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バーミリオン流 迷宮探索
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明日の予定でしたがキリがいいので今日投稿しま~す。
本日3話目の投稿です!
ーーーーーーーーーーーーーーーー
キチチチチチチ!
ブーン
ガサガサガサガサ!
ドゴーン!
グチャ!グチャ!
キシャーーーーーー!
バゴ!
ベチャ
レインはただ歩いている。
迷宮第一層をただただ歩いている。
戦闘などというものは存在せず目の前5mほど先を嗤いながら虫型モンスターを文字通り羽虫を蹴散らすように突き進むベネルがいるからだ。迷宮に吸収されていくモンスターを眺めその場に残るドロップ品を回収するだけの単純なお仕事。
寄生うま?
「いやいやいやいや!おかしいって!ここのモンスター表層でBランクでしょ?そんな弱くないって!レイド推奨のBランクって言ったらソロで対処できないでしょ!」
さすがに大声で突っ込むレインだがベネルは手を止めることもなく突き進む。
「ヴァハハハハハ!何をいうこの程度であればお主もできるだろうがレイン。」
「いやいやいや!無理ですって!」
「あら~謙遜もしすぎると嫌味よ~。龍の顎門はここより強いモンスター相手だったんだからできないはずはないわよ?」
「え?」
「ガジャジャ。然り!あそこのロックリザードを倒せればこの迷宮の中層まではハイキングみたいなものだ。」
「そうだな。俺もあれを見たときは驚いた。まさかロックリザードを素手で倒すとはな!それを加味すれば深層も多少の苦戦程度で済むだろう。」
「そうね~おねぇさんもそう思うわ~」
「やめろ気持ち悪い!クネクネするんじゃねぇ!」
四人の言い分に唖然とするレイン。まさかそんなはずはないと言い返そうと思ったがベネルが生きたままのモンスターをレインに向けて投げ飛ばしてくるのをとっさに殴りつけるとドロップ品すら残らないほど爆散してしまう。
「ガジャジャ!加減できなかったな。まぁ始めは仕方ない。我輩たちがいる間に加減を覚えることだ。ベネルもう2、3匹頼む。」
「おう!」
レインは自身の力に驚愕するが驚いている暇などもらえずぽんぽんモンスターが飛んでくる。
初めの十数匹は完全に爆散させてしまうが徐々に力加減がわかり低品質のアイテムを残すようになってくる。
一層を踏破し二層目、三層目へと着く頃には適切な力加減に調整できるようになってくる。
(俺ってこんなバケモンになってたのか…)
実際はバーミリオン流のみのパーティーという補正効果もあり大幅な能力上昇があるのはステータスを見てわかってはいた。わかってはいたのだがそれでも見かけ上は攻略組と同程度のステータスだったのだがどうもマスクデータか何かがあるようでステータス以上の力を発揮しているように思える。
(あ!そうか!)
中層である四層目に着くとやっと何が原因かに気づく。
魔道具『ガム』
筋肉を最大限に発揮することのできるこの『ガム』のせいだ。
例えば攻撃力が100あったとする。
その100で攻撃してそのまま100のダメージが入るかというとそうではない。
もともと100全部をぶつけることができない上に攻撃時の姿勢、力の入れ具合、攻撃部位などによって攻撃する威力が100であることはない。
ましてや敵も防御もすれば芯を外してくることもある。
100のうち20も伝わればいいところ。使用する武器や材質によっても攻撃力の増減がある。
だが『ガム』を使用すれば状況が少し変わってくる。
抑えていた筋肉を全開に使えるのだ。
姿勢も強靭な筋肉で支えられるので初めから100の攻撃力が使える。筋肉の使い方次第では100以上の威力を持って攻撃を当てることすらできる。仮に防御されようが芯を外れようがお構い無しの威力で放てる攻撃だ。
こうなってくるとステータスが意味をなさない。純粋な攻撃力よりも強い威力で放てる攻撃。その攻撃を放っても耐えられる肉体がなければできないがそれを作るための筋トレだ。
(おそるべし『ガム』)
もらった当初は大したことはないと思っていたが、いざ使ってみると尋常でない効果を発揮する魔道具に困惑する。
こんなものぽんぽん誰かに与えていいものではない。悪用されればどうなることかわかったもんじゃない。
おふざけのネタ魔道具の気持ちで狙ったアイテムがとんでもない代物で見た目とのギャップがなんとも言い難い。
迷宮内で一泊して現在第九層
全く障害となるモンスターがいない。むしろ所々で見つかる罠の方が脅威と言えるほどだ。
毒ガスや強酸性の液体。落とし穴に天井落としといやらしい罠の数々。どれもこれも解除するのに時間がかかる上にモンスターがひっきりなしに襲いかかってくる。ドロップするアイテムは美味しいが鬱陶しいことこの上ない。
