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第3話 王太子の危機
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晩餐会は粛々と進行していた。ジョージ殿下は父と妹に挟まれて食事をしていたが、ことあるごとに私に話かけてきた。妹のクレイアの表情が見るまに不機嫌になっていく。わかりやすいだけに私はいたたまれない気持ちになる。
父もその気配を感じたのか、私に殿下が話かけようとすると、すぐに話に割って入り、クレイアの話題に持って行こうとした。
しかし、私に対しての表情と、妹のクレイアに対しての表情があまりにも違うので、さすがの父も誤魔化しきれない様子だった。私はこの場をどうしたらよいものかとても困った。
案の定、ジョージ王太子殿下が席を外したところで、妹のクレイアが文句を言い始めてきた。
「お兄様。今日のこの場を台無しにして、どういうお考えなのですか?」
「別に、台無しにするつもりはないよ。私は公爵令息として、殿下に失礼のないよう接しているつもりだけど」
「いい、今日は私が主役なのよ。ジョージ殿下とこれから燃えるような恋愛に発展していくところだって言うのに、どうしてお兄様は邪魔ばかりしているの」
「いや、こちらから殿下には何も話をしていない。ジョージ殿下が話しかけてくるから、無礼にならないように答えているだけ」
そう私が答えると、クレイアは激怒し、いきなりテーブルをバンと叩いた。周囲の注目が集まっている。
「じゃあ、どうして、あんなに…… あんなに殿下は嬉しそうにあなたに話しかけているのよ。私の方が魅力的だって言うのに。ねえどうして? まさか兄さん、ジョージ殿下のことを誘惑していない? 男の格好をしているくせに」
「殿下はきっと歳の近い友人が欲しかったんだよ。クレイア、みっともない真似はしないで、もう少し冷静に」
「私は冷静よ!!」
そう言ってクレイアは立ち上がると、席を離れてスタスタと出て行ってしまった。母が慌てて追いかけている。
「なあ、ナイアス。殿下に対してあまりおかしな行動はするなよ。当主は俺なんだからな。お前は俺にただ黙って従っていればいいんだ。いいか、分かったな」
「分かりました、父上」
みな勝手なことばかり言って、私は何もしてないのに。
私はそう思って深くため息をついた。
◇
夜になって、私が自室で休んでいると、急にノックの音が聞こえた。
誰だろうと思い、扉の向こうに声をかけた。
「誰?」
「俺だ、ジョージだ。ちょっと困ったことが起きてしまった」
私は少し驚いた。どうして、ここにきたんだろうと。それで、ガウンを羽織り扉を開けた。彼は少し焦っている様子で、中に入れてくれと頼んできた。少し困ったが、何かある様子なので、部屋に入れることにした。私は少しガウンの襟元が気になったのできゅっと固く締めた。
彼は部屋に入ると椅子に座って語り始めた。私は彼に何か温かいものをと思ったが、それには及ばないと制止された。
「こんな夜遅く、大変申し訳ない。急な用事ができたのだけれど、君だけに言っておきたいことがあって、部屋の場所を教えてもらったんだ」
「急な用事とはなんですか」
「王都から連絡が来た。どうやら、隣国シャーリー王国が攻めてきたようだ。だから、すぐにここをたたないといけない」
「いついくの?」
「明朝すぐにでも。いち早く王都に戻らないと。王太子の不在は士気にかかわるからな。だから、これでしばらく君とはお別れだ」
「無事に着くといいね」
「ああ、短い間だったが、世話になった。君の父上にもよろしく頼むよ。もしかしたら今度の戦争では一緒に戦うことになるかもしれないし」
「うん」
「ここだけの話、もし、君の父上が…… いや、やっぱりやめておこう。君は、そう君だけは僕の力になってほしい。言いたいのはそれだけだ」
私は彼の言っていることがあまりよくわからなかったが、安心させるために頷いた。
「わかったよ。気をつけて。道中の無事を祈るよ」
「ああ、また二人で話をしようぜ、じゃあな」
彼はそのまま笑顔を残して立ち去っていった。私はベッドで横になったが、なかなか眠れなかった。
今夜の彼もとても素敵だった。正直、いきなり来られてびっくりしたけれど、出発前にわざわざきてくれたことはとても嬉しかった。今でも少し気分が高揚している。
どうして、彼はわざわざここにきたのだろう。何か他に言いたいことがあったのではないだろうか。
少し気になったが、考えてみても何も答えは出なかった。
私は女として、殿下を愛することは許されていない。公爵令息という立場では、そのようなことがあってはならないからだ。この行き場のない気持ちをどうしたら良いのだろう。
