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学園祭艶話 その3
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ミス美大の審査がすでに始まっていた体育館は熱気に包まれていた。パイプ椅子が組まれた席は観衆でほぼ埋まっており、リザと仙一郎が人混みを掻き分け右隅の壁際に立ってステージを見上げると第一次審査ー各候補のスピーチと司会者の質問が終わったところだった。
「ククッ…楽しみデスネ!」
リザが邪悪な笑みを浮かべる。
「学生限定じゃなかったんだからリザも出場すればよかったのに!余裕で優勝出来たんじゃない?」
「それは当然ですケド、プロ野球選手が草野球で無双するみたいでオトナゲナイので出ませんネ!」
冗談なのか本気なのか自信満々によく分からない例えをするリザ。
ステージ上では異様に大きな蝶ネクタイのついたタキシードの司会者がスポットライトを浴びて登場する。
「有史以来、人は美しいものを追い求めてきました。そして美大に通い集いし我々は美の探求者であり信奉者なのであります。昨今、俗世間ではミスコンは、女性を外見で判断すると反対する声も聞かれますが、肉体の美もまた尊重されるべき特質なのです。さあ!混沌のこの時代に甦りしアフロディーテ達の競演!皆さんお待ちかね!水着審査の始まりでーす!」
長々しい前置きに続き、観客席から大きな歓声が上がり色とりどりの水着を着た女性がカクテル光線に照らせれ壇上に上がる。コンテストに参加するだけあって登場する女性は甲乙つけがたい美人ばかりだったが最後の参加者が登場すると観客の歓声はひときわ大きくなる。
フレイラである。引き締まった身体に多少アンバランスな豊満な胸を黒ビキニにつつみ黒髪をなびかせ登場した彼女は出場者の中でも頭ひとつ飛びぬけて目立っていた。フレイラが肌を露わに露出した水着姿に顔を赤らめ両手の拳を握りしめて恥ずかしさに耐えているのを見て仙一郎は、ちょっと可哀想だったかなという想いが頭をよぎった。
すぐ前の席では二人の男性がそんなフレイラの事を話していた。
「十二番の子、イイね!ギリシャのアテネ像みたいな美しい肉体!」
「受け答えも落ち着いた感じだったし、まるで武闘家や騎士みたいな凛々しさがあるな。」
「あのマッス…創作意欲が湧く!」
「彫塑のモデルになってくれないかなぁ…」
どうやら彫刻科の生徒らしく一風変わった会話をしてはいたが、的を射ていたので仙一郎は苦笑してしまう。隣でうつむくリザからは必死に笑いをこらえているのか
「くっ…くっくっ…」
と声が漏れ聞こえる。
壇上では一列に並んだ出場者が司会者のアナウンスに合わせて、ひとりひとり中央に歩み出るとポーズをとる。その度に体育館には熱のこもった声援が響きフレイラの登場で観客席の盛り上がりは最高潮に達する。
ゆっくりとステージの中央まで出て来たフレイラは熱狂する観客席を戸惑い気味にぐるりと見回す。すると彼女は壁際の仙一郎らの姿に気づき驚いたような顔をして赤かった顔をさらに赤くして固まってしまう。
「十二番の方?」
司会者が心配して声をかけると
「あ!すみません!」
フレイラは慌ててポーズをとる。白い肌がしなやかに舞い踊り水着に収まりきらない豊満な胸が揺れる。その姿はまさに女神のような神々しさを感じさせ、歓声がいっそう大きくなる中、
「あーっはっ!は!は!は!」
と突然、リザが笑い声を上げる。
「あ…あのナマクラの姿…似合ってないにモ…ほどがあり…ありっ…くふっ…」
「ちよっとリザ…」
突然、大笑いを始めたリザにまわりの観客は怪訝な顔を向けるので仙一郎は彼女を肘で突くが笑いは止まらない。その笑い声は壇上のフレイラにも聞こえたのか彼女は、きっ!とリザを睨みつけるがその姿を目にして笑い声はさらに大きくなる。