ちなみにここまで魔法は一切使っていない。バーミリオン流でいえばまだ手加減した状態である。
本来迷宮探索はこんなに早く進むことはない。
数日で変化する迷宮といえどボス部屋だけは移動することはない。なのでまずボス部屋を探すのに1日、ボスを倒してボス部屋にキャンプを設置して次の階層を探索。ボスがリポップされるのに平均半日なのでリポップされる頃にキャンプに集合して討伐。次のボス部屋捜索とキャンプ地のボス討伐をしながら潜り最下層のボス部屋までそれを繰り返し討伐。帰りはボス部屋にある転移門を使うか迷宮コアを破壊して徒歩で戻るかの二択となる。
それが今一泊しただけでもう迷宮の最深層のボス部屋『蜘蛛の女王クイーンタラテッラ』に挑むところにいた。
一泊したのもレインのログアウト時間が迫ったためにとった一泊であるためにその時間を考えると1日でここまで来れることになる。バーミリオン流の徒歩は競歩並みだったのだ。途中全速力で走ってボス部屋を誰が早く見つけられるかというお遊びに興じたことを除けばなんの問題もなくここまで進んだことになる。
「ふん!俺らにしては苦戦してしまったな。」
「ヴァハハ!まぁ急編成のパーティーだからな!某も少し暑くなりすぎたのは認めよう。」
「ガジャジャ。我輩もぬかったぬかった。」
「あなたたちねぇ私がバック狙ってなかったら危なかったわよ?」
ー回想ー
第九層ボスは人型の虫モンスター『甲虫王アトラス』
迷宮内でなければもう少しで魔人と名乗れるほど知能が高く片言であるが言葉を介するアトラスを頂点に数十体の人型の虫モンスターとの戦闘であった。
人型で骨の代わりの外殻で分かりにくいが筋力も相当なものである虫モンスターとのどつきあいが楽しくなったベネル、ダッカス、ジャグラの3人が突っ走りすぎて連携が取れず複眼のイケメン『アトラス』に興奮してバックアタックを執拗に狙うツカサがいた。それでもツカサはまだましな戦闘というか恐怖に引きつった顔のアトラスが悲鳴をあげて逃げ回っていたのだが他3人は駆け引き無視のどつきあい。
こいつら本当に魔法職なのか?という疑念を持ちつつレインは淡々と周りの兵を削っていった。
ベネルは真正面から拳の応酬。ベネルと同じくらいでかいカブトムシの人型モンスターの拳をその大きな腹筋と大胸筋で受けきりお返しとばかりに腹や胸に拳を叩き込む。お互いに拳を避ける仕草はなく、どちらが先に倒れるかの昔のヤンキーのような戦い方だ。
ダッカスはオオクワガタの人型モンスターと時には殴り時には投げて関節技を決めて返してと総合格闘技のようだ。
パンチをガードしたかと思うと腕をからめとって地面に引き落とすダッカスに四本の手で倒されまいと抵抗するオオクワガタ。一本ずつ関節を潰していくダッカスに焦るオオクワガタは足を引っ掛けようとしたところを足首を踏み砕かれどんどん追い詰められていく酷いやられ方だ。
ジャグラはミヤマクワガタのようにデコの広い人型モンスターと空手対決。
玄人好みの地味なものだで間合いを取って相手の攻撃を誘っている。隙をわざと作ってはピクリと動きフェイントの攻撃で相手が焦れて動かないか気の長い戦いになりそうだ。
ツカサは短い棒状の何かを手に握ってアトラスの背後に回り込み何かを狙っている。
時折ピタリと背後についたかと思うと『ギィー』というアトラスの悲鳴とともに手に持つ棒状の何かがねっとりとした糸を垂らす。一体何をしているのかは想像もしたくないが時折『ん!あぁぁ』という声が聞こえて気持ち悪い。
レインが雑魚を蹴散らして戦闘状況を確認するといつのまにか5対1となっていた。だがモンスター相手に容赦する必要などない。アトラスの体力も半分を切りベネル、ダッカス、ジャグラは真正面から挑む。ツカサは背後というかなんか目線が下半身に向いて…気のせいだろう。
レインは何も見なかったと死角に周り込んでメイスを振りかぶる。
硬い虫にはメイスが一番だ。
武器を使ってはいけないルールなどない!現にツカサは凶悪な武器でどことは言わないが突き上げ攻撃を繰り返している。
拳の応酬とレインのメイスで関節付近の甲殻にヒビが入り始める。
時折聞こえる『アァァ。ん!ぬはぁ』という声は気のせいと願いたい。変な声が聞こえるたびツカサ以外はびくりと体を硬直させてしまうのだ。
アトラスの体力が残り2割となり、三本の角に手をかけると勢いよく引き抜く。角に曲刀が仕込まれていたようだ。一つ余ってる手には背にある羽をむしり取って盾にする。
盾持ちの三刀流のアトラスがベネル達3人に襲いかかる。一斉に拳を振り抜く3人だったが器用に盾で凌がれる。タイミングを合わせれば当たったであろう拳の力を逃がされ弾かれ体勢を崩したところをぎらりと光る曲刀が3人の皮膚を浅く傷つける。
