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第一章 初恋
第八話 竜騎士団の契約竜 ①
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「ようこそ! マリシリスティア姫殿下。私は、竜騎士団の竜団長のメイラビア=キプトと申します。本日、竜騎士団、団長及び副団長は会議の為、私がご案内役を仰せつかりました。どうぞ、宜しくお願いいたします!」
竜騎士団の制服を着た、二十代前半の女性から、元気いっぱいのご挨拶をいただいた。
彼女は、涼しげな水色の瞳と栗色の髪をきっちり結い上げた長身の美女だ。
後ろには、十人ぐらいの団員らしき人達が、ずらりと整列している。
「マリシリスティアです。どうぞ、宜しくお願いします…… 」
私は、エルシアとの打ち合わせどおりに挨拶を返した。あ、今は子供抱っこから、降ろしてもらっている。…… なぜだろう、それ以上言葉を続ける事が出来ない。竜騎士の皆さんは、背が高いだけでなく、細身で足が長いし、キラキラの美男美女しかいない! 顔なのか?! 竜騎士団の入団試験は顔面偏差値で採用するのか?! しかも、得体の知れない、もの凄い圧力をジリジリ感じる。
「か、可愛い…… 」
「姫様、噂以上に可愛い!」
「あの氷の王女の娘に見えない」
「姫様、早く遊びましょう」
「さ、触ってもいいですか?」
「契約竜組、ちょっと落ち着け、落ち着け!」
整列していた美形軍団の半分くらいが、どっといきなり距離を詰めてきた。私は、びっくりして横に控えていたエルシアのドレスに抱きついた。すると、一斉に彼らはどよめいた。
「こ、これは…… 」
「噂以上!」
「姫様、最高!」
「きゃあ、ステキ!」
「うわあああぁぁ!」
「こ、こら! これ以上は!不敬だろ!」
ななな、何ですか?! こんな反応されたことない! こ、怖いよ、エルシアっ! 私は、エルシアを見上げて目で訴えた。エルシアは、私に頷き返すと、にっこりと微笑み竜騎士団の方々に宣言した。
「竜騎士団の契約竜の皆様、我が姫様が『類い稀なる愛らしさ』をお持ちなので、興奮されるのも解ります。しかし、これ以上 姫様をむやみに怖がらせる様な行動や、不審な言動をなさいますのなら、今すぐ、帰ります!」
「お、お待ち下さい! 侍女殿!」
「整列!!」
私に、手を伸ばせば届きそうなくらい近寄っていた集団が、先ほどの位置まで一斉に下がり整列した。
「申し訳ございません。契約竜一同、失礼をいたしました。お詫び申し上げます」
たしか、メイラビア竜団長だっけ、片膝をついて頭を下げられちゃった。
「い、いえ、ちょっと驚いただけです。契約竜といわれましたが、貴殿方《あなたがた》は、竜族なのですか?」
「はい。制服の胸章が赤いのが契約竜で、白いのが契約者です」
あ、本当だ、シンプルな紺の詰襟みたいな軍服の胸に、小さな胸章が光っている。前列に赤い胸章の契約竜が、後列に白い胸章の契約者が並んでいる。多分、それぞれがペアなんだろう。
竜騎士団の制服は、近衛騎士の様に華やかな装飾はないけれど、デザインや配色がオシャレで細かい部分が凝っているね。
例えば、青いラインが胸元の切り返しに沿って入っている。袖口にもラインが入り、同色の細かな刺繍があちこちを飾っていた。スラックスも立体裁断されているのか、独特の縫製のラインがある。ブーツも、ふくらはぎまであって、裾が入れられていた。後ろが少し長めで乗馬服っぽく、ヒラリと二つに深く分かれていた。
「エルシア、もう大丈夫です。参りましょう」
「はい、姫様。契約竜の方々、くれぐれも注意事項を守って下さいませ …… !」
エルシアが、母上みたいに微笑みながら怒っているよ。皆さんも、エルシアの気迫に慄いてコクコク頷いている。
ところで、注意事項ってなんだろう? さっき、みたいに興奮するなとか? 竜族って、私がイメージしていたのと違って、親しみやすい一族なのかな?
