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噂の聖女、爆誕編
第7話 決戦とすんごい説得力
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廃砦の広間に、緊張が張り詰める。
私たちは、武器を構えた十数人の盗賊たちに、完全に包囲されていた。
「へっ、なんだぁ? こんなガキどもが俺たちのアジトに何の用だ?」
玉座にふんぞり返っていた頭目の男が、下卑た笑みを浮かべて立ち上がった。その手には、不気味なほど大きな戦斧が握られている。
「俺は勇者ユウキ! 魔王を倒す者だ! お前たちのような悪党は、この俺が成敗してくれる!」
ユウキ様が、啖呵を切る。しかし、盗賊たちは鼻で笑うだけだ。
「勇者だぁ? 笑わせんじゃねえ! やっちまえ、お前ら!」
頭目の号令と共に、盗賊たちが一斉に襲いかかってきた。
「くっ…! 数が多い!」
ダインさんが斧を振るい、二、三人の攻撃をまとめて弾き返す。
「雷の矢(ライトニング・アロー)!」
シルヴィアさんの指先から迸る雷撃が、別の盗賊を痺れさせる。
しかし、敵の数はあまりに多い。じりじりと、包囲の輪は狭まっていく。
私は、ただ震えながら、三人の背中に隠れることしかできなかった。
(怖い、怖い、怖い……! お願い、誰か助けて……!)
恐怖とパニックで、私の頭の中は真っ白になった。
その時だった。
「――皆さん、やめてください!」
自分でも信じられないほど、大きな声が喉から飛び出した。
私が、叫んでいた。
広場にいる全員の視線が、一斉に私に突き刺さる。
盗賊たちも、味方であるはずのユウキ様たちでさえも、驚いた顔で私を見ていた。
「こ、殺し合いなんて、ダメです! 話し合えば、きっとわかり合えます!」
私は、何を言っているのだろう。自分でもわからない。ただ、この恐ろしい状況を終わらせたい一心で、必死に言葉を紡いでいた。
「あぁ? 何言ってんだ、この小娘は」
盗賊の一人が、馬鹿にしたように笑う。
「そ、そうです! 皆さんだって、好きで盗賊をしているわけではないはずです! 故郷に帰りたいとか、家族に会いたいとか、本当はそう思っているんじゃありませんか!?」
私は、ほとんど泣きながら訴えた。しどろもどろで、支離滅裂。説得力なんて、あるはずもなかった。
しかし、その時だった。
私の胸が、ぽわっと、温かい光を放ったのを、私は確かに感じた。
次の瞬間、信じられないことが起こった。
武器を構えていた屈強な盗賊の一人が、突然、ぼろりと涙をこぼしたのだ。
「うっ……かあちゃん……」
え?
かあちゃん?
それを皮切りに、あちこちの盗賊たちが、次々と武器を取り落として泣き始めた。
「俺、村に許嫁(いいなずけ)を残してきたんだ……」
「故郷の畑は、今頃どうなってるだろう……」
「俺がこんなことしてるって知ったら、妹がなんて言うか……」
広間は、あっという間に男たちの嗚咽とすすり泣きで満たされた。
目の前で起きていることが理解できず、ユウキ様もダインさんも、シルヴィアさんさえも、ただ呆然と立ち尽くしている。
「て、てめえら! 何やってやがる! 泣いてる場合か!」
頭目の男が、狼狽しながら怒鳴る。
しかし、彼の目も、なぜか真っ赤に潤んでいた。
「な、なんだ……なんだ、この感情は……。俺は、ただ、オフクロの作ったシチューが、もう一度食いたかっただけなのに……うわぁぁぁん!」
ついに、頭目の男もその場にへたり込み、子供のように声を上げて泣き出してしまった。
「…………」
「…………」
「…………」
静まり返った広間に、男たちのむせび泣く声だけが響いている。
「……す、すごい……」
最初に我に返ったユウキ様が、震える声で呟いた。
「これが……これが、ルルナのスキルの真髄……!」
彼は、恍惚とした表情で私を見つめる。
「言葉そのものに、相手の魂を直接揺さぶり、心の奥底に眠る純粋な感情を強制的に引きずり出す力……! まさに『真実の言霊(トゥルース・ワード)』! なんて恐ろしいスキルなんだ……!」
(しんじつの、ことだま……?)
