につぶらな茶の瞳の妖精少女キャンベルの二人です。
 この二人は、人間が多いこの町で便利屋を経営けいえいしており、人々の様々な依頼いらいをこなし、報酬ほうしゅうもらうことで暮らしをたてていました。人間でない二人がこの町でらしていくのは、最初いろいろ抵抗ていこうがありましたが、今では人々はそれにもれ、普段ふだんとなんだ変わらない日々を過ごしています。

「さてと、今日の依頼いらいをチェックしようか」エルニスとキャンベルは郵便受けを見てみると、依頼の手紙が一通入っていたので、早速それを開けて読んでみました。
『エルニス様とキャンベル様へ、我々が大事に保管していた『やみの書』が、ぬすまれてしまいました。詳しい話は本部の城で話します。魔法結社けっしゃバラ十字団団長ネルソンより』
「わあ、バラ十字団って言ったら、魔法使いたちの組織そしきだよね」
「はい、魔法を世のために生かすため、日夜研究している組織です。でも、『闇の書』は・・・」
「とにかく行ってみよう!本部の城は東の森の奥にあったはず」エルニスは白いシャツと青いズボンを着こなし、銀髪を持つ少年に、キャンベルは流れるような赤毛を持つ少女の姿になりました。
 
 スピネル城下町の東に広がる大森林地帯『恐怖の森』は、かつて、悪魔や悪い魔法使いなどが住んでいるとのウワサがえなかったので、そう呼ばれていますが、現在ではその悪魔もほろび、実際じっさい、森には魔法使いたちが住んでいますが、いたって気のいい連中ばかりです。ちなみに、この森にはエルフなどの妖精たちも住んでいます。エルニスとキャンベルは森の中へと足を踏み入れます。

 森の中は昼でも薄暗うすぐらく、木々の間から射しこむ木漏こもれ日以外、目立った明かりはありません。エルニスとキャンベルはそんな道をまよわずひがしへと進んで行きます。
 ほどなくして森をけると、そこには、白い石の壁と赤のとんがり屋根のお城がっていました。芝生しばふにわ墓地ぼちになっており、十字型の白い墓石はかいし規則きそく正しくならんでいて、その中に色とりどりのたくさんの花がえられている墓があり、それにはこう書かれています。『シャノン・ノーブルの墓』と。

「この人は、みんなから愛されていたみたいだね・・・」エルニスはしみじみとシャノンの墓を見ます。
「しかもこの方、2002~2018年、十六の若さで亡くなられています・・・」エルニスとキャンベルはシャノンの墓に手を合わせておがんだ後、本城の方へ向かいます。

 両開きの城の門の前に、黒いローブをまとい、ひげたくわえた魔法使い、依頼者のネルソン・ノーブル博士が待っていました。
「おお、あなた方がスピネルの便利屋ですね・・・今日来ると予感がして待っていました。わたくしが依頼人の魔学博士ネルソンです。さあ、中へおあがり下さい」

 城の中は白い石の壁とフローリングの床の廊下ろうかが続いており、そこを、白や黒のローブをまとった十五にもなっていない見習い魔法使いたちが行きかっています。途中、なべに薬草類を煮詰につめて薬を作ったり、大人の魔女が、黒板に魔法の理論りろんを書いて子供たちに教えている部屋を見かけました。
「ここは魔法の研究所であると同時に、魔法学校もねています。さあ、私の部屋はもうすぐです」ネルソン博士は階段を上り、団長室にエルニスとキャンベルをまねき入れます。

 団長室には、本が積まれている本棚ほんだなが左右両かべに広がっており、奥の窓から射す光が、つくえを照らしていて、ネルソンが机に着席して言いました。
「さて、あなたたちに依頼とは他でもありません。この城で保管していた『闇の書』が何者かによって盗まれてしまったのです。おそらく、最近世間を騒がせている『混沌の帝国カオスエンパイア』の仕業でしょう。あなたたちには、それを取り戻し、こちらに持ってきていただきたいのです」それを聞いたキャンベルが言います。
「それはお引き受けしますが・・・闇の書は以前の冒険で、わたしたちが処分したはずですが・・・?」

「確かに、マーシャル家にあった物は紛失ふんしつしました。しかし、あれは写本された物がもう一さつあり、それは代々、私たちが管理していたのです。知っての通り、あの本に書かれているのは、『禁呪きんじゅ』と呼ばれる、使ってはならないとされる魔法ばかりです。しかし、魔法を研究する上で、禁呪のおそろしさを知る上では必要な物なのです。ですから、ぜひ、取り戻して欲しいのです」

