悪役令嬢の追放先は借金まみれ子爵家 〜冷徹な彼が“もう一口”と言うまで〜

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第7話 噂の味は苦い

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嵐のような夜が明けた。 窓の外には、薄らと雪が積もっている。 だが、その白さは、世界を清めたというよりは、すべての色彩と熱を覆い隠してしまったかのような、冷たい白さだった。

私は重い瞼を擦りながら、ベッドから起き上がった。 昨夜は、レオン子爵と共に深夜まで帳簿と格闘し、その後、アーネスト・カレルの来訪を告げる手紙に打ちのめされ、ほとんど眠ることができなかった。

「……セシリア様」

控えめなノックの後、カノンが部屋に入ってきた。 彼女の顔色は、窓の外の雪よりも蒼白だった。 手には、水差しではなく、一枚の紙切れが握られている。

「どうしたの? 朝から幽霊でも見たような顔をして」

私が努めて明るく声をかけると、カノンは震える手でその紙を差し出した。

「これ……屋敷の門に、貼られていました」

受け取った紙を見る。 粗悪な紙に、殴り書きのような文字で、こう書かれていた。

『魔女を追い出せ。税を食い潰す寄生虫。監査官が首を狩りに来る』

一瞬、息が止まった。 魔女。寄生虫。 王都の社交界で浴びせられた罵倒の数々が、フラッシュバックする。 だが、これは王都ではない。 私が自らの手で料理を作り、心を通わせ始めたと思っていた、このグランシェ子爵領での言葉だ。

「……そう」

私は感情を押し殺し、その紙をくしゃりと丸めた。

「仕事が早いわね、ミシェルさん」

王都から監査官が来るという情報は、まだ公にはなっていないはずだ。 それなのに、この張り紙。 間違いなく、銀翼商会の手が回っている。 彼らは先手を打ったのだ。 監査官が来る前に、私を領民の敵に仕立て上げ、孤立させるために。 そして、アーネストが到着した時、領民たちがこぞって私を告発するような状況を作り出すために。

「セシリア様、どうしましょう……。使用人たちの間でも、噂になっています。『やっぱりあの屋台の売上は、奥様のポケットマネーになったんじゃないか』とか、『借金が増えたのは奥様の贅沢のせいだ』とか……」

カノンが泣きそうな声で訴える。 事実無根だ。 屋台の売上はすべて借金の返済用口座に入れたし、私のドレスは王都から持ってきた数着を着回しているだけ。贅沢どころか、昨夜の夕食は豆の煮込みだ。

でも、噂は真実よりも速く、そして面白おかしく伝播する。 特に、貧しく、不満が溜まっている場所では、誰か一人の「悪者」を作ることで、その鬱屈を晴らそうとする心理が働く。 私は、格好の標的(スケープゴート)なのだ。

「堂々としていなさい、カノン」

私は鏡の前で、ドレスの襟を正した。

「やましいことは何一つしていないわ。コソコソすれば、それこそ噂を肯定することになる」

「は、はい……」

「さあ、朝食の準備よ。今日は甘いものが必要ね。頭を働かせるためにも」

私はカノンを促し、部屋を出た。 廊下ですれ違う使用人たちの視線が、昨日までとは明らかに違っていた。 目を合わせようとせず、すれ違いざまに囁き合う。 針のむしろとは、このことだ。

        * * *

事態は、想像よりも深刻だった。 午前中、バルガスが血相を変えて屋敷にやってきた。

「おい、お嬢ちゃん! 大変だ!」

彼は玄関ホールで大声を上げた。 執事が止めようとするのを振り切り、私の前に立ちはだかる。

「屋台が……俺たちの屋台が、滅茶苦茶にされちまった!」

「……なんですって?」

私はバルガスと共に、街道沿いの広場へと急いだ。 そこにあった光景に、私は言葉を失った。

私たちが手作りで組み立てた屋台は、無残に倒され、骨組みがへし折られていた。 風よけの布は切り裂かれ、泥にまみれている。 大切にしていた炭火コンロは蹴り飛ばされ、灰が雪の上に黒い染みを作っていた。 そして、看板には赤いペンキで大きく『詐欺師』と書かれていた。

「……酷い」

カノンが口元を押さえて立ち尽くす。 バルガスが、折れた柱を蹴り飛ばした。

「誰がやりやがった! 昨日の夜までは何ともなかったんだぞ!」

「……見せしめよ」

私は冷静に、倒れた看板を起こした。

「屋台が再開できないように物理的に破壊し、同時に『悪役令嬢に関わるとこうなる』という恐怖を植え付ける。……ミシェルのやりそうなことだわ」

周囲には、遠巻きに領民たちが集まっていた。 だが、誰も近づこうとはしない。 手伝おうともしない。 その目にあるのは、同情ではなく、疑惑と恐怖だった。 「本当にお金を盗んだのか?」「関わらない方がいい」「明日は我が身だ」 そんな心の声が聞こえてくるようだった。