ニヤリと笑ったアトラスだが後ろから迫るツカサに抱きつかれギャーギャー泣き叫ぶ。一瞬ツカサの吐息が漏れたかと思うとだらんと手が落ちる。何をされたのかはわからないがまだ息があるのでレインがアトラスの落とした曲刀で首を落としてボス戦の終了。
現在3人の傷を下級のポーションで治療中だ。
シェイカーに大豆と下級ポーション、りんごにバナナ、パイナップルを入れてシャカシャカ振り始めるダッカス。
他二人も大豆と下級ポーションをベースに果物を加えてシャカシャカとシェイカーを振る。
ポーションをプロテインに加えるなど誰が思うだろうか。レインは唖然としてその光景を眺める。
ゴクゴクゴク
「「「プハァ~ッ!!」」」
「か~っ効くな~おい。」
「我輩このために怪我したと言っても過言ではない!」
「ジャグラよ!!」
いかついベネルがジャグラの名を大声で叫びピリピリとした空気に包まれる。
(うわ~怒ってるよ。そらそうだろ。)
「某もだ。」
めまいがするような光景がそこにはあった。
ツカサも頭を抱えているようだ。
「ほんっとバカ!んもうこんなバカほっときましょう。」
最終十層目『蜘蛛の女王クイーンタランテッラ』ボス部屋前
レインはここからバーミリオンの戦闘記録を取ることにした。
ステータス画面から録画機能を使用する。
「この先はさすがに魔法を使わんと厳しいだろう。」
「あぁこの人数では仕方なかろう。某も異論はない。」
「ガジャジャ。クイーン三体で一体はアラクネ化となれば仕方ない。」
「全開でいきましょうか。いいわねレイン。」
「はい。」
門の前に立つとスゥッと大きく息を吸い込み肺に空気を貯める。
「「「「「ハ!『身体強化』」」」」」
筋肉がパンプアップして一回り大きく膨れ上がる。
「GO!」
ベネルの声に合わせて部屋に突撃する五人。
タンクローリーほど大きな蜘蛛が二匹と軽トラサイズのアラクネが一体。大きさ的に言えばアラクネが弱そうに見えるがあの大きさで他の二体を足したほどの魔力と殺気がほとばしる。
周囲は雑木林のようなフロアになっていて樹齢何百年経ったのだろうと思える極太の木が生えている。
木と木と間には蜘蛛の巣が張り巡らされており目に見える糸から見えない糸。魔力でできた糸と様々なトラップがあることが予想できる。
『『キーーーーーー』』
『あぁぁぁぁぁぁ。美味しい美味しいご飯が来たわ~~~我が子らよ!母のためにさぁ!』
『カーーー』『キシャーーー』『ギギギ』
無数の蜘蛛が木の上や草むらから飛びかかってくる。
ベネル、ダッカス、ジャグラの3人が前に出ると左足を半歩下げ右腕を胸の下まで持ってくる。左手は右手首付近を握り息を吸い込むと筋肉に力を込める。
「「「ぬん!『風刃』」」」
「「切れてる!!」」
3人が風の魔法を唱えるとレインとツカサはすぐさま補助詠唱により効果範囲を広げ威力を底上げする。
轟々と音を立てて逆巻く風の刃が蜘蛛の糸を勢いよく切断し襲いかかってくる蜘蛛も細切れに刻み塵と化す。
すぐさま前後スイッチするとレインとツカサは両腕を高く上げて拳を作り手首を曲げる。拳を外に向けて両足を揃えると少し顎をあげる。
「「ナァ!『雷鳥』」」
「「「痺れる!」」」
雷でできた二羽の鳥が勢いよく飛び立つと補助魔法により黄色い雷が青白く変色し二匹のクイーンタラテッラに襲いかかる。
『『ギシャーーーーー!!!』』
ツカサの放った魔法に当たったクイーンタラテッラAは前足二本を炭化させ全身に綱のように太く青白い雷が帯電している。強力な麻痺の状態異常で10分近く拘束していられるだろう。一方レインの放った魔法に当たったクイーンタラテッラBは炭化はなし、全身を黄色い電気がほとばしっている。もちろん麻痺の状態異常だがゆっくりであれば行動できる上に数分で復帰する。
レインは自身の未熟さに歯噛みしつつさすがは師範として弟子を持つことを許された高弟であると賞賛する。
『ギーーーーーーー』
人間にいいようにされていることに憤るアラクネが硬質化した糸の矢を無数に吐き出す。
ついでクイーンタラテッラBが黄色の電気に邪魔されつつ鈍い動きで斬糸を飛ばしてくる。
ツカサとレインはバックステップで後方に下がるとすでに3人は儀式を済ませている。
右足を前に踏み込み背中を丸めて両手をみぞおちの前あたりへと持っていくと全身に力を込める。
「「「ガァ!『岩壁』ダァーーーーーーーーー」」」
「「でかい!!」」
3人の前に城壁のような岩壁が立ち上がると3人の後述詠唱にて岩壁がどんどん黒く変色していく。続けざまに放たれた2人の補助魔法により色が抜けて半透明に輝く頑丈な金剛石の壁が出来上がる。
火属性の魔法に対して弱くなるが強度は文字通りダイヤモンド以上。
ガイン!ギンギン!ガンガンガン!
