異世界転生興国記

青井群青

文字の大きさ
28 / 44

王都市街散策~懐かしい出会い

しおりを挟む
ヒロキは宿にいてもすることがないので町を見て回る。シエラは食材と売上の警護を兼ねて車で待機することになったので、今は一人で歩いていた。今はギルドがあった通りとは別の通りを店や屋台を軽く視線を巡らせながらのんびり歩いていた。空腹だったので何軒かの屋台で肉の串焼きや果物を買っては食べた。肉は豚肉のような肉だった。味付けはシンプルに塩のみだ。果物はオレンジのような柑橘系だった。酸味が若干勝っているが、マグナミアで食べた姫林檎と比べると甘味もしっかりあって美味しかった。できれば仕入れて栽培してみたい。腹も満たされる頃にはこの通りの散策は一通り終わった。ヒロキは隣の通りに行ってみることにした。途中で路地に入って通りに移っても良かったのだが、路地裏は物乞いにスリや強盗が出没するらしく屋台の人に近づかないように忠告されたので従うことにしていたのだ。なので通りの終わりまで歩き、広い外周の道から別の通りに移るように歩いていた。

 次の通りは飲み屋と娼婦街が混ざった通りだった。日が暮れてきたので営業している店も多い人通りもこれまでの通りより多かった。店の前で呼び込みをしている客引きがたくさんいた。ヒロキは引き返そうと思ったが歩くだけなら問題無いと思い直して進んでみることにした。繁華街の呼び込みや客引きは基本的に無視するか適当にあしらえば大丈夫である・・・と思っていたのだが。

「そこのお兄さん!うちで一杯どうだい?安くしとくよ?」
「・・・結構です!」
「ちょっと~お兄さん一晩アタシとどう?今日はシケてるから安くしとくわよ~?」
「いらない!」
「なにさっ!この不能!!租○○野郎!!」

 結構過激できつい!前世一昔前の都内にある某繁華街みたいだった。この様子だともう一段階ひどくなりそうだと思っていた矢先に更に強引な客引きが現れた。

「どうですか?飲んで行きませんか?今なら可愛い娘と1時間飲み放題でたったの30ボッチですよ?さらにこのサービス札をつけて2時間で料金も変わりません!女の子の指名料も無しですよ?」
「酒は飲まないからいらん!それにその謳い文句はぼったくりの常套句じゃん?」
「いやいや、うちは健全ですよ?ぼったくったらお客さんが来ないですから!そんなこと言わずに覗くだけでもいいですから!」
 なかなか手強い客引きだ。話し方はけっこう下手だが行動が伴っていない。ヒロキは立ち去ろうとしたが付き纏ってくる。さらに手首をさりげなく掴んできた。前世なら風営法違反&条例違反行為だ。ヒロキはいい加減しつこい客引きに向き直ると手を振りほどいて腰の銃剣に手を当てながら胸ぐらを掴んで凄んだ。

「うるせえな!さっきからしつこいんだよ!ぶっ飛ばすぞ?この・・・うん?」
「何もそこまで怒ることないじゃん?てめぇこそ、下手にでていれば調子に乗りやがっ・・・。え?」

 お互い悪態をつきかけながら固まり同時に言葉を発した。

「「もしかして」」
「ヒロキか?」
「吉井さんか?」


*********************************************

 こんばんは!今回はここまでです。強引な客引きって嫌ですよね?作者もあまり良い思い出がありません!感想お待ちしています。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

処理中です...