54 / 97
5章 慈愛の章
王子の乱心
しおりを挟む
「たぁ~っ!」スピネル王城の兵士詰め所では、貴族的な服をまとった金髪のショートヘアーの王子が、鎧をまとった兵士を相手に剣の模擬試合を行っていました。しかし、剣さばきは王子の方が上回っており、だんだんと勢いが増していき、兵士の剣をはじき落としたのです。
「参りました・・・クラウス王子・・・!」両手を上げて降参する兵士をよそに、クラウス王子は気が晴れない様子でした。
「・・・なぜだ!?なぜぼくが王位じゃないんだ・・・!」クラウス王子は、その場に剣をたたきつけると、刀身が真っ二つに折れたのです。
「なぜ兄であるぼくではなく、妹のアイリスが王位を受け継ぐんだ!?力でも武勇でも、ぼくのほうがずっと上回っているはずなのに・・・!」クラウスは血がにじむほどこぶしを握って叫ぶと、模擬試合の相手をしていた兵士が恐る恐る言いました。
「しかし・・・王子様、お決めになられたのは我らがリチャード王・・・あなたのお父上ですよ・・・!?」これに、クラウス王子はさらに怒りを爆発させます。
「だから余計に腹立たしいんだ!父上はいつもアイリスばかり可愛がっていた!彼女はいつも、国民にちやほやされていた!なぜ、みんなぼくを認めようとしないんだ!?」クラウス王子は兵士詰め所を後にしました。
「ちくしょう!」自室に戻ったクラウス王子は、机に拳を思いっきりたたきつけます。すると、机に一通の手紙がおかれているのに気がづきました。
「あれ?何でこんなものが・・・!?」王子は手紙を手に取り、見て見ました。
「・・・差出人の名前がないな・・・!?」王子は手紙を開けて、読んでみました。
『親愛なるクラウス王子へ、今夜12時の夜、王都の中央公園の噴水の前に一人で来てください。そうすれば、あなたがこの国の次期国王になる方法を教えてあげましょう。クラウス王子の支持者より。』手紙を読み終わったクラウス王子は、両手を震わせています。
「なに・・・!?ぼくが次期国王になる方法を知っているだと・・・!?」
12時近くの深夜、クラウス王子は兵士たちの目を盗み、ロープを使って城壁を滑り降り、王都の中央公園のシンボルになっている噴水の前にやってくると、間もなく、赤い貴族的な服に、黒いマントとシルクハットをまとった男がやってきたのです。
「待っていました、クラウス王子・・・!」
「だ・・・誰だお前は!?」
「私はサタン、混沌の帝国を束ねる者・・・!」それを聞いたクラウス王子は剣に手をかけようとしましたが、手が止まってしまいました。
(・・・なんだ、この感じは・・・!体が・・・動かない・・・このぼくが・・・怯 えているのか・・!?)これに、サタンはいたって冷静に答えます。
「そう構えなくていいです、私は戦いに来たのではありません・・・!手紙に書いてあった通り、私はあなたの助けになるためにきたのですから・・・!」これに、クラウス王子は疑い交じりに言い返します。
「ほう、ぼくがこの国の王になる方法を知っていると・・・?あの悪どい帝国のボスであるお前が?!」
「ええ・・・その方法とは・・・これを使うことです・・・!」サタンは懐から、赤紫色の液体の入った手のひらサイズの小瓶を取り出しました。
「なんだそれは?」
「これは魔竜の毒を原料にした暗殺薬です。飲ませた者を確実に死に追いやり、証拠も残らない代物です。あなたが我々に協力するというのなら、与えましょう・・・!」
「なに!?薬で妹を暗殺しろだと!?しかも、お前たちの手下になれだと!?そんな方法・・・」これに、サタンは残念そうに言います。
「できないって言うんですか?」これに、クラウス王子は言い返せなかったのです。
「・・・残念ですね、私は確かな武勇と気概のあるあなたこそ、スピネル王国の次期国王にふさわしいと思っているんですよ・・・!」これに、クラウス王子の心は大きく揺らいでいます。
「悪いことは言いません、この薬を使うのです。これを逃したら、あなたが王になるチャンスは2度とないでしょう・・・!」クラウス王子はぐっと悩みましたが、サタンの方に歩み寄りました。
「・・・わかった、お前の取引に応じよう・・・!」
「それでいいのですよ、さぁ、暗殺薬を与えましょう。いいですか?小瓶の中の暗殺薬は、一回で全て使い切ってください。量が少ないと、十分な効果は得られませんからね・・・!」クラウス王子がサタンから暗殺薬の小瓶を受け取ると、サタンは音を立てずに、その場を去りました。