「姫様、今度は私がお連れいたします」
「はい、イトラス。よろしくお願いします」
護衛騎士のイトラスに子供抱っこされた。うん、ロベルトよりしなやかな筋肉なのかな、硬くはないけれど、太さが足りない気が…… ああ、私は筋肉評論家なんて目指してないから。ないからね。
竜騎士団専用通路は、普通の廊下に見えた。ただ、ひたすら長い。窓はあるけど、扉がない。本当に渡り廊下的な役目なのだ。途中、廊下の端で頭を下げた、竜騎士団専属の女官とすれ違った。王宮の女官は、黒い制服だけど、彼女達は紺色の制服だった。
竜騎士団の詰所や契約者の寮は、武骨な要塞内部という印象だった。きっちりと石を積み上げた壁は頑丈な造りで、扉や窓枠も実用的な物だった。きっと、古い年代の建物を利用していると思われる。床は石だったが、天井は板張りだから上階は木造かもしれない。
私が良く出入りする、近衛騎士団の詰所は、何処のサロンですか? と、尋ねたくなるくらい華美で豪華だ。廊下は、壁に絵画が並び、フカフカの絨毯が敷かれていた。細かな彫刻の扉を開くと、上質な家具やソファーが置かれている。
そこで、剣や鎧を身に付けた騎士達が、優雅にお茶を飲んで歓談しているという、異様な光景が見られる。近衛騎士は、ほとんど貴族出身者だ。新人騎士の親の寄付金がねぇって、父上が言葉を濁しながら遠い目をしていた。
「竜騎士団の契約者は、平民出身者が多いので、無礼があっては困りますから、詰所本部に姫殿下をご案内出来ないのです」
メイラビア竜団長が、眉を八の字にして言った。うん、わかっています。いろんな大人の事情があるよね。何も、表も裏も全て見たい訳じゃないからね。本命は、こっちだからね!
「あの、私は、竜族の方が空を飛ばれるところを見たいのです!」
「はい! ご案内します。契約竜の寮の飛行場を使用いたしましょう」
メイラビア竜団長は、とても嬉しそうに返事をした。なんだろう、竜団長の後ろに、全力でぶんぶん振れているシッポの幻が見える。
他の竜騎士達も、テンション高めで、ぞろぞろ後ろを着いてくる。本当は、皆さんにも自己紹介して欲しかったけど、見学時間が限られているのと、私の負担が増えない様にと、配慮してくれたらしい。
メイラビア竜団長が、詰所の廊下の突き当たりの扉を開けると、ゴツゴツとした岩山が広がっていた。巨石の間に石の階段が上に向かって伸びていた。
イトラスに抱っこされたまま、二階分くらい昇ると、平らな場所に出た。そこから、林の中の緩やかな坂道を行くと、蔦のからまる石造りの建物が見えてきた。
「こちらが、契約竜の寮です。竜の姿で過ごす者より、人型で過ごす者が大多数なので、内部は普通の部屋です。竜の姿で休む場合は、竜騎士団の敷地内なら、自由にしていいとされています」
「竜の姿の為の寮は、無いのですか?」
「竜の姿の時は、屋根や壁のある場所で過ごす必要が無いので大丈夫です。どうぞ、こちらです」
契約竜の寮は、こげ茶色の丸い屋根のついた円形の五階建ての大きな塔に、左右対称の三階建ての長方形の建物がくっついた形をしていた。
塔の重い扉が、左右に開かれて、私達は内部に入って驚いた。塔の内部は吹き抜けで、中心に大木が植えられていた。それに、外と変わらない明るい室内だった。
「普段の契約竜の寮は、関係者以外入れません。本日は、姫殿下御一行だけ特別に一部お見せいたします」
「うわぁ …… !」
「姫様、素晴らしい魔術ですわ」
私とエルシアは、思わず見上げて口を開けてしまった。
中央の塔の天井は、魔術で透明になっていた。梁や建物の骨組みが半透明の影を作っている。
