のじゃロリ吸血鬼さんはチューチューしたい3

かま猫

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追い追い その1

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 学園祭の疲れもあったのか仙一郎は泥のように眠りこけてしまって台所に誰かがいる事にまったく気づかなかった。ただ、隣で寝ているアルマがまったく起きる気配がないことから不審者ではないことだけは確かだった。しばらく天井を見つめていた仙一郎はいつものように抱き枕がわりに腕に絡みついているアルマを引き剥がしのっそりと起き上がる。パジャマ姿のまま台所へ入るとエプロン姿のフレイラが朝食の支度をしていた。
「あ!おはようございます!」
 背後の気配に気づいたフレイラが振り向く。
「おはよう!昨日はお疲れ様。それとミス美大おめでとう!」
「茶化さないで下さい!」
 フレイラはふくれっ面をしながらもテーブルにコーヒーカップを置く。
「茶化してるワケじゃないよ。ホント優勝できてめでたいと思ってるんだ。」
「それはありがとうございます。」
 仙一郎がテーブルに座ると彼女は不愛想に礼を言いつつオムレツのプレートとバターロールを据える。
「いやホント!ホントだから!美人でスタイルも完璧で性格も良いからミス美大にふさわしいとは思っていたけど、実際選ばれたとなるとやっぱ嬉しいというか誇らしいというか。」
「なな何を言ってるんですか!」
 フレイラは顔を真っ赤にして慌てふためき、持っていたイチゴジャムの瓶を落としそうになる。
「そんなこと言ってご機嫌取ろうとしてもダメですよ!どうせ私の水着姿が見たかっただけ…」
「あ!そう言えば朝食作りに帰ってきてくれたんだ!」
 まずい展開になりそうだと感じ言葉をさえぎって話題を変える。
「ええ。昨晩、アルマ様がいらして連れて行かれたことは気配で分かっていましたので朝いちばんで。」
「それはありがとう!」 
「いえ、当然のことですので。それより冷めないうちにおあがり下さい。」
 フレイラは朝食をすすめるとテーブルの向かい側に座る。仙一郎は挨拶すると料理に手をつける。いつもながらの美味しさに舌鼓を打ちながら、料理まで上手いだなんてミス美大としてさらに完璧じゃないかとしみじみと思いながら向かいを見るとフレイラは黙ったままじっと彼を見つめ続けていた。
「ごちそうさま。」
 程なく、仙一郎が朝食を綺麗にたいらげると、それを待っていたのか
「あの、仙一郎様?あらためてお話したいことがあるのですが。」
とフレイラが真剣な表情で切り出した。
「何?」
「実は、ミス美大の件ですが辞退したいと思うのです。」
「えっ!どうして?」
「実行委員のお話では、今後一年ミス美大として様々な活動に参加しなければならないらしいのですが、私は仙一郎様の警固役としてあまりお傍を離れる訳にも参りませんので両立は困難かと思いまして。」
「せっかく皆が選んでくれたんだから、やってみたらどう?」
「私も心苦しいのですが…」
 肩を落とす彼女に仙一郎は少し考えてから
「じゃあが活動に付き添えば良いんじゃないかな。近くにいれば警固出来る訳だし。」
「そんな!仙一郎様を煩わすことになりますから!」
「イイって!面白そうだから自分が参加してみたいだけだから。」
「しかし…」
 フレイラがぐずぐずとしているので
「よし!じゃあ、主の命令として一緒に活動することを命じます!ってことで。」
 そう言うと彼女は渋々承知した。

 仙一郎とフレイラの二人は朝食後、支度をすませるとぐっすり眠っているアルマを残し
学園祭最終日の大学に向かうべくバスで駅まで出ると、停留所から線路を挟んで反対側にある学バス乗り場まで歩く。幸い天候にも恵まれ駅前を歩く二人の頭上には秋の空が青々と深く気持ちよく広がっていた。
「あの…ミス美大の方ですよね?」
 不意に駆け寄って来た制服姿の女子高生二人組の片方がフレイラに声をかける。
「え…ええ…」
「キャー!本物だぁー!ヤバイ!ヤバーイ!」
 二人は声をそろえ興奮しながらピョンピョンと飛び跳ねる。フレイラが怪訝な顔をしていると
「あの昨日のコンテスト見ました!ファンなんです!一緒に写真撮らしてもらってイイですか?」
 女子高生の勢いに押され当惑するフレイラは言われるがまま二人に挟まれ笑顔をつくる。そして女子高生らは傍にいた仙一郎を無視するようにフレイラをあれやこれやと質問ぜめにして数分間立ち話を続けた。
「ごめんなさい!もう行かないといけないので…」
 さすがにしびれを切らしたフレイラは二人に断りを入れると仙一郎の手を引いて足早にその場を離れる。
「申し訳ありませんお待たせしてしまって。」
「イイよ、有名税ってヤツだから。しかしミス美大効果恐るべしって感じだね。」
「やっぱり…」
「やっぱり辞退する。は無しだからね。」
 仙一郎は立ち止まって言葉を制する。
「申し訳ありません…」
 彼女がしょんぼりした顔をみせるので仙一郎はため息をついた。
「そんなにに気を使わなくてもイイのに。」
「…ありがとうございます。」
 フレイラは少し戸惑うような表情でポツリと言うだけだった。
「それより学バスの時間!そろそろ一本乗り遅れそう!」
「あ!はい!急ぎましょう!仙一郎様、今日は好きな芸術家の講演会があるとおっしゃってましたから間に合わなくなってしまいますね。」
 彼の言葉に我に返ったように、そう言うと早足で歩き始めるが数歩進んだところでピタリと立ち止まり、険しい表情で虚空を見つめた。
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