異世界転生興国記

完成間近・艦＆艦載機

　 ヒロキ達が艦載機と強襲揚陸艦の建造を開始してから一か月が経った頃、船の外観はほぼ完了していた。艦載機も細かい改良や仕様変更を繰り返しながら試作機を３機完成させていた。船の艤装も９割方完成している。
　全長300メートル全幅35メートルあり船の主な外観はアメリカ級強襲揚陸艦を踏襲し、艦尾下部にウェルドックを備え小型艇やLCACもどきのホバークラフトを２隻搭載している。艦の速力は現状は約４０ノット、武装はフライトデッキを兼ねた艦橋の前後に２０ミリ対空機銃CIWSを配置し、更に艦橋後方にVLS（垂直発射管）を１２セル装備し更に甲板直下の両舷にせり出す形で１５５ミリ単装砲を配置した。喫水下には各種ソナーに前部には魚雷発射管を４門側面にサイドスラスター、後部はスクリュー推進とジェット水流推進のハイブリッドでとにかくもうこれでもかとテンコ盛りである。まさに僕が考えた最強のなんとやらである。ヒロキと一緒に完成具合を見て回っていたオザワが一言。


「やりすぎ・・・やり過ぎだろ馬鹿者！お前はどこと戦争するつもりなんだよこれ・・・？」


「張り切り過ぎたのは認めますし、反省はしています・・・。だが後悔はしていません！」


「この艦一つに何もかも集約しすぎだろうが！？」


「取り巻きの船を作る時間も人や資材も無いのでこうしました。空を飛ばないだけまだ現実的でしょう？」


「アニオタでミリオタな奴に作らせると質が悪いと思い知ったよ・・・。あとは艦載機だっけ？」


「はい！行きましょう！」


　ヒロキとオザワは艦内格納庫に移動する。だだっ広い格納庫には寂しいが３機だけ試作艦載機が駐機していた。すでにテストフライトは終了しており、テストパイロットはシエラとマイク、ビクターが担当した。テストフライト初期で使用したダウンサイジングされた機体は解体をせずに攻撃兼偵察用ドローンとして使用することも決まっている。

　試作機の主な仕様は全長１０メートル全幅１１メートルと元になった機体に比べてコンパクトになっている。翼も艦載機仕様で翼端は折りたたみ式だ。空軍仕様ではないのでVTOL機である。エンジンもメインエンジンを機体後方に２基、前方にサブエンジンを２基搭載している。推力の向きを垂直方向に可変できるように改造した。最高速も時速８００キロメートルと軽量な分オリジナルより速く、航続距離も長い。武装については３０ミリバルカンのみだが実弾装弾数こそオリジナル以下の５００発だが発射モードを変更すれば各種属性の魔力弾を発射可能になっており、魔力が切れるまで発射し続けるので裕に３０００発を超える。更に魔力弾モードに限り銃口を戦闘ヘリのように上下左右に向きを変えながら発射可能だ。撃ち方も連射はもとより単発撃ちや全銃身を使用してショットガンのような発射もできるようになっている。コクピット周りも複座に改造してオザワ仕様以外はゲームパッドで操縦できるようになっている。離発着時は全てオートパイロットになっており安全性も極めて高い。最後に翼下のハードポイントには各種爆弾やミサイル、増槽が装着可能である。


「いや・・・もう呆れたわ・・・突っ込む気力も無いよ。良くできてるな」


「お褒めいただき光栄で・・・」


「褒めてない！呆れて物も言えないと言ってんの！」


「あまり細かいこと気にするとｈ・・・何でもないです！」


「あ？」


「何でもないですってば！」


「何でもないなら何故逃げる？やましいことないんだろ？」


「ないですよ？ほら？艦内は走ってはいけません！危ないですから！」


「お前が止まったら走らねえよ！逃げんなコラー！」


　余計なことを口走ったヒロキの運命は・・・如何に？