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16.初夜★
しおりを挟む彼からの口づけに応えながら、イザベラはどうしていいのか分からなかった。
フェルナンドに胸や臀部を揉まれながら、ひたすら深い口づけを交わし続ける。
口内を舐められれば、イザベラも彼にそうする。自分も息が苦しかったし、彼の息が上がっているのも分かる。
「んっ、ふっ」
「……こんな口づけを、いったい誰に教わったのですか? 答えによっては、大変なことになりますが」
「え……? 全部、あなたの真似をしているだけだわ……?」
「それは……大変物覚えがよろしくて……」
そこで言葉を切ったきり、フェルナンドはなぜか片手で口元を隠している。心なしか目元が赤い気がする。
「フェルナンド? あなた、何を考えていたの?」
「私を嫌っておいででしたから、秘密の恋人くらいはいるのかと」
イザベラはそんな者は一度も持ったことはないし、こんなことをするのも全て初めてだ。
以前彼にいやらしいことをされた以外は。
正直にそう言うと、フェルナンドはこれまで見たこともない顔をした。嬉しそうで、でも恥ずかしそうな顔だった。
「フェルナンド、顔を見せて。あなた、とても可愛らしいお顔をしていてよ?」
イザベラはそう言って両手で彼の顔を捕まえる。すると、彼は困ったように眉を寄せて、何度も触れるだけの口づけをして来る。
「煽ったのはあなたですからね?」
「え? それはどういう……? ああっんっ」
彼はイザベラの足を開かせると、先ほどよりも激しい口づけをしてくる。息もできない状態で、秘部を指で撫でられる。
驚いて足を閉じようとしても、その間に陣取っている彼の体を挟み込んでしまうだけだ。
「んっ、や、ぁあっ」
「すみませんが、急いで広げます。このままでは怪我をさせてしまう」
「けが? 痛いとは聞いているわ」
「ええ。これで怪我をさせて、痛い思いをさせてしまいそうなので」
フェルナンドに手を取られて、何かを握らされた。少し考えた後、それが男性の象徴であることにイザベラは気づいた。
閨教育で習ったように、勃ち上がっているそれは、もう体を繋げる準備が出来ているようだ。
彼の方は準備ができているのに、イザベラの準備が出来ていないと彼は言ったのだろう。
「分かったわ。フェルナンド、早く広げて?」
イザベラはそう言いながら、彼の男根にもう一方の手も添えて、ゆっくりと撫でた。
何の悪気もなかった。ただ彼のそれがとてもすべすべしていて、大きくて、触れたことのない感触だから、好奇心からそうしただけだった。
それなのに、フェルナンドは息を詰めて動かなくなってしまった。
「フェルナンド? 私の準備はあなたがしてくれるのではなくて?」
「あ、は……っ。殿下、それ、やめて、くださいっ」
彼は聞いたことのないほど焦った声で言い、目をきつく閉じる。
イザベラの呼び方まで元に戻ってしまっている。なぜかとても余裕がなさそうだ。
そこでようやくイザベラは、自分が先ほどから撫で上げている男性のものが、彼に快楽を与えているのかもしれないと気づいた。
そして、それを確かめるために、もう少し力を強めてそれを握り、両手を不規則に動かしてみる。
「殿下っ、それは、ダメです……ぁっ!」
イザベラの予想は当たっていたようで、フェルナンドはついにはイザベラの首元に顔を埋めて、表情を見えなくしてしまう。
「フェルナンド、お顔を見たいわ。気持ちがいいのなら、もっとして差し上げてよ?」
「も、出てしまうっ、殿下っ!」
イザベラの首に熱い息がかかり、彼の上擦った声が耳を楽しませてくれる。そして、それにとても興奮してしまう。
足の間が、今は触られていないのにじんじんと疼いているのが分かった。
イザベラはフェルナンドにもっと可愛らしくなって欲しくて、手を動かすのをやめなかった。
やがて、彼が唸って、イザベラのお腹に温かい液体が注がれる。彼が達したのだと分かって、とても嬉しい。
