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第15話
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「ん…?」
セラフィーナは目を覚ました。あれ…?私…、確か森に…、そう思っていると、
「起きたのか。」
「!?ヴぁ、ヴァルス!?」
セラフィーナはすぐ傍にヴァルスがいることに驚き、慌てて飛び起きた。セラフィーナはいつの間にか屋敷の自分のベッドで寝かされていた。
「無理をするな。お前は魔力切れを起こして倒れたんだ。もう少し休んでいろ。」
「あ…、」
ヴァルスの言葉にセラフィーナは段々と先程の事を思い出した。そうだ。私は…、あの時、森で傷ついた木の妖精たちに回復魔法をかけて…、
「あ、あの…、私があれからどうやってここに…?もしかして、ヴァルスがここまで運んでくれたんですか?」
「ああ。フェルから知らせを受けたんだ。俺が着いた時には既にお前は気絶していた。」
「そ、それは…、すみませんでした。迷惑をかけてしまって…。」
「迷惑などとは思っていない。」
「そ、そうですか?それなら…、いいのですけど…。あ、あの…、私、重くなかったですか?」
「いいや。」
恥ずかしそうに顔を赤くしながら訊ねるセラフィーナにヴァルスは無表情で首を振る。
相変わらず無愛想な態度で冷たく見えるがセラフィーナは彼が本当は優しい妖精であることを知っている。
セラフィーナはそんな彼に思わず微笑んだ。そんなセラフィーナにヴァルスは一瞬、眉を顰めた。
が、すぐにフイ、とセラフィーナから視線を逸らすと、
「…喉が渇いただろう。今、茶を淹れるから少し待て。」
そう言って、近くの机に用意していたらしき木のコップとポットに手を伸ばすヴァルスにセラフィーナは慌てた。
「え!そんな…!お茶なら、私が…、」
そう言って、セラフィーナは起き上がって床に足をつけて、立ち上がろうとしたのだが…、ズキッと痛んだ足にセラフィーナは顔を顰めた。
「ッ…!」
「無理をするな。…お前は足を挫いているんだ。今日一日は安静にしていろ。」
そうだった。私、森を歩いている途中で足を滑らせて…、その事実をすっかり忘れていたセラフィーナは申し訳なさそうにシュン、と項垂れてすみません、と言った。
ヴァルスから温かい湯気を立てたコップを差し出され、飲み物を受け取った。
少し独特な香りだが、まろやかな舌触りのするお茶の味にセラフィーナは頬を緩ませた。
「美味しい…。何だか身体がホッとします。これ、何のお茶ですか?」
「薬草茶だ。回復疲労に効くといわれている。」
「薬草茶…。私、初めて飲みました。薬草茶ってこんなに美味しい物なんですね。」
セラフィーナはフーフーと冷ましながらもう一口、薬草茶を飲んだ。
不思議…。何だか身体がポカポカして温かくなっているようだ。同時に魔力も少しずつ回復してきている気がする。暫し、ほっこりとした気持ちでお茶の香りを楽しんでいたセラフィーナだったがそういえば…、とヴァルスに視線を向けた。
「あ…、あの、ヴァルス。聞きたいことがあるんですけど…、」
セラフィーナはずっと気になっていたことを聞こうと手にしたカップをそっと両手で包むように持ちながら、訊ねた。
「何だ。」
「あそこにいた木の妖精達は全員、回復できたのでしょうか?私、途中で気を失ってしまったので…、」
「ああ。全員、無事に回復して、元通りの姿に戻っている。」
「本当ですか!?良かった…!」
セラフィーナはホッとした。
「フォリアーナもお前に大層、感謝をしていた。」
「フォリアーナ?」
「この森に住む木の妖精族を束ねる女の名だ。お前が癒した木の妖精達はそいつの仲間だ。お前を恩人だと言っていた。」
「そ、そんな…。私は別に大したことは…。でも、嬉しいです。そう言って頂けるなんて。」
照れたように笑いながらも嬉しそうにするセラフィーナにヴァルスは無表情で言った。
「何故、あんな真似をした?」
「え?」
セラフィーナはいつもより、低い声に顔を上げた。ヴァルスの表情には微かに苛立ちが含まれている様でセラフィーナを鋭く見据えていた。
「俺は言った筈だ。お前がそこまでする必要はないと。…それなのにお前は…、」
「あ…、」
そうだ。確かにヴァルスはそう言った。でも、でも…、私は…、
「魔力切れを起こして倒れるまで無理をするなど…、何を考えている。お前がそこまでする理由などないだろう。」
「…声が聞こえたんです。」
セラフィーナの小さな声にヴァルスが怪訝な表情を浮かべる。セラフィーナは俯きながらもぽつりぽつりと話した。