パン粥で温まったはずの心は、一夜にして冷え切ってしまった。 信頼とは、積み上げるのは石垣のように大変だが、崩れるのは雪崩のように一瞬だ。

「……くそっ! みんな、何を見てるんだ! お嬢ちゃんが俺たちのために何をしてくれたか、忘れたのか!」

バルガスが領民たちに向かって怒鳴る。 だが、一人の男が冷ややかに言い返した。

「バルガス、お前も騙されてるんだよ。王都から監査官が来るんだろ? 不正が見つかったら、協力者のお前だって捕まるぞ」

「なんだと!?」

「やめなさい、バルガス」

私はバルガスの腕を掴んで止めた。

「暴力で解決しようとすれば、それこそ彼らの思う壺よ。『野蛮な私兵を使って領民を脅した』なんて報告書を書かれたら、終わりだわ」

「じゃあ、どうするんだよ! 泣き寝入りか!?」

「いいえ」

私は赤いペンキで汚された看板を指先でなぞった。

「修復するわ。屋台も、信頼も」

「修復って……こんなガラクタ、直したってまた壊されるぞ」

「壊されたら、また直す。何度でもね。でも……まずは心の修復が必要だわ」

私は群衆を見渡した。 大人たちの目は濁っている。疑心暗鬼というフィルターがかかっている。 言葉は届かない。 なら、届くのは『感覚』だけだ。 理屈を超えた、本能に訴えかける何か。

「バルガス、カノン。屋敷に戻るわよ。……『焼き菓子』を作るわ」

        * * *

屋敷の厨房。 私は棚の奥深くに隠されていた、小さな缶を取り出した。 中に入っているのは、白く輝く結晶。 砂糖だ。 この辺境では金粉と同じくらい貴重な、純白の精製糖。 レオン子爵が「大事な客が来た時のために」と取っておいたものらしいが、今こそ使い時だ。

「セシリア様、砂糖を使って……何を作るんですか?」

カノンが不安そうに尋ねる。

「『塩キャラメル・ガレット』よ」

「塩……キャラメル?」

「ええ。砂糖を焦がして、そこに塩を加えるの。……今の私たちの状況にぴったりだと思わない?」

私は鍋に砂糖を入れた。 水は入れない。 弱火にかける。

「見ていてね。砂糖は、熱を加えると表情を変えるの」

鍋の底で、白い結晶が溶け始める。 透明な液体になり、やがて薄い黄色へ。 そして、狐色へ。 甘い香りが立ち昇る。 だが、まだだ。まだ早い。

さらに加熱を続ける。 狐色は褐色へ、そして濃い琥珀色へと変わっていく。 甘い香りの中に、ふわりと香ばしい、焦げた匂いが混ざり始める。

「……焦げちゃいます!」

カノンが慌てる。

「いいの。この『焦げ』こそが重要なのよ」

ただ甘いだけのお菓子は、子供騙しだ。 人生の酸いも甘いも噛み分けた大人たち、そして疑心暗鬼という苦味を知ってしまった人々の心に届くのは、清廉潔白な甘さではない。 苦味を内包し、それを旨味へと昇華させた、深みのある甘さだ。

煙が立つ寸前。 ギリギリのタイミングで、私は鍋を火から降ろした。 そこに、温めておいた少量の生クリーム(昨夜、トムが農家から分けてもらった山羊の乳のクリームだ)を一気に加える。

ジュワァァァァッ!!

激しい音と共に、鍋の中身が泡立つ。 琥珀色の液体が、濃厚なクリーム色へと変化し、艶やかなソースになる。 キャラメルソースの完成だ。

そして、ここに魔法をかける。 例の『湿った塩』だ。 精製されていない、ミネラルたっぷりの灰色の塩。 これを、ひとつまみ。

パラリ。

甘みの中に、鋭い塩気が加わる。 これが味の輪郭を引き締め、キャラメルのコクを爆発的に高める。

「味見してみて」

私は木匙に少しだけキャラメルを取り、カノンの口に入れた。

「……ん!」

カノンが目を見開く。

「苦い……あ、でも、甘い! しょっぱいのに、甘い……!」

「でしょう? 噂という苦味も、悪意という塩辛さも、すべてを飲み込んで甘美な味わいに変える。それが、このキャラメルよ」

私はこのキャラメルソースを、小麦粉とバター(これも貴重品だが惜しまない)を混ぜた生地に練り込んだ。 さらに、刻んだクルミを混ぜる。 生地を丸め、平たく伸ばし、天板に並べる。