でももし、戦争になったら、その時私は彼を支えることができるのではないだろうか。この思いを力に変えることができるのではないか。
寝る直前に彼の隣で戦うことを想像してみた。悪くないなと思う。自分は女として彼に振る舞うことは許されていない。でも戦場であれば彼の役に立つことができる。
彼の助けになりたかった。女として彼の役に立たないのであれば、せめて、戦って彼のために尽くしたい。そんな思いが体の奥から湧いてきて、少し胸が熱くなった。
◇
明朝、彼は十数騎の従者を引き連れて、慌ただしく公爵邸を去っていった。私の他に父が一緒に見送りに来ていた。妹の姿はないようだった。昨日の一件で臍を曲げているのかもしれない。
彼は相変わらずの爽やかな笑顔で、馬上から私たちに手を振って去っていった。
「父上」
「なんだ」
「父上はどこまで知っているのですか? 今の情勢を」
「ふん、お前はまだ知らなくても良い」
そう言って父は部屋に戻って行った。父は何かを隠している。そして、王太子殿下はそれをもしかしたら、感じ取っているのかもしれない。
「どうかご無事で」
私は結局祈ることしかできなかった。
◇
状況が変わったのは昼過ぎのことだった。
血まみれの王太子の従者の一人が戻ってきたのだ。私は父の部屋に呼び出された。
父は自分の椅子にふんぞり帰って報告を聞いていた。従者は報告を終わると”何とぞ殿下をお救いください”と言っていたが、父は冷淡に彼の手当てをするよう使用人に伝え、怪我をした従者を部屋から退出させた。
「父上、何かあったのですか?」
「ああ、ジョージ殿下が敵に襲われているそうだ」
「本当ですか、その話は」
私が父があまりに冷静でいることを不可解に感じた。
「今すぐにでも、救出隊を選出するべきです。私も出ます。人選も私に任せてください」
「お前は出るなナイアス。それにもう人選も済ませている。隊長はお前の師匠でもあるアーロンだ。不満はあるまい」
「なぜです。なぜ私が出てはいけないのですか?」
「お前は次期公爵だ。勝手な真似は許されん」
「しかし、襲われているのは王太子殿下なのですよ。私が行かないと言う手は……」
「惚れたのか、ナイアス」
私は何も言えなくなった。
「女は捨てろと言ったはずだ、ナイアス。まあ良い。いいか、王太子殿下と言っても我々ランバート公爵領は元々、彼らと同じ国ではない。それにたびたび起きている戦いでガーネット本国の力は疲弊している。この事態をどう考える」
「それであればなおさら、本国を支えなくてはいけないのでは」
「甘いな。いいかナイアス。情に動かされるのは愚かな領主のやることだ。まずは見極める。当然勝つ方に賭けるのだ。ガーネット王国とシャーリー王国。二つの国が再び争おうとしているのだ。ランバート公爵家としては好都合ではないか」
「何が好都合なのです」
「どちらも我々に協力を要請するだろう。だが、すぐに動いてはいけない。どちらが自分たちを高く買ってくれるのか、そして、どちらが勝ちそうなのか、よく見極める必要がある。もちろん、王太子の救出には動くが、その後、ガーネット王国に協力するかどうかは、状況を見て判断することになる」
「ですが、我々は……」
「領主は領民のことを最も大切に考えねばならぬ。そのことを忘れないことだな。個人の感情は捨てろ。いいか、分かったな」
私はうなだれて部屋を退出した。
◇
私は自室に戻って、ウロウロと歩き回りながら、考えてみた。
どう考えても父の考えはおかしい。どうして、同じ国として今までうまくやってきたのに、裏切りとはいかないまでも、こんな冷淡な対応をするのだろう。我々の王太子殿下でもあると言うのに。
そして、ここまで考えて、私はジョージ殿下の昨晩何を考えていたかを悟った。
おそらく彼はこのような事態になることをすでに想定していたのだろう。
そして、我々が裏切らないように、こんな情勢の中、王都から離れるという危険を冒してまで我々を説得に来たのだ。そして、父上の昨日の対応を見て、その恐れが現実のものとなるのではと考えた。
私に近づいたのはきっと一縷の望みを託すためだったのではないか。そして、最後の晩、彼が私に本当に言いたかったこと…… おそらく、父がガーネット王国を裏切った場合、私に力を貸してもらいたかったのだ。だが言えなかった。
私は強く右手を握りしめた。
正義は明らかに王太子殿下の方にある。父はとても汚い。同じ国の仲間だというのに、窮地に陥った時こそ、助け合う必要があるというのに。
私は今まで何のために剣の腕を磨いてきたのだろう。このような時に力を振るうためではなかったのか。女であることを捨ててまで、磨いたこの剣技を、どうして、この時、この瞬間に出し惜しむことがあろうか。
今にも殿下は敵の手で切り刻まれているかもしれない。そうまでいかなくても捕まえられ、縄で縛られて屈辱的な目に遭っているかもしれない。周囲を敵に囲まれて、助けを叫んでいるかもしれない。
