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レインは驚愕していた。まさかここでバーミリオン流の人間に会うことになるろうとは!
しかも昔一度会ったことのあるキチガイドワーフに!
忘れようとしていた存在、記憶の片隅になぜか居座る上級魔道士ミッド。
やつはやばい!
バーミリオン流の人間は皆筋トレバカなのだがやつはその域にいない。もうバカとかのレベルではないのだ。
筋肉を信仰し狂信者の域に達している。
師匠アノールドですらちょっと引いてるのだから異常に違いないのだ。
バーミリオン流の人間と一緒に筋トレすると筋トレが心地よくなってくる。
健康的でいいな!
まぁそう思うギリギリのラインとして許せるだろう。許せるか?いや許せるはずだ。
実際リアルの世界でも筋トレマニアはそういった気分の高揚や努力した分の成果として筋肉が肥大化することを喜ぶものがいるのだから許せる範囲だと思いたい。
だが!
ミッドとの筋トレは違う!!断じて違う!!
こいつと筋トレしたものは何かに取り憑かれたかのように筋トレをする。
筋トレしないと生きていけないというほど、まるで筋トレが麻薬かのように普通に生活することが苦しいとさえ思うほど筋トレしていないと気持ち悪くなるまで筋トレをさせられるのだ。まさに禁断症状!
師匠アノールドが「筋肉には適切な休養が必要だ!」といってるにもかかわらず「ええ!ですから休暇を取らせましょう!ちょっとしたリフレッシュに各筋肉を動かしましょうか!!」と訳のわからないことを言いながら腕立てや腹筋、スクワットにランジと重りは持たないまでもずっと体を動かし続けるバカなのだ。それがまた癖になる程心地よくやめてしまうとそわそわ苦しくなってくる。
細かい筋肉を鍛えるためにほんの少し体勢を変えていろんな運動を無酸素有酸素交互に気分が高揚するピークの一歩手前でやめて次に移る。いわゆるサーキットトレーニングなのだが何か違う。
姑息だ!
ひどい!
やらしい!
あとちょっとのところでやめて次の運動。今度こそと思ったところで次の運動。負荷もギリギリのラインを見極めてくる。マジキチドワーフ。
やつと筋トレすると三日間は動き続けないと逆にしんどいと言われるほどだ。
俺はマグロか!と言いたくなる。いやへんな意味ではないよ?
このミッドは筋肉バカ集団のバーミリオン流でもプレイヤー命名『ゴキ』と呼ばれるボディービル軍団とドワーフ以外のものはあまり関わりたくないと言わしめる筋肉信者なのだ。普段は温厚なミッドだが筋トレには上下関係無視で笑顔が怖い鬼となる。
ミッド言語
ご褒美 → 1RM 最大一回しか持ち上げられないほど強負荷の重りを持ち上げる
リフレッシュ → サーキットトレーニング
おしゃれ → パンプアップ
お手入れ → 体に油を塗る
レインが知っているミッドが使う間違った言葉…もう頭がおかしいとしか言えない。
筋トレさえしなければ特に問題はない優しいドワーフ。
悪人ではないだけにタチが悪い。
ドワーフ×バーミリオン流は禁断の組み合わせであるとはレインが広めた噂だ。
レインは思考停止気味に今日は情報収集を諦めようと踵を返そうとしたその時!
ミッドが振り向き
目が
目が
目が合ってしまった
蛇に睨まれた蛙とはこういう気持ちなのだろうか?
ごめんなさい。
この世界に来て調子に乗っていました。
ごめんなさい。
やはり情報収集は大事です!
本当にごめんなさい。
誰か助けてください!!なんでこんなとこにミッドがいるんだ!