「誰かが泣いている。そんな気がしたんです…。初めは誰か迷子なのかと思って…、でも、行ってみたら、それは木の妖精達の声だったみたいで…、近付けば近付くほどにその泣き声ははっきりと聞こえて…。とても苦しそうに泣いていたんです。聞いているこちらが辛くなる程に…。だから…、私は…、」
セラフィーナは目頭が熱くなるのを堪えながら、ヴァルスを見た。
「私は…、どうしても、そのままにしておくことができなかった。彼らが泣いているのを知って、見て見ぬ振りなんてとてもできなかったんです。あんなに苦しそうに泣いて…、誰かの助けを求めているかのようにか細い声を上げているのを聞いたら…、動かずにはいられなかった。彼らを助けたい、力になりたい、少しでも…、その苦痛を取り除いてあげたい。そう思ったんです。」
「…。」
「あの時はとにかく、夢中になってしまって…。気が付いたら、魔力切れを起こしてし倒れてしまったんです。だから、私、特に何も考えてなかったんです。」
セラフィーナはそう言って、恥ずかしそうに言った。そんなセラフィーナにヴァルスは目を伏せた。
「…そうか。何はともあれ、無事で良かった。だが、今後はそのような無茶は控えてくれ。」
ヴァルスはセラフィーナに背を向け、窓の外を見ながら言った。その表情は髪に隠れてよく見えなかった。
「すみません。次からは気を付けます。ヴァルスにも迷惑をかけてしまって…、」
「迷惑とは思っていない。そう言っただろう。」
ヴァルスはそう言って、スタスタと扉まで行くと、ドアノブに手をかけた。
「…少し席を外す。すぐに戻るからそこで待っていてくれ。」
「あ、はい。」
ヴァルスの言葉にセラフィーナは笑って頷いた。
ヴァルスが出て行った後、セラフィーナは先程のヴァルスの様子を思い出した。
さっき、ヴァルスは少し怒っていたようだったけど、あれは何に怒っていたのかな?
もしかして、私を心配して…?それで無茶をした私に怒っていたのかもしれない。もし、そうだったら…、嬉しい。ヴァルスは優しい人だし、私の身を案じてくれたのかも。
セラフィーナはそう考え、フフッと嬉しそうに笑った。
ヴァルスが最後に無事で良かったと言ってくれた言葉を思い出す。彼は本当に優しい人だなとセラフィーナはしみじみと思った。
「…。」
部屋を出た後、ヴァルスは暫く部屋の前に佇んだまま動こうとしなかった。
俯いたまま微動だにしなかったヴァルスだったが…、やがて、チッと舌打ちをして、足早にその場を立ち去った。
セラフィーナは目を覚ました。あれ…?私…、確か森に…、そう思っていると、
「起きたのか。」
「!?ヴぁ、ヴァルス!?」
セラフィーナはすぐ傍にヴァルスがいることに驚き、慌てて飛び起きた。セラフィーナはいつの間にか屋敷の自分のベッドで寝かされていた。
「無理をするな。お前は魔力切れを起こして倒れたんだ。もう少し休んでいろ。」
「あ…、」
ヴァルスの言葉にセラフィーナは段々と先程の事を思い出した。そうだ。私は…、あの時、森で傷ついた木の妖精たちに回復魔法をかけて…、
「あ、あの…、私があれからどうやってここに…?もしかして、ヴァルスがここまで運んでくれたんですか?」
「ああ。フェルから知らせを受けたんだ。俺が着いた時には既にお前は気絶していた。」
「そ、それは…、すみませんでした。迷惑をかけてしまって…。」
「迷惑などとは思っていない。」
「そ、そうですか?それなら…、いいのですけど…。あ、あの…、私、重くなかったですか?」
「いいや。」
恥ずかしそうに顔を赤くしながら訊ねるセラフィーナにヴァルスは無表情で首を振る。
相変わらず無愛想な態度で冷たく見えるがセラフィーナは彼が本当は優しい妖精であることを知っている。
セラフィーナはそんな彼に思わず微笑んだ。そんなセラフィーナにヴァルスは一瞬、眉を顰めた。
が、すぐにフイ、とセラフィーナから視線を逸らすと、
「…喉が渇いただろう。今、茶を淹れるから少し待て。」
そう言って、近くの机に用意していたらしき木のコップとポットに手を伸ばすヴァルスにセラフィーナは慌てた。
「え!そんな…!お茶なら、私が…、」
そう言って、セラフィーナは起き上がって床に足をつけて、立ち上がろうとしたのだが…、ズキッと痛んだ足にセラフィーナは顔を顰めた。
「ッ…!」
「無理をするな。…お前は足を挫いているんだ。今日一日は安静にしていろ。」
そうだった。私、森を歩いている途中で足を滑らせて…、その事実をすっかり忘れていたセラフィーナは申し訳なさそうにシュン、と項垂れてすみません、と言った。
ヴァルスから温かい湯気を立てたコップを差し出され、飲み物を受け取った。