私は壁にかけられている剣を掴み取り、鞘から解き放った。剣は鈍色の光をたたえ、無言で私に答えてくれた。
”私にかけられた呪い、父からの呪縛を今こそ断ち切るべきだ” と
私はその時、次期公爵の座を捨て去ってでも、ジョージ殿下を救い出すことを心に誓った。
父もその気配を感じたのか、私に殿下が話かけようとすると、すぐに話に割って入り、クレイアの話題に持って行こうとした。
しかし、私に対しての表情と、妹のクレイアに対しての表情があまりにも違うので、さすがの父も誤魔化しきれない様子だった。私はこの場をどうしたらよいものかとても困った。
案の定、ジョージ王太子殿下が席を外したところで、妹のクレイアが文句を言い始めてきた。
「お兄様。今日のこの場を台無しにして、どういうお考えなのですか?」
「別に、台無しにするつもりはないよ。私は公爵令息として、殿下に失礼のないよう接しているつもりだけど」
「いい、今日は私が主役なのよ。ジョージ殿下とこれから燃えるような恋愛に発展していくところだって言うのに、どうしてお兄様は邪魔ばかりしているの」
「いや、こちらから殿下には何も話をしていない。ジョージ殿下が話しかけてくるから、無礼にならないように答えているだけ」
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「私は冷静よ!!」
そう言ってクレイアは立ち上がると、席を離れてスタスタと出て行ってしまった。母が慌てて追いかけている。
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「分かりました、父上」
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私はそう思って深くため息をついた。
◇
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誰だろうと思い、扉の向こうに声をかけた。
「誰?」
「俺だ、ジョージだ。ちょっと困ったことが起きてしまった」
私は少し驚いた。どうして、ここにきたんだろうと。それで、ガウンを羽織り扉を開けた。彼は少し焦っている様子で、中に入れてくれと頼んできた。少し困ったが、何かある様子なので、部屋に入れることにした。私は少しガウンの襟元が気になったのできゅっと固く締めた。
彼は部屋に入ると椅子に座って語り始めた。私は彼に何か温かいものをと思ったが、それには及ばないと制止された。
「こんな夜遅く、大変申し訳ない。急な用事ができたのだけれど、君だけに言っておきたいことがあって、部屋の場所を教えてもらったんだ」
「急な用事とはなんですか」
「王都から連絡が来た。どうやら、隣国シャーリー王国が攻めてきたようだ。だから、すぐにここをたたないといけない」
「いついくの?」
「明朝すぐにでも。いち早く王都に戻らないと。王太子の不在は士気にかかわるからな。だから、これでしばらく君とはお別れだ」
「無事に着くといいね」
「ああ、短い間だったが、世話になった。君の父上にもよろしく頼むよ。もしかしたら今度の戦争では一緒に戦うことになるかもしれないし」
「うん」
「ここだけの話、もし、君の父上が…… いや、やっぱりやめておこう。君は、そう君だけは僕の力になってほしい。言いたいのはそれだけだ」
私は彼の言っていることがあまりよくわからなかったが、安心させるために頷いた。
「わかったよ。気をつけて。道中の無事を祈るよ」
「ああ、また二人で話をしようぜ、じゃあな」
彼はそのまま笑顔を残して立ち去っていった。私はベッドで横になったが、なかなか眠れなかった。
今夜の彼もとても素敵だった。正直、いきなり来られてびっくりしたけれど、出発前にわざわざきてくれたことはとても嬉しかった。今でも少し気分が高揚している。
どうして、彼はわざわざここにきたのだろう。何か他に言いたいことがあったのではないだろうか。
少し気になったが、考えてみても何も答えは出なかった。
私は女として、殿下を愛することは許されていない。公爵令息という立場では、そのようなことがあってはならないからだ。この行き場のない気持ちをどうしたら良いのだろう。
でももし、戦争になったら、その時私は彼を支えることができるのではないだろうか。この思いを力に変えることができるのではないか。
寝る直前に彼の隣で戦うことを想像してみた。悪くないなと思う。自分は女として彼に振る舞うことは許されていない。でも戦場であれば彼の役に立つことができる。
彼の助けになりたかった。女として彼の役に立たないのであれば、せめて、戦って彼のために尽くしたい。そんな思いが体の奥から湧いてきて、少し胸が熱くなった。
◇
