【完結】セプトクルール 三賢者と虹色の夜明け

マイマイン

文字の大きさ
18 / 111
1章

シェリー編1-2 騎士の試験

しおりを挟む
 そこには、ボブの他に、騎士になりたがっている兵士や町の者が二十人いたのです。

「よし、希望者はそろったな、ただ今、我らがスピネル騎士団の団長、フリーダ殿がお会いになるぞ!」

 よろいに身を固めた騎士がそう言うと、間もなく目の前の壇上だんじょうに、身長140センチほどで、長い栗色くりいろの髪を二本の三つみにしている金色の鎧を身にまとった女性が現れました。

その姿を見た希望者たちは口々に、「わぁ、子供だ・・・!?」「思っていたより小さいな・・・」「何で子供がここに・・・?」とコソコソと話し始めましたが、これにフリーダ団長は眉間みけんにしわを寄せて叫びました。

「子ども扱いするんじゃねぇ!」その叫び声に、希望者たちは身震みぶるいしました。

「言っておくが、アタイはドワーフ族!これでも二十歳はえている!とっくに成人しているんだからな!」それを聞いたボブは思いました。

(そういえば、ドワーフ族は小柄だってすぐるが言っていたな・・・!?)

「それで、騎士になるにはまず、一次試験をやってもらう!それは、『剣術』『乗馬』そして『基礎体力』の三つをこなしてもらうぞ!さぁ、ついてこい!外に出るぞ!」ボブは他の希望者と共に、外へと出ていきました。

 ボブたちは外に出ると、まず、指定のよろいとカブトと剣を持っての実戦じっせん試験しけんを行いました。

「くっ・・・!結構重いな・・・!」ボブは鎧の重さに多少、戸惑いましたが、剣の方はそつなく扱い、他の希望者を圧倒します。
「剣なら、前の冒険で扱ったし、高校の授業でも剣道をやっていたし」
「ほう・・・やるな、あの黒人のボウズ・・・!」フリーダが感心します。

 続いて、乗馬の試験でも、ボブは難なく馬を乗りこなし、軽やかにグラウンドをけ抜けていきます。
「へへっ!じっちゃんの牧場ぼくじょうで習っておいてよかったぜ!」

 一次試験が終わり、合格したのは二十人中、ボブを入れて三名ほどでした。

「よし、一次試験合格者はこちらへ!」

 フリーダは一次合格者をスピネル城の地下へと案内しました。そこは、石のブロックをくみ上げた壁に囲まれた地下室で、かがり火がそこにいる者をうっすらと照らします。

「二次試験はこれより先の試練の迷宮を突破してもらう!一次試験が騎士としての力を試す試験なら、二次試験は知恵と勇気を試す試験だ!お前たちは迷宮の奥へ行き、騎士たる者の守るべき誓いについて書かれた『誓いの石板』を取ってきた者が合格者だ!では、幸運を祈る!」

 ボブは他の希望者と共に迷宮に挑みます。迷宮の中は薄暗く、うっすらと照らすかがり火以外に明かりはありません。入り組んだ道をしばらく進むと、三つの扉がありました。目の前にある石碑には、
『三つのうち、真実を語る扉は一つだけ』と書かれています。

 左の扉には『当たりは中央の扉』、中央の扉には『この扉はハズレではない』、右の扉には『左の扉はハズレである』と書かれています。
「これは・・・どうすれば・・・いいんだ・・・?」ボブは考え込みます。

「以前、すぐるからこういう謎の解き方を聞いたことがあるぞ・・・!そういう時は、順番に『仮にこれが真実だったら』と仮定して考えるんだった、それなら・・・

 『当たりは中央の扉』が真実なら、中央と右の扉の事がウソになるな、中央の扉の『この扉はハズレではない』が真実だと、左右の扉の言葉に矛盾が出るし・・・『左の扉はハズレである』が真実なら、他の扉に書かれていることと矛盾がなくなる、つまり、当たりは『右の扉』だ!」

ボブが右の扉を開けると、その先には通路が続いています。

 続いては、『目先の物につられずに真っすぐ行け』と書かれている石板があり、その先の道には左右の道に宝箱がありますが、ボブはそれに目もくれずに真っすぐに進みます。

 そして、奥の部屋にたどり着くと、目の前の壇上(だんじょう)に『誓いの石板』が置かれており、ボブはまっすぐ向かおうとすると、目の前の石碑があり、こう書かれていました。『騎士たる者、相手を打ち負かす

『力』がいるが、自分に打ち勝つ『心』も必要になる』

「これは一体どういう・・・?」目の前にボブがもう一人現れたのです。

「こういう事か・・・!?」ボブは剣を抜くと、もう一人のボブも剣を抜きます。そして、間もなく打ち合いになりました。しかし、剣の腕はもう一人のボブの方が上のように思え、押されていきます。

「くっ・・・!やっぱり、おれには・・・大した力は・・・!?」しかしボブは、望みもしない自分の力に真剣に悩むシェリーと、そんな彼女の力になりたいと思い、騎士になりたいと思った自分を思い出し、奮い立ちます。

「シェリーの受けた苦しみは、こんなもんじゃない!ここで・・・負けるわけには・・・いかねぇ!」ボブは負けずにもう一人のボブにいどみかかりました。今度は自分のペースになっていき、もう一人のボブの剣をはじき落とし、ななめ上からりつけると、もう一人のボブは煙のようにかき消えて行ったのです。

「やった・・・!」こうしてボブはただ一人、『誓いの石板』を持ち帰ることが出来ました。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち! 友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。 第2回きずな児童書大賞参加作です。

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

こちら第二編集部!

月芝
児童書・童話
かつては全国でも有数の生徒数を誇ったマンモス小学校も、 いまや少子化の波に押されて、かつての勢いはない。 生徒数も全盛期の三分の一にまで減ってしまった。 そんな小学校には、ふたつの校内新聞がある。 第一編集部が発行している「パンダ通信」 第二編集部が発行している「エリマキトカゲ通信」 片やカジュアルでおしゃれで今時のトレンドにも敏感にて、 主に女生徒たちから絶大な支持をえている。 片や手堅い紙面造りが仇となり、保護者らと一部のマニアには 熱烈に支持されているものの、もはや風前の灯……。 編集部の規模、人員、発行部数も人気も雲泥の差にて、このままでは廃刊もありうる。 この危機的状況を打破すべく、第二編集部は起死回生の企画を立ち上げた。 それは―― 廃刊の危機を回避すべく、立ち上がった弱小第二編集部の面々。 これは企画を押しつけ……げふんげふん、もといまかされた女子部員たちが、 取材絡みでちょっと不思議なことを体験する物語である。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

処理中です...