中央の広葉樹は、三階に届きそうなくらい、青々と繁っていた。明るい日射しが降りそそぎ屋内である事を忘れてしまいそうだった。周りに色んな形のテーブルやソファーが点在している。
契約竜の寮は『囁きの森』と呼ばれている。ちなみに、各騎士団の詰所や団員の寮に別称はない。魔術師ギルドの『茨の塔』は、組織の別名だ。
「契約竜の寮は、掃除などを行う専属女官以外は、基本的に竜族以外立入禁止です。竜騎士の契約の為、契約竜は他族との会話に制限がかかります。契約竜の会話が聞き取れる範囲内に、他種族が立ち入ると発動する魔法契約の制限です」
「竜騎士の契約とは、色々と大変なのですね。契約竜の寮が『囁きの森』と呼ばれる理由はそこからなのですね」
「はい。なので、気兼ねなく仲間と会話を楽しむために、竜騎士団専属女官の中には、竜族もいて、契約竜の寮に住み込み常駐しています」
「寮には、何名くらい、いらっしゃるのですか?」
「それは、竜騎士団の最大の機密保持事項です」
「そうなのですか?」
「はい。竜騎士が総勢何名いるのか、それは、ファルザルク王国だけでなく、各国の最大の機密です。申し訳ございません」
「???」
「姫様、竜騎士団の機密については、今度お勉強いたしましょう」
「エルシア、わかりました」
メイラビア竜団長も、わかったからそんなにしょんぼりしないでね。幻の耳とシッポが、しょげている。なんてワンコ気質なのだろう。美人なのに勿体ない。
吹き抜けの上階の廊下から、普段着でこちらを見ている者達がいた。
そんな彼らの中に、どう見ても未成年の少年がいた。ほんのり青みのかかった白い髪をした、十代後半の美少年だ。きらきらした、金色の大きな目が印象的で、好奇心いっぱいに私を見ていた。
私に近づこうとして、年長者らしき男性に引き留められている。あ、頭に拳骨されている。痛そう …… 。
「では、飛行場に参りましょう!」
「はい。よろしくお願いします!」
いよいよ、竜が空を飛ぶ姿が! わくわくするよ!
竜騎士団の制服を着た、二十代前半の女性から、元気いっぱいのご挨拶をいただいた。
彼女は、涼しげな水色の瞳と栗色の髪をきっちり結い上げた長身の美女だ。
後ろには、十人ぐらいの団員らしき人達が、ずらりと整列している。
「マリシリスティアです。どうぞ、宜しくお願いします…… 」
私は、エルシアとの打ち合わせどおりに挨拶を返した。あ、今は子供抱っこから、降ろしてもらっている。…… なぜだろう、それ以上言葉を続ける事が出来ない。竜騎士の皆さんは、背が高いだけでなく、細身で足が長いし、キラキラの美男美女しかいない! 顔なのか?! 竜騎士団の入団試験は顔面偏差値で採用するのか?! しかも、得体の知れない、もの凄い圧力をジリジリ感じる。
「か、可愛い…… 」
「姫様、噂以上に可愛い!」
「あの氷の王女の娘に見えない」
「姫様、早く遊びましょう」
「さ、触ってもいいですか?」
「契約竜組、ちょっと落ち着け、落ち着け!」
整列していた美形軍団の半分くらいが、どっといきなり距離を詰めてきた。私は、びっくりして横に控えていたエルシアのドレスに抱きついた。すると、一斉に彼らはどよめいた。
「こ、これは…… 」
「噂以上!」
「姫様、最高!」
「きゃあ、ステキ!」
「うわあああぁぁ!」
「こ、こら! これ以上は!不敬だろ!」
ななな、何ですか?! こんな反応されたことない! こ、怖いよ、エルシアっ! 私は、エルシアを見上げて目で訴えた。エルシアは、私に頷き返すと、にっこりと微笑み竜騎士団の方々に宣言した。