オーブン――と言っても、薪を使った石窯だが――に入れる。 温度管理は私の『火守』の独壇場だ。 高温で一気に焼き上げるのではない。 じっくりと、キャラメルの香ばしさを引き出すように、中まで火を通す。

二十分後。 厨房は、幸せの香りで満たされていた。 バターの濃厚な香り、焦がし砂糖のほろ苦い香り、焼けた小麦の香ばしさ。 どんな悪意ある噂も、この香りの前では霞んでしまうほどの、圧倒的な『幸福』の匂い。

焼き上がったガレットは、濃い黄金色をしていた。 表面はザクザクとひび割れ、そこからキャラメルが艶やかに覗いている。 仕上げに、表面にほんの少しだけ、大粒の塩を振る。

「さあ、これを持っていくわよ」

「どこへ?」

「決まっているじゃない。壊された屋台の前よ」

        * * *

私たちは再び、広場へと戻った。 壊れた屋台の前に、小さなテーブルを出し、そこにバスケットいっぱいのガレットを並べた。

「皆様! 焼き立てのガレットはいかがですか! お代はいただきません! 試食会です!」

私は声を張り上げた。 雪がちらつく中、湯気を立てるお菓子。 その香りは、風に乗って広場中に広がった。

しかし、人々の反応は鈍かった。 遠巻きに見ているだけで、誰も近づこうとしない。 「タダほど怖いものはない」「毒が入っているかもしれない」 そんな囁きが聞こえる。

「……へっ、懲りねぇな」

人垣を割って、数人の男たちが現れた。 ミシェルの部下たちだ。 手には棍棒を持っている。

「おいおい、営業停止中だと言っただろう? また店を開く気か?」

「営業ではありませんわ。これは個人的な『お茶会』です。領民の皆様に、日頃の感謝を込めてお菓子を振る舞っているだけ」

私は毅然と言い返した。

「口の減らない女だ。……そんな怪しい菓子、誰も食わねぇよ。さっさと片付けろ」

男の一人が、テーブルの上のバスケットを薙ぎ払おうと棍棒を振り上げた。

「やめろ!」

バルガスが飛び出そうとする。 だが、それより早く。

「待って!」

小さな影が、私の前に飛び出してきた。 それは、あのパン粥の時の少年だった。 少し汚れた服を着て、鼻を赤くした男の子。

「……ボク、食べる」

少年は、男たちの前で小さな手を伸ばした。

「坊主、やめとけ。腹壊すぞ」

男が脅すが、少年は怯えながらも、その目はバスケットの中のお菓子に釘付けだった。 甘い匂い。 子供にとって、その誘惑は何よりも勝る正義だ。

私はしゃがみ込み、一番形の良いガレットを彼に手渡した。

「どうぞ。……少し大人の味だけど、食べられるかしら?」

少年はガレットを両手で持ち、大きく口を開けて齧り付いた。

ザクッ。

いい音が響いた。 少年の動きが止まる。 口の中に広がる、ザクザクとした食感。 噛むほどに溶け出す、バターのコクとキャラメルの濃厚な甘み。 そして、時折現れる塩の粒が、舌をピリリと刺激し、次の瞬間には甘さを何倍にも増幅させる。

「…………」

少年は黙ったまま、二口、三口と頬張った。 そして、満面の笑みを浮かべて叫んだ。

「おいしーーーい!!」

その声は、曇天の空を切り裂くファンファーレのように響いた。

「苦くない! すっごく甘い! カリカリで、トロトロで、おいしい!」

少年は飛び跳ねた。 その姿を見て、遠巻きにしていた他の子供たちも、我慢できずに駆け寄ってきた。

「ボクも!」「ワタシも!」 「こら、待ちなさい!」親たちが止めようとするが、子供たちは止まらない。 香りの魔力と、友達の笑顔。 それに勝てる理屈など、この世には存在しない。

私は次々とガレットを配った。 子供たちが口々に「おいしい」「すごい」と声を上げる。 その屈託のない笑顔を見て、親たちの表情も次第に和らいでいく。

「……あんなに喜んでる」 「毒なんて入ってるわけないか」 「……俺も、一つもらおうかな」

一人が手を伸ばすと、堰を切ったように大人たちも集まってきた。 ミシェルの部下たちは、舌打ちをして後ずさる。 「ちっ、ガキを使いやがって……」

彼らは完全に空気を読み違えていた。 子供の笑顔を守ろうとするのが、親という生き物だ。 子供を脅す奴と、子供を笑顔にする奴。 どちらが『悪』か、理屈抜きで答えは出ている。

