異世界転生興国記

青井群青

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復興一段落~町の外探索

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 翌日ヒロキは復興途上の町の元領主の砦の一室にいた。元領主の砦は家財道具は持ち出されていたが特に荒れ果てていることはなく小規模ながらしっかりとした造りだった。その辺の空き家に住むことも考えたのだが、持ち主がまた戻ってくる可能性が少なくないので迂闊に住む訳にはいかなかったため砦に住むことになった。砦からは町が一望できるため、今後の町作りに役立てて欲しいと集落の人達にお願いされ半ば強引に押し切られてしまった。また何かあれば町の主だった者が集まり会議にも利用するらしい。

 ヒロキが時間魔法を使い短縮栽培をした食料も倉庫に運び込まれてここで保管するらしい。少々はりきり過ぎてしまったため、食料については種類は少ないが小麦や大豆、トウモロコシ(デントコーンのようなもの)サツマイモと塩等が数㌧単位で次々に運び込まれて行く。その量は保存が効けば町全体を一年は養える量だった。町の人達もそれに慢心することなく、手の空いてる人間はすべて畑仕事に精を出していた。今後に備えて開墾や作付けをしていくようだ。今のうちに作付けをしておけば更に冬までに収穫が間に合う為万全を期すらしい。


 ヒロキはとりあえずすることが当面の間なくなってしまったので、王都で情報収集と商売をすることを考えていた。通貨名が(ボッチ)で微妙な名前だが金銭面で言えばこの町はとても貧しい。幸い食料は比較的余裕があるのでそれを元手に王都で稼ぎ、できれば町の発展に欠かせない人材も確保したかった。商売内容も吟味が必要だ。行商にするか屋台でも始めてみたい。色々なアイディアが浮かんで来るがうまく纏まらない。もうしばらく考えを詰める必要がありそうだ。王都にはヒロキだけではなく他にも王都に引っ越した人を呼び戻す為に何人か一緒に行くことになっていた。出発は3日後に決まっていた。


 ヒロキは王都に行くまで暇になったので町中ではなく町の外周辺を探索してみることにした。範囲はその日のうちに帰ってこれる距離にする。無断で出かけるのも気がひけたのでカールとべリルには一言伝えて出発した。探索する場所は砦の裏口から湖を迂回して山の方面を目指すことにした。山そのものは木々に覆われていて鬱蒼としていた。所々に大きな岩肌があるが標高はざっと目算になるが1000メートルも無いと思う。今の身体能力なら登っても良いのだが今日はやめておくことにした。砦の裏の森林は楓の群生地だった。楓と言えばメープルシロップが連想される。ヒロキはこの世界に来てからまだ甘いものを口にしていなかったので、甘味に飢えていた。明日にでもメープルシロップが採取できないか試してみることにすることに決めた。

上手くいけば町の新たな名産品になるかもしれない。この世界はテンプレだが砂糖や蜂蜜は高級品で果物は甘いものがほとんどないらしい。甘党のヒロキとしてはとてもじゃないが耐えられなかった。そんなことをいながら探索は続行して山の麓沿いを歩き続け森林を抜けると切り立った崖に出た崖の下には海も見える。崖の高さは50メートルはありそうだ。ヒロキは崖の中腹にあるものを見つけた。

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