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第一章 追放と告白
第4話 マチルダさんの好きな人
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マチルダさんにキスをしたその夜、僕はほとんど眠ることができずにいた。
あれでよかったのだろうか?
何度も考え続けていた。
どうして、あんなことをしてしまったのだろう……。
そう、僕はマチルダさんとしたキスしたことで悩んでいたんだ。
僕は、どうしてマチルダさんの唇なんかにキスしてしまったのだろうか。
マチルダさんは僕のことを嫌いではないと言っていたが……。
でも、そこに恋愛感情はなかったはずだ。
なのに、僕は調子に乗ってしまい、頬ではなく唇にキスしてしまった。
マチルダさん、嫌な思いをしていないだろうか。
はじめはそんなことを考え後悔していたが、時間とともにその考えが変わっていった。
マチルダさんはこう言った。
「冗談でも、嫌いな人にキスするなんて約束しないわよ」
僕のことは嫌いでない、つまり好きだと言いたかったんだ。
でも、好きだなんて直接的な表現を避けたかったから、「嫌いな人ではない」と言ったんだ。
そうだ。
マチルダさんは僕とキスするのが嫌ではなかった。
つまり、恋愛感情があったということだ。
どこからともなくそんな思いがわきあがってきた。
そうなると、僕の中である思いが強く芽生えてきた。
マチルダさんと付き合いたい。
マチルダさんの恋人になりたい。
頭の中はそんな願望でいっぱいになってしまった。
告白したい。
今ならうまくいくんじゃないか。
朝になると、僕はさっそく冒険者ギルドへと向かった。
寝不足の僕の目に、太陽の光はまぶしすぎた。
風がほほをやわらかくなでてくれる。
「おはようございます!」
ギルドのドアを開けた僕は、明るい声でそう挨拶した。
もちろん、マチルダさんに向けての挨拶だった。
けれど。
いつも受付にいるはずのマチルダさんの姿が見えない。
えっ?
休みなのかな?
体調でも崩したのかな?
「ねえ、マチルダさんは休みなの?」
僕はギルド倉庫の荷物運びをしているポールに聞いてみた。
「いや、来てるよ。あれ? どこかに行ってるのかな? そう言えばさっき、クローと話していたけど」
「クローと?」
「ああ、そうだよ」
ポールは軽い調子で答えた。
けれど、僕にとっては重い事実だ。
クローがマチルダさんのことを気に入っていることは、ヤツの態度を見ていれば一目瞭然だ。
そんなクローは、冒険者としての地位と甘いマスクを利用して女をはべらせている噂もある。
女ぐせの悪いクローとマチルダさんが二人で話している……。
嫌な予感しかしなかった。
辺りを見渡すが二人の姿はどこにも見えない。
あそこかな。
もう一度ギルドのドアを開け、外に出る。
そっと建物の周りを進む。
いた!
建物の裏手、物が積まれている影にクローとマチルダさんが立っている。
けれど……。
えっ?
僕はその場で固まってしまった。
なんと、あのマチルダさんが、いつもやさしく、それでいてキリッとしているマチルダさんが、涙を流していたのだ。
クローは冷たい表情で突っ立っている。
マチルダさんが泣くなんて、ただごとではない。
「もう私のことが邪魔になったってことね」
涙ながらのマチルダさんの声がもれ聞こえてきた。
「そんなことないよ。ただ、今までのような関係は終わりにしたいんだ」
クローの言葉も耳に入る。
マチルダさんはクローのその言葉を聞くと、スッと体を反転させ、その場から逃げるように去っていった。
そして、あろうことか僕のいる方向に向かって走ってきた。
うわっ、盗み聞きしていたのがバレてしまう。
マチルダさんはそんな僕の姿などお構いなしに走り去っていった。
けれど、僕の前を通過する時、チラッと目があったような気がした。
僕はあわててマチルダさんの後を追った。
何かつらいことがあったんだ。
僕にできることはないのだろうか。
「マチルダさん」
ギルドから少し離れた木の下で、僕はマチルダさんに追いついた。
「どうかしたのですか?」
「見られてしまったわね」
「何か、クローに嫌なことでも言われたのですか?」
「……」
「困っていることがあったのなら、僕に言ってくれませんか?」
昨日、僕とマチルダさんはキスした仲だ。
僕が、なぐさめられることもできるはずだ。
「ありがとう、マルコス」
マチルダさんは少しヤケになっているような感じでこう言った。
「簡単に言うと私、クローに捨てられたのよ」
「捨てられた?」
どういうことだろう?
それは、恋人だった男と破局になったということ?
「マチルダさんはクローのことが好きだったのですか?」
「……」
なにも答えなかったが、表情を見れば彼女の気持ちはわかる。
そんな……。
僕は、クローがマチルダさんにぞっこんだと思っていた。
逆だったのだ。
マチルダさんがクローのことを好いていたんだ。
それで、女たらしのクローがマチルダさんを……。
マチルダさんがクローを好きだったなんて……。
まったくそんなことに気づけなかった僕は、なんと鈍感な男なんだ。
でも、マチルダさんはなぜ?