心のうちにレインは叫ぶが誰も助けてくれるわけはない。
「おぉ!レイン!今呼んでもらおうかと思ってたところだ!久しいな。」
ズンズンという音が聞こえてくるかのように近づいてくるミッドに苦笑いするレイン。
「ア~ハハハ。オヒサシブリデス。…どうしてこちらに?宮廷魔法師だったはずでは?」
「ん?おぉそれはだな『世界融合』の所為でここの兵力が手薄でな。隣国はかのヴァウガード帝国だ。エルトゥールルの国境は森の向こうにある監視塔までになるからな。この森を切り開くまでの間アトーリアの魔法師団長を勤めているのだ。普段なら監視塔にいるのだが今は誕生祭だからな。」
「あ~そうですか。なるほどなるほど。」
「あぁ。少し国境線を押し込まれてしまっていたので俺の出番というわけだったのだ。一応二箇所ほど森を突っ切る道を開拓したのだがまだ一般の商人が通れるようにはなっておらんでな。当分ここの魔法師団を率いることになっておる。」
「それって喋ってもいいことなんですか?」
「なに構わんよ。その程度の情報はどこの国も知っておる。でだ、一応俺もこの国も軍人だ。お前のことを疑ってるわけではないが話を聞かせてもらっても良いか?」
「あ~…わかりました。ただ俺がいなかった5年間のことも聞かせてください。何をするにも情報がないと動きにくいですから。」
「だろうな。いいだろう俺の知ってることは全て教えてやろう。ガッハッハ!まだまだわかってないことの方が多いし国の内情は特に虚実入り混じってるからな。話半分で全て信用はせんでくれ。」
「わかりました。どこか話せる場所に移動しましょう。物騒な話もあるでしょうしね。」
「あぁ旅館は心と体を休めるところだ。移動するとしよう。どうだ?久しぶりに一緒に筋トレしながら話すか?」
「遠慮します!!!戻って来たばかりですから。」
「そうか…まぁ無理しても筋肉を痛めるからな。残念だが仕方あるまい。では俺の行きつけの店にでも行こう。」
レインはミッドと会ってしまった時には拒否反応を示していたが情報を得るには好都合と話に乗ることにした。
うっかり筋トレをしないように注意を払いつつミッドの行きつけの店へと向かう。
「おぉそうだ!エルルとかいう新しい車を作ったそうだな。乗せてくれるか?」
「え?まぁいいですけど。お店って遠いんですか?」
「そう遠くはないがケチケチするな!俺とお前の仲だろう。」
「え?でも実際はそんな会ってませんよね?」
「一緒に修行した兄弟弟子ではないか!!それともまだ筋トレを共にしないとダメなのか?」
「いえいえいえいえいえいえいえいえ!メメメメッソウモナイデス!!俺とミッドさんの仲ですもんね!もちろん乗って行きましょう!ですが馬車ほどの大きさなので駐車場がある店でお願いします。」
「あぁ心得ておる。人力と聞いておるが俺が運転してもいいか?」
「あ~…はい!もももちろん!」
少し考えるレインだがミッドと目があうとすぐに許諾してしまう。
ミッドの目を見るとどうも全て肯定してしまいそうなレインだが筋トレだけはしないぞと固く誓いつつエルルの運転の仕方を教える。新しいおもちゃを与えられた子供のようにはしゃぐミッドを生暖かい目で見ながら後部座席に座ると意気揚々とエルルを運転し始めるミッド。初めてにしてはスムーズに走り出すことに成功させてミッド行きつけの料理店へと走り出す。
レインはミッドがエルルを走らせる速度に呆れていた。街中で走っていい速度のギリギリで飛ばすのだ。
ゆっくり行けばいいものを「ガハハハッハハッハッハー」と奇妙な笑い声と共に走るエルル。恥ずかしいったらない。
ミッドの行きつけの店は大通りを挟んで反対側の道を5分ほど走ったところにあった。
確かにそこまで離れてるという距離ではないだろう。冒険者やミッドの感覚に限ればの話だが。
店の駐車場にエルルを止めると個室に案内される。ここもプレイヤーがオーナーであった中華料理店『旬旬』。個室には盗聴防止の魔道具が設置されている。
「ガハハハ!あぁあれはいいな!いいトレーニングになるだろう!欲を言えば車がもっと重ければいいのだがどうだ?」
「いやいや!荷運び用なんですからもっと軽い方がいいんですよ!トレーニングなら動かす必要なんてないんですから車輪をつけずにもっと負荷を加えれるようにってなんの話ですか!」
「ほうトレーニング用にも作れるのか!!しかも動かないってことは室内でできるではないか!!雨の日のトレーニングはレパートリーが少なくていかん。俺にそのトレーニング道具を作ってくれんか?」
このまま話が進んでいくと一緒にトレーニングという話になりそうだと焦るレイン。どうにか話題を変えなければならない。
「それより情報ですよ!ミッドさんの情報次第で作ることにします。」
