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噂の聖女、爆誕編
第17話 勇者とすんごい本音
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書斎での一件以来、私の頭は混乱していた。
私のスキルは、世界の法則さえ書き換えてしまう?
考えれば考えるほど、自分の力が恐ろしくなる。その夜、私はなかなか寝付けずに、城のバルコニーに出て、一人で夜風にあたっていた。
「こんな時間にどうしたんだ、ルルナ? 眠れないのか?」
背後からの声に振り返ると、ユウキ様が立っていた。
「あ、ユウキ様……。はい、少しだけ……」
「そっか」
ユウキ様は私の隣にやってくると、手すりに寄りかかり、私と同じように星空を眺めた。普段の快活な雰囲気とは違う、静かな横顔。
その横顔を見ていると、私はずっと気になっていたことを、思わず尋ねてしまっていた。
「ユウキ様は……どうしてそんなに、私のスキルを信じてくれるんですか? お父様も、周りの皆も、笑ったのに……」
ユウキ様は、星空から視線を外さないまま、ぽつりと答えた。
「……信じてるっていうか、信じたいんだよ」
その声は、いつもの彼からは想像もできないほど、穏やかで、少しだけ寂しそうだった。
「俺さ、元の世界じゃ、本当に何でもない、ただの学生だったんだ。特別なことなんて何もなくて……。だから、こっちに来て『勇者』なんて呼ばれても、正直、自信なんて全然ないんだ」
初めて聞く、彼の本音だった。
「でも、ルルナのスキルは違う。あれは、常識じゃ測れない、本物の『奇跡』だ。理屈なんてどうでもいい。その奇跡がそばにあれば、俺みたいな偽物でも、本当に勇者になれるんじゃないかって……そう思わせてくれるんだよ」
いつも私を励ましてくれる、太陽みたいな人。
そんな彼も、私と同じように、不安と戦っていたんだ。
そう思うと、私はなんだか、彼のことが「すごい勇者様」ではなく、もっと身近な、一人の大切な仲間に思えた。
「……私は、ユウキ様がリーダーで、本当によかったです」
自然と、言葉がこぼれた。
「あなたが、私の力を信じてくれたから、今の私が、ここにいられます。ありがとうございます」
私のまっすぐな言葉に、ユウキ様は少し驚いたように目を見開き、それから、照れくさそうに笑った。
「ははっ、なんだよ、急に…。でも、ありがとな、ルルナ!」
彼が、嬉しそうに手すりに体重をかけた、その時だった。
バキッ!
風雨に晒され、脆くなっていた石の手すりが、彼の動きに耐えきれず、大きな音を立てて砕けたのだ。巨大な石の塊が、バルコニーの外へと落下していく。
「やべっ!」
真下は、衛兵が巡回している中庭だ。大騒ぎになるに違いない。
私は、危険を顧みず、ユウキ様の腕を掴んで、力いっぱい引き寄せた。
「あぶないっ!」
その勢いで、私の胸が、ユウキ様の背中に、ぽすん、と強く押し付けられた。
――奇跡は、その瞬間に起きた。
中庭へと落下していくはずだった石の塊が、空中で、ぴたり、と静止したのだ。
そして、まるで糸に引かれるように、ゆっくりと浮き上がり、元の場所へと吸い寄せられる。砕けた断面が寸分の狂いなく合わさり、ひび割れが魔法のように消えていく。
全ては、無音のまま行われた。
「…………」
「…………」
私たちは、完全に修復された手すりと、静まり返った中庭を、ただ呆然と見比べていた。
やがて、ユウキ様が、ぎこちなく口を開いた。
「……なあ、ルルナ」
「は、はい!」
「今の……俺に触れたよな? 俺の背中に、君の胸が……」
「も、申し訳ありません! わざとじゃ……!」
私の顔が、カッと熱くなる。
ユウキ様は、修復された手すりを指さし、そして私を見て、全てを理解したという顔で、にやりと笑った。
「……そっか。なるほどな。つまり君のおっぱいに触れた対象は、本人だろうが、その人が壊した物だろうが、全部まとめて『守護対象』として奇跡が起きるわけだ」
彼は、夜空に向かって高らかに宣言した。
「スキル名『聖なる接触(ホーリー・タッチ)』! 効果範囲、自分自身から接触対象へ! うん、これに決まりだ! やっぱり何でもありだな、君のおっぱいは!」
私の、生まれて初めての、少しだけ良い雰囲気だった夜は、またしても私のすんごいおっぱいによって、台無しにされてしまったのだった。
私のスキルは、世界の法則さえ書き換えてしまう?