バルガスが、ガレットを齧りながらニヤリと笑った。

「へへっ……こりゃあ一本取られたな。苦い噂も、この甘さには敵わねぇや」

「ええ。味は嘘をつきませんから」

私は微笑んだ。 キャラメルのほろ苦さは、今の私たちの状況そのもの。 でも、その中には確かな甘みがある。 領民たちは、それを舌で理解してくれたのだ。

その時だった。

広場の外れ、街道の向こうから、一台の馬車が近づいてくるのが見えた。 黒塗りの、装飾の少ない、質実剛健な馬車。 御者台には、軍人のように背筋を伸ばした御者が座っている。 そして馬車の扉には、王家の紋章と『天秤』のマーク。

「……来た」

私の背筋が凍りついた。 会計監察局の馬車だ。

広場の喧騒が、波が引くように静まり返る。 領民たちも、ガレットを持ったまま動きを止めた。 ミシェルの部下たちが、ニタリと下卑た笑みを浮かべる。 「お出ましだぞ。年貢の納め時だな」

馬車が、屋台の残骸の前で静かに停止した。 扉が開く。 冷たい空気が、さらに一度下がった気がした。

最初に降りてきたのは、磨き上げられた革靴。 続いて、塵一つない濃紺のコート。 銀縁の眼鏡。 そして、彫刻のように整っているが、感情の一切を削ぎ落とした冷徹な美貌。

アーネスト・カレル。 『氷の貴公子』が、そこに立っていた。

彼は無言で広場の惨状を見渡し、最後に私へと視線を固定した。 その瞳は、まるで標本を見るかのように無機質で、冷たかった。

「……騒がしいな」

彼の第一声は、低く、よく通る声だった。 だが、そこには感動も怒りもない。ただの事実の確認。

「グランシェ子爵領。……到着早々、随分と興味深い光景を見せてもらった」

彼は倒された屋台と、ペンキで書かれた『詐欺師』の文字を一瞥した。

「セシリア・ヴァレリー。貴女が関わると、どこでもトラブルが起きるというのは本当らしい」

「……ごきげんよう、アーネスト様」

私は震える足をドレスの中で隠し、精一杯のカーテシーをした。

「お久しぶりですわね。歓迎いたしますわ」

「歓迎?」

彼は鼻で笑った。

「私は遊びに来たのではない。……貴女と、この領地の『膿』を出し切るために来たのだ」

彼の視線は、私の手に残っていたガレットに向けられた。

「……また、そのようなもので民を惑わせているのか? 甘い菓子で機嫌を取っても、帳簿の数字は変わらないぞ」

鋭い。 彼は私のやっていることを、『誤魔化し』だと断じたのだ。 領民たちが、不安そうに私と彼を見比べている。

その時。 私の後ろから、一人の男が進み出た。 レオン子爵だった。 彼は、いつものような猫背ではなく、胸を張って立っていた。 その口元には、クッキーの食べかすが少しついていたが、その表情は今までで一番凛々しかった。

「ようこそ、監察官殿」

レオン子爵は、アーネストの前に立ち塞がるようにして言った。

「当家の料理は、ただの菓子ではない。我々の誇りだ。……それを『惑わせる』などと侮辱することは、当主として許さん」

「……ほう?」

アーネストの眉が、わずかに動いた。 あの「うだつの上がらない」レオンが、王都の役人に言い返したのだ。 周囲から、小さなどよめきが起こる。

「私のことはいくら調べても構わん。だが、私の婚約者と、領民たちの努力を否定することはさせない」

レオン子爵は、私の方を振り返り、ニカっと笑った。

「セシリア。客人をもてなす準備を頼む。……最高の料理で、彼の冷え切った舌を驚かせてやろうじゃないか」

「……はい!」

私は強く頷いた。 そうだ。逃げも隠れもしない。 噂も、借金も、そしてこの冷徹な監察官も。 すべて、私の料理で『調理』してみせる。

アーネストは、ふんと鼻を鳴らし、眼鏡の位置を直した。

「……いいだろう。その『誇り』とやらが、数字の前でどれだけ通用するか、見せてもらおうか」

彼は踵を返し、屋敷の方へと歩き出した。 その背中は、どんな城壁よりも高く、頑強に見えた。

雪が強くなってきた。 広場には、まだキャラメルの甘い香りが残っていた。 その香りが、これから始まる厳しい戦いにおける、唯一の希望のようだった。
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