「む!それではとっておきを話さなければならんな。」
そこからお互いの情報を話し合う。
え?中華?熱い・辛い・うまい以上
紹興酒を煽るミッドとの情報交換はほとんどミッドの持ち出しだ。
ミッドが『MYO』に入会したことには特に驚きはなかったがトレーニング道具を作るといったことを後悔するほど濃い情報を出してくれた。公国に報告していない未確定情報まで教えてくれたのだ。見返りの道具がどうなるか…下手すると一緒にトレーニングするまである。
まず現在の世情からだ。
今いるのはガイアースのゲーム開始時から存在したアッジャ大陸で以前の大きさと比べで1.5倍ほど大きくなっている。
他の大陸も大きくなっている上に大陸間の距離も変動している。
新たな大陸も発見されているようでまだ全ての海を調べられていない。それはゲーム時代も同じだ。
ミッドが知っているのはアッジャ大陸の情報だけとの前置きの元話は続く。
アッジャ大陸はエルトゥールル公国とその四方に大国が四つ。そして南の大国のそのまた南に小国がいくつも存在していた。
北東には広大な森林ダンジョン『ノーラ大森林』
北西には『ウワバ山脈』と呼ばれる大蛇のようにうねる迷宮がいくつも存在する迷いの山があり
南西には『龍の顎門』と呼ばれる大峡谷
南東には『水精の泉』と呼ばれる大きな湖とそこからのびる川
これらによって各大国は国境線が決まっておりその中心にエルトゥールル公国が存在する。
ここまではレインも大まかに知ってるゲーム時代の情報だ。
この前置きからいくつか情報をもらったが重要なのはこれだろう。
パトラが知らない本当の情報だ。
この国の周りにある森は国境線より若干内側に収まっており、森自体がバルシャという国であった。異世界の国にすっぽりと収まった形になる。この国自体はほとんどが森であったことと好戦的なものがいなかったために何度か話し合いの結果北側の町と村がビストート連邦に所属し他はエルトゥールル公国が吸収する形になった。簡単に吸収されたのはもともと『エトワール』という国の属国でその国からかなり虐げられていたのが好待遇で迎え入れると交渉されたためだ。
温厚な国民性ではあるが武器などの精錬技術が発達していたようで魔法付与を除けば冒険者上がりの鍛治師(プレイヤー)の平均値と比べても少し劣る程度だという。ただその職人がヴァルガード帝国によって誘拐されることが増えてきた。主に西側に限っていえば村もいくつか焼かれてかなり悲惨な目にあっているそうだ。
奴隷の首輪をはめられて無理やり武器を作らされていると『MYO』の情報には上がってきている。ただこれには証拠がない。失踪していた冒険者がたまたま見てきただけで証拠品を持ってくることができなかった。それでは国を動かす情報としては足りない。
他にも犯罪者にも奴隷の首輪をつけて他国に送り込んで好き勝手暴れさせたりしているようだが捕まったら自爆するように首輪に設定されているためにどうしようもない。ヴァルガードだと言い切るだけの証拠もないし持ち物がいろんな国からの寄せ集めだったりするからタチが悪い。
どうも今のヴァルガードの皇帝は自国以外のことは考えておらず失踪してしまった実力者がいないのをいいことに好き勝手しているのだ。もともと嗜虐趣味があったため近隣の国に出兵し年齢関係なく女を集めて自身の趣味の道具にしているそうだ。飽きたものは部下や犯罪者に流して他国に嫌がらせするように促す。
ここまでゲスいとヴァルガードを落とすのにも躊躇がなくて済みそうなほど腹立たしい。
かといってこの国の将にはチート級のNPCは存在する。5人いる将軍の内2人を除けば皆皇帝のイエスマンだ。その2人は正義感が強い将軍であったが『世界融合』で失踪してしまったことから皇帝の暴走に拍車がかかる。新しく発見されたバルシャなど格好の獲物だったわけだ。3つほどの村と町が犠牲になる頃にミッド率いる魔法師団がアトーリアに到着したことでエルトゥールル公国には被害がなかったがどこの世界の国ともしれぬ人間ではあるが無実の民が犠牲になったことにはかわりない。ミッドはそのことを知ると怒りのまま国境侵犯という名目でヴァルガードの兵をかたっぱしからひねっていったそうだ。
万の軍を監視塔の場所まではミッド1人で押し戻すことができたというのだからバーミリオン流魔法師の実力が異常だとわかるだろう。しかも将軍のうち1人の腕を完全に潰して隻腕にしてしまったようだ。いくらチートNPCでも南のレイメルト聖王国以外では腕を生やすほどの回復魔法を持つものはいない。魔法薬なら東の森林国家ジュノワール共和国だろう。回復手段がない以上その1人はほぼ戦力外に近いのではないだろうか?