無数にぶつかる矢が弾かれ糸が付着するが全く傷のつく気配がない金剛石の壁。
防ぎきってなおポーズを崩さずさらに力を込める。
「「「んなぁ!『ゴーレム生成』」」」
作った壁を無駄にしないための二段構えの詠唱により壁がひび割れ金剛石製のゴーレムが3体現れる。
あるはずもない筋肉を自慢するようなポーズをとりながら現れた3体のゴーレム。
「「「雑魚を蹴散らせ!!」」」
命令に忠実なゴーレムは三方向に散って子蜘蛛を踏みつけ殴り握りつぶしていく。
『ギチチチチチチチ。よくも我が子を…あぁ…ヨクモーーーーー!』
レインはクイーンタランテッラAの始末に走りツカサはBの始末に駆け出す。
残り3人はアラクネの足止めがてら魔法を打ち込む。
「ま!『絶対零度』」
「ぬん!『風神』」
「はぁ!『ライトニング』」
まずは雑魚から討伐することは作戦として合理的だ。
レインは動けないタランテッラAをボコボコにどつきまわし足を引きちぎっていくとすぐにHPも蒸発してしまった。
ツカサの方も動きの鈍いモンスターなどただの的でボコボコにどつき回しながらさすがにあっちは何か魔法を使ったようで豪炎に包まれる。
その後すぐに残敵掃討してアラクネの元に戻ると人間部分と蜘蛛部分が分離して横たわっていた。
どうやらもうボス戦は終了したようだ。
ほんの10分足らずでボス戦終了のお知らせ。
「むぅ…物足りんな。」
ベネルがそう呟くとレイン以外はそれに同意しているようで不満顔だ。
「今回はちょっと弱かったんではないか?次は強いかもしれん。確か入り口の扉に魔石を食わせるとすぐにリポップするはずだったな。」
ダッカスが余計な知恵を授ける。
「ガジャジャ!では我輩が奢ろうか。」
「あら~そんなの順番でいいじゃない!レインのお祝いだと思えば時間の許す限りやりましょうよ!」
そこからは地獄のボス戦マラソンが始まるのであった。
平均10分ほどで(当時)最難関と言われている蠱毒の迷宮を回す。時折アラクネ二体になったりクイーンが3体アラクネ1体といった変則的な組み合わせが混じる。5回に1回ほど5分休憩を置いてプロテイン補給。一体何のトレーニングだと聞きたいほどのハードメニューを半日ほど続ける。レアドロップが2桁に乗るとやっと飽きてきたのか蠱毒の迷宮以外に潜ろうと言い出す高弟四人組に呆れながらもレイン自身他のレイド系迷宮やダンジョンを手伝って欲しいと思い始めていたので場所を移すことになる。その時の地獄をみんなに知ってもらいたくなったレインは一番当たり障りのない始めの戦闘記録を掲示板に載せてバーミリオン流の鬼畜な所業を広めることにした。
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バーミリオン流免許皆伝した!
高弟からのお祝いで蠱毒の迷宮を手伝ってもらえることになった♪(´ε` )
《 動画 》
何ちゅうゴリ押し!!
作戦もクソもなく殴りきったぜ!?
ドロップ品を回収したところで兄弟子たちが事もあろうにマラソンを提案して地獄なう。
お祝いという名の鉄人マラソン!みんなも一緒にどうですか??
