『完結』セプトクルール 超文明Sの野望

マイマイン

文字の大きさ
91 / 97
9章 調和の章

伝説の楽園

しおりを挟む
 白い光が徐々じょじょおさまって行くと、すぐるたちが立っているのはバベルの塔の最上階ではなく、雲なき青い天空のもとに広がる、緑の草地の上でした。

「ここが・・・伝説の楽園『シャングリラ』なのかな・・・?あっ!」すぐるがハッとして見ると、目の前に白い建物とかがみりの塔、風力発電はつでんの風車や太陽光発電のパネルなどが目立つ都市があり、その間を透明とうめいなチューブのようなハイウェイが走っていて、周りを車輪のない車や円盤えんばんが飛び回っています。そして、何より目立つのは、町の中央に、天をつらぬかんとばかりにそびえる、金色にきらめく電波塔でんぱとうを思わせる巨大な塔です。

「わあ!まさに現実界リアリティのSF映画の世界だ!メトロポリスよりすごいかも・・・間違いない!ここが伝説の地『シャングリラ』なんだ!」
「つまり、ここが幻想界平和連盟の本拠地ほんきょちがある場所なのだな!」

 町の中は、きれいに整頓せいとんされており、チリ一つ落ちていません。周りを歩く人々も皆、ととのった服装で、粗末な服を着ている者はいません。

 噴水ふんすいきらめく緑ゆたかな公園に着くと、まずは町の様子を探るべく、エルニス、すぐる、リリスはあの金色の塔に、キャンベルとテイルとレミアンは町の中を、ボブとシェリーは町はずれに広がる森の中へ、メガロとロレンスは町の地下を進むことにしました。

 エルニス、すぐる、リリスは、町の中央にそびえたつ金色の塔に近づいて行きます。
「わあ、そばで見れば見るほど高くて大きいねぇ・・・!」すぐるが、頂上がかすんで見える電波塔の様な塔を見上げて言います。

「もしかしたら、ここが連盟の本部なのか・・・?気を引きめて行かねば・・・!」三人が塔の中に入ると、紺色こんいろのスーツを着た若い女性たちが会釈えしゃくして出迎でむかえました。

「ようこそ、幻想界平和連盟総本部そうほんぶ『ディバインタワー』へ」
「どうぞ、ごゆっくり見学なさってください」あまりにも丁寧ていねいな対応に三人は戸惑とまどいました。

「えっ!?ここが連盟の本部なの・・・?」エルニスはあっけにとられます。
「妾の言ったとおりだったが・・・?」
「・・・確かにとてもきれいな場所だけど、なんか・・・いやな予感がするよ・・・」すぐるは何かを感じ取り、辺りを見渡します。

 流れる黒い階段を使って上の階に上がると、そこは大きな透明とうめいかべかこまれていて、シャングリラ中を見渡せます。

「ここは展望室てんぼうしつだね・・・いたるところに人々が町をのぞき込んでいるよ・・・望遠鏡ぼうえんきょうまである・・・あれ、この塔、まだまだ上があるのに、さらに上に上がるエレベーターはおろか、階段さえないや・・・」すぐるは頭をかしげます。
 
 キャンベルとレミアンとテイルは町中の様子を見て回ることにしました。
「わあ、とてもきれいで平和な国ね」テイルは感心します。
「白を基調とした建物が多くて、空気もんでいるね・・・」

 青々とした芝生しばふに、大きな植木が規則きそく正しく植えられ、色とりどりの花が育っている花壇かだんが並んでいる公園の間を、ジャージを着たジョガーが走っていたり、子供たちが追いかけっこをしたり、犬を連れて散歩したりしている姿を見かけます。そんな平和そのものともいうべき光景こうけいの中で、キャンベルはかない顔をしていました。

「何なんでしょう・・・?確かにとても平和そうですが・・・さっきからこの町全体からイヤな感じを受けます・・・」そんな中、水がきらめく白い噴水のそばで人々が話しているのを見つけ、キャンベルが話しかけます。

「あの~?何の話をしているんですか?」人々は親しみやすそうな声で話しかけます。
「あれ?見かけない顔だね、何って?『シャングリラ七不思議』について話していたところさ」
「『シャングリラ七不思議』?何なんですか、それ・・・?」

「この国シャングリラにはいろんな話やうわさがあるけど、その中でも特に不思議なのが、さっき言った『シャングリラ七不思議』なんだ」
「へえ、良かったら、それについて話してくれませんか?」キャンベルが言いました。

「いいよ、一つ目は『ディバインタワー』で、町の中央に建つ高い金色の塔『ディバインタワー』があって、幻想界平和連盟の本部なんだ。そこは確かにとても高い、けれども、二階の展望室よりも上に上がれそうなエレベーターはおろか、階段すらない、緊急用きんきゅうようの階段さえ見当たらないんだよ」それを聞いたキャンベルたちは驚きました。

「えっ!?非常階段すらない・・・!?」
「それはおかしいわね・・・?」

「二つ目は『ディバインタワーの光』なんだ、時々、ディバインタワーの頂上ちょうじょうからまばゆい光のフラッシュが発せられるんだ。何の合図なのかは、誰もわからない」

なぞの光か・・・」レミアンは頭をかしげます。

「三つめは『平和なシャングリラ』さ、この平和なシャングリラでも、多少の犯罪はんざいあらそいは起きていた。でも、メシア女史じょしが連盟の長になってから、犯罪や争い事が不思議と起こらなくなったんだよ」

「えっ!?犯罪や争いが全く起こらない・・・?!それは不思議ね・・・」テイルも頭をかしげます。

「四つ目は『神隠かみかくし』、シャングリラでらしていた人が、ある日突然とつぜんいなくなることがあるんだ」

「へえ、こんな平和な町でそんなこわいことがあるなんてね・・・!」レミアンは少しふるえています。

「五つ目は『地下の黒い門』町の地下通路に黒い両開きの門があるんだ。そこのおくを見た者は誰もいないんだよ、場所はディバインタワーのすぐ下だ」

なぞの門ですか・・・なにやらあやしいですね・・・?もしや・・・!」キャンベルがハッとします。

「六つ目は『森の中の白いほこら』さ、町の北の方には、自然しぜん保護ほごの森が広がっているんだけど、そこの奥に、森には似つかわしくない白い小さな建物があるんだ。そこはなぜか警備けいび厳重げんじゅうで誰も近づけない。時々、あのメシア代表があのほこらに入って行くのを見かけたんだよ、中には何があるのかな・・・?」

「メシア代表が入るほこらですって・・・?」テイルが頭をかしげます。

「七つ目は何と言ってもあの『メシア代表』さ、連盟をつくったのは間違いなくメシアだけど、彼女はとても不思議な女性で、彼女に命令されると、なぜか、誰も逆らえないんだってさ、どうなっているんだろう?」

「逆らえない不思議な人・・・?それって・・・!?」キャンベルはハッとします。

「と、まあ、さっき言った七つのなぞが『シャングリラ七不思議』なんだ」
「そうですか・・・ありがとうございます」キャンベルは人々にお礼を言って、その場を後にしました。
「・・・やはり、この町には何かがあるようです、あの七不思議を皆さんにも伝えましょう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。  大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance! (also @ なろう)

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち! 友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。 第2回きずな児童書大賞参加作です。

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

処理中です...