「参りました・・・クラウス王子・・・!」両手を上げて降参する兵士をよそに、クラウス王子は気が晴れない様子でした。
「・・・なぜだ!?なぜぼくが王位じゃないんだ・・・!」クラウス王子は、その場に剣をたたきつけると、刀身が真っ二つに折れたのです。
「なぜ兄であるぼくではなく、妹のアイリスが王位を受け継ぐんだ!?力でも武勇でも、ぼくのほうがずっと上回っているはずなのに・・・!」クラウスは血がにじむほどこぶしを握って叫ぶと、模擬試合の相手をしていた兵士が恐る恐る言いました。
「しかし・・・王子様、お決めになられたのは我らがリチャード王・・・あなたのお父上ですよ・・・!?」これに、クラウス王子はさらに怒りを爆発させます。
「だから余計に腹立たしいんだ!父上はいつもアイリスばかり可愛がっていた!彼女はいつも、国民にちやほやされていた!なぜ、みんなぼくを認めようとしないんだ!?」クラウス王子は兵士詰め所を後にしました。
「ちくしょう!」自室に戻ったクラウス王子は、机に拳を思いっきりたたきつけます。すると、机に一通の手紙がおかれているのに気がづきました。
「あれ?何でこんなものが・・・!?」王子は手紙を手に取り、見て見ました。
「・・・差出人の名前がないな・・・!?」王子は手紙を開けて、読んでみました。
『親愛なるクラウス王子へ、今夜12時の夜、王都の中央公園の噴水の前に一人で来てください。そうすれば、あなたがこの国の次期国王になる方法を教えてあげましょう。クラウス王子の支持者より。』手紙を読み終わったクラウス王子は、両手を震わせています。
「なに・・・!?ぼくが次期国王になる方法を知っているだと・・・!?」
12時近くの深夜、クラウス王子は兵士たちの目を盗み、ロープを使って城壁を滑り降り、王都の中央公園のシンボルになっている噴水の前にやってくると、間もなく、赤い貴族的な服に、黒いマントとシルクハットをまとった男がやってきたのです。
「待っていました、クラウス王子・・・!」
「だ・・・誰だお前は!?」
「私はサタン、混沌の帝国を束ねる者・・・!」それを聞いたクラウス王子は剣に手をかけようとしましたが、手が止まってしまいました。
(・・・なんだ、この感じは・・・!体が・・・動かない・・・このぼくが・・・怯 えているのか・・!?)これに、サタンはいたって冷静に答えます。
「そう構えなくていいです、私は戦いに来たのではありません・・・!手紙に書いてあった通り、私はあなたの助けになるためにきたのですから・・・!」これに、クラウス王子は疑い交じりに言い返します。
「ほう、ぼくがこの国の王になる方法を知っていると・・・?あの悪どい帝国のボスであるお前が?!」
「ええ・・・その方法とは・・・これを使うことです・・・!」サタンは懐から、赤紫色の液体の入った手のひらサイズの小瓶を取り出しました。
「なんだそれは?」
「これは魔竜の毒を原料にした暗殺薬です。飲ませた者を確実に死に追いやり、証拠も残らない代物です。あなたが我々に協力するというのなら、与えましょう・・・!」
「なに!?薬で妹を暗殺しろだと!?しかも、お前たちの手下になれだと!?そんな方法・・・」これに、サタンは残念そうに言います。
「できないって言うんですか?」これに、クラウス王子は言い返せなかったのです。
「・・・残念ですね、私は確かな武勇と気概のあるあなたこそ、スピネル王国の次期国王にふさわしいと思っているんですよ・・・!」これに、クラウス王子の心は大きく揺らいでいます。
「悪いことは言いません、この薬を使うのです。これを逃したら、あなたが王になるチャンスは2度とないでしょう・・・!」クラウス王子はぐっと悩みましたが、サタンの方に歩み寄りました。
「・・・わかった、お前の取引に応じよう・・・!」
「それでいいのですよ、さぁ、暗殺薬を与えましょう。いいですか?小瓶の中の暗殺薬は、一回で全て使い切ってください。量が少ないと、十分な効果は得られませんからね・・・!」クラウス王子がサタンから暗殺薬の小瓶を受け取ると、サタンは音を立てずに、その場を去りました。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる