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投稿間に合った!?
まともな戦闘シーンがまだないのですがどうしたものか考え中です。
どうしようマジどうしよう……
ーーーーーーーーーーーー
朝起きると2人はすでに起きていた。
「レインさんおはようございます。」
「お兄しゃんおはよう。」
失敬
ロアナはまだおネムのようだ。
「おはよう。そういえばプルシアーナ俺の名前にさん付けしなくってもいいよ?」
「え?でも…」
「あぁごめん呼びづらいならそのままでもいいよ。」
「はい。あ、私の名前も長いのでシアかシーナと呼んでもらえると嬉しいです。」
「おぉ!新婚みたい!ん?シーナ?なんでシーナ?」
「シアは孤児院で呼ばれてたあだ名です。シーナは両親に呼ばれてた愛称です。」
「へ~。じゃあ俺はシーナって呼ぶね。その方が家族みたいでしょ?シーナ」
「はい!」
レインがシーナと呼ぶと垂れた耳がピクピクと動き尻尾もゆらゆらと揺れる。どうやら喜んでくれているようだ。
「あ!お洗濯!!」
「何?」
「今日起きて思ったんです。アトーリアに来てから洗濯してないって。」
「あぁそっか。洗濯しないと替えの服がなくなるか…じゃあ朝ごはん食べたら洗濯しようか。」
「はい。でも…高いお洋服の洗い方知りません……」
「え?そんなの…あぁ確かに服も下着もちょっと洗い方が違うか。」
ゲームの頃は汗など書くことはないし洗濯しなくても砂埃程度なら弾いてしまって清潔度を保ってくれていた洋服も今ではそういうわけにもいかない。
洗濯には専用の石鹸も必要になるだろうと思ったレインは少し考えると一つ思いついた。
「あ!そうだそうだこういう時は魔法を使おう!!」
「魔法ですか?」
「そうそう!」
「魔法でお洗濯?生地が痛まないでしょうか?」
「大丈夫!洗濯をするんじゃなくて清潔にするんだ。これでいいんだよ。クリーンだよ!」
「クリーン?どのような魔法なんですか?」
さらっとスルーされたレインはちょっとしょんぼりしつつも真面目に答える。
「服に魔法で清潔化の付与を施すと常に綺麗な状態を維持してくれるんだ。多少であればほつれたりしても元どおり綺麗な状態を維持してくれる状態保持魔法だよ。あとはサイズ調整の魔法も付与させると体が成長しても今の服を着れるようになる。ということで買った服全部を魔法衣類にしてしまおう!といってもできる服とそうでない服があるから全部は無理なんだけどね。ほらナターシャの服に刻印があったでしょ?あんな感じで服に魔法を付与するんだけど刻印だと場所や素材によって効果も多少違うから見極めが大事なんだよね。」
「魔法って…そんな簡単にできるものじゃないですよね。」
「ん?あぁそっか今はそういう職人も少ないんだっけ?でも大丈夫俺はできる!それに付与しとくと多少防御力も上がるから2人の服が皮鎧程度にはなるし俺としては安心かな。」
昨日の反省が生かされてないように思うが本人はいたって真面目。
昨日鑑定士の爺さんと軽く会話していてわかったのが魔道具の鑑定ができる腕を持った鑑定士も今は少ないということだ。さらに刻印魔法を鑑定できるものはそう多く無いようなのでバレなければ問題ないだろうと考え直した。
開き直りもいいとこだろうが今この世界はいつ盗賊に狙われてもおかしくない状況なのであながち間違った対応ではない。現にパトラとナターシャの服は魔法付与された代物で、付与されたことを隠遁する効果付きの刻印で最低限の攻撃を守ってくれるようにはなっていた。付与したものの腕がお粗末だったためか腹部に木片が刺さっていたがあの服を鑑定して魔法付与されてると見抜けるものはそう多くはいない。
「ということで今から付与するための刻印魔法を組み上げるので着替えはちょっと待ってね?」