賠償として捕まえたばかりであったバルシャ人奴隷を返還されたがエルトゥールル公国に対しての詫びが全くなかったようだ。
「無断で国境を渡ったのは詫びる。だが急に現れた蛮族を捕まえてやったのだから感謝しろ。」
意味のわからない理屈だ。しかも監視塔にいたはずの兵たちを殺したのもその蛮族のせいだと堂々と言い切ったそうだ。呆れてものもいえないがそれが嘘との証拠もない。森の近くにあった村と町がもう存在しないのだからその村の者がやったと言われてしまう。しかも自国の小さな村を1つ焼いてまで正当防衛を主張する徹底ぶりだ。反論しても『世界融合』で錯乱してたのだろうと返される。実際それが原因で戦争になった国もあるようで話は平行線をたどりうやむやのうちに今に至る。
次に北のビストートのさらに北側に『エトワール』というバルシャを属国としていた国が存在し、そこには勇者と呼ばれる人間が5人在籍している。情報は少ないが外見的特徴は黒髪薄顔の少年少女だそうだ。ビストートに攻め込んでいたようだがビストートの精鋭がなんとか持ちこたえている間に同盟を結んだレイメルトとエルトゥールルから増援が駆けつけて今は冷戦状態。勇者の強さはAランク冒険者に近いということからかなりの腕前だろう。名前がわかっているものが1人いるようで『ヒイラギ ケント』というらしい。
ビストートに攻め込んでくる敵の中にいたようで「魔王の手先覚悟!!」「邪神に与する愚か者がー!!」と叫びながら突っ込んできたおバカさんだ。
レインはこの話を聞いた時悪い国王に騙される異世界もの小説を思い出した。
日本人の中高生が召喚されて煽てられ他国と戦争する。よくある話でそれがまた面白かったりするんだが今はどうでもいい話だ。
そしてこの話には続きがある。
戦争が膠着した頃失踪していたアノールド師匠が現れたそうだ。失踪していたことはチートキャラであったので当然といえば当然なのだがどこに現れたのかというとエトワールだ。
見知らぬ土地にいた師匠はエトワールという国の内情を少しばかり調べたようで勇者はどこかの世界から無理やり引きずり込んできた人間だという。
またしても小説と同じような内容。
魔王が本当にいるかどうかはわからんがどうやらこの勇者は宗教戦争のために召喚され、エトワール以外にも勇者召喚という名の人間兵器召喚を行なっている国が少なくとも二つ存在するとこまで行き着いた。これ以上こっそり調べることができないと思ったアノールドは召喚用の魔法陣を調べに儀式場に忍び込む。
儀式の魔法陣自体は壊れていたがいくつか読めそうな部分を解読中に兵士に見つかり国を脱出してきたという話だ。
師匠の調査によれば異世界人召喚魔法陣は欠陥品である可能性が高いそうで持ち帰ったメモ書きと儀式場の備品を調べているところだという。
決定的な証拠もない上に荒唐無稽な内容。異世界から人を召喚など誰が信じるとも思えないが『MYO』の人間には情報共有し、できる限り調査協力をして欲しいそうだ。ミッドが国家秘密であろう話までして協力を求めるということは相当切羽詰まっているのかレインの力をあてにしているのかという状況であろう。
ここまで話終えたミッドだが最後にこう付け足した。
「師匠がエトワールから逃げる際ヴァルガードの軍服を着たものを見たと言ってた。ヴァルガードとエトワールはなんらかのつながりがある可能性も…な。」
まともな証拠が見つからない以上混乱を招く情報。
どこまで正確なものかはわからない。ただ一つ言えるのは『MYO』の人間がゲーム設定のままなら信用できる。
レインは今得られた情報を手帳に書き示すとため息をひとつ。
重い!
内容が重すぎだ。
ちょっと楽しいゲーム世界に来たと思ってたのに国同士のゴタゴタに勇者召喚?
挙句にそれは欠陥品ときたらそこから導かれるのはなんだ?
普通は信じれない内容。だが実際ゲーム世界に来てしまっているレインとしては可能性いくつか思いつくものもあるがどうだ?
今の世情では趣味のコレクションを増やすにも問題は多い。
職人の不足からくる技術の後退で自分の持つアイテムも公に使いにくい。
魔道具もなぜか壊れてまともなのが残っていないらしい。
プレイヤーも何人この世界に来てることやら…チートキャラにも失踪してる者が多いようで戦闘職はそこそこの数が戻っているようだが職人・研究者はほとんどどこにいるのかわからない。まぁそれは当然どこかに引きこもってるかモンスターにやられたかまだこの世界に戻って来てないかだろう。可能性で一番高いのは引きこもりだ。あの人種が何もせず普通に帰ってくることはないだろう。
一向に考えがまとまらないレインだがまずは課題の情報収集として大きな情報は得た。
細々とした始めに聞いた内容はまたおさらいするとして大きな重たいものを聞いた限りエルトゥールルの直接的な戦争はミッドがヴァルガード帝国と戦った以外には何もなかったので比較的平和?だが他の国ではまだ荒れてるところもあるようだ。
どこも治安改善に必死となれば少しの間この国でいるのも悪くない。少なくともプルシアーナとロアナが自衛できるまではここにいようと思ったレイン。パトラの情報との齟齬もあるのでまとめるのに時間がかかりそうだ。
ミッドはレインが考えをまとめるまでしばらく待つと今の情報でどれだけのトレーニングマシンを作れるのか交渉を始める。
しかも昔一度会ったことのあるキチガイドワーフに!
