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学園祭大騒ぎ その6
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その頃、ウサギカフェのフレイラはトレーを床に落としアイスコーヒーを盛大にぶちまけて呆然と立ちつくしていた。突然消失した仙一郎の気配。それは彼に何か不測の事態が起こった証拠だったからだ。彼の位置を把握していたとはいえ学園祭の雰囲気に気が緩み本来の務めを疎かにしてしまったことを後悔した。
完璧主義者のフレイラにとって警固役の務めを果たせなかったことは痛恨の極みではあったが、それ以上に仙一郎の安否を思うと、頭がくらくらし、心臓がばくばくと鳴り、汗が噴き出してきた。
「顔色が真っ青!大丈夫ですか?」
「え?ええ…」
川相が心配して駆け寄って来るが生返事するのが精一杯だった。床にちらばったグラスの破片を拾っている川相の姿を心ここにあらずといった表情で、ただぼーっと眺める。
「ちょっと!呆けてないデこっちに来なサイ!」
そんなフレイラの手をつかむと強引に引っ張ったのはリザだった。彼女はそのまま隣のひと気のない教室ーーーカフェのバックヤードにフレイラを連れていくといつもの陽気な姿とは打って変わり畏怖を感じさせる目つきで睨み、鋭い口調で怒鳴りつけた。
「しっかりしな!仙一郎の気配が消えたのは眷属の私も感じたよ!」
「私がしっかりしてなかったから…こんなことに…仙一郎様…」
リザは呆然とするフレイラの様子にため息をつく。
「気配が消えたのは確かだけど、まだ何があったか分からないだろ?何もう手遅れみたいな顔してんの!」
「でも…」
「アンタ、仙一郎のこと見くびりすぎだよ。これしきのことで簡単にくたばるほど彼はヤワじゃないんだ!とにかくもう一度、居場所を探すよ。」
「?」
リザは釈然としない表情のフレイラにため息をつく。
「だからアンタは、ナマクラだって言うんだよ!二人で協力して彼の気配を探れば精度が上がるだろ?不本意だけどアンタの力を貸しな!」
「分かった…」
フレイラは両手を差し出すとリザはその手を握り二人は向かい合って立ったまま目をつぶる。薄暗い部屋に立つ二人の身体がぼんやりと発光し張りつめた空気が流れ魔力で気配を探る。
学園祭で賑わう構内の沢山の人々の気配が二人の頭の中に流れ込む。模擬店を楽しむ来客にパーフォ―マンスを披露する学生、食事をする子供達、川相をはじめとした知り合いなど数百の気配を見極める。能力は共振しその精緻さは増していき、ひとりではぼんやりとしか感じられない無数の気配をはっきりと捉えさらに僅かな気配までも感じ取っていく。そして本当に小さな、見逃してしまうほど小さな気をつかまえる。
「これ…微かだけど仙一郎様の気配だ!よかったぁ…」
フレイラが声を弾ませる。
「集中を乱さない!正確に座標を特定しないと。」
リザが戒めるとフレイラははっとして再び集中する。さらに精度を高めて仙一郎の居場所をはっきりさせる。
「微妙に気配がずれてぼやけてるけど…これ…間違いない!特定した!仙一郎は位相転移されたんだ!誰がこんな舐めたマネを!」
リザはそう言うと目を開け、真っ赤に輝く目で怒りをあらわにし、フレイラは右手に出現させた剣を力強く握ると
「とにかく急ぎましょう!仙一郎様のところに!」
そう言うと、二人は教室を飛び出していった。
完璧主義者のフレイラにとって警固役の務めを果たせなかったことは痛恨の極みではあったが、それ以上に仙一郎の安否を思うと、頭がくらくらし、心臓がばくばくと鳴り、汗が噴き出してきた。
「顔色が真っ青!大丈夫ですか?」
「え?ええ…」
川相が心配して駆け寄って来るが生返事するのが精一杯だった。床にちらばったグラスの破片を拾っている川相の姿を心ここにあらずといった表情で、ただぼーっと眺める。
「ちょっと!呆けてないデこっちに来なサイ!」
そんなフレイラの手をつかむと強引に引っ張ったのはリザだった。彼女はそのまま隣のひと気のない教室ーーーカフェのバックヤードにフレイラを連れていくといつもの陽気な姿とは打って変わり畏怖を感じさせる目つきで睨み、鋭い口調で怒鳴りつけた。
「しっかりしな!仙一郎の気配が消えたのは眷属の私も感じたよ!」
「私がしっかりしてなかったから…こんなことに…仙一郎様…」
リザは呆然とするフレイラの様子にため息をつく。
「気配が消えたのは確かだけど、まだ何があったか分からないだろ?何もう手遅れみたいな顔してんの!」
「でも…」
「アンタ、仙一郎のこと見くびりすぎだよ。これしきのことで簡単にくたばるほど彼はヤワじゃないんだ!とにかくもう一度、居場所を探すよ。」
「?」
リザは釈然としない表情のフレイラにため息をつく。
「だからアンタは、ナマクラだって言うんだよ!二人で協力して彼の気配を探れば精度が上がるだろ?不本意だけどアンタの力を貸しな!」
「分かった…」
フレイラは両手を差し出すとリザはその手を握り二人は向かい合って立ったまま目をつぶる。薄暗い部屋に立つ二人の身体がぼんやりと発光し張りつめた空気が流れ魔力で気配を探る。
学園祭で賑わう構内の沢山の人々の気配が二人の頭の中に流れ込む。模擬店を楽しむ来客にパーフォ―マンスを披露する学生、食事をする子供達、川相をはじめとした知り合いなど数百の気配を見極める。能力は共振しその精緻さは増していき、ひとりではぼんやりとしか感じられない無数の気配をはっきりと捉えさらに僅かな気配までも感じ取っていく。そして本当に小さな、見逃してしまうほど小さな気をつかまえる。
「これ…微かだけど仙一郎様の気配だ!よかったぁ…」
フレイラが声を弾ませる。
「集中を乱さない!正確に座標を特定しないと。」
リザが戒めるとフレイラははっとして再び集中する。さらに精度を高めて仙一郎の居場所をはっきりさせる。
「微妙に気配がずれてぼやけてるけど…これ…間違いない!特定した!仙一郎は位相転移されたんだ!誰がこんな舐めたマネを!」
リザはそう言うと目を開け、真っ赤に輝く目で怒りをあらわにし、フレイラは右手に出現させた剣を力強く握ると
「とにかく急ぎましょう!仙一郎様のところに!」
そう言うと、二人は教室を飛び出していった。
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