『完結』セプトクルール 超文明Sの野望

マイマイン

文字の大きさ
79 / 97
8章 真実の章

嫉妬の試練

しおりを挟む
 キャンベル、フレイヤ、テイル、カインの四人がヘリオポリスのパワースポットでヘリオスと契約(けいやく)し、『賢者のメダル』と『賢者のたいまつ』の封印を解いた頃(ころ)、すぐる、リリス、エルニスの三人は、今いる『イーストメイン大陸』の東の端(はし)にある幻想界(ファンタジア)一の山『聖山(せいざん)』を目指しています。薔薇(ばら)十字団のネルソン博士から、神器の封印(ふういん)を解くパワースポットの一つが、聖山の頂上(ちょうじょう)にあることが分かり、すぐるたちは、そこを目指しているというわけです。
 聖山のふもとに来ると、すぐるたちは、その高さと大きさに圧倒あっとうされています。

「これが幻想界ファンタジア一高い山、聖山かぁ・・・」
「どれだけ上を見ても、頂上ちょうじょうがかすんで見えぬ・・・!」
「この山にはぼくの故郷ふるさともあるんだ、さあ、みんな乗って!」

 エルニスの背に、すぐるとリリスが乗ると、エルニスは白い天使の翼(つばさ)を広げて、頂上目指して飛び上って行きました。
「わぁ、エルニスって、飛ぶのが速いねぇ!」
「やはり、エルニスはドラゴンなんじゃな!二人を乗せても余裕よゆうで飛ぶとは!」眼下の景色がどんどん流れて行くのを見て、すぐるとリリスは感心します。

「とりあえず、あそこでりよう、あの辺りにぼくの故郷があるんだ!」エルニスはゆっくりと降下し、緑の高原に降り立つと、つばさをたたみ、すぐるとリリスはその場から降りました。

 そこは木が一本もない花と緑の高原で、その周りを、エルニスと同じ姿をしたドラゴンが何体も行きかっていました。
「へえ、ここがエルニスの故郷なんだ・・・」

「ドラゴンと言うと、暴力性ぼうりょくせい象徴しょうちょうの様なイメージがあるが、ここにいる者たちはそんなイメージとは程遠ほどとおいドラゴンよのう・・・!」リリスはエンゼルドラゴンたちの優しそうな黄色いひとみを見て言います。
「そうだね、でも本には、エンゼルドラゴンはドラゴンの上位種じょういしゅって書いてあったよ」すぐるがこう言うと、エンゼルドラゴンの一体が、こちらに気づき、話しかけてきました。

「おや、ここによそ者がたずねて来るなんて、久しぶりですねぇ・・・おや、そこにいるのは・・・エルニス様じゃないですか!」すぐるとリリスはエルニスを見て言いました。
「えっ!?エルニス・・・様・・・だって?」
「一体、エルニスはどういう身分の者なのじゃ!?」二人が頭をかしげていると、エルニスが言いました。

「実は、ぼくはこの竜の里の長の子供なんだ・・・」エルニスが照れくさそうに頭をかいて言います。
「そうなんだ・・・いわば、竜族のプリンスってわけか・・・」エルニスはさらに顔を赤らめます。

「まぁ、そうなりますな・・・おっと!それどころじゃないんですよ!お父上のシーザー様がご病気なのです!」それを聞いた三人はハッとして、その場所へと案内されました。
 その場に行くと、エルニスよりも一回り大きなドラゴンが、苦しそうに丸まっているのを見つけたのです。

「父さん!大丈夫!?」エルニスはシーザーの元へ駆け寄ります。
「・・・その声は・・・エルニスか・・・?」その様子を見たすぐるは言いました。
「これは・・・間違えて毒の実を食べてしまったみたいですね・・・!ならば・・・苦痛から解き放て!ポイズンキュア!」すぐるのつえから白い光のフラッシュが放たれ、シーザーの顔から苦痛の色が消え、両の白い翼を広げました。

「・・・おお、これは・・・先ほどの苦しさがウソのように消えたぞ・・・!ほう、中々の魔法の使い手だ・・・!礼を言うぞ・・・少年よ、名は何という?」
「ぼくは・・・すぐると言います」それからすぐるは、旅の目的をシーザーに伝えました。

「・・・ほう、カオスから世界を救うべく、神器の封印を解くために、パワースポットをめざしておると・・・確かに、この山の頂上ちょうじょうは風と勇気のパワースポットがあるが、そこを見ると、なんだか怪しい者が何かをしているのを見たぞ、くれぐれも気をつけよ・・・!」
「わかりました、ありがとうございます」エルニスは再びすぐるとリリスを乗せて、翼を広げて、山頂を目指しました。