「竜騎士団の契約竜の皆様、我が姫様が『類い稀なる愛らしさ』をお持ちなので、興奮されるのも解ります。しかし、これ以上 姫様をむやみに怖がらせる様な行動や、不審な言動をなさいますのなら、今すぐ、帰ります!」
「お、お待ち下さい! 侍女殿!」
「整列!!」
私に、手を伸ばせば届きそうなくらい近寄っていた集団が、先ほどの位置まで一斉に下がり整列した。
「申し訳ございません。契約竜一同、失礼をいたしました。お詫び申し上げます」
たしか、メイラビア竜団長だっけ、片膝をついて頭を下げられちゃった。
「い、いえ、ちょっと驚いただけです。契約竜といわれましたが、貴殿方《あなたがた》は、竜族なのですか?」
「はい。制服の胸章が赤いのが契約竜で、白いのが契約者です」
あ、本当だ、シンプルな紺の詰襟みたいな軍服の胸に、小さな胸章が光っている。前列に赤い胸章の契約竜が、後列に白い胸章の契約者が並んでいる。多分、それぞれがペアなんだろう。
竜騎士団の制服は、近衛騎士の様に華やかな装飾はないけれど、デザインや配色がオシャレで細かい部分が凝っているね。
例えば、青いラインが胸元の切り返しに沿って入っている。袖口にもラインが入り、同色の細かな刺繍があちこちを飾っていた。スラックスも立体裁断されているのか、独特の縫製のラインがある。ブーツも、ふくらはぎまであって、裾が入れられていた。後ろが少し長めで乗馬服っぽく、ヒラリと二つに深く分かれていた。
「エルシア、もう大丈夫です。参りましょう」
「はい、姫様。契約竜の方々、くれぐれも注意事項を守って下さいませ …… !」
エルシアが、母上みたいに微笑みながら怒っているよ。皆さんも、エルシアの気迫に慄いてコクコク頷いている。
ところで、注意事項ってなんだろう? さっき、みたいに興奮するなとか? 竜族って、私がイメージしていたのと違って、親しみやすい一族なのかな?
「姫様、今度は私がお連れいたします」
「はい、イトラス。よろしくお願いします」
護衛騎士のイトラスに子供抱っこされた。うん、ロベルトよりしなやかな筋肉なのかな、硬くはないけれど、太さが足りない気が…… ああ、私は筋肉評論家なんて目指してないから。ないからね。
竜騎士団専用通路は、普通の廊下に見えた。ただ、ひたすら長い。窓はあるけど、扉がない。本当に渡り廊下的な役目なのだ。途中、廊下の端で頭を下げた、竜騎士団専属の女官とすれ違った。王宮の女官は、黒い制服だけど、彼女達は紺色の制服だった。
竜騎士団の詰所や契約者の寮は、武骨な要塞内部という印象だった。きっちりと石を積み上げた壁は頑丈な造りで、扉や窓枠も実用的な物だった。きっと、古い年代の建物を利用していると思われる。床は石だったが、天井は板張りだから上階は木造かもしれない。
私が良く出入りする、近衛騎士団の詰所は、何処のサロンですか? と、尋ねたくなるくらい華美で豪華だ。廊下は、壁に絵画が並び、フカフカの絨毯が敷かれていた。細かな彫刻の扉を開くと、上質な家具やソファーが置かれている。
そこで、剣や鎧を身に付けた騎士達が、優雅にお茶を飲んで歓談しているという、異様な光景が見られる。近衛騎士は、ほとんど貴族出身者だ。新人騎士の親の寄付金がねぇって、父上が言葉を濁しながら遠い目をしていた。
「竜騎士団の契約者は、平民出身者が多いので、無礼があっては困りますから、詰所本部に姫殿下をご案内出来ないのです」
メイラビア竜団長が、眉を八の字にして言った。うん、わかっています。いろんな大人の事情があるよね。何も、表も裏も全て見たい訳じゃないからね。本命は、こっちだからね!
