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9.不埒な婚約者★
しおりを挟む彼に手を後ろで縛られて、首に彼の唇を感じる状態に、イザベラはこのまま犯されて殺されるのかもしれないと思った。
恐怖が湧き上がってくるけれど、イザベラは体を起こした彼を睨むのをやめなかった。
それでも、恐怖のあまり、どうしても堪えていた涙が目尻からこぼれてしまった。
そんな自分が情けなくて仕方がない。
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。私はあの時についてしまった痕を確認させて欲しいだけです」
彼はそう言うと、ソファに腰掛けるイザベラの前で床に膝をつく。
そして、太ももの盛り上がって色の変わってしまっているあの痕にそっと触れた。
それから、何を思ったか、それに舌を這わせる。
「あ、やぁ、やめっ、んっ」
イザベラは太ももを撫でられながら、そこを舐める彼を見つめることしか出来なかった。
明らかに彼はその痕に執着心を見せている。やめるように言うと、彼は欲望の滲んだ緑の瞳で見上げてくる。
でもなぜか、その彼の表情に心臓が鷲掴みにされたようになる。
いつものような穏やかさなんてどこかに行ってしまった彼の表情は、イザベラの心を揺り動かした。
彼の唇からのぞく舌の赤さも、それがイザベラの足を舐める様子も。
「あ、も、やめてっ、見たのにっ」
そう言っても彼は舌先で色の変わった部分の周辺を舐める。何度もそれを繰り返されると、お腹の辺りがムズムズとしてくる。
イザベラは彼が舐める場所からあちこちに飛び火したような熱さに、体をよじった。
「あ、も、お願い、やめて……」
「これだけで、そんな顔を……?」
イザベラは何を言われているのか分からなかった。いったい自分はどんな顔をしているのだろうか。
「とてもいやらしいお顔をしておられる。これ以上のことは、初夜まで我慢しようと思っていたのに」
そう言った彼はイザベラの下着を完全に抜き去ると、ゆっくりとその足を開かせる。
そして、なんと、イザベラの秘部に舌を這わせた。
「やぁっ……!」
「最後まではしませんので、ご安心を」
イザベラは体をよじって、それから逃れようともがいた。でも、その程度の抵抗なんて意味がないと言うように、彼の舌の動きがどんどん容赦のないものになっていく。
閨教育を受けているから、彼が刺激しているのは陰核やその周辺だということは分かる。
そして、そこから湧き上がる感覚は、先ほどの足を舐められた時よりもはるかに強い。じくじくとした、おかしな感覚がイザベラを襲う。
「あ、やめっ、へんっ! ああっ」
「練習ですよ、殿下。初夜にきちんと楽しめるように」
「いや、あ、あぅ」
彼の舌はもどかしくその周りをなぞっていたけれど、急に、おそらく陰核そのものをしつこく舐め始めた。
それと共に、先ほどから覚えている感覚が溢れ出しそうになる。
イザベラは「やめて」と繰り返した。でも彼はそれをやめない。
そして、その波は突然やってきた。頭の中に、秘部に与えられた甘い痺れが伝わって、他の感覚が消え失せる。
「あっあっ、へんっ、へんだからっ、んああぁ!」
そこから湧き上がった快感にどう対処していいか分からずに、イザベラは声を上げた。
背後で縛られている手をぎゅっと握りしめて、それが治るのを待った。
心臓がうるさいし、なんだかとても疲れてしまった。肩で息をしていると、フェルナンドが体を起こす。
「敏感ですね。早くあなたの全てが欲しい」
彼が覆い被さってきたかと思うと、また首筋を唇でくすぐりながら、イザベラの手を縛っていたスカーフを外す。
そして、イザベラの下着を引き上げて元に戻した彼は、すぐ横に腰掛けてきた。
「なんで、こんなことを……? 力を見せつけようと? どうせ私には何も出来ないから」
「殿下……」
イザベラは悔しさのあまり、涙をこぼしてしまった。
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