忘れようとしていた存在、記憶の片隅になぜか居座る上級魔道士ミッド。
やつはやばい!
バーミリオン流の人間は皆筋トレバカなのだがやつはその域にいない。もうバカとかのレベルではないのだ。
筋肉を信仰し狂信者の域に達している。
師匠アノールドですらちょっと引いてるのだから異常に違いないのだ。
バーミリオン流の人間と一緒に筋トレすると筋トレが心地よくなってくる。
健康的でいいな!
まぁそう思うギリギリのラインとして許せるだろう。許せるか?いや許せるはずだ。
実際リアルの世界でも筋トレマニアはそういった気分の高揚や努力した分の成果として筋肉が肥大化することを喜ぶものがいるのだから許せる範囲だと思いたい。
だが!
ミッドとの筋トレは違う!!断じて違う!!
こいつと筋トレしたものは何かに取り憑かれたかのように筋トレをする。
筋トレしないと生きていけないというほど、まるで筋トレが麻薬かのように普通に生活することが苦しいとさえ思うほど筋トレしていないと気持ち悪くなるまで筋トレをさせられるのだ。まさに禁断症状!
師匠アノールドが「筋肉には適切な休養が必要だ!」といってるにもかかわらず「ええ!ですから休暇を取らせましょう!ちょっとしたリフレッシュに各筋肉を動かしましょうか!!」と訳のわからないことを言いながら腕立てや腹筋、スクワットにランジと重りは持たないまでもずっと体を動かし続けるバカなのだ。それがまた癖になる程心地よくやめてしまうとそわそわ苦しくなってくる。
細かい筋肉を鍛えるためにほんの少し体勢を変えていろんな運動を無酸素有酸素交互に気分が高揚するピークの一歩手前でやめて次に移る。いわゆるサーキットトレーニングなのだが何か違う。
姑息だ!
ひどい!
やらしい!
あとちょっとのところでやめて次の運動。今度こそと思ったところで次の運動。負荷もギリギリのラインを見極めてくる。マジキチドワーフ。
やつと筋トレすると三日間は動き続けないと逆にしんどいと言われるほどだ。
俺はマグロか!と言いたくなる。いやへんな意味ではないよ?
このミッドは筋肉バカ集団のバーミリオン流でもプレイヤー命名『ゴキ』と呼ばれるボディービル軍団とドワーフ以外のものはあまり関わりたくないと言わしめる筋肉信者なのだ。普段は温厚なミッドだが筋トレには上下関係無視で笑顔が怖い鬼となる。
ミッド言語
ご褒美 → 1RM 最大一回しか持ち上げられないほど強負荷の重りを持ち上げる
リフレッシュ → サーキットトレーニング
おしゃれ → パンプアップ
お手入れ → 体に油を塗る
レインが知っているミッドが使う間違った言葉…もう頭がおかしいとしか言えない。
筋トレさえしなければ特に問題はない優しいドワーフ。
悪人ではないだけにタチが悪い。
ドワーフ×バーミリオン流は禁断の組み合わせであるとはレインが広めた噂だ。
レインは思考停止気味に今日は情報収集を諦めようと踵を返そうとしたその時!
ミッドが振り向き
目が
目が
目が合ってしまった
蛇に睨まれた蛙とはこういう気持ちなのだろうか?
ごめんなさい。
この世界に来て調子に乗っていました。
ごめんなさい。
やはり情報収集は大事です!
本当にごめんなさい。
誰か助けてください!!なんでこんなとこにミッドがいるんだ!