本日3話目の投稿です!
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キチチチチチチ!
ブーン
ガサガサガサガサ!
ドゴーン!
グチャ!グチャ!
キシャーーーーーー!
バゴ!
ベチャ
レインはただ歩いている。
迷宮第一層をただただ歩いている。
戦闘などというものは存在せず目の前5mほど先を嗤いながら虫型モンスターを文字通り羽虫を蹴散らすように突き進むベネルがいるからだ。迷宮に吸収されていくモンスターを眺めその場に残るドロップ品を回収するだけの単純なお仕事。
寄生うま?
「いやいやいやいや!おかしいって!ここのモンスター表層でBランクでしょ?そんな弱くないって!レイド推奨のBランクって言ったらソロで対処できないでしょ!」
さすがに大声で突っ込むレインだがベネルは手を止めることもなく突き進む。
「ヴァハハハハハ!何をいうこの程度であればお主もできるだろうがレイン。」
「いやいやいや!無理ですって!」
「あら~謙遜もしすぎると嫌味よ~。龍の顎門はここより強いモンスター相手だったんだからできないはずはないわよ?」
「え?」
「ガジャジャ。然り!あそこのロックリザードを倒せればこの迷宮の中層まではハイキングみたいなものだ。」
「そうだな。俺もあれを見たときは驚いた。まさかロックリザードを素手で倒すとはな!それを加味すれば深層も多少の苦戦程度で済むだろう。」
「そうね~おねぇさんもそう思うわ~」
「やめろ気持ち悪い!クネクネするんじゃねぇ!」
四人の言い分に唖然とするレイン。まさかそんなはずはないと言い返そうと思ったがベネルが生きたままのモンスターをレインに向けて投げ飛ばしてくるのをとっさに殴りつけるとドロップ品すら残らないほど爆散してしまう。
「ガジャジャ!加減できなかったな。まぁ始めは仕方ない。我輩たちがいる間に加減を覚えることだ。ベネルもう2、3匹頼む。」
「おう!」
レインは自身の力に驚愕するが驚いている暇などもらえずぽんぽんモンスターが飛んでくる。
初めの十数匹は完全に爆散させてしまうが徐々に力加減がわかり低品質のアイテムを残すようになってくる。
一層を踏破し二層目、三層目へと着く頃には適切な力加減に調整できるようになってくる。
(俺ってこんなバケモンになってたのか…)
実際はバーミリオン流のみのパーティーという補正効果もあり大幅な能力上昇があるのはステータスを見てわかってはいた。わかってはいたのだがそれでも見かけ上は攻略組と同程度のステータスだったのだがどうもマスクデータか何かがあるようでステータス以上の力を発揮しているように思える。
(あ!そうか!)
中層である四層目に着くとやっと何が原因かに気づく。
魔道具『ガム』
筋肉を最大限に発揮することのできるこの『ガム』のせいだ。
例えば攻撃力が100あったとする。
その100で攻撃してそのまま100のダメージが入るかというとそうではない。
もともと100全部をぶつけることができない上に攻撃時の姿勢、力の入れ具合、攻撃部位などによって攻撃する威力が100であることはない。
ましてや敵も防御もすれば芯を外してくることもある。
100のうち20も伝わればいいところ。使用する武器や材質によっても攻撃力の増減がある。
だが『ガム』を使用すれば状況が少し変わってくる。
抑えていた筋肉を全開に使えるのだ。
姿勢も強靭な筋肉で支えられるので初めから100の攻撃力が使える。筋肉の使い方次第では100以上の威力を持って攻撃を当てることすらできる。仮に防御されようが芯を外れようがお構い無しの威力で放てる攻撃だ。
こうなってくるとステータスが意味をなさない。純粋な攻撃力よりも強い威力で放てる攻撃。その攻撃を放っても耐えられる肉体がなければできないがそれを作るための筋トレだ。
(おそるべし『ガム』)
もらった当初は大したことはないと思っていたが、いざ使ってみると尋常でない効果を発揮する魔道具に困惑する。
こんなものぽんぽん誰かに与えていいものではない。悪用されればどうなることかわかったもんじゃない。
おふざけのネタ魔道具の気持ちで狙ったアイテムがとんでもない代物で見た目とのギャップがなんとも言い難い。
迷宮内で一泊して現在第九層
全く障害となるモンスターがいない。むしろ所々で見つかる罠の方が脅威と言えるほどだ。
毒ガスや強酸性の液体。落とし穴に天井落としといやらしい罠の数々。どれもこれも解除するのに時間がかかる上にモンスターがひっきりなしに襲いかかってくる。ドロップするアイテムは美味しいが鬱陶しいことこの上ない。
ちなみにここまで魔法は一切使っていない。バーミリオン流でいえばまだ手加減した状態である。