私は、自分の胸にそっと手を当てた。
温かい光は、もう消えている。
ただ、心臓が、少しだけ穏やかに鼓動しているのを感じた。
こうして、凶悪な盗賊団は、誰一人傷つけることなく、涙ながらに改心した。
彼らは自ら武器を捨て、盗んだ金品を村へ返すことを誓い、故郷へと帰っていった。
私のスキルがまたしても起こした、誰も理解できない、すんごい奇跡。
そして、それを隣で見ていたシルヴィアさんの、私に対する疑惑の目は、もはや疑いを通り越し、畏怖の色を帯び始めていることに、私はまだ気づいていなかった。
私たちは、武器を構えた十数人の盗賊たちに、完全に包囲されていた。
「へっ、なんだぁ? こんなガキどもが俺たちのアジトに何の用だ?」
玉座にふんぞり返っていた頭目の男が、下卑た笑みを浮かべて立ち上がった。その手には、不気味なほど大きな戦斧が握られている。
「俺は勇者ユウキ! 魔王を倒す者だ! お前たちのような悪党は、この俺が成敗してくれる!」
ユウキ様が、啖呵を切る。しかし、盗賊たちは鼻で笑うだけだ。
「勇者だぁ? 笑わせんじゃねえ! やっちまえ、お前ら!」
頭目の号令と共に、盗賊たちが一斉に襲いかかってきた。
「くっ…! 数が多い!」
ダインさんが斧を振るい、二、三人の攻撃をまとめて弾き返す。
「雷の矢(ライトニング・アロー)!」
シルヴィアさんの指先から迸る雷撃が、別の盗賊を痺れさせる。
しかし、敵の数はあまりに多い。じりじりと、包囲の輪は狭まっていく。
私は、ただ震えながら、三人の背中に隠れることしかできなかった。
(怖い、怖い、怖い……! お願い、誰か助けて……!)
恐怖とパニックで、私の頭の中は真っ白になった。
その時だった。
「――皆さん、やめてください!」
自分でも信じられないほど、大きな声が喉から飛び出した。
私が、叫んでいた。
広場にいる全員の視線が、一斉に私に突き刺さる。
盗賊たちも、味方であるはずのユウキ様たちでさえも、驚いた顔で私を見ていた。
「こ、殺し合いなんて、ダメです! 話し合えば、きっとわかり合えます!」
私は、何を言っているのだろう。自分でもわからない。ただ、この恐ろしい状況を終わらせたい一心で、必死に言葉を紡いでいた。
「あぁ? 何言ってんだ、この小娘は」
盗賊の一人が、馬鹿にしたように笑う。
「そ、そうです! 皆さんだって、好きで盗賊をしているわけではないはずです! 故郷に帰りたいとか、家族に会いたいとか、本当はそう思っているんじゃありませんか!?」
私は、ほとんど泣きながら訴えた。しどろもどろで、支離滅裂。説得力なんて、あるはずもなかった。
しかし、その時だった。
私の胸が、ぽわっと、温かい光を放ったのを、私は確かに感じた。
次の瞬間、信じられないことが起こった。
武器を構えていた屈強な盗賊の一人が、突然、ぼろりと涙をこぼしたのだ。
「うっ……かあちゃん……」
え?
かあちゃん?
それを皮切りに、あちこちの盗賊たちが、次々と武器を取り落として泣き始めた。
「俺、村に許嫁(いいなずけ)を残してきたんだ……」
「故郷の畑は、今頃どうなってるだろう……」
「俺がこんなことしてるって知ったら、妹がなんて言うか……」
広間は、あっという間に男たちの嗚咽とすすり泣きで満たされた。
目の前で起きていることが理解できず、ユウキ様もダインさんも、シルヴィアさんさえも、ただ呆然と立ち尽くしている。
「て、てめえら! 何やってやがる! 泣いてる場合か!」
頭目の男が、狼狽しながら怒鳴る。
しかし、彼の目も、なぜか真っ赤に潤んでいた。
「な、なんだ……なんだ、この感情は……。俺は、ただ、オフクロの作ったシチューが、もう一度食いたかっただけなのに……うわぁぁぁん!」
ついに、頭目の男もその場にへたり込み、子供のように声を上げて泣き出してしまった。
「…………」
「…………」
「…………」
静まり返った広間に、男たちのむせび泣く声だけが響いている。
「……す、すごい……」
最初に我に返ったユウキ様が、震える声で呟いた。
「これが……これが、ルルナのスキルの真髄……!」
彼は、恍惚とした表情で私を見つめる。
「言葉そのものに、相手の魂を直接揺さぶり、心の奥底に眠る純粋な感情を強制的に引きずり出す力……! まさに『真実の言霊(トゥルース・ワード)』! なんて恐ろしいスキルなんだ……!」
(しんじつの、ことだま……?)
私は、自分の胸にそっと手を当てた。
温かい光は、もう消えている。
ただ、心臓が、少しだけ穏やかに鼓動しているのを感じた。
こうして、凶悪な盗賊団は、誰一人傷つけることなく、涙ながらに改心した。
彼らは自ら武器を捨て、盗んだ金品を村へ返すことを誓い、故郷へと帰っていった。
私のスキルがまたしても起こした、誰も理解できない、すんごい奇跡。
そして、それを隣で見ていたシルヴィアさんの、私に対する疑惑の目は、もはや疑いを通り越し、畏怖の色を帯び始めていることに、私はまだ気づいていなかった。
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