のじゃロリ吸血鬼さんはチューチューしたい3

かま猫

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追い追い その2

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「フレイラ?」
「あ!何でもありません!さ!行きましょう!」
 心配して声をかけると、それに気づいて何事もなかったかのように再び歩き出す。
「またに気を使って何か隠してるんじゃないの?」
 明らかに様子がおかしかったので問い詰めると
「いえ!本当に何でもありませんから!」
「フ・レ・イ・ラ!」
 必死で否定するので仙一郎が咎めるように言うと彼女は渋々話し始めた。
「実は魔物の気配を感じたもので…あ!でもこちらに向かっている訳ではないので心配ないかと。」
「いや、こっちに向かってないとしても魔物が街中に出没するなんて誰かが襲われたら大変じゃないか!」
「まあそうですが…」
「そうですが、じゃなくてその場所へ行ってどうにかしないと!」
「それは出来ません!仙一郎様をわざわざ危険な場所へ連れていくことなんて…」
「フレイラがそう思ってくれるのはうれしいんだけど、君だって魔物が誰かを傷付けるかもしれないのを心配してるんじゃないの?」
 フレイラは黙ったままその場にじっと立ちつくしていたので彼は続けた。
「とにかく行こうよ!たとえ魔物が襲ってきたとしてもその時はフレイラがを守ってくれるんだろ?だから大丈夫だって信じてる。」
 その言葉を聞いて少しはにかむような表情をみせたが、すぐに意を決したかのような顔つきに変わる。
「わかりました!行きましょう!」

 二人は駅前の繁華街を抜け、朝の慌ただしい時間もひと息ついて人通りも少ない住宅街をひた走る。フレイラは時折立ち止まると、移動している魔物の気配を探る。
「この気配は…」
 しばらく進むと眉をひそめぼそりとつぶやく。
「何?」
「二つある気配のひとつは先日、仙一郎様を襲った餓鬼…少女のものです。」
「エーミュの?」
「今度はきっちり落とし前をつけてやる…」
 フレイラが殺気立った表情を見せる。
「穏便に頼むよ。あの子には聞きたい事もあるし…」
「分かりました。もうだいぶ近いようですから急ぎましょう!」
 仙一郎の言葉にちらりと不満そうな顔をみせるフレイラではあったが、すぐに追跡に戻る。しばらくすると左手に大きなマンションのある細い通りに差しかかり前方に線路が上を通る地下通路が見えてくる。そこはちょうど二本の路線が三十メートルほど離れて並行に走っている場所で一本目の地下通路をくぐると道路の左右に八メートルほどのコンクリートの壁がそそり立ち前方にも地下通路があるせいで周りから隔離されたような場所になっていた。その時、前の方からよろめきながら歩いてくる見慣れた服装の人影が見える。
「エーミュ!」
 仙一郎が叫ぶと息も絶え絶えで歩いていた彼女は顔を上げ足を速め必死で彼に向かって来る。よく見ると彼女の服はボロボロの泥まみれで、身体はいたるところ傷だらけ、特に右手で押さえている左腕は服が鋭利な刃物で切り裂かれたようになっており血で真っ赤に染まっていた。
 慌てて仙一郎が駆け寄ろうとすると、フレイラがそれよりも早く反応しエーミュめがけて疾走する。その右手には剣が握られていた。
「止めっ!」
 仙一郎が叫ぶ間もなく剣がエーミュめがけて振り降ろされる。しかし次の瞬間、金属音が響き剣はエーミュにではなくその上空に突然現れた黒い塊を捉えていた。剣に弾かれ飛びのく黒い塊。エーミュの後方に降り立ったそれは獰猛な顔つきをした大きな黒い犬だった。明らかに普通の犬ではない異質な雰囲気をまとったそれは弾けるように跳ね飛ぶと再びエーミュに襲いかかるがフレイラの剣がそれを防ぐ。その隙に仙一郎が駆け寄るとエーミュは
「助け…て…」
 と消え入りそうな声でつぶやくと彼の胸に倒れ込んで意識を失った。そうしている間も、黒い犬はエーミュに向かって何度も攻撃を繰り返すが、その度にフレイラに防がれ、まずはその邪魔者を退けようと考えたのか、やがて彼女に向かって攻撃を集中するようになる。
 牙を剥き出し何度も飛びかかる黒い犬。それを巧みな剣さばきで受け流すたびに甲高い金属音が辺りに反響する。
「下がって下さい!」
 フレイラの声に仙一郎はエーミュを抱えて後退する。黒い犬はコンクリートの壁を使い右に左に飛び回り上空から襲いかかるが、その鋭い牙も爪もフレイラの剣撃に弾かれ届かない。それでも、目にも止まらぬ速さで動き回り一撃離脱を繰り返す。
 やがてひときわ大きな金属音が響き黒い犬は後方に飛びのく。
「硬いな…」
 フレイラは剣先を一瞥してつぶやくと数メートル離れて正対する敵を睨み剣を両手でしっかりと構えた。
「そろそろ終わりにしようか!」
 その言葉を理解したのか黒い犬も低いうなり声を上げ、一気に飛びかかる力をため込むように動きを止め構える。
 仙一郎がその様子を固唾をのんで見守っていると突然、閃光とともに爆発が起こったような大音響が響き爆風が襲う。周囲は土煙で真っ白になり空からパラパラと細かい破片が降り注いでくるので彼はエーミュをかばい収まるのを待つ。やがてもうもうと立ち上がっていた煙がひいて仙一郎が目にしたのは、コンクリートの壁は崩れアスファルトの路面がズタズタに引き裂かれた、まさに何かが爆発したかのような惨状。フレイラが放った一撃と黒い犬の攻撃の相乗効果の結果であった。そして瓦礫の中央、爆心地ではフレイラがひとり仁王立ちしていた。
 フレイラは手に持っていた剣を収め、振り返るとゆっくり二人に歩み寄る。
「やっつけたの?」
 仙一郎が問いかけると
「いえ、逃げられたようです。」
 フレイラは苦々しい表情で空の彼方を眺めた。
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