考えれば考えるほど、自分の力が恐ろしくなる。その夜、私はなかなか寝付けずに、城のバルコニーに出て、一人で夜風にあたっていた。
「こんな時間にどうしたんだ、ルルナ? 眠れないのか?」
背後からの声に振り返ると、ユウキ様が立っていた。
「あ、ユウキ様……。はい、少しだけ……」
「そっか」
ユウキ様は私の隣にやってくると、手すりに寄りかかり、私と同じように星空を眺めた。普段の快活な雰囲気とは違う、静かな横顔。
その横顔を見ていると、私はずっと気になっていたことを、思わず尋ねてしまっていた。
「ユウキ様は……どうしてそんなに、私のスキルを信じてくれるんですか? お父様も、周りの皆も、笑ったのに……」
ユウキ様は、星空から視線を外さないまま、ぽつりと答えた。
「……信じてるっていうか、信じたいんだよ」
その声は、いつもの彼からは想像もできないほど、穏やかで、少しだけ寂しそうだった。
「俺さ、元の世界じゃ、本当に何でもない、ただの学生だったんだ。特別なことなんて何もなくて……。だから、こっちに来て『勇者』なんて呼ばれても、正直、自信なんて全然ないんだ」
初めて聞く、彼の本音だった。
「でも、ルルナのスキルは違う。あれは、常識じゃ測れない、本物の『奇跡』だ。理屈なんてどうでもいい。その奇跡がそばにあれば、俺みたいな偽物でも、本当に勇者になれるんじゃないかって……そう思わせてくれるんだよ」
いつも私を励ましてくれる、太陽みたいな人。
そんな彼も、私と同じように、不安と戦っていたんだ。
そう思うと、私はなんだか、彼のことが「すごい勇者様」ではなく、もっと身近な、一人の大切な仲間に思えた。
「……私は、ユウキ様がリーダーで、本当によかったです」
自然と、言葉がこぼれた。
「あなたが、私の力を信じてくれたから、今の私が、ここにいられます。ありがとうございます」
私のまっすぐな言葉に、ユウキ様は少し驚いたように目を見開き、それから、照れくさそうに笑った。
「ははっ、なんだよ、急に…。でも、ありがとな、ルルナ!」
彼が、嬉しそうに手すりに体重をかけた、その時だった。
バキッ!
風雨に晒され、脆くなっていた石の手すりが、彼の動きに耐えきれず、大きな音を立てて砕けたのだ。巨大な石の塊が、バルコニーの外へと落下していく。
「やべっ!」
真下は、衛兵が巡回している中庭だ。大騒ぎになるに違いない。
私は、危険を顧みず、ユウキ様の腕を掴んで、力いっぱい引き寄せた。
「あぶないっ!」
その勢いで、私の胸が、ユウキ様の背中に、ぽすん、と強く押し付けられた。
――奇跡は、その瞬間に起きた。
中庭へと落下していくはずだった石の塊が、空中で、ぴたり、と静止したのだ。
そして、まるで糸に引かれるように、ゆっくりと浮き上がり、元の場所へと吸い寄せられる。砕けた断面が寸分の狂いなく合わさり、ひび割れが魔法のように消えていく。
全ては、無音のまま行われた。
「…………」
「…………」
私たちは、完全に修復された手すりと、静まり返った中庭を、ただ呆然と見比べていた。
やがて、ユウキ様が、ぎこちなく口を開いた。
「……なあ、ルルナ」
「は、はい!」
「今の……俺に触れたよな? 俺の背中に、君の胸が……」
「も、申し訳ありません! わざとじゃ……!」
私の顔が、カッと熱くなる。
ユウキ様は、修復された手すりを指さし、そして私を見て、全てを理解したという顔で、にやりと笑った。
「……そっか。なるほどな。つまり君のおっぱいに触れた対象は、本人だろうが、その人が壊した物だろうが、全部まとめて『守護対象』として奇跡が起きるわけだ」
彼は、夜空に向かって高らかに宣言した。
「スキル名『聖なる接触(ホーリー・タッチ)』! 効果範囲、自分自身から接触対象へ! うん、これに決まりだ! やっぱり何でもありだな、君のおっぱいは!」
私の、生まれて初めての、少しだけ良い雰囲気だった夜は、またしても私のすんごいおっぱいによって、台無しにされてしまったのだった。
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