心のうちにレインは叫ぶが誰も助けてくれるわけはない。
「おぉ!レイン!今呼んでもらおうかと思ってたところだ!久しいな。」
ズンズンという音が聞こえてくるかのように近づいてくるミッドに苦笑いするレイン。
「ア~ハハハ。オヒサシブリデス。…どうしてこちらに?宮廷魔法師だったはずでは?」
「ん?おぉそれはだな『世界融合』の所為でここの兵力が手薄でな。隣国はかのヴァウガード帝国だ。エルトゥールルの国境は森の向こうにある監視塔までになるからな。この森を切り開くまでの間アトーリアの魔法師団長を勤めているのだ。普段なら監視塔にいるのだが今は誕生祭だからな。」
「あ~そうですか。なるほどなるほど。」
「あぁ。少し国境線を押し込まれてしまっていたので俺の出番というわけだったのだ。一応二箇所ほど森を突っ切る道を開拓したのだがまだ一般の商人が通れるようにはなっておらんでな。当分ここの魔法師団を率いることになっておる。」
「それって喋ってもいいことなんですか?」
「なに構わんよ。その程度の情報はどこの国も知っておる。でだ、一応俺もこの国も軍人だ。お前のことを疑ってるわけではないが話を聞かせてもらっても良いか?」
「あ~…わかりました。ただ俺がいなかった5年間のことも聞かせてください。何をするにも情報がないと動きにくいですから。」
「だろうな。いいだろう俺の知ってることは全て教えてやろう。ガッハッハ!まだまだわかってないことの方が多いし国の内情は特に虚実入り混じってるからな。話半分で全て信用はせんでくれ。」
「わかりました。どこか話せる場所に移動しましょう。物騒な話もあるでしょうしね。」
「あぁ旅館は心と体を休めるところだ。移動するとしよう。どうだ?久しぶりに一緒に筋トレしながら話すか?」
「遠慮します!!!戻って来たばかりですから。」
「そうか…まぁ無理しても筋肉を痛めるからな。残念だが仕方あるまい。では俺の行きつけの店にでも行こう。」
レインはミッドと会ってしまった時には拒否反応を示していたが情報を得るには好都合と話に乗ることにした。
うっかり筋トレをしないように注意を払いつつミッドの行きつけの店へと向かう。
「おぉそうだ!エルルとかいう新しい車を作ったそうだな。乗せてくれるか?」
「え?まぁいいですけど。お店って遠いんですか?」
「そう遠くはないがケチケチするな!俺とお前の仲だろう。」
「え?でも実際はそんな会ってませんよね?」
「一緒に修行した兄弟弟子ではないか!!それともまだ筋トレを共にしないとダメなのか?」
「いえいえいえいえいえいえいえいえ!メメメメッソウモナイデス!!俺とミッドさんの仲ですもんね!もちろん乗って行きましょう!ですが馬車ほどの大きさなので駐車場がある店でお願いします。」
「あぁ心得ておる。人力と聞いておるが俺が運転してもいいか?」
「あ~…はい!もももちろん!」
少し考えるレインだがミッドと目があうとすぐに許諾してしまう。
ミッドの目を見るとどうも全て肯定してしまいそうなレインだが筋トレだけはしないぞと固く誓いつつエルルの運転の仕方を教える。新しいおもちゃを与えられた子供のようにはしゃぐミッドを生暖かい目で見ながら後部座席に座ると意気揚々とエルルを運転し始めるミッド。初めてにしてはスムーズに走り出すことに成功させてミッド行きつけの料理店へと走り出す。
レインはミッドがエルルを走らせる速度に呆れていた。街中で走っていい速度のギリギリで飛ばすのだ。
ゆっくり行けばいいものを「ガハハハッハハッハッハー」と奇妙な笑い声と共に走るエルル。恥ずかしいったらない。
ミッドの行きつけの店は大通りを挟んで反対側の道を5分ほど走ったところにあった。
確かにそこまで離れてるという距離ではないだろう。冒険者やミッドの感覚に限ればの話だが。
店の駐車場にエルルを止めると個室に案内される。ここもプレイヤーがオーナーであった中華料理店『旬旬』。個室には盗聴防止の魔道具が設置されている。
「ガハハハ!あぁあれはいいな!いいトレーニングになるだろう!欲を言えば車がもっと重ければいいのだがどうだ?」
「いやいや!荷運び用なんですからもっと軽い方がいいんですよ!トレーニングなら動かす必要なんてないんですから車輪をつけずにもっと負荷を加えれるようにってなんの話ですか!」
「ほうトレーニング用にも作れるのか!!しかも動かないってことは室内でできるではないか!!雨の日のトレーニングはレパートリーが少なくていかん。俺にそのトレーニング道具を作ってくれんか?」
このまま話が進んでいくと一緒にトレーニングという話になりそうだと焦るレイン。どうにか話題を変えなければならない。
「それより情報ですよ!ミッドさんの情報次第で作ることにします。」
