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追い追い その3
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次の日の夕方、仙一郎とフレイラはリザのマンションの前にいた。騒動の後、怪我をしたエーミュを医者に連れていく訳にもいかず、いちばん近いリザのマンションに担ぎ込み手当をすることになったのだが、目を覚ましたという連絡が入ったのである。
「ようこソ!」
高層マンション四十階にある部屋のドアが開くとリザが出迎える。
「もう大丈夫なの?」
「落ち着いてクダサイ!彼女も魔物ですからネ。あの程度の傷なら死にはしないデス。」
「よかった…」
リザは慌てて切り出す仙一郎を制して中へ招き入れる。
「あらためてごめん!面倒事持ち込んじゃって。」
「いいんデス!いいんデス!ワタシは仙一郎の眷属ですカラ!」
「いや世話になりっぱなしじゃ自分の気がすまないからいつか埋め合わせするよ。」
「真面目ですネ!仙一郎は…それにしても…」
そう言うとリザはフレイラを横目で見た。
「何ですか?」
「ニュースにもなってましたケド、あんな盛大に街をブチ壊して大騒動にしてしまうなんテ…仙一郎の迷惑も考えないんデスカ!しかも犬っころを取り逃がすとカ…」
「ケンカを売ってるんですか?」
「ナマクラに売るようなケンカは持ち合わせておりませんネ!」
「二人とも…」
仙一郎がたまりかねて口を挟むと二人は渋々言い争いを止めた。
リザに案内され寝室のドアを開けるとベッドで横になっていたエーミュは仙一郎の姿を目にして声を上げる。
「お兄ちゃん!」
「怪我の具合はどう?」
「う…うん大丈夫…」
仙一郎はベッドの横にあった椅子に座りリザがその傍らにただずむと、フレイラはドアの前に立ったまま様子をうかがう。あらためてベッドの上で半身を起こしているエーミュの姿をみるといたるところ包帯が巻かれ痛々しかったが思いのほか顔色も良く元気そうだったので仙一郎は胸をなで下ろした。
「あの…助けてくれて…ありがとう。」
彼女はもじもじしながら仙一郎ら三人の顔を見るとばつが悪そうに言う。
「イイって!とにかくここは安全だからゆっくり休んで。この家のお姉ちゃん…リザもフレイラも味方だから安心して。」
「うん…ホントありがとう。」
素直に礼を言うエーミュの様子を見て彼女を助けたことがやはり間違ってなかったと仙一郎はあらためて思った。昨晩、彼女の事をアルマに話した時も「また厄介事を背負込みおって!」と咎められたのだが、仙一郎にはどうしても学園祭の時に会ったエーミュが本当に悪い魔物には思えなかったので、怪我した彼女を保護することに迷いはなかった。それでも「そのやさしさがいつか大きな災難を呼ぶことになるかもしれんぞ。」というアルマの忠告ももっともだと理解はしていた。
「それで早速だけど、エーミュは何であの犬に追われてたの?」
仙一郎の質問に彼女は少し間をおいてから、ゆっくりと話し始めた。
「アイツは、指輪を奪ってくるのに失敗した私が処分されそうになって…逃げ出してきたら追いかけてきて…」
そう語るエーミュは少し震えていた。仙一郎は彼女の手を握って
「前に会った時も思ったんだけどエーミュは誰かの命令で指輪を奪おうとしたんでしょ?」
そう訊ねるとこくりとうなずいた。
「誰の?」
その問に少し躊躇するように黙り込んでいたが
「サ…サード様。」
とつぶやいた。
「サードだって!」
突然、フレイラが血相を変えて怒声を上げ身を乗り出したのでエーミュはビクッと身体を震わせ不安げな表情をみせる。
「フレイラ!」
仙一郎が眉をひそめてたしなめると
「あ!申し訳ありません…ちょっと外の空気を吸ってきます。」
そう言い部屋を出て行った。
どうにも解せない仙一郎はリザの顔を見る。
「さあ?ナマクラの事ハそんなに知りませんカラ…でもサードという名前なら…」
「何物なの?」
「直接会った事ハ無いんですケド、とてつもなく残虐非道ナ吸血鬼として名が知られてる奴デス。同じ吸血鬼としてトヤカク言える立場ではありませんガ…」
「そいつが指輪を…フレイラを狙ってるってことか。」
「おそらくですガ、そもそもの持ち主はアルマですケド、不死の吸血鬼同士が戦っても泥仕合になるだけですし、そもそもアルマにちょっかいを出す無謀なヤツなんてそうはいませんカラネ。フラガラッハを手っ取り早く奪うのにその指輪を狙ったんでシヨウ。」
「なるほど…っていうかアルマに盾突いたリザが無謀なヤツとか…」