本来迷宮探索はこんなに早く進むことはない。
数日で変化する迷宮といえどボス部屋だけは移動することはない。なのでまずボス部屋を探すのに1日、ボスを倒してボス部屋にキャンプを設置して次の階層を探索。ボスがリポップされるのに平均半日なのでリポップされる頃にキャンプに集合して討伐。次のボス部屋捜索とキャンプ地のボス討伐をしながら潜り最下層のボス部屋までそれを繰り返し討伐。帰りはボス部屋にある転移門を使うか迷宮コアを破壊して徒歩で戻るかの二択となる。
それが今一泊しただけでもう迷宮の最深層のボス部屋『蜘蛛の女王クイーンタラテッラ』に挑むところにいた。
一泊したのもレインのログアウト時間が迫ったためにとった一泊であるためにその時間を考えると1日でここまで来れることになる。バーミリオン流の徒歩は競歩並みだったのだ。途中全速力で走ってボス部屋を誰が早く見つけられるかというお遊びに興じたことを除けばなんの問題もなくここまで進んだことになる。
「ふん!俺らにしては苦戦してしまったな。」
「ヴァハハ!まぁ急編成のパーティーだからな!某も少し暑くなりすぎたのは認めよう。」
「ガジャジャ。我輩もぬかったぬかった。」
「あなたたちねぇ私がバック狙ってなかったら危なかったわよ?」
ー回想ー
第九層ボスは人型の虫モンスター『甲虫王アトラス』
迷宮内でなければもう少しで魔人と名乗れるほど知能が高く片言であるが言葉を介するアトラスを頂点に数十体の人型の虫モンスターとの戦闘であった。
人型で骨の代わりの外殻で分かりにくいが筋力も相当なものである虫モンスターとのどつきあいが楽しくなったベネル、ダッカス、ジャグラの3人が突っ走りすぎて連携が取れず複眼のイケメン『アトラス』に興奮してバックアタックを執拗に狙うツカサがいた。それでもツカサはまだましな戦闘というか恐怖に引きつった顔のアトラスが悲鳴をあげて逃げ回っていたのだが他3人は駆け引き無視のどつきあい。
こいつら本当に魔法職なのか?という疑念を持ちつつレインは淡々と周りの兵を削っていった。
ベネルは真正面から拳の応酬。ベネルと同じくらいでかいカブトムシの人型モンスターの拳をその大きな腹筋と大胸筋で受けきりお返しとばかりに腹や胸に拳を叩き込む。お互いに拳を避ける仕草はなく、どちらが先に倒れるかの昔のヤンキーのような戦い方だ。
ダッカスはオオクワガタの人型モンスターと時には殴り時には投げて関節技を決めて返してと総合格闘技のようだ。
パンチをガードしたかと思うと腕をからめとって地面に引き落とすダッカスに四本の手で倒されまいと抵抗するオオクワガタ。一本ずつ関節を潰していくダッカスに焦るオオクワガタは足を引っ掛けようとしたところを足首を踏み砕かれどんどん追い詰められていく酷いやられ方だ。
ジャグラはミヤマクワガタのようにデコの広い人型モンスターと空手対決。
玄人好みの地味なものだで間合いを取って相手の攻撃を誘っている。隙をわざと作ってはピクリと動きフェイントの攻撃で相手が焦れて動かないか気の長い戦いになりそうだ。
ツカサは短い棒状の何かを手に握ってアトラスの背後に回り込み何かを狙っている。
時折ピタリと背後についたかと思うと『ギィー』というアトラスの悲鳴とともに手に持つ棒状の何かがねっとりとした糸を垂らす。一体何をしているのかは想像もしたくないが時折『ん!あぁぁ』という声が聞こえて気持ち悪い。
レインが雑魚を蹴散らして戦闘状況を確認するといつのまにか5対1となっていた。だがモンスター相手に容赦する必要などない。アトラスの体力も半分を切りベネル、ダッカス、ジャグラは真正面から挑む。ツカサは背後というかなんか目線が下半身に向いて…気のせいだろう。
レインは何も見なかったと死角に周り込んでメイスを振りかぶる。
硬い虫にはメイスが一番だ。
武器を使ってはいけないルールなどない!現にツカサは凶悪な武器でどことは言わないが突き上げ攻撃を繰り返している。
拳の応酬とレインのメイスで関節付近の甲殻にヒビが入り始める。
時折聞こえる『アァァ。ん!ぬはぁ』という声は気のせいと願いたい。変な声が聞こえるたびツカサ以外はびくりと体を硬直させてしまうのだ。
アトラスの体力が残り2割となり、三本の角に手をかけると勢いよく引き抜く。角に曲刀が仕込まれていたようだ。一つ余ってる手には背にある羽をむしり取って盾にする。
盾持ちの三刀流のアトラスがベネル達3人に襲いかかる。一斉に拳を振り抜く3人だったが器用に盾で凌がれる。タイミングを合わせれば当たったであろう拳の力を逃がされ弾かれ体勢を崩したところをぎらりと光る曲刀が3人の皮膚を浅く傷つける。