「む!それではとっておきを話さなければならんな。」
そこからお互いの情報を話し合う。
え?中華?熱い・辛い・うまい以上
紹興酒を煽るミッドとの情報交換はほとんどミッドの持ち出しだ。
ミッドが『MYO』に入会したことには特に驚きはなかったがトレーニング道具を作るといったことを後悔するほど濃い情報を出してくれた。公国に報告していない未確定情報まで教えてくれたのだ。見返りの道具がどうなるか…下手すると一緒にトレーニングするまである。
まず現在の世情からだ。
今いるのはガイアースのゲーム開始時から存在したアッジャ大陸で以前の大きさと比べで1.5倍ほど大きくなっている。
他の大陸も大きくなっている上に大陸間の距離も変動している。
新たな大陸も発見されているようでまだ全ての海を調べられていない。それはゲーム時代も同じだ。
ミッドが知っているのはアッジャ大陸の情報だけとの前置きの元話は続く。
アッジャ大陸はエルトゥールル公国とその四方に大国が四つ。そして南の大国のそのまた南に小国がいくつも存在していた。
北東には広大な森林ダンジョン『ノーラ大森林』
北西には『ウワバ山脈』と呼ばれる大蛇のようにうねる迷宮がいくつも存在する迷いの山があり
南西には『龍の顎門』と呼ばれる大峡谷
南東には『水精の泉』と呼ばれる大きな湖とそこからのびる川
これらによって各大国は国境線が決まっておりその中心にエルトゥールル公国が存在する。
ここまではレインも大まかに知ってるゲーム時代の情報だ。
この前置きからいくつか情報をもらったが重要なのはこれだろう。
パトラが知らない本当の情報だ。
この国の周りにある森は国境線より若干内側に収まっており、森自体がバルシャという国であった。異世界の国にすっぽりと収まった形になる。この国自体はほとんどが森であったことと好戦的なものがいなかったために何度か話し合いの結果北側の町と村がビストート連邦に所属し他はエルトゥールル公国が吸収する形になった。簡単に吸収されたのはもともと『エトワール』という国の属国でその国からかなり虐げられていたのが好待遇で迎え入れると交渉されたためだ。
温厚な国民性ではあるが武器などの精錬技術が発達していたようで魔法付与を除けば冒険者上がりの鍛治師(プレイヤー)の平均値と比べても少し劣る程度だという。ただその職人がヴァルガード帝国によって誘拐されることが増えてきた。主に西側に限っていえば村もいくつか焼かれてかなり悲惨な目にあっているそうだ。
奴隷の首輪をはめられて無理やり武器を作らされていると『MYO』の情報には上がってきている。ただこれには証拠がない。失踪していた冒険者がたまたま見てきただけで証拠品を持ってくることができなかった。それでは国を動かす情報としては足りない。
他にも犯罪者にも奴隷の首輪をつけて他国に送り込んで好き勝手暴れさせたりしているようだが捕まったら自爆するように首輪に設定されているためにどうしようもない。ヴァルガードだと言い切るだけの証拠もないし持ち物がいろんな国からの寄せ集めだったりするからタチが悪い。
どうも今のヴァルガードの皇帝は自国以外のことは考えておらず失踪してしまった実力者がいないのをいいことに好き勝手しているのだ。もともと嗜虐趣味があったため近隣の国に出兵し年齢関係なく女を集めて自身の趣味の道具にしているそうだ。飽きたものは部下や犯罪者に流して他国に嫌がらせするように促す。
ここまでゲスいとヴァルガードを落とすのにも躊躇がなくて済みそうなほど腹立たしい。
かといってこの国の将にはチート級のNPCは存在する。5人いる将軍の内2人を除けば皆皇帝のイエスマンだ。その2人は正義感が強い将軍であったが『世界融合』で失踪してしまったことから皇帝の暴走に拍車がかかる。新しく発見されたバルシャなど格好の獲物だったわけだ。3つほどの村と町が犠牲になる頃にミッド率いる魔法師団がアトーリアに到着したことでエルトゥールル公国には被害がなかったがどこの世界の国ともしれぬ人間ではあるが無実の民が犠牲になったことにはかわりない。ミッドはそのことを知ると怒りのまま国境侵犯という名目でヴァルガードの兵をかたっぱしからひねっていったそうだ。
万の軍を監視塔の場所まではミッド1人で押し戻すことができたというのだからバーミリオン流魔法師の実力が異常だとわかるだろう。しかも将軍のうち1人の腕を完全に潰して隻腕にしてしまったようだ。いくらチートNPCでも南のレイメルト聖王国以外では腕を生やすほどの回復魔法を持つものはいない。魔法薬なら東の森林国家ジュノワール共和国だろう。回復手段がない以上その1人はほぼ戦力外に近いのではないだろうか?