「はぁ。本当に私なんかがいいんでしょうか?」
「ん~おねぇちゃん。喉乾いた。」
レインとプルシアーナが話しているとようやく目が覚めてきたロアナが飲み物をねだる。
プルシアーナは部屋にあるお茶を入れるとレインにもお茶を出す。
「新婚っぽいね。」
茶化すようにいうレインだがプルシアーナもまんざらでもない感じで頬を赤く染めてにやける。
レインは自身にできる最大の付与をしようと魔石よりもさらに濃い濃度の魔力が溜まる魔結晶を取り出すとおもむろに削り出す。普通はこの粉末を使って魔法陣を描き魔法陣の上に置いた服に魔力で刻印を刻むことになるのだが、レインは『アサシンスパイダー』の糸を使った補修する服の色に合わせて色が変わる『迷彩糸』に刻印を刻む。この方法を使うのは服の生地に負担が少ないように魔法を付与するためだ。生地に直接刻むと生地自体の耐久度が落ちるために元の素材によっては服が劣化してしまうことがあるための措置だ。刻印つまり服の生地に魔力で刻み込むために薄い服だと破けてしまって付与できないことも多い。他にも魔力を帯びた糸で魔法陣を服に刺繍する方法もあるがこれはあまりお勧めできない。魔法陣単体だけだと糸がほつれただけで効果がなくなることがあるのだ。刻印のように刻んだ方が確実である。
半紙上に魔法陣を描くとわずか数ミリの糸にびっちりと刻印を刻み込む。これならこの糸が切れても新たに魔法を付与し直せる。繊細な作業なのだが多くの職業を取得して補助スキルもゲーム時代とは比べ物にならない数を使用できるようになったレインならそう時間もかからない。しかしゲーム時代との感覚の差異を調整するために2、3度失敗してしまった。
ダメにしてしまった糸も効果が劣るというだけで使い道は十分あるので問題ない。あとでフェリにでもあげようかと思いつつ作った糸を使って服に新たに魔法陣を刺繍していく。刻印プラス魔法陣の二重付与だ。
服の色に合わせて色が馴染むので傍目からは魔法衣類とはわからないので隠遁効果もバッチリ。下着類にも刺繍を施していくがよく考えるとこの2人まだ地球風の下着を着ていないことに気づくレイン。
無理につけさせる気は無かったが風呂の時に聞いてみるとフェリタニカに下着類のつけ方を教わっているプルシアーナだがまだ1人で着けれないようで昨日はつけていなかったのだ。
つけるつけないは自由だしどっちがいいとも言い切れないがレイン個人の意見では「大きさによる」だ。
プルシアーナの大きさだとあった方がいいだろうと思うレインだが昨日はもう風呂に入った後だった。夜は夜専用でないと逆によくないのでつけないでいたが、よく考えれば夜用がこの世界にないことにも気づく。
(いるよね~夜用。横になると引っ張られるし…地味に突っ張るんだよな…あれ。)
地球では女だったためによく知っているレインは夜用も作ろうと思い立つ。
この世界では女性プレイヤーも多いのだが手の込んだ下着類を作れるのはレインだけだろうことを思うと何となく嫌な予感を覚える。男性アバターを使う女性という定でいくならプレイヤーへの言い訳は問題ないだろうがどうにも嫌な予感が拭えないのはなぜだろうか?
大方刺繍が終わると朝食の時間だ。
着替えもせず寝間着のまま食べる行儀の悪さだがそれはそれで乙なものだ。
だし巻き卵にアジっぽい魚の桜干しと味噌汁、あとはちょっとした小鉢があってさっぱりとした朝食だった。
まさかこの世界で桜干しを食べることができるなんて思っていなかったレインは興奮気味にご飯を掻き込む。
少し焼き加減が甘かったように思えるがそれでも大満足。だし巻きは砂糖が入っていた甘い仕上がりでレインは残念な気分になる。出汁巻は塩だろうと心の中で愚痴りつつも味自体は美味しかったのがちょっと悔しい負けた気分。
(砂糖め!今日のところは許してやろう!)