ニヤリと笑ったアトラスだが後ろから迫るツカサに抱きつかれギャーギャー泣き叫ぶ。一瞬ツカサの吐息が漏れたかと思うとだらんと手が落ちる。何をされたのかはわからないがまだ息があるのでレインがアトラスの落とした曲刀で首を落としてボス戦の終了。
現在3人の傷を下級のポーションで治療中だ。
シェイカーに大豆と下級ポーション、りんごにバナナ、パイナップルを入れてシャカシャカ振り始めるダッカス。
他二人も大豆と下級ポーションをベースに果物を加えてシャカシャカとシェイカーを振る。
ポーションをプロテインに加えるなど誰が思うだろうか。レインは唖然としてその光景を眺める。
ゴクゴクゴク
「「「プハァ~ッ!!」」」
「か~っ効くな~おい。」
「我輩このために怪我したと言っても過言ではない!」
「ジャグラよ!!」
いかついベネルがジャグラの名を大声で叫びピリピリとした空気に包まれる。
(うわ~怒ってるよ。そらそうだろ。)
「某もだ。」
めまいがするような光景がそこにはあった。
ツカサも頭を抱えているようだ。
「ほんっとバカ!んもうこんなバカほっときましょう。」
最終十層目『蜘蛛の女王クイーンタランテッラ』ボス部屋前
レインはここからバーミリオンの戦闘記録を取ることにした。
ステータス画面から録画機能を使用する。
「この先はさすがに魔法を使わんと厳しいだろう。」
「あぁこの人数では仕方なかろう。某も異論はない。」
「ガジャジャ。クイーン三体で一体はアラクネ化となれば仕方ない。」
「全開でいきましょうか。いいわねレイン。」
「はい。」
門の前に立つとスゥッと大きく息を吸い込み肺に空気を貯める。
「「「「「ハ!『身体強化』」」」」」
筋肉がパンプアップして一回り大きく膨れ上がる。
「GO!」
ベネルの声に合わせて部屋に突撃する五人。
タンクローリーほど大きな蜘蛛が二匹と軽トラサイズのアラクネが一体。大きさ的に言えばアラクネが弱そうに見えるがあの大きさで他の二体を足したほどの魔力と殺気がほとばしる。
周囲は雑木林のようなフロアになっていて樹齢何百年経ったのだろうと思える極太の木が生えている。
木と木と間には蜘蛛の巣が張り巡らされており目に見える糸から見えない糸。魔力でできた糸と様々なトラップがあることが予想できる。
『『キーーーーーー』』
『あぁぁぁぁぁぁ。美味しい美味しいご飯が来たわ~~~我が子らよ!母のためにさぁ!』
『カーーー』『キシャーーー』『ギギギ』
無数の蜘蛛が木の上や草むらから飛びかかってくる。
ベネル、ダッカス、ジャグラの3人が前に出ると左足を半歩下げ右腕を胸の下まで持ってくる。左手は右手首付近を握り息を吸い込むと筋肉に力を込める。
「「「ぬん!『風刃』」」」
「「切れてる!!」」
3人が風の魔法を唱えるとレインとツカサはすぐさま補助詠唱により効果範囲を広げ威力を底上げする。
轟々と音を立てて逆巻く風の刃が蜘蛛の糸を勢いよく切断し襲いかかってくる蜘蛛も細切れに刻み塵と化す。
すぐさま前後スイッチするとレインとツカサは両腕を高く上げて拳を作り手首を曲げる。拳を外に向けて両足を揃えると少し顎をあげる。
「「ナァ!『雷鳥』」」
「「「痺れる!」」」
雷でできた二羽の鳥が勢いよく飛び立つと補助魔法により黄色い雷が青白く変色し二匹のクイーンタラテッラに襲いかかる。
『『ギシャーーーーー!!!』』
ツカサの放った魔法に当たったクイーンタラテッラAは前足二本を炭化させ全身に綱のように太く青白い雷が帯電している。強力な麻痺の状態異常で10分近く拘束していられるだろう。一方レインの放った魔法に当たったクイーンタラテッラBは炭化はなし、全身を黄色い電気がほとばしっている。もちろん麻痺の状態異常だがゆっくりであれば行動できる上に数分で復帰する。
レインは自身の未熟さに歯噛みしつつさすがは師範として弟子を持つことを許された高弟であると賞賛する。
『ギーーーーーーー』
人間にいいようにされていることに憤るアラクネが硬質化した糸の矢を無数に吐き出す。
ついでクイーンタラテッラBが黄色の電気に邪魔されつつ鈍い動きで斬糸を飛ばしてくる。
ツカサとレインはバックステップで後方に下がるとすでに3人は儀式を済ませている。
右足を前に踏み込み背中を丸めて両手をみぞおちの前あたりへと持っていくと全身に力を込める。
「「「ガァ!『岩壁』ダァーーーーーーーーー」」」
「「でかい!!」」
3人の前に城壁のような岩壁が立ち上がると3人の後述詠唱にて岩壁がどんどん黒く変色していく。続けざまに放たれた2人の補助魔法により色が抜けて半透明に輝く頑丈な金剛石の壁が出来上がる。
火属性の魔法に対して弱くなるが強度は文字通りダイヤモンド以上。
ガイン!ギンギン!ガンガンガン!