賠償として捕まえたばかりであったバルシャ人奴隷を返還されたがエルトゥールル公国に対しての詫びが全くなかったようだ。
「無断で国境を渡ったのは詫びる。だが急に現れた蛮族を捕まえてやったのだから感謝しろ。」
意味のわからない理屈だ。しかも監視塔にいたはずの兵たちを殺したのもその蛮族のせいだと堂々と言い切ったそうだ。呆れてものもいえないがそれが嘘との証拠もない。森の近くにあった村と町がもう存在しないのだからその村の者がやったと言われてしまう。しかも自国の小さな村を1つ焼いてまで正当防衛を主張する徹底ぶりだ。反論しても『世界融合』で錯乱してたのだろうと返される。実際それが原因で戦争になった国もあるようで話は平行線をたどりうやむやのうちに今に至る。
次に北のビストートのさらに北側に『エトワール』というバルシャを属国としていた国が存在し、そこには勇者と呼ばれる人間が5人在籍している。情報は少ないが外見的特徴は黒髪薄顔の少年少女だそうだ。ビストートに攻め込んでいたようだがビストートの精鋭がなんとか持ちこたえている間に同盟を結んだレイメルトとエルトゥールルから増援が駆けつけて今は冷戦状態。勇者の強さはAランク冒険者に近いということからかなりの腕前だろう。名前がわかっているものが1人いるようで『ヒイラギ ケント』というらしい。
ビストートに攻め込んでくる敵の中にいたようで「魔王の手先覚悟!!」「邪神に与する愚か者がー!!」と叫びながら突っ込んできたおバカさんだ。
レインはこの話を聞いた時悪い国王に騙される異世界もの小説を思い出した。
日本人の中高生が召喚されて煽てられ他国と戦争する。よくある話でそれがまた面白かったりするんだが今はどうでもいい話だ。
そしてこの話には続きがある。
戦争が膠着した頃失踪していたアノールド師匠が現れたそうだ。失踪していたことはチートキャラであったので当然といえば当然なのだがどこに現れたのかというとエトワールだ。
見知らぬ土地にいた師匠はエトワールという国の内情を少しばかり調べたようで勇者はどこかの世界から無理やり引きずり込んできた人間だという。
またしても小説と同じような内容。
魔王が本当にいるかどうかはわからんがどうやらこの勇者は宗教戦争のために召喚され、エトワール以外にも勇者召喚という名の人間兵器召喚を行なっている国が少なくとも二つ存在するとこまで行き着いた。これ以上こっそり調べることができないと思ったアノールドは召喚用の魔法陣を調べに儀式場に忍び込む。
儀式の魔法陣自体は壊れていたがいくつか読めそうな部分を解読中に兵士に見つかり国を脱出してきたという話だ。
師匠の調査によれば異世界人召喚魔法陣は欠陥品である可能性が高いそうで持ち帰ったメモ書きと儀式場の備品を調べているところだという。
決定的な証拠もない上に荒唐無稽な内容。異世界から人を召喚など誰が信じるとも思えないが『MYO』の人間には情報共有し、できる限り調査協力をして欲しいそうだ。ミッドが国家秘密であろう話までして協力を求めるということは相当切羽詰まっているのかレインの力をあてにしているのかという状況であろう。
ここまで話終えたミッドだが最後にこう付け足した。
「師匠がエトワールから逃げる際ヴァルガードの軍服を着たものを見たと言ってた。ヴァルガードとエトワールはなんらかのつながりがある可能性も…な。」
まともな証拠が見つからない以上混乱を招く情報。
どこまで正確なものかはわからない。ただ一つ言えるのは『MYO』の人間がゲーム設定のままなら信用できる。
レインは今得られた情報を手帳に書き示すとため息をひとつ。
重い!
内容が重すぎだ。
ちょっと楽しいゲーム世界に来たと思ってたのに国同士のゴタゴタに勇者召喚?
挙句にそれは欠陥品ときたらそこから導かれるのはなんだ?
普通は信じれない内容。だが実際ゲーム世界に来てしまっているレインとしては可能性いくつか思いつくものもあるがどうだ?
今の世情では趣味のコレクションを増やすにも問題は多い。
職人の不足からくる技術の後退で自分の持つアイテムも公に使いにくい。
魔道具もなぜか壊れてまともなのが残っていないらしい。
プレイヤーも何人この世界に来てることやら…チートキャラにも失踪してる者が多いようで戦闘職はそこそこの数が戻っているようだが職人・研究者はほとんどどこにいるのかわからない。まぁそれは当然どこかに引きこもってるかモンスターにやられたかまだこの世界に戻って来てないかだろう。可能性で一番高いのは引きこもりだ。あの人種が何もせず普通に帰ってくることはないだろう。
一向に考えがまとまらないレインだがまずは課題の情報収集として大きな情報は得た。
細々とした始めに聞いた内容はまたおさらいするとして大きな重たいものを聞いた限りエルトゥールルの直接的な戦争はミッドがヴァルガード帝国と戦った以外には何もなかったので比較的平和?だが他の国ではまだ荒れてるところもあるようだ。
どこも治安改善に必死となれば少しの間この国でいるのも悪くない。少なくともプルシアーナとロアナが自衛できるまではここにいようと思ったレイン。パトラの情報との齟齬もあるのでまとめるのに時間がかかりそうだ。
ミッドはレインが考えをまとめるまでしばらく待つと今の情報でどれだけのトレーニングマシンを作れるのか交渉を始める。
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