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8章 真実の章

強欲の試練

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 奥の部屋にたどり着くと、赤マントを着たぼさぼさ頭の男が待っていました。
「ようこそ、科学の夜明け団本部アジトへ!ぼくがリーダーのギデオンだ!これでようやく、賢者の石の材料がそろった!後は、あのバンパイアの女から血液をしぼり取るだけだ・・・!」

 ギデオンが見つめた先には、鉄のカゴがつりさげられていて、中にはむらさきのシャツとズボンを着用し、とんがり帽子をかぶった赤毛のショートヘアーの少女が閉じ込められていました。

「あいつは!行方不明になっていたレミアン王女!?」ロレンスはハッとします。
「そうさ!不老不死の命を持つバンパイアの血液こそ、賢者の石を作る上での必須ひっす材料!我々の我々による我々のための世界のために、この女には死んでもらう!」

「させるか!」ロレンスが躍り出ました。
「ほう、やる気か!?連邦警察のジェロニモ・ロレンス巡査じゅんさ!『吸収の儀式』により、様々な戦士や能力者から力をうばい、さらに、『強欲ごうよく』の力で神に近づいたぼくにかなうのかな?」

「やってやるぜ!」ロレンスは肉体を強化し、ギデオンに向かって行くと、斧を振り下ろした時には、そこにギデオンの姿はなく、ヤツはすぐロレンスの後ろにまわっていました。

「なっ!?バカな・・・!」そのままギデオンは右ストレートでロレンスを吹っ飛ばしてしまいました。
「吸収の儀式でうらやましいと思ったヤツの力を奪い尽くしたからな・・・!」

「まだまだっ!」ロレンスはまだあきらめず、ギデオンに向かって行きますが、ロレンスはギデオンに近づくことさえできません。
「フハハハハハ!どうだ!?悪魔の力は!?所詮しょせん、修行で得た力などそんなもの!神を超えられまい!」そこで、ロレンスは何を思ったのか、またギデオンに向かって行きます。

「まだわからないのか!?君はぼくに触れる事すらできないことを!」ロレンスが向かって行くと、ギデオンはまた瞬間移動して、その場を消えると、ロレンスはそのまま止まらず、レミアンが閉じ込められている、かごの錠前じょうまえを斧で破壊はかいしたのです。自由になったレミアンにロレンスは王者のメダルを手渡しました。

「なっ!しまった!せっかくの材料が・・・!でも、神に近づいたぼくにかなうものか!」これにレミアンはフンと鼻を鳴らして言いました。
「君、誰が神だって!?」ギデオンが目の前から瞬間移動すると、レミアンはあわてることなく、すっと後ろを振り向き、剣を振りかざしました。

「なっ・・・!バカな・・・!」ギデオンはレミアンの一太刀を受け、ひざをつきます。再び立ち上がろうとすると、また膝をつきます。
「うそ・・・力が入らない・・・?!」

「メダルの力でキミのエネルギーを吸い取ったよ!」レミアンは連続でギデオンをきりつけ、ギデオンは立てなくなってしまいました。
「なんで・・・!なぜ・・・神に近づいたぼくが・・・?」

「キミは神でも何でもないよ、となりの芝生しばふばかりを見て、おのれみがくことをしなかったキミなんてね!中身がないヤツには誰もついて行かないよ!」その瞬間、レミアンの持つ王者のメダルが一段とかがやいたのです。

「せっかく石をメシア様に献上けんじょうできると思ったのに!」目の前に黒マントにやま高帽たかぼうをかぶった男が現れました。

「まったく、石を我々連盟に使わせるという条件で君たちを刑務所けいむしょから出したのに、これじゃ役ただずじゃないか・・・!」その姿に四人はハッとします。
「お前はサタン!」

「そうだ!すべては私が仕組んだことだ!だが、もうどうでもいい!もうすぐ世界は我々連盟の元にひれ伏すのだから!」こう言って、サタンは去って行きました。

 あれから、盗まれた物は全て返却へんきゃくされ、科学の夜明け団は全て刑務所に逆戻りとなり、夜明け団が生み出した緑の動物たちは全て正気を取り戻し、保護ほごされました。

 ようやく、四つの神器と七つのメダル全てが目覚めました。いよいよ連盟との決戦の火ぶたが切って落とされたのです。
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