訳のわからない言い分を考えつつも箸を進める。
初日のなんちゃってすき焼きを除けば概ね美味しいと言える食事である『月下風雲』日本料理は出汁の取り方や塩加減、料理の手順がちょっと狂うだけでも味に大きな影響があるためにゲームのあまり味がわからない状況でここまでのクオリティーを出していたオーナープレイヤーのこだわりに舌を巻く。
食事を終えると街に繰り出すために着替えだ。今日は昨日買いそびれたトレーニングマシン用の素材と2人の日用品の買い足しだ。服はいいとして靴を買っていなかったことを思い出したのだ。他にも2人の生活必需品を買い足したい。イベントリ内にあるものでもいいのだが旅の間はこの3人なら問題ないがそうでない時があるために自分の分を含めて買い足したいのだ。服が高級品だと突っ込まれそうだがそれとこれとは話が違う。身を守るものは高くていいのだ。
ロアナのが真っ先に着替え終わるとドアのそばでそわそわとしている。
レインは自身の着替えを手早く済ませてプルシアーナを呼びに行くと裸で突っ立っていた。
「どうしたの?て、手伝った方がいいのかな?」
「え?あ!いや!その…月の物が始まったようで…汚してしまいました…ごめんなさい。」
プルシアーナはそういうと街に来た時に買った下着用かぼちゃパンツを差し出す。締め付けが慣れないからと寝間着用にと使っていたのだが赤い染みが付いている。
「あらら。まぁ大丈夫だからさっき刺繍したの使ってよ。つけ方わかる?」
生理用品のことをすっかり忘れていたレインである。すぐさま自身の記憶を辿り何種類かの生理用品を思い出すとどうやって作るのか考える。
「え!でも汚れてしまいますよ!腰帯を…そうだ私が履いてたパンツがあったはずですからそれを」
そういうとプルシアーナは自身のリュックに入れた下着を取り出そうとする。
レインが助けた時に履いてた少しくすんだかぼちゃパンツだ。
「大丈夫だって清潔化の魔法を付与してあるから汚れないからね。あとでちゃんと用意するから今はこっち履いといて。」
魔法付与してるので汚れたとしてもちょっと水で雪ぐだけで汚れが落ちるはずだと言葉を付け足す。
少し渋ったプルシアーナだが自分の手にする汚れたかぼちゃパンツと着替えの服を何度か見比べると汚い下着を着た上からレインに買ってもらった服を着るのも申し訳ないと引き下がることにした。
レインの目の前で恥じらいながら下着をつけ始めるプルシアーナだがブラのつけ方を注意され結局レインがつけることになる。その際胸を寄せて上げたためにプルシアーナは頬を染めつつ軽く喘ぐとようやく自分が胸を触り揉みしだいてることを理解するレイン。
「ごめん!」
「い、いえ…レインさんならいいです、よ?その…やじゃないです……」
顔を赤くして見つめあう2人。ゆっくりと顔が近づいて
「まだ~~~~」
ロアナが空気をぶち壊す。
「あ、ちょ、その、後の着替えはできるよね?」
「はははい!大丈夫です!」
ロアナの言葉に我に帰る2人は顔が燃え上がるように熱く火照る。
若干ぎこちなさはあるものの平静を取り戻した2人はロアナとともに街に繰り出すことにした。
「おはようございます。」
宿の玄関まで行くとナターシャが待っていた。
どこか気まずいレインはスッと視線を外すが自分が悪いことはわかっている。これではダメだとナターシャを見ると胸元がV字になったいつもと違う侍女服。
清潔感ある服装なのにV字の襟越しに谷間が目に飛び込む。
しかもナターシャの腕の位置によって谷間が見えたり見えなかったり自由自在のようだ。レインが目をそらそうとすると前に合わせていた手を少し下げて肘を伸ばす。すると腕が胸を挟み込んで谷間が『こんにちは!』レインがナターシャを見るや否や肘を軽く曲げると寄せていた胸が『さようなら』と横乳を自由自在に操っているようだ。
なんともけしからん!