「くは!ふは!はははははははは!」
その声は騒々しい体育館の中でもはっきりと聞き取れるほどで観客は冷淡な視線を二人に向ける。仙一郎はさすがに耐えかね笑い続けるリザを引きずって体育館を後にした。
陽も沈み芸祭二日目が無事終わろうとしていた。仙一郎は中央広場に面した校舎の屋上からいまだ騒々しい群衆の中にあって一段と盛り上がりをみせている集団を見下ろしていた。カエルオブジェのかたわらのひらけた場所で行われている“ミス美大祝賀会”で酒宴にこうじる集団。その中心には当然というべきか晴れてミス美大に選ばれたフレイラがいた。学生らは酒をあおり彼女のコップに酒を注ぎ、楽しそうに騒いでいる。
「ええ、それでは見事ミス美大の栄冠に輝いたフレイラさんの前途を祝してぇ…乾杯!」
幹事と思われる人物がコップを高らかに上げ、仙一郎が見ていた範囲でも三回目の乾杯の音頭をとると全員がそれに続く。フレイラは多少戸惑いながらも笑顔を見せていた。
「仙一郎!」
後ろから声が聞こえ振り向くとリザが小走りに近づいて来る姿があった。
「もうオカ研の飲み会始まってますヨ!イキましょう!」
フレイラの様子を見たかった仙一郎はリザを先にオカ研に向かわせたのだが、彼が中々やって来ないので痺れを切らし迎えに来たのだった。
「二日連続とかまったく皆タフだなぁ…もう少し夜風にあたってくから先行ってて。」
もうすでに多少、飲んでいるらしくほんのりと赤い顔をしたリザにそう告げると
「分かりましたネ!」
そう言って、きびすを返し戻ろうとするがふいと立ち止まり仙一郎に話しかけた。
「仙一郎!今日は一日付き合ってくれテありがとうデス!本当にたのしかったデスネ!」
「ああ…うん…それは良かった…」
満面の笑みを浮かべるリザに彼が口ごもりながら応えると、それを聞いた彼女は満足したのか足取りも軽く去っていった。
その後ろ姿を見えなくなるまで見守っていた仙一郎はリザは元々、残虐非道な吸血鬼ではなく今の姿が本来の彼女の姿なのではないかとつくづく思うのであった。
「ククッ…楽しみデスネ!」
リザが邪悪な笑みを浮かべる。
「学生限定じゃなかったんだからリザも出場すればよかったのに!余裕で優勝出来たんじゃない?」
「それは当然ですケド、プロ野球選手が草野球で無双するみたいでオトナゲナイので出ませんネ!」
冗談なのか本気なのか自信満々によく分からない例えをするリザ。
ステージ上では異様に大きな蝶ネクタイのついたタキシードの司会者がスポットライトを浴びて登場する。
「有史以来、人は美しいものを追い求めてきました。そして美大に通い集いし我々は美の探求者であり信奉者なのであります。昨今、俗世間ではミスコンは、女性を外見で判断すると反対する声も聞かれますが、肉体の美もまた尊重されるべき特質なのです。さあ!混沌のこの時代に甦りしアフロディーテ達の競演!皆さんお待ちかね!水着審査の始まりでーす!」
長々しい前置きに続き、観客席から大きな歓声が上がり色とりどりの水着を着た女性がカクテル光線に照らせれ壇上に上がる。コンテストに参加するだけあって登場する女性は甲乙つけがたい美人ばかりだったが最後の参加者が登場すると観客の歓声はひときわ大きくなる。
フレイラである。引き締まった身体に多少アンバランスな豊満な胸を黒ビキニにつつみ黒髪をなびかせ登場した彼女は出場者の中でも頭ひとつ飛びぬけて目立っていた。フレイラが肌を露わに露出した水着姿に顔を赤らめ両手の拳を握りしめて恥ずかしさに耐えているのを見て仙一郎は、ちょっと可哀想だったかなという想いが頭をよぎった。
すぐ前の席では二人の男性がそんなフレイラの事を話していた。
「十二番の子、イイね!ギリシャのアテネ像みたいな美しい肉体!」