無数にぶつかる矢が弾かれ糸が付着するが全く傷のつく気配がない金剛石の壁。
防ぎきってなおポーズを崩さずさらに力を込める。
「「「んなぁ!『ゴーレム生成』」」」
作った壁を無駄にしないための二段構えの詠唱により壁がひび割れ金剛石製のゴーレムが3体現れる。
あるはずもない筋肉を自慢するようなポーズをとりながら現れた3体のゴーレム。
「「「雑魚を蹴散らせ!!」」」
命令に忠実なゴーレムは三方向に散って子蜘蛛を踏みつけ殴り握りつぶしていく。
『ギチチチチチチチ。よくも我が子を…あぁ…ヨクモーーーーー!』
レインはクイーンタランテッラAの始末に走りツカサはBの始末に駆け出す。
残り3人はアラクネの足止めがてら魔法を打ち込む。
「ま!『絶対零度』」
「ぬん!『風神』」
「はぁ!『ライトニング』」
まずは雑魚から討伐することは作戦として合理的だ。
レインは動けないタランテッラAをボコボコにどつきまわし足を引きちぎっていくとすぐにHPも蒸発してしまった。
ツカサの方も動きの鈍いモンスターなどただの的でボコボコにどつき回しながらさすがにあっちは何か魔法を使ったようで豪炎に包まれる。
その後すぐに残敵掃討してアラクネの元に戻ると人間部分と蜘蛛部分が分離して横たわっていた。
どうやらもうボス戦は終了したようだ。
ほんの10分足らずでボス戦終了のお知らせ。
「むぅ…物足りんな。」
ベネルがそう呟くとレイン以外はそれに同意しているようで不満顔だ。
「今回はちょっと弱かったんではないか?次は強いかもしれん。確か入り口の扉に魔石を食わせるとすぐにリポップするはずだったな。」
ダッカスが余計な知恵を授ける。
「ガジャジャ!では我輩が奢ろうか。」
「あら~そんなの順番でいいじゃない!レインのお祝いだと思えば時間の許す限りやりましょうよ!」
そこからは地獄のボス戦マラソンが始まるのであった。
平均10分ほどで(当時)最難関と言われている蠱毒の迷宮を回す。時折アラクネ二体になったりクイーンが3体アラクネ1体といった変則的な組み合わせが混じる。5回に1回ほど5分休憩を置いてプロテイン補給。一体何のトレーニングだと聞きたいほどのハードメニューを半日ほど続ける。レアドロップが2桁に乗るとやっと飽きてきたのか蠱毒の迷宮以外に潜ろうと言い出す高弟四人組に呆れながらもレイン自身他のレイド系迷宮やダンジョンを手伝って欲しいと思い始めていたので場所を移すことになる。その時の地獄をみんなに知ってもらいたくなったレインは一番当たり障りのない始めの戦闘記録を掲示板に載せてバーミリオン流の鬼畜な所業を広めることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
バーミリオン流免許皆伝した!
高弟からのお祝いで蠱毒の迷宮を手伝ってもらえることになった♪(´ε` )
《 動画 》
何ちゅうゴリ押し!!
作戦もクソもなく殴りきったぜ!?
ドロップ品を回収したところで兄弟子たちが事もあろうにマラソンを提案して地獄なう。
お祝いという名の鉄人マラソン!みんなも一緒にどうですか??
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