借金返済ファンタジー チートスキル 全部盛りでお願いします!

桃川鈴加

文字の大きさ
25 / 42

魔王軍の内乱と真実

しおりを挟む
静寂の山脈に建つレオネス荘。朝の陽光が白い石壁を照らし、深緑の瓦屋根に鳥たちがさえずっている。

「はい、お疲れ様でした!今朝のメニューはクロワッサンとオムレツ、それからフルーツサラダですわ」

エリカが完璧に整えられた朝食を食卓に運ぶ。元貴族令嬢らしい優雅な身のこなしは、借金35億セルンを背負った今でも変わらない。

「おいしいのじゃ~!エリカお姉ちゃんのお料理、いつ食べても幸せなのじゃ」

リリィが無邪気な笑顔でオムレツを頬張る。銀色のツインテールが朝日にきらめいている。

「今日の食費は一人当たり50セルン以内に抑えましょう」

メリサが家計簿を開きながら冷静に提案する。元魔王軍四天王の彼女にとって、家計管理は戦略と同じくらい重要だった。借金50億セルンは伊達ではない。

「50セルンか...この高級茶葉は一杯で50万セルンもするのだぞ...」

カイロスが小型化した50センチほどの竜の姿で、テーブルの上の茶葉缶を見つめながらため息をつく。元竜王候補としてのプライドと、借金2億セルンという現実のギャップは今日も健在だった。

「そんな高い茶葉買うから借金が増えるのよ、まったく」

リューナが呆れたように矢筒を手入れしながら呟く。ダークエルフ族長として背負った15億セルンの重みを知っているからこそ、無駄遣いには厳しい。

「おーい、みんな!今日は久しぶりに平和な一日になりそうやな!」

レオが屈託のない笑顔で手を振る。転生者として127個のチートスキルを持ちながら、999億セルンという途方もない借金を背負った男。それでも仲間がいれば何とかなるという楽観主義は変わらない。

その時だった。



魔王軍刺客団の襲来

「裏切り者メリサ・デスヴァルト!魔王軍の金庫から50億セルンを横領した罪、その身を持って償わせてもらう!」

突然、館の周囲を黒装束の魔族たちが包囲した。総勢50名の刺客団。先頭に立つ刺客団長が剣を抜いて叫ぶ。

メリサの顔が青ざめる。

「横領なんて...私はやっていない!あれは罠よ!」

「問答無用!魔王軍への裏切りは死罪だ!」

刺客団長が合図を送ると、魔族たちが一斉に攻撃態勢を取る。

その瞬間、仲間たちが立ち上がった。

「族長として、仲間は守らせてもらう」

リューナが愛用の長弓を構える。月影の森で培った戦闘技術が、彼女の全身にみなぎる。

「竜人族の誇りにかけて、仲間を傷つける者は許さん!」

カイロスが人間形態から10メートルの戦闘サイズの竜に変身。銀色の鱗が朝日を反射し、金色の瞳が怒りに燃える。

「お仲間に手を出すなど、言語道断ですわね」

エリカが優雅に剣を抜き、貴族の戦闘技術を構える。没落したとはいえ、ローゼンハイム家の剣術は健在だった。

「みんな、ケンカはダメなのじゃ...」

リリィが不安そうに呟くが、その小さな体から漏れる神威が空気を震わせる。

「おいおい、話し合いで解決できひんのか?まあ、無理そうやな」

レオが前に出て、【万能解析】を発動。敵の能力を瞬時に把握する。

「みんなレベル45くらいやな。そこそこ強いで。でも—」

刺客団が襲いかかる。



借金仲間の絆を見せる戦い

戦闘が始まった。

カイロスが空中から炎のブレスを放つ。

「雑魚どもめ、竜王の炎を味わうがいい!【ドラゴンフレア】!」

刺客たちが散らばって回避するが、カイロスの攻撃は牽制に過ぎない。真の狙いは—

「今よ!」

リューナが【影分身】を発動。複数の影が同時に異なる方向から矢を放つ。混乱した刺客たちに、確実に命中していく。

「ダークエルフの技、見せてあげる」

一方、メリサは冷静だった。

「攻撃パターンは16通り...全て計算済みよ」

【計算魔法】で敵の動きを予測し、最小限の動きで攻撃を回避。同時に反撃の軌道を計算して魔法を放つ。元魔王軍四天王の実力は伊達ではない。

「お作法通りに、美しく仕留めますわ」

エリカの【貴族剣術】が舞い踊る。優雅でありながら致命的な剣技が、刺客たちを次々と無力化していく。

しかし、戦いの主役はやはりレオだった。

「【時空操作】!」

敵の攻撃が止まる。時間が歪み、刺客たちの動きがスローモーションになる。

「【絶対命令】やめろ」

シンプルな命令。しかし、その言葉には絶対的な強制力があった。刺客たちの攻撃が止まる。

「ちょっとやりすぎやったかな?」

レオが苦笑いする。戦闘開始から5分で、刺客団は完全に制圧されていた。ただし

「【完全回復】!」

レオが負傷した刺客たちを全て治療する。

「怪我は治しといたで。でも話は聞かせてもらうわ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...