「わかりました、悪い人に利用でもされたら大変ですね!」
 エルニスとキャンベルは城を出て、森の中を再び進んで行きます。エルニスはどうすればいいかわからない感じですが、キャンベルは何かを感じ取っていました。
「引き受けたのはいいけど・・・どこを探せばいいのかな・・・?」
「わずかですが、闇の魔力を感じます。それに、ネルソン博士の娘シャノンさんの墓から、みょうな魔力を感じ取ったんです、なんだか、イヤな予感がしますよ・・・」キャンベルが魔法のあとをたどって行くと、魔法使いたちの町マジカにやってきました。とんがり帽子のような屋根に白い壁と言うおもちゃみたいな家々が並ぶ町中を、とんがり帽子をかぶり、シックなローブをまとう魔法使いたちが行きかっています。

「ここは、キャンベルちゃんの町だよね・・・」
「はい、それで、南の方から闇の魔力が感じられます。こっちです」キャンベルが町はずれにある古いお屋敷やしきの方へ入って行くと、エルニスもそれに続きます。
 かつては立派なお屋敷だったのでしょうが、赤いカーペットはすすけ、窓ガラスはひびれ、かべにはクモの巣が出来ています。

「ここはかつて、いにしえの魔法使いが住んでいたお屋敷ですね・・・あっ!何か話し声がしますよ」キャンベルとエルニスは壁のかげから、黒いローブを羽織はおった二人組の女性が話しているのを聞いてみます。

「本当にこの闇の書って、役に立つのかしら?試しにお墓に向かって、死者をよみがえらせる魔法をつかってみたけど、何も起こらなかったわ」
「でも、上の方から持って来いと命ぜられているわ。『混沌の帝国カオスエンパイア』に必要だって」それを聞いたエルニスとキャンベルは本来の姿になっておどり出ました。
「見つけましたよ!その本を返しなさい!」その声に二人の女性は振り向きます。

「くっ!追手が来たわ!」二人の女性は手から魔法弾を放ってきましたが、キャンベルは手から魔法の炎を、エルニスは爪から電撃を放って二人の女性をむかえ撃つと、彼女たちは闇の書を置いて逃げ出します。

 夕方になって、エルニスとキャンベルが闇の書を持ってバラ十字団の城に戻ると、ネルソン博士をはじめ、数人の魔女たちがシャノンの墓の周りに集まっていたので、気になって見てみると、墓のフタが開いていて、中は空っぽになっていたのです。

「これはどうなっているんですか・・・?」エルニスがネルソン博士にたずねました。
「・・・わかりません・・・墓の死体を持ち出すなんて物好きはいないでしょう・・・まさかとは思いますが・・・」ネルソン博士が考え込んでいると、キャンベルが言います。
「これはおそらく、『混沌の帝国カオスエンパイア』の魔法使いたちが闇の書を使い、ここで『死者をよみがえらせる魔法』を使ったせいでしょう・・・」それを聞いたネルソン博士はおどろきました。

「何だと!?それはまずいぞ!」それに周りも驚きます。
「何がまずいんですか・・・?」エルニスがたずねました。
「あの魔法は、たしかに死者を復活ふっかつさせる事ができます・・・正し、死体は必ずバンパイア(吸血鬼)として復活するのです!」それを聞いた者は再び驚きます。

「それは大変だ!」
「いかにも!墓から出たばかりのバンパイアは血にえています・・・!私の娘が人を襲(おそ)う前に人工血液を飲ませ、こちらに連れ戻さねば・・・!」エルニスとキャンベルはネルソン博士から人工血液ジュースのびんを受け取り、足跡あしあとをたどって森の中へと入って行きました。
 夕闇ゆうやみの森で、キャンベルを先頭に二人はシャノンを探します。すると、困っている人がいる時になるキャンベルのケープについている金のすずが鳴りだしました。

「・・・近いです!こちらですね!」
 キャンベルが駆け出し、エルニスもそれに続くと、目の前に赤いリボンをあしらった黒いドレスを身にまとう、十六くらいの金髪ロングヘアーの少女が苦しそうに息をしながら立っています。
「・・・間違いなくあの墓にいたシャノンさんです!大丈夫ですか!?」キャンベルがけ寄ろうとすると、シャノンはさけびました。

「近づかないで!逃げてください!」シャノンはバンパイアの特徴とくちょうである赤いひとみでキャンベルたちを見え、口からはするどびた犬歯けんしをのぞかせています。しかし、キャンベルは落ち着いて言います。

「シャノンさん、あなたに何が起きたのかは知っています。これをどうぞ、人工血液です」キャンベルが人工血液の入ったビンをその場に置くと、シャノンはすぐさまそちらに歩を進めます。

「・・・このにおい・・・ああっ!」シャノンはビンの中身を一気に飲み干しました。
「・・・ありがとう!だいぶ楽になったよ・・・本当に苦しくて・・・人を襲わないよう必死にかわきにえていたの・・・」シャノンは安堵あんどの表情でキャンベルにお礼を言います。

「あなたって、優しいんですね。みんなから愛されていたのが分かります。さあ、お城に帰りましょう」
 キャンベルたちがシャノンをお城に連れて帰ると、ネルソン博士は大いに喜び、依頼を二つもこなしてくれたエルニスとキャンベルは、報酬として、合計二千ゴールドをもらい、スピネルへと帰りました。
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