少し独特な香りだが、まろやかな舌触りのするお茶の味にセラフィーナは頬を緩ませた。
「美味しい…。何だか身体がホッとします。これ、何のお茶ですか?」
「薬草茶だ。回復疲労に効くといわれている。」
「薬草茶…。私、初めて飲みました。薬草茶ってこんなに美味しい物なんですね。」
セラフィーナはフーフーと冷ましながらもう一口、薬草茶を飲んだ。
不思議…。何だか身体がポカポカして温かくなっているようだ。同時に魔力も少しずつ回復してきている気がする。暫し、ほっこりとした気持ちでお茶の香りを楽しんでいたセラフィーナだったがそういえば…、とヴァルスに視線を向けた。
「あ…、あの、ヴァルス。聞きたいことがあるんですけど…、」
セラフィーナはずっと気になっていたことを聞こうと手にしたカップをそっと両手で包むように持ちながら、訊ねた。
「何だ。」
「あそこにいた木の妖精達は全員、回復できたのでしょうか?私、途中で気を失ってしまったので…、」
「ああ。全員、無事に回復して、元通りの姿に戻っている。」
「本当ですか!?良かった…!」
セラフィーナはホッとした。
「フォリアーナもお前に大層、感謝をしていた。」
「フォリアーナ?」
「この森に住む木の妖精族を束ねる女の名だ。お前が癒した木の妖精達はそいつの仲間だ。お前を恩人だと言っていた。」
「そ、そんな…。私は別に大したことは…。でも、嬉しいです。そう言って頂けるなんて。」
照れたように笑いながらも嬉しそうにするセラフィーナにヴァルスは無表情で言った。
「何故、あんな真似をした?」
「え?」
セラフィーナはいつもより、低い声に顔を上げた。ヴァルスの表情には微かに苛立ちが含まれている様でセラフィーナを鋭く見据えていた。
「俺は言った筈だ。お前がそこまでする必要はないと。…それなのにお前は…、」
「あ…、」
そうだ。確かにヴァルスはそう言った。でも、でも…、私は…、
「魔力切れを起こして倒れるまで無理をするなど…、何を考えている。お前がそこまでする理由などないだろう。」
「…声が聞こえたんです。」
セラフィーナの小さな声にヴァルスが怪訝な表情を浮かべる。セラフィーナは俯きながらもぽつりぽつりと話した。
「誰かが泣いている。そんな気がしたんです…。初めは誰か迷子なのかと思って…、でも、行ってみたら、それは木の妖精達の声だったみたいで…、近付けば近付くほどにその泣き声ははっきりと聞こえて…。とても苦しそうに泣いていたんです。聞いているこちらが辛くなる程に…。だから…、私は…、」
セラフィーナは目頭が熱くなるのを堪えながら、ヴァルスを見た。
「私は…、どうしても、そのままにしておくことができなかった。彼らが泣いているのを知って、見て見ぬ振りなんてとてもできなかったんです。あんなに苦しそうに泣いて…、誰かの助けを求めているかのようにか細い声を上げているのを聞いたら…、動かずにはいられなかった。彼らを助けたい、力になりたい、少しでも…、その苦痛を取り除いてあげたい。そう思ったんです。」
「…。」
「あの時はとにかく、夢中になってしまって…。気が付いたら、魔力切れを起こしてし倒れてしまったんです。だから、私、特に何も考えてなかったんです。」
セラフィーナはそう言って、恥ずかしそうに言った。そんなセラフィーナにヴァルスは目を伏せた。
「…そうか。何はともあれ、無事で良かった。だが、今後はそのような無茶は控えてくれ。」
ヴァルスはセラフィーナに背を向け、窓の外を見ながら言った。その表情は髪に隠れてよく見えなかった。
「すみません。次からは気を付けます。ヴァルスにも迷惑をかけてしまって…、」
「迷惑とは思っていない。そう言っただろう。」
ヴァルスはそう言って、スタスタと扉まで行くと、ドアノブに手をかけた。
「…少し席を外す。すぐに戻るからそこで待っていてくれ。」
「あ、はい。」
ヴァルスの言葉にセラフィーナは笑って頷いた。
ヴァルスが出て行った後、セラフィーナは先程のヴァルスの様子を思い出した。
さっき、ヴァルスは少し怒っていたようだったけど、あれは何に怒っていたのかな?
もしかして、私を心配して…?それで無茶をした私に怒っていたのかもしれない。もし、そうだったら…、嬉しい。ヴァルスは優しい人だし、私の身を案じてくれたのかも。
セラフィーナはそう考え、フフッと嬉しそうに笑った。
ヴァルスが最後に無事で良かったと言ってくれた言葉を思い出す。彼は本当に優しい人だなとセラフィーナはしみじみと思った。
「…。」
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