 エルニスが、山頂をおおう雲の天井を突き抜けると、そこは、さえぎるもの一つない青き天空の真っただ中で、白い山頂がくっきり見えたので、そこを目指して飛んで行きます。
 山頂に来ると、エルニスはゆっくりと降下し、翼をたたんですぐるとリリスが降り立ちます。

「わあ、ここが幻想界ファンタジアで一番高い所かぁ・・・」
「周りを白い雲のじゅうたんで覆(おお)われておるの」すぐるとリリスは辺りを見回して言います。

「パワースポットはここにある白いほこらの中だ」エルニスが指した方をみると、白いかべと円柱の柱が目立つ小さな神殿みたいなほこらがあり、三人が中に入ると、緑色の光を放つ大きな燭台しょくだいがあり、その前に、緑のシャツとスカートをはいた銀髪のショートヘアーの少女が立っていました。

「・・・やはりきたわね・・・エルニス、すぐる、リリス・・・!」それを聞いた三人は驚きます。
「えっ!?なんでぼくらの事を知っているの!?君は・・・何者だい!?」エルニスがたずねました。
「・・・私は・・・『科学の夜明け団』の幹部・・・ロザリオ・・・!」

「えっ!?科学の夜明け団だって!?」
「そう・・・ここでパワースポットの力をつぼに集めているの・・・!我々の目的のために・・・!」
「そんな!そんな事をしたら、この辺りの風のエネルギーがおかしくなってしまう!」エルニスが言います。

「・・・全ては幸せな毎日を取り戻すため・・・!それを邪魔するなら、『嫉妬しっと』の力で!」ロザリオがそういうと、彼女の姿は大きくなり、すぐるたちの何倍もの大きさになりました。

「ああ・・・私から幸せをうばったやつ・・・そして、幸せを奪おうとするやつ、全てが憎い・・・!」巨大化したロザリオはどんどん迫ってくると、すぐるたちは後ずさりします。そして、エルニスが踏みつぶされました。

「ぎゃああああっ・・・って、あれ・・・?」ロザリオが足をどけた時、エルニスには傷一つついていません。それを見たすぐるはハッとします。
「そうか、あの巨大な姿は幻だ!大きく見せているだけだ!」

「なんだって・・・!?じゃあ・・・!」エルニスが目をこらしてみると、大きな姿に目が行きがちなので気づきませんでしたが、その巨体の足元に、本物のロザリオが元の大きさのまま立っていたので、そこに向かって電撃を放つと、ロザリオはしたたかダメージを受け、幻はすべて消えたのです。

「くっ・・・!せっかくサタンから『嫉妬』の力をさずかったのに・・・!覚えてなさい!」ロザリオはつぼを持って去って行きました。すると、パワースポットの燭台しょくだいから白い光の柱が上がり、そこから白いドレスをまとう長い金髪きんぱつの女神が現れます。

「私は風と月の女神セレーネ、東の勇者ゆうしゃ青龍せいりゅうよ、見事、嫉妬の試練しれんに打ち勝ちました!これで勇者のメダルは真の力に目覚めました。そして、エルニスの持つ勇者の帽子も『天帝てんていの帽子』となりました。そして、エルニスには、最高の魔法『勇気のいかずち』をさずけました。さあ、春雷しゅんらいの勇者よ、お行きなさい!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。  大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance! (also @ なろう)

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち! 友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。 第2回きずな児童書大賞参加作です。

大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot
児童書・童話
 薬草を採りに入った森で、魔獣に襲われた僕。そんな僕を助けてくれたのは、一人の女性。胸のあたりまである長い白銀色の髪。ルビーのように綺麗な赤い瞳。身にまとうのは、真っ黒なローブ。彼女は、僕にいきなりこう尋ねました。 「シチュー作れる?」  …………へ?  彼女の正体は、『森の魔女』。  誰もが崇拝したくなるような魔女。とんでもない力を持っている魔女。魔獣がわんさか生息する森を牛耳っている魔女。  そんな噂を聞いて、目を輝かせていた時代が僕にもありました。  どういうわけか、僕は彼女の弟子になったのですが……。 「うう。早くして。お腹がすいて死にそうなんだよ」 「あ、さっきよりミルク多めで!」 「今日はダラダラするって決めてたから!」  はあ……。師匠、もっとしっかりしてくださいよ。  子供っぽい師匠。そんな師匠に、今日も僕は振り回されっぱなし。  でも時折、大人っぽい師匠がそこにいて……。  師匠と弟子がおりなす不思議な物語。師匠が子供っぽい理由とは。そして、大人っぽい師匠の壮絶な過去とは。  表紙のイラストは大崎あむさん(https://twitter.com/oosakiamu)からいただきました。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

処理中です...