目をそらすに反らせないレインにゆっくりと近づいてくるナターシャ。
(ク!やられた…そんな小狡い作戦に引っかかるとはまだまだだな。)
アホな思考が頭を駆け巡る。
ナターシャがレインの前で止まると一度深く頭をさげる。
「昨日は申し訳御座いませんでした。すでに主人も落ち着きを取り戻しております。改めて謝罪したいと申しているのですがここでは目立ちますので一緒に来ていただけませんでしょうか?」
「え、ええそうですね。わかりました。」
お辞儀した時に角度が絶妙で見えそうで見えないその胸元が一瞬気になったがレインも謝りたいと思っていたため素直について行くことにする。今日の買い物はお預けのようだ。
まともな戦闘シーンがまだないのですがどうしたものか考え中です。
どうしようマジどうしよう……
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朝起きると2人はすでに起きていた。
「レインさんおはようございます。」
「お兄しゃんおはよう。」
失敬
ロアナはまだおネムのようだ。
「おはよう。そういえばプルシアーナ俺の名前にさん付けしなくってもいいよ?」
「え?でも…」
「あぁごめん呼びづらいならそのままでもいいよ。」
「はい。あ、私の名前も長いのでシアかシーナと呼んでもらえると嬉しいです。」
「おぉ!新婚みたい!ん?シーナ?なんでシーナ?」
「シアは孤児院で呼ばれてたあだ名です。シーナは両親に呼ばれてた愛称です。」
「へ~。じゃあ俺はシーナって呼ぶね。その方が家族みたいでしょ?シーナ」
「はい!」
レインがシーナと呼ぶと垂れた耳がピクピクと動き尻尾もゆらゆらと揺れる。どうやら喜んでくれているようだ。
「あ!お洗濯!!」
「何?」
「今日起きて思ったんです。アトーリアに来てから洗濯してないって。」
「あぁそっか。洗濯しないと替えの服がなくなるか…じゃあ朝ごはん食べたら洗濯しようか。」
「はい。でも…高いお洋服の洗い方知りません……」
「え?そんなの…あぁ確かに服も下着もちょっと洗い方が違うか。」
ゲームの頃は汗など書くことはないし洗濯しなくても砂埃程度なら弾いてしまって清潔度を保ってくれていた洋服も今ではそういうわけにもいかない。
洗濯には専用の石鹸も必要になるだろうと思ったレインは少し考えると一つ思いついた。
「あ!そうだそうだこういう時は魔法を使おう!!」
「魔法ですか?」
「そうそう!」
「魔法でお洗濯?生地が痛まないでしょうか?」
「大丈夫!洗濯をするんじゃなくて清潔にするんだ。これでいいんだよ。クリーンだよ!」
「クリーン?どのような魔法なんですか?」
さらっとスルーされたレインはちょっとしょんぼりしつつも真面目に答える。
「服に魔法で清潔化の付与を施すと常に綺麗な状態を維持してくれるんだ。多少であればほつれたりしても元どおり綺麗な状態を維持してくれる状態保持魔法だよ。あとはサイズ調整の魔法も付与させると体が成長しても今の服を着れるようになる。ということで買った服全部を魔法衣類にしてしまおう!といってもできる服とそうでない服があるから全部は無理なんだけどね。ほらナターシャの服に刻印があったでしょ?あんな感じで服に魔法を付与するんだけど刻印だと場所や素材によって効果も多少違うから見極めが大事なんだよね。」
「魔法って…そんな簡単にできるものじゃないですよね。」
「ん?あぁそっか今はそういう職人も少ないんだっけ?でも大丈夫俺はできる!それに付与しとくと多少防御力も上がるから2人の服が皮鎧程度にはなるし俺としては安心かな。」
昨日の反省が生かされてないように思うが本人はいたって真面目。
昨日鑑定士の爺さんと軽く会話していてわかったのが魔道具の鑑定ができる腕を持った鑑定士も今は少ないということだ。さらに刻印魔法を鑑定できるものはそう多く無いようなのでバレなければ問題ないだろうと考え直した。
開き直りもいいとこだろうが今この世界はいつ盗賊に狙われてもおかしくない状況なのであながち間違った対応ではない。現にパトラとナターシャの服は魔法付与された代物で、付与されたことを隠遁する効果付きの刻印で最低限の攻撃を守ってくれるようにはなっていた。付与したものの腕がお粗末だったためか腹部に木片が刺さっていたがあの服を鑑定して魔法付与されてると見抜けるものはそう多くはいない。