イザベラは、先日彼の思うようにされたのを、悔しく思っていたのだ。
だから、本当に何も考えずに、とても楽しい気分で、イザベラは首元に熱い息を吹きかけ続けるフェルナンドに、いつもの調子で声を掛けてしまった。
「気持ちがよかった? 先に達してしまったのね?」
フェルナンドはびくりと肩を揺らすと無言で体を起こした。
その顔は、先ほどの可愛らしいものとは違った。先日のように欲望の色に染まった瞳と、冷酷に笑う顔だ。
彼はやや乱暴に、寝巻きでイザベラの腹を拭った。
イザベラは、そんな彼の笑顔に射すくめられて動けなくなる。
「殿下、いえ、イザベラ。覚悟はよろしいですか? もう止まれませんので」
「え、あの、私、何も……あんっ! や、ああっ」
フェルナンドは前のようにイザベラの秘部に顔を寄せ、陰核を舐めながら、彼のものを受け入れる場所に何かを入れた。
「あぁっ、それ、あん、なにぃ?」
「指ですよ。早く広げろとおっしゃいました。でももうかなり濡れていますよ。私を弄んで、自分までこんなふうに? とてもいやらしいですね……」
「あぁっ! だって、あなたがとても、可愛らしい顔をするからっ」
「……もう黙って下さい。本当に壊してしまう……!」
そこからはイザベラは情けない声を漏らすことしか出来なかった。
指を何本も入れられて抜き差しされながら、気持ちよさに喘ぐたびに「いやらしい」と言われる。
そして、それすらも頭の中で快感に変わってしまう。
彼のものがそこに当てがわれた時には、イザベラはそれが欲しくて仕方なくなっていた。
彼女はそれを手でたくさん触ったから、その大きさも、感触も知っている。そして、指では届かない場所を刺激してくれるはずのその長さも。
「あ、もう、早く入れて。お腹の奥がらムズムズするからぁ」
「……っ! あなたという人は……!」
彼のそれは、もうとろとろに溶けきっていたイザベラの中を押し開きながら進み、行き止まりに勢いよく当たった。
「んぁああっ、や、おおきいっ、あ、あん、奥、気持ちいいっ」
「締めすぎ、です! くそっ!」
フェルナンドは何度もそれを抜き差しして、ついには彼女の奥に、あの温かい液体を注いだ。
「温かいわ。ん、まだビクビク動くのね?」
「頼みますから、少し口を閉じていてください……!」
彼はそう言うと、イザベラを力一杯抱きしめて、また彼女の首元に顔を埋めた。
イザベラは彼の汗ばんだ体の温かさを心地いいと思った。
それに、知らなかった彼の可愛らしい一面を見て、もっと彼を知りたくなる。
しばらくしたところで、フェルナンドがイザベラの上からどいて、横に寝転がった。
でも、抜けていったそれはまだ大きかった。体の内側を刺激しながらそれが出ていく時、イザベラは漏れそうになる声を何とか呑み込んだ。
初夜が終わったのだろう。イザベラの体の中に彼が子種を注いだのだから、目的は達成されたはずだ。
でも、イザベラは何だか物足りない気がした。もっと彼が欲しいと思うのは、おかしなことなのかもしれないから黙っていたけれど。
「まったく。こんなはずではなかったのに」
「何が? 初夜は成功したのではなくて?」
「違いますよ。まさか、あなたみたいに可愛らしい見た目の、五歳も年下の新妻に……あんな風にされるなんて……」
「あら。でも、とても気持ちがよさそうだったわ。嫌だったの?」
彼は寝返りを打って、イザベラの方を向いた。その顔は、あの恥ずかしそうな可愛らしい顔だ。
「嫌では、ないですが。あなたを愛しているので」
彼はまたそんなことを言った。イザベラは嬉しかったけれど、やはり理由は分からない。
「私は、あなたがなんで私を愛しているのか分からないわ。初めて会った日も、目を合わせすらしなかったはずよ」
イザベラがそう言うと、彼は笑い出した。そして、イザベラも忘れていたことを語り出した。
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