僕は浮かんだ疑問をそのまま口にした。
「マチルダさんは、クローのことが好きなのに、どうして僕とキスをしたのですか?」
「……それはね、クローを嫉妬させたかったのよ」
マチルダさんは下を向き続けた。
「私って、ひどい女ね。だから、クローにも捨てられるのよね」
「そんなことはありません」
僕は反射的に言った。
「マチルダさんは決してひどい女性ではありません。ひどいのはクローです。あいつは女性にモテることをいいことに、女性を物のように扱っていると評判ですから。あんな男と関係が切れたなんて、逆に良かったことですよ」
わけもわからず、浮かんだ言葉をそのまま話している。
こんなんで、なぐさめになっているのだろうか?
「ありがとう。私みたいにひどい女に、マルコスはやさしい言葉をかけてくれるのね」
そうだ。
マチルダさんはクローへの当てつけのために、つまり僕には気がないのに、僕とキスしたわけだ。
もしかして、その事実を知ったクローが怒ってマチルダさんを捨てたのでは?
「ねえ、マチルダさん」
僕は思い切って言った。
「多分、気づいていると思いますが、僕はマチルダさんのことが好きです。だから、僕と付き合っていただけませんか? 今、僕と付き合えば、もっとクローへの当てつけができると思うのですが」
「当てつけのために付き合うの?」
「はじめは当てつけでも、だんだんと……」
マチルダさんは少し表情を和ませた。
「ありがとう。マルコスはやさしい人ね。でも、当てつけのために他の男の人とは付き合えない。そんなお付き合いは長く続かないもの」
そう言ってから、マチルダさんは僕にしっかりと目を向けてきた。
「それに、私、強い男が好きなの。だから、あなたとは付き合えない」
強い男が好き……。
そうなんだ……。
スライム一匹をやっと倒していい気になっている僕では駄目なんだ。
そんな頼りない男では、マチルダさんの心をつかめないんだ。
「じゃあ、マチルダさん、もし僕が強くなったら、僕と付き合ってもらえますか?」
「いいわよ。あなたがダンジョンのボスキャラを倒すような剣士になったら、お付き合いを考えるわ」
そうだ。
剣士は強くなくてはいけないんだ。
強くなって、マチルダさんをしっかりと守れる男にならないと。
そのためには、一歩一歩前に進んでいかなければ。
もっとたくさんのスライム倒して、レベルをあげていく。
まずはそこからだ。
そして、いつの日か、ボスキャラを一人で倒すような剣士になってやる。
僕はそう心に誓ったのだった。
あれでよかったのだろうか?
何度も考え続けていた。
どうして、あんなことをしてしまったのだろう……。
そう、僕はマチルダさんとしたキスしたことで悩んでいたんだ。
僕は、どうしてマチルダさんの唇なんかにキスしてしまったのだろうか。
マチルダさんは僕のことを嫌いではないと言っていたが……。
でも、そこに恋愛感情はなかったはずだ。
なのに、僕は調子に乗ってしまい、頬ではなく唇にキスしてしまった。
マチルダさん、嫌な思いをしていないだろうか。
はじめはそんなことを考え後悔していたが、時間とともにその考えが変わっていった。
マチルダさんはこう言った。
「冗談でも、嫌いな人にキスするなんて約束しないわよ」
僕のことは嫌いでない、つまり好きだと言いたかったんだ。
でも、好きだなんて直接的な表現を避けたかったから、「嫌いな人ではない」と言ったんだ。
そうだ。
マチルダさんは僕とキスするのが嫌ではなかった。
つまり、恋愛感情があったということだ。
どこからともなくそんな思いがわきあがってきた。
そうなると、僕の中である思いが強く芽生えてきた。
マチルダさんと付き合いたい。
マチルダさんの恋人になりたい。
頭の中はそんな願望でいっぱいになってしまった。
告白したい。
今ならうまくいくんじゃないか。
朝になると、僕はさっそく冒険者ギルドへと向かった。
寝不足の僕の目に、太陽の光はまぶしすぎた。
風がほほをやわらかくなでてくれる。
「おはようございます!」
ギルドのドアを開けた僕は、明るい声でそう挨拶した。
もちろん、マチルダさんに向けての挨拶だった。
けれど。
いつも受付にいるはずのマチルダさんの姿が見えない。
えっ?
休みなのかな?
体調でも崩したのかな?
「ねえ、マチルダさんは休みなの?」
僕はギルド倉庫の荷物運びをしているポールに聞いてみた。
「いや、来てるよ。あれ? どこかに行ってるのかな? そう言えばさっき、クローと話していたけど」
「クローと?」
「ああ、そうだよ」
ポールは軽い調子で答えた。
けれど、僕にとっては重い事実だ。
クローがマチルダさんのことを気に入っていることは、ヤツの態度を見ていれば一目瞭然だ。
そんなクローは、冒険者としての地位と甘いマスクを利用して女をはべらせている噂もある。
女ぐせの悪いクローとマチルダさんが二人で話している……。
嫌な予感しかしなかった。
辺りを見渡すが二人の姿はどこにも見えない。
あそこかな。
もう一度ギルドのドアを開け、外に出る。
そっと建物の周りを進む。
いた!
