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第19話 将来の姿
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目の前には成人姿になったクリスがいる。
私は何が起きたのか分からない。
見惚れてしまい頭が空っぽになってしまった。
き、綺麗……
ただその一言に尽きる。
こんなに綺麗な男性がいてたまるものですかと文句を言いたくなる。
私は聖女として常に余裕ある女性を演じなければならない。
はずなのに……
「あ、あの……
く、クリス、その姿は一体?」
「あ!言い忘れてましたけど獣王剣は、
成人くらいの背丈になるのです」
「あ、あの、驚いてしまって、急にかかか」
「かかか?」
「か、格好良くなるなんて……」
自分でも信じられない……
今まで多くの男性に言い寄られたが、
まさか気になる男性の成人姿にときめくなんて。
「ず、ずるいわよ!」
ついつい頭の中で考えていたことが口から溢れる。
「え?」
「な、何でもないわ」
とにかく格好良くなったクリスを、
そのまま直視できないでいる……
元々綺麗な顔立ちをしていると思っていたが、
まさか成人したら更に素敵になるなんて思いもしない。
こ、これがクリスの5.6年後なの?
心臓が高鳴り苦しい。
経験したことのない感覚に陥り動揺してしまう。
そんな時にキャロルが声を発した。
「す、すごいな……
ちなみに何分くらい保つのだ?
魔力使うんだよな?」
「す、凄い勢いで減ってるんで、
このままだと3分くらいですかね?」
な、な、なんですって……
3分後には元に戻ってしまうの?
するとこの姿は見納めってこと?
途端にガッカリしてしまい落胆してしまう。
今日はクリスのせいで振り回されている。
だが聖女として余裕を持ち、せめて今日の時間を有意義にできるような質問を振り絞ってみた。
「クリス、この姿は残り時間も短いです。
その時間でやりたいことないの?」
「やりたいことですか……
マリア様と手を繋ぎたいです」
は?
な、な、なにを言い出しているのですか。
この姿のクリスと手、手を。
「て、て、手ですか?」
「は、はい、魔力を送ってみてどうなるか、
見てもらいたいです……」
ビ、ビックリさせないでよ!
最後に休憩スキルを発動したら、
どうなるってことよね?
で、でも、それって……
「あ、あ、でも心の準備が」
まさかの事態に思考が追いつかない。
そんな時に追い打ちをかける人物がいる。
「マリア様、
早くしないと時間がなくなりますよ!」
キャロルである。
前までは散々反対していたが、
先日騎士団に協力し成果を立ててから、
クリスへ信頼をし始めたのだ。
まさに手のひら返しである。
「キャロル、で、でも……」
「マリア様、ここは一気にいきましょう!」
そう言って私とクリスの手を強引につなげる。
「ぁっ」
は、恥ずかしい……
何だろう今聖女らしからぬ顔をしている。
クリスに見られていないよね?
「マリア様、いきますね」
「あの、クリス……」
すると、ゆっくりと魔力が送られてきた。
なるべく負担のないように優しさを感じる……
「あ……くりす…」
何だか幸せだな……
好きな人と手を繋いでいるって、
こんなにも嬉しいことなんだ。
いいな、こういうの……
「あの、マリア様……
回復魔法をお願いします」
「あ……」
一瞬我を忘れてしまった。
レベル3よね!
我ながら惚けてしまった……
「き、キュア!」
回復魔法レベル3が発動して、
クリスの身体が光で溢れた。
魔法の発動は無事に成功している。
「マリア様、ありがとうございます!」
「き、気にしないで!」
「そしたら休憩を試しますね!」
「……」
そう、時は残酷である。
3分とはあまりに早い。
クリスの成人姿の時間が終わり、
姿は元に戻ってしまう。
その姿を名残惜しい気持ちで見つめていた……
私は何が起きたのか分からない。
見惚れてしまい頭が空っぽになってしまった。
き、綺麗……
ただその一言に尽きる。
こんなに綺麗な男性がいてたまるものですかと文句を言いたくなる。
私は聖女として常に余裕ある女性を演じなければならない。
はずなのに……
「あ、あの……
く、クリス、その姿は一体?」
「あ!言い忘れてましたけど獣王剣は、
成人くらいの背丈になるのです」
「あ、あの、驚いてしまって、急にかかか」
「かかか?」
「か、格好良くなるなんて……」
自分でも信じられない……
今まで多くの男性に言い寄られたが、
まさか気になる男性の成人姿にときめくなんて。
「ず、ずるいわよ!」
ついつい頭の中で考えていたことが口から溢れる。
「え?」
「な、何でもないわ」
とにかく格好良くなったクリスを、
そのまま直視できないでいる……
元々綺麗な顔立ちをしていると思っていたが、
まさか成人したら更に素敵になるなんて思いもしない。
こ、これがクリスの5.6年後なの?
心臓が高鳴り苦しい。
経験したことのない感覚に陥り動揺してしまう。
そんな時にキャロルが声を発した。
「す、すごいな……
ちなみに何分くらい保つのだ?
魔力使うんだよな?」
「す、凄い勢いで減ってるんで、
このままだと3分くらいですかね?」
な、な、なんですって……
3分後には元に戻ってしまうの?
するとこの姿は見納めってこと?
途端にガッカリしてしまい落胆してしまう。
今日はクリスのせいで振り回されている。
だが聖女として余裕を持ち、せめて今日の時間を有意義にできるような質問を振り絞ってみた。
「クリス、この姿は残り時間も短いです。
その時間でやりたいことないの?」
「やりたいことですか……
マリア様と手を繋ぎたいです」
は?
な、な、なにを言い出しているのですか。
この姿のクリスと手、手を。
「て、て、手ですか?」
「は、はい、魔力を送ってみてどうなるか、
見てもらいたいです……」
ビ、ビックリさせないでよ!
最後に休憩スキルを発動したら、
どうなるってことよね?
で、でも、それって……
「あ、あ、でも心の準備が」
まさかの事態に思考が追いつかない。
そんな時に追い打ちをかける人物がいる。
「マリア様、
早くしないと時間がなくなりますよ!」
キャロルである。
前までは散々反対していたが、
先日騎士団に協力し成果を立ててから、
クリスへ信頼をし始めたのだ。
まさに手のひら返しである。
「キャロル、で、でも……」
「マリア様、ここは一気にいきましょう!」
そう言って私とクリスの手を強引につなげる。
「ぁっ」
は、恥ずかしい……
何だろう今聖女らしからぬ顔をしている。
クリスに見られていないよね?
「マリア様、いきますね」
「あの、クリス……」
すると、ゆっくりと魔力が送られてきた。
なるべく負担のないように優しさを感じる……
「あ……くりす…」
何だか幸せだな……
好きな人と手を繋いでいるって、
こんなにも嬉しいことなんだ。
いいな、こういうの……
「あの、マリア様……
回復魔法をお願いします」
「あ……」
一瞬我を忘れてしまった。
レベル3よね!
我ながら惚けてしまった……
「き、キュア!」
回復魔法レベル3が発動して、
クリスの身体が光で溢れた。
魔法の発動は無事に成功している。
「マリア様、ありがとうございます!」
「き、気にしないで!」
「そしたら休憩を試しますね!」
「……」
そう、時は残酷である。
3分とはあまりに早い。
クリスの成人姿の時間が終わり、
姿は元に戻ってしまう。
その姿を名残惜しい気持ちで見つめていた……
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