「受け答えも落ち着いた感じだったし、まるで武闘家や騎士みたいな凛々しさがあるな。」
「あのマッス…創作意欲が湧く!」
「彫塑のモデルになってくれないかなぁ…」
どうやら彫刻科の生徒らしく一風変わった会話をしてはいたが、的を射ていたので仙一郎は苦笑してしまう。隣でうつむくリザからは必死に笑いをこらえているのか
「くっ…くっくっ…」
と声が漏れ聞こえる。
壇上では一列に並んだ出場者が司会者のアナウンスに合わせて、ひとりひとり中央に歩み出るとポーズをとる。その度に体育館には熱のこもった声援が響きフレイラの登場で観客席の盛り上がりは最高潮に達する。
ゆっくりとステージの中央まで出て来たフレイラは熱狂する観客席を戸惑い気味にぐるりと見回す。すると彼女は壁際の仙一郎らの姿に気づき驚いたような顔をして赤かった顔をさらに赤くして固まってしまう。
「十二番の方?」
司会者が心配して声をかけると
「あ!すみません!」
フレイラは慌ててポーズをとる。白い肌がしなやかに舞い踊り水着に収まりきらない豊満な胸が揺れる。その姿はまさに女神のような神々しさを感じさせ、歓声がいっそう大きくなる中、
「あーっはっ!は!は!は!」
と突然、リザが笑い声を上げる。
「あ…あのナマクラの姿…似合ってないにモ…ほどがあり…ありっ…くふっ…」
「ちよっとリザ…」
突然、大笑いを始めたリザにまわりの観客は怪訝な顔を向けるので仙一郎は彼女を肘で突くが笑いは止まらない。その笑い声は壇上のフレイラにも聞こえたのか彼女は、きっ!とリザを睨みつけるがその姿を目にして笑い声はさらに大きくなる。
「くは!ふは!はははははははは!」
その声は騒々しい体育館の中でもはっきりと聞き取れるほどで観客は冷淡な視線を二人に向ける。仙一郎はさすがに耐えかね笑い続けるリザを引きずって体育館を後にした。
陽も沈み芸祭二日目が無事終わろうとしていた。仙一郎は中央広場に面した校舎の屋上からいまだ騒々しい群衆の中にあって一段と盛り上がりをみせている集団を見下ろしていた。カエルオブジェのかたわらのひらけた場所で行われている“ミス美大祝賀会”で酒宴にこうじる集団。その中心には当然というべきか晴れてミス美大に選ばれたフレイラがいた。学生らは酒をあおり彼女のコップに酒を注ぎ、楽しそうに騒いでいる。
「ええ、それでは見事ミス美大の栄冠に輝いたフレイラさんの前途を祝してぇ…乾杯!」
幹事と思われる人物がコップを高らかに上げ、仙一郎が見ていた範囲でも三回目の乾杯の音頭をとると全員がそれに続く。フレイラは多少戸惑いながらも笑顔を見せていた。
「仙一郎!」
後ろから声が聞こえ振り向くとリザが小走りに近づいて来る姿があった。
「もうオカ研の飲み会始まってますヨ!イキましょう!」
フレイラの様子を見たかった仙一郎はリザを先にオカ研に向かわせたのだが、彼が中々やって来ないので痺れを切らし迎えに来たのだった。
「二日連続とかまったく皆タフだなぁ…もう少し夜風にあたってくから先行ってて。」
もうすでに多少、飲んでいるらしくほんのりと赤い顔をしたリザにそう告げると
「分かりましたネ!」
そう言って、きびすを返し戻ろうとするがふいと立ち止まり仙一郎に話しかけた。
「仙一郎!今日は一日付き合ってくれテありがとうデス!本当にたのしかったデスネ!」
「ああ…うん…それは良かった…」
満面の笑みを浮かべるリザに彼が口ごもりながら応えると、それを聞いた彼女は満足したのか足取りも軽く去っていった。
その後ろ姿を見えなくなるまで見守っていた仙一郎はリザは元々、残虐非道な吸血鬼ではなく今の姿が本来の彼女の姿なのではないかとつくづく思うのであった。
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