「ハハハ!若気の至りデスネ!まあそういう相手なら大っぴらに指輪を狙って襲って来るコトは無いでシヨウ!アルマの怒りを買うだけデスカラネ!」
「それならイイけど…」
仙一郎は部屋のドアを見ながらポツリと言った。
「ようこソ!」
高層マンション四十階にある部屋のドアが開くとリザが出迎える。
「もう大丈夫なの?」
「落ち着いてクダサイ!彼女も魔物ですからネ。あの程度の傷なら死にはしないデス。」
「よかった…」
リザは慌てて切り出す仙一郎を制して中へ招き入れる。
「あらためてごめん!面倒事持ち込んじゃって。」
「いいんデス!いいんデス!ワタシは仙一郎の眷属ですカラ!」
「いや世話になりっぱなしじゃ自分の気がすまないからいつか埋め合わせするよ。」
「真面目ですネ!仙一郎は…それにしても…」
そう言うとリザはフレイラを横目で見た。
「何ですか?」
「ニュースにもなってましたケド、あんな盛大に街をブチ壊して大騒動にしてしまうなんテ…仙一郎の迷惑も考えないんデスカ!しかも犬っころを取り逃がすとカ…」
「ケンカを売ってるんですか?」
「ナマクラに売るようなケンカは持ち合わせておりませんネ!」
「二人とも…」
仙一郎がたまりかねて口を挟むと二人は渋々言い争いを止めた。
リザに案内され寝室のドアを開けるとベッドで横になっていたエーミュは仙一郎の姿を目にして声を上げる。
「お兄ちゃん!」
「怪我の具合はどう?」
「う…うん大丈夫…」
仙一郎はベッドの横にあった椅子に座りリザがその傍らにただずむと、フレイラはドアの前に立ったまま様子をうかがう。あらためてベッドの上で半身を起こしているエーミュの姿をみるといたるところ包帯が巻かれ痛々しかったが思いのほか顔色も良く元気そうだったので仙一郎は胸をなで下ろした。
「あの…助けてくれて…ありがとう。」
彼女はもじもじしながら仙一郎ら三人の顔を見るとばつが悪そうに言う。
「イイって!とにかくここは安全だからゆっくり休んで。この家のお姉ちゃん…リザもフレイラも味方だから安心して。」
「うん…ホントありがとう。」
素直に礼を言うエーミュの様子を見て彼女を助けたことがやはり間違ってなかったと仙一郎はあらためて思った。昨晩、彼女の事をアルマに話した時も「また厄介事を背負込みおって!」と咎められたのだが、仙一郎にはどうしても学園祭の時に会ったエーミュが本当に悪い魔物には思えなかったので、怪我した彼女を保護することに迷いはなかった。それでも「そのやさしさがいつか大きな災難を呼ぶことになるかもしれんぞ。」というアルマの忠告ももっともだと理解はしていた。
「それで早速だけど、エーミュは何であの犬に追われてたの?」
仙一郎の質問に彼女は少し間をおいてから、ゆっくりと話し始めた。
「アイツは、指輪を奪ってくるのに失敗した私が処分されそうになって…逃げ出してきたら追いかけてきて…」
そう語るエーミュは少し震えていた。仙一郎は彼女の手を握って
「前に会った時も思ったんだけどエーミュは誰かの命令で指輪を奪おうとしたんでしょ?」
そう訊ねるとこくりとうなずいた。
「誰の?」
その問に少し躊躇するように黙り込んでいたが
「サ…サード様。」
とつぶやいた。
「サードだって!」
突然、フレイラが血相を変えて怒声を上げ身を乗り出したのでエーミュはビクッと身体を震わせ不安げな表情をみせる。
「フレイラ!」
仙一郎が眉をひそめてたしなめると
「あ!申し訳ありません…ちょっと外の空気を吸ってきます。」
そう言い部屋を出て行った。
どうにも解せない仙一郎はリザの顔を見る。
「さあ?ナマクラの事ハそんなに知りませんカラ…でもサードという名前なら…」
「何物なの?」
「直接会った事ハ無いんですケド、とてつもなく残虐非道ナ吸血鬼として名が知られてる奴デス。同じ吸血鬼としてトヤカク言える立場ではありませんガ…」
「そいつが指輪を…フレイラを狙ってるってことか。」
「おそらくですガ、そもそもの持ち主はアルマですケド、不死の吸血鬼同士が戦っても泥仕合になるだけですし、そもそもアルマにちょっかいを出す無謀なヤツなんてそうはいませんカラネ。フラガラッハを手っ取り早く奪うのにその指輪を狙ったんでシヨウ。」
「なるほど…っていうかアルマに盾突いたリザが無謀なヤツとか…」
「ハハハ!若気の至りデスネ!まあそういう相手なら大っぴらに指輪を狙って襲って来るコトは無いでシヨウ!アルマの怒りを買うだけデスカラネ!」
「それならイイけど…」
仙一郎は部屋のドアを見ながらポツリと言った。
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