【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

文字の大きさ
20 / 125

第20話 大切な人

しおりを挟む
マリアとの訓練から数日が経っている。
結局、あの日の鑑定でレベルは上がらなかった。
何か必要な条件があるのかもしれない。
そのためマリアとは定期的に訓練を行い、
経過を観察していくことになった。


こんなに良くしてもらい感謝しかない。
それだけでなく諦めずに頑張ろうと励まされた。
本当にお優しい方だ……
こんなにされたら勘違いしてしまう。


そうマリアは第二王女で、
俺には手の届かない高嶺の花だ。
正直に言うとあんなに可愛い女性と、
ずっと手を繋いでいれば好きになってしまう。
でも、その気持ちを押し込めなければならない。
何故なら俺は、男爵家の息子だからだ。


「はぁ……」


ため息を吐きながら、
父の私室のドアをノックする。


「はいれ!」


声を聞き扉を開けると既にアリス、
リーナ、ベルが部屋にいた。


「よし、クリスもきたな」


「父上、話とは?」


急に呼び出されたが、その険しい表情から大事な話があると推測する。


「マリア様誘拐、白狼族に関して、
 その手がかりを探っていると、
 ある人物にたどり着いた」


「事件は繋がっていたのですか?」


俺は全くの別物と思っていた。
まさか王女誘拐と白狼族が結びつくなんて。


「白狼族の一件は陽動作戦の可能性が高い……
 そしてこれに、リーベルト伯爵が関わると見た」



「リーベルト伯爵……」



大物の名前が出たことに驚きを隠せない。
魔法学園の運営に携わる人物で、
何故かマリア様の誘拐に関わっている。


「白狼族の被害で騎士団を誘い出し、
 疲弊させることが目的と推測した。
 しかしクリスのお陰で最小限に抑えれたが、
 日々の誘拐事件で大分疲弊している」


「そんな……」


「そして更に大掛かりな告知文が来た……
 魔法学園の生徒誘拐だ」


誘拐告知文を送ってきたのか。
この事件は用意周到に準備している。


「戦力、作戦から大物が関与している。
 そのため手がかりから探り、
 リーベルト伯爵へ辿り着いた」


その後、父上は魔法学園に出発するために剣を手に持った。


「今日からしばらくの間、
 屋敷には帰れなくなる。
 お前たちもくれぐれも用心しろ!」


「父上、お気をつけて」


そう言って父上は騎士と共に部屋を出る。
忙しい中、俺達に時間を作ってくれた。



「クリス様……」



「しばらく外出は控えないといけないな」



訓練どころではなくなってしまった。
ルミナスに何かが起きようとしている。



「リーベルト伯爵か」



リーベルト伯爵は魔法学園、図書館の運営、
更に他国との交易に携わると聞く。


「他国も関わっている?」


「クリス様、どうされたのですか?」


「何かね……
 胸騒ぎがするんだよ」



今までの流れだと敵はかなり用意周到だ。
そして父上が魔法学園へ向かう様子から、
騎士団の戦力を学園に割いていると予測する。



「敵の本当の目的が別にある?」



生徒誘拐も誘導の場合、敵の狙いは別にある。
そうなると工作活動をしても、警備が強すぎて狙えない場所が敵の目的地だ。
国内で一番警備が強いのは城に違いない。
そして俺は一つの結論を導き出した。




「マリア様が危ない」



もし生徒誘拐が誘導なら、敵の狙いはマリアだ。
今までの工作により戦力を低下された今、
作戦を決行しやすい時期なのは間違いない。



「クリス様、ま、まさか」



「あぁ、俺はマリア様の元へ行く!」



「き、危険です!」



当然のようにリーナは反対した。
個人にどうにかなるレベルを超えている。
これだけの騒動のため、間違いなく主人を、
死地に向かわせるからだ。




「大切な人なんだ……
 絶対に失いたくない!」




「クリス様……」




ベルも複雑な表情で見つめる。
しかし、大切な人を守りたい。
その気持ちを痛いほどに知っている。




「クリス様……
 ベルは、必ずクリス様をお守りします」



「ベ、ベル……
 お、お前まで!」



「お兄様……
 アリスも忘れては困りますよ?」



リーナはかなり動揺している。
しかしこうなった俺を止められる力を、
持ち合わせていない。
そしてそれを分かっているからこそ、声を発した。



「どうしても行かれると言うのなら、
 金庫からアイテムを持っていってください」



リーナは金庫の守りもしてるが、
そんなことをすればクビどころか処刑かもしれない。



「そ、そんなことしたらリーナが……」



「そう思うのであれば行かないでください!
 でも、どうしても行くと言うのであれば、
 必ず生きて帰って欲しいのです」



リーナ……



思い返せば生まれてから今に至るまで、
ずっとリーナと一緒だった。
母上が亡くなってからずっと傍にいてくれたのだ。




「必ず、生きて帰ってくる……」




そう告げると、リーナは瞳を潤ませながら言葉を発する。




「クリス様、貴方を慕い、
 貴方の従者になることができ、
 私は、幸せでした……
 でも一生の別れだけはやめてください……
 また貴方の元で働くことが、
 許されるのであれば、ずっと……」




言葉を失ってしまう……
リーナに何を言えばいいのか……





「ベル、必ずクリス様をお守りしなさい!
 教育係として、そしてレガード家の
 従者全員から、貴方に託します!」




リーナは泣きながら命令して、
ベルは、その想いと重さを噛み締める。




「必ず、クリス様をお守りします!
 この命に代えても……」



そしてリーナから魔法のアイテムを受け取り、
俺達はレガードの屋敷を出た。
大切な人を守るために……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。

町島航太
ファンタジー
 かつて日本最強投手と持て囃され、MLBでも大活躍した佐久間隼人。  しかし、老化による衰えと3度の靭帯損傷により、引退を余儀なくされてしまう。  失意の中、歩いていると球団の熱狂的ファンからポストシーズンに行けなかった理由と決めつけられ、刺し殺されてしまう。  だが、目を再び開くと、魔法が存在する世界『異世界』に転生していた。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

空月そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...