「あの、私は、竜族の方が空を飛ばれるところを見たいのです!」
「はい! ご案内します。契約竜の寮の飛行場を使用いたしましょう」
メイラビア竜団長は、とても嬉しそうに返事をした。なんだろう、竜団長の後ろに、全力でぶんぶん振れているシッポの幻が見える。
他の竜騎士達も、テンション高めで、ぞろぞろ後ろを着いてくる。本当は、皆さんにも自己紹介して欲しかったけど、見学時間が限られているのと、私の負担が増えない様にと、配慮してくれたらしい。
メイラビア竜団長が、詰所の廊下の突き当たりの扉を開けると、ゴツゴツとした岩山が広がっていた。巨石の間に石の階段が上に向かって伸びていた。
イトラスに抱っこされたまま、二階分くらい昇ると、平らな場所に出た。そこから、林の中の緩やかな坂道を行くと、蔦のからまる石造りの建物が見えてきた。
「こちらが、契約竜の寮です。竜の姿で過ごす者より、人型で過ごす者が大多数なので、内部は普通の部屋です。竜の姿で休む場合は、竜騎士団の敷地内なら、自由にしていいとされています」
「竜の姿の為の寮は、無いのですか?」
「竜の姿の時は、屋根や壁のある場所で過ごす必要が無いので大丈夫です。どうぞ、こちらです」
契約竜の寮は、こげ茶色の丸い屋根のついた円形の五階建ての大きな塔に、左右対称の三階建ての長方形の建物がくっついた形をしていた。
塔の重い扉が、左右に開かれて、私達は内部に入って驚いた。塔の内部は吹き抜けで、中心に大木が植えられていた。それに、外と変わらない明るい室内だった。
「普段の契約竜の寮は、関係者以外入れません。本日は、姫殿下御一行だけ特別に一部お見せいたします」
「うわぁ …… !」
「姫様、素晴らしい魔術ですわ」
私とエルシアは、思わず見上げて口を開けてしまった。
中央の塔の天井は、魔術で透明になっていた。梁や建物の骨組みが半透明の影を作っている。
中央の広葉樹は、三階に届きそうなくらい、青々と繁っていた。明るい日射しが降りそそぎ屋内である事を忘れてしまいそうだった。周りに色んな形のテーブルやソファーが点在している。
契約竜の寮は『囁きの森』と呼ばれている。ちなみに、各騎士団の詰所や団員の寮に別称はない。魔術師ギルドの『茨の塔』は、組織の別名だ。
「契約竜の寮は、掃除などを行う専属女官以外は、基本的に竜族以外立入禁止です。竜騎士の契約の為、契約竜は他族との会話に制限がかかります。契約竜の会話が聞き取れる範囲内に、他種族が立ち入ると発動する魔法契約の制限です」
「竜騎士の契約とは、色々と大変なのですね。契約竜の寮が『囁きの森』と呼ばれる理由はそこからなのですね」
「はい。なので、気兼ねなく仲間と会話を楽しむために、竜騎士団専属女官の中には、竜族もいて、契約竜の寮に住み込み常駐しています」
「寮には、何名くらい、いらっしゃるのですか?」
「それは、竜騎士団の最大の機密保持事項です」
「そうなのですか?」
「はい。竜騎士が総勢何名いるのか、それは、ファルザルク王国だけでなく、各国の最大の機密です。申し訳ございません」
「???」
「姫様、竜騎士団の機密については、今度お勉強いたしましょう」
「エルシア、わかりました」
メイラビア竜団長も、わかったからそんなにしょんぼりしないでね。幻の耳とシッポが、しょげている。なんてワンコ気質なのだろう。美人なのに勿体ない。
吹き抜けの上階の廊下から、普段着でこちらを見ている者達がいた。
そんな彼らの中に、どう見ても未成年の少年がいた。ほんのり青みのかかった白い髪をした、十代後半の美少年だ。きらきらした、金色の大きな目が印象的で、好奇心いっぱいに私を見ていた。
私に近づこうとして、年長者らしき男性に引き留められている。あ、頭に拳骨されている。痛そう …… 。
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