建物の裏手、物が積まれている影にクローとマチルダさんが立っている。
けれど……。
えっ?
僕はその場で固まってしまった。
なんと、あのマチルダさんが、いつもやさしく、それでいてキリッとしているマチルダさんが、涙を流していたのだ。
クローは冷たい表情で突っ立っている。
マチルダさんが泣くなんて、ただごとではない。
「もう私のことが邪魔になったってことね」
涙ながらのマチルダさんの声がもれ聞こえてきた。
「そんなことないよ。ただ、今までのような関係は終わりにしたいんだ」
クローの言葉も耳に入る。
マチルダさんはクローのその言葉を聞くと、スッと体を反転させ、その場から逃げるように去っていった。
そして、あろうことか僕のいる方向に向かって走ってきた。
うわっ、盗み聞きしていたのがバレてしまう。
マチルダさんはそんな僕の姿などお構いなしに走り去っていった。
けれど、僕の前を通過する時、チラッと目があったような気がした。
僕はあわててマチルダさんの後を追った。
何かつらいことがあったんだ。
僕にできることはないのだろうか。
「マチルダさん」
ギルドから少し離れた木の下で、僕はマチルダさんに追いついた。
「どうかしたのですか?」
「見られてしまったわね」
「何か、クローに嫌なことでも言われたのですか?」
「……」
「困っていることがあったのなら、僕に言ってくれませんか?」
昨日、僕とマチルダさんはキスした仲だ。
僕が、なぐさめられることもできるはずだ。
「ありがとう、マルコス」
マチルダさんは少しヤケになっているような感じでこう言った。
「簡単に言うと私、クローに捨てられたのよ」
「捨てられた?」
どういうことだろう?
それは、恋人だった男と破局になったということ?
「マチルダさんはクローのことが好きだったのですか?」
「……」
なにも答えなかったが、表情を見れば彼女の気持ちはわかる。
そんな……。
僕は、クローがマチルダさんにぞっこんだと思っていた。
逆だったのだ。
マチルダさんがクローのことを好いていたんだ。
それで、女たらしのクローがマチルダさんを……。
マチルダさんがクローを好きだったなんて……。
まったくそんなことに気づけなかった僕は、なんと鈍感な男なんだ。
でも、マチルダさんはなぜ?
僕は浮かんだ疑問をそのまま口にした。
「マチルダさんは、クローのことが好きなのに、どうして僕とキスをしたのですか?」
「……それはね、クローを嫉妬させたかったのよ」
マチルダさんは下を向き続けた。
「私って、ひどい女ね。だから、クローにも捨てられるのよね」
「そんなことはありません」
僕は反射的に言った。
「マチルダさんは決してひどい女性ではありません。ひどいのはクローです。あいつは女性にモテることをいいことに、女性を物のように扱っていると評判ですから。あんな男と関係が切れたなんて、逆に良かったことですよ」
わけもわからず、浮かんだ言葉をそのまま話している。
こんなんで、なぐさめになっているのだろうか?
「ありがとう。私みたいにひどい女に、マルコスはやさしい言葉をかけてくれるのね」
そうだ。
マチルダさんはクローへの当てつけのために、つまり僕には気がないのに、僕とキスしたわけだ。
もしかして、その事実を知ったクローが怒ってマチルダさんを捨てたのでは?
「ねえ、マチルダさん」
僕は思い切って言った。
「多分、気づいていると思いますが、僕はマチルダさんのことが好きです。だから、僕と付き合っていただけませんか? 今、僕と付き合えば、もっとクローへの当てつけができると思うのですが」
「当てつけのために付き合うの?」
「はじめは当てつけでも、だんだんと……」
マチルダさんは少し表情を和ませた。
「ありがとう。マルコスはやさしい人ね。でも、当てつけのために他の男の人とは付き合えない。そんなお付き合いは長く続かないもの」
そう言ってから、マチルダさんは僕にしっかりと目を向けてきた。
「それに、私、強い男が好きなの。だから、あなたとは付き合えない」
強い男が好き……。
そうなんだ……。
スライム一匹をやっと倒していい気になっている僕では駄目なんだ。
そんな頼りない男では、マチルダさんの心をつかめないんだ。
「じゃあ、マチルダさん、もし僕が強くなったら、僕と付き合ってもらえますか?」
「いいわよ。あなたがダンジョンのボスキャラを倒すような剣士になったら、お付き合いを考えるわ」
そうだ。
剣士は強くなくてはいけないんだ。
強くなって、マチルダさんをしっかりと守れる男にならないと。
そのためには、一歩一歩前に進んでいかなければ。
もっとたくさんのスライム倒して、レベルをあげていく。
まずはそこからだ。
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僕はそう心に誓ったのだった。
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