明朝、彼は十数騎の従者を引き連れて、慌ただしく公爵邸を去っていった。私の他に父が一緒に見送りに来ていた。妹の姿はないようだった。昨日の一件で臍を曲げているのかもしれない。
彼は相変わらずの爽やかな笑顔で、馬上から私たちに手を振って去っていった。
「父上」
「なんだ」
「父上はどこまで知っているのですか? 今の情勢を」
「ふん、お前はまだ知らなくても良い」
そう言って父は部屋に戻って行った。父は何かを隠している。そして、王太子殿下はそれをもしかしたら、感じ取っているのかもしれない。
「どうかご無事で」
私は結局祈ることしかできなかった。
◇
状況が変わったのは昼過ぎのことだった。
血まみれの王太子の従者の一人が戻ってきたのだ。私は父の部屋に呼び出された。
父は自分の椅子にふんぞり帰って報告を聞いていた。従者は報告を終わると”何とぞ殿下をお救いください”と言っていたが、父は冷淡に彼の手当てをするよう使用人に伝え、怪我をした従者を部屋から退出させた。
「父上、何かあったのですか?」
「ああ、ジョージ殿下が敵に襲われているそうだ」
「本当ですか、その話は」
私が父があまりに冷静でいることを不可解に感じた。
「今すぐにでも、救出隊を選出するべきです。私も出ます。人選も私に任せてください」
「お前は出るなナイアス。それにもう人選も済ませている。隊長はお前の師匠でもあるアーロンだ。不満はあるまい」
「なぜです。なぜ私が出てはいけないのですか?」
「お前は次期公爵だ。勝手な真似は許されん」
「しかし、襲われているのは王太子殿下なのですよ。私が行かないと言う手は……」
「惚れたのか、ナイアス」
私は何も言えなくなった。
「女は捨てろと言ったはずだ、ナイアス。まあ良い。いいか、王太子殿下と言っても我々ランバート公爵領は元々、彼らと同じ国ではない。それにたびたび起きている戦いでガーネット本国の力は疲弊している。この事態をどう考える」
「それであればなおさら、本国を支えなくてはいけないのでは」
「甘いな。いいかナイアス。情に動かされるのは愚かな領主のやることだ。まずは見極める。当然勝つ方に賭けるのだ。ガーネット王国とシャーリー王国。二つの国が再び争おうとしているのだ。ランバート公爵家としては好都合ではないか」
「何が好都合なのです」
「どちらも我々に協力を要請するだろう。だが、すぐに動いてはいけない。どちらが自分たちを高く買ってくれるのか、そして、どちらが勝ちそうなのか、よく見極める必要がある。もちろん、王太子の救出には動くが、その後、ガーネット王国に協力するかどうかは、状況を見て判断することになる」
「ですが、我々は……」
「領主は領民のことを最も大切に考えねばならぬ。そのことを忘れないことだな。個人の感情は捨てろ。いいか、分かったな」
私はうなだれて部屋を退出した。
◇
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どう考えても父の考えはおかしい。どうして、同じ国として今までうまくやってきたのに、裏切りとはいかないまでも、こんな冷淡な対応をするのだろう。我々の王太子殿下でもあると言うのに。
そして、ここまで考えて、私はジョージ殿下の昨晩何を考えていたかを悟った。
おそらく彼はこのような事態になることをすでに想定していたのだろう。
そして、我々が裏切らないように、こんな情勢の中、王都から離れるという危険を冒してまで我々を説得に来たのだ。そして、父上の昨日の対応を見て、その恐れが現実のものとなるのではと考えた。
私に近づいたのはきっと一縷の望みを託すためだったのではないか。そして、最後の晩、彼が私に本当に言いたかったこと…… おそらく、父がガーネット王国を裏切った場合、私に力を貸してもらいたかったのだ。だが言えなかった。
私は強く右手を握りしめた。
正義は明らかに王太子殿下の方にある。父はとても汚い。同じ国の仲間だというのに、窮地に陥った時こそ、助け合う必要があるというのに。
私は今まで何のために剣の腕を磨いてきたのだろう。このような時に力を振るうためではなかったのか。女であることを捨ててまで、磨いたこの剣技を、どうして、この時、この瞬間に出し惜しむことがあろうか。
今にも殿下は敵の手で切り刻まれているかもしれない。そうまでいかなくても捕まえられ、縄で縛られて屈辱的な目に遭っているかもしれない。周囲を敵に囲まれて、助けを叫んでいるかもしれない。
私は壁にかけられている剣を掴み取り、鞘から解き放った。剣は鈍色の光をたたえ、無言で私に答えてくれた。
”私にかけられた呪い、父からの呪縛を今こそ断ち切るべきだ” と
私はその時、次期公爵の座を捨て去ってでも、ジョージ殿下を救い出すことを心に誓った。
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