「ということで今から付与するための刻印魔法を組み上げるので着替えはちょっと待ってね?」
「はぁ。本当に私なんかがいいんでしょうか?」
「ん~おねぇちゃん。喉乾いた。」
レインとプルシアーナが話しているとようやく目が覚めてきたロアナが飲み物をねだる。
プルシアーナは部屋にあるお茶を入れるとレインにもお茶を出す。
「新婚っぽいね。」
茶化すようにいうレインだがプルシアーナもまんざらでもない感じで頬を赤く染めてにやける。
レインは自身にできる最大の付与をしようと魔石よりもさらに濃い濃度の魔力が溜まる魔結晶を取り出すとおもむろに削り出す。普通はこの粉末を使って魔法陣を描き魔法陣の上に置いた服に魔力で刻印を刻むことになるのだが、レインは『アサシンスパイダー』の糸を使った補修する服の色に合わせて色が変わる『迷彩糸』に刻印を刻む。この方法を使うのは服の生地に負担が少ないように魔法を付与するためだ。生地に直接刻むと生地自体の耐久度が落ちるために元の素材によっては服が劣化してしまうことがあるための措置だ。刻印つまり服の生地に魔力で刻み込むために薄い服だと破けてしまって付与できないことも多い。他にも魔力を帯びた糸で魔法陣を服に刺繍する方法もあるがこれはあまりお勧めできない。魔法陣単体だけだと糸がほつれただけで効果がなくなることがあるのだ。刻印のように刻んだ方が確実である。
半紙上に魔法陣を描くとわずか数ミリの糸にびっちりと刻印を刻み込む。これならこの糸が切れても新たに魔法を付与し直せる。繊細な作業なのだが多くの職業を取得して補助スキルもゲーム時代とは比べ物にならない数を使用できるようになったレインならそう時間もかからない。しかしゲーム時代との感覚の差異を調整するために2、3度失敗してしまった。
ダメにしてしまった糸も効果が劣るというだけで使い道は十分あるので問題ない。あとでフェリにでもあげようかと思いつつ作った糸を使って服に新たに魔法陣を刺繍していく。刻印プラス魔法陣の二重付与だ。
服の色に合わせて色が馴染むので傍目からは魔法衣類とはわからないので隠遁効果もバッチリ。下着類にも刺繍を施していくがよく考えるとこの2人まだ地球風の下着を着ていないことに気づくレイン。
無理につけさせる気は無かったが風呂の時に聞いてみるとフェリタニカに下着類のつけ方を教わっているプルシアーナだがまだ1人で着けれないようで昨日はつけていなかったのだ。
つけるつけないは自由だしどっちがいいとも言い切れないがレイン個人の意見では「大きさによる」だ。
プルシアーナの大きさだとあった方がいいだろうと思うレインだが昨日はもう風呂に入った後だった。夜は夜専用でないと逆によくないのでつけないでいたが、よく考えれば夜用がこの世界にないことにも気づく。
(いるよね~夜用。横になると引っ張られるし…地味に突っ張るんだよな…あれ。)
地球では女だったためによく知っているレインは夜用も作ろうと思い立つ。
この世界では女性プレイヤーも多いのだが手の込んだ下着類を作れるのはレインだけだろうことを思うと何となく嫌な予感を覚える。男性アバターを使う女性という定でいくならプレイヤーへの言い訳は問題ないだろうがどうにも嫌な予感が拭えないのはなぜだろうか?
大方刺繍が終わると朝食の時間だ。
着替えもせず寝間着のまま食べる行儀の悪さだがそれはそれで乙なものだ。
だし巻き卵にアジっぽい魚の桜干しと味噌汁、あとはちょっとした小鉢があってさっぱりとした朝食だった。
まさかこの世界で桜干しを食べることができるなんて思っていなかったレインは興奮気味にご飯を掻き込む。
少し焼き加減が甘かったように思えるがそれでも大満足。だし巻きは砂糖が入っていた甘い仕上がりでレインは残念な気分になる。出汁巻は塩だろうと心の中で愚痴りつつも味自体は美味しかったのがちょっと悔しい負けた気分。
(砂糖め!今日のところは許してやろう!)
訳のわからない言い分を考えつつも箸を進める。
初日のなんちゃってすき焼きを除けば概ね美味しいと言える食事である『月下風雲』日本料理は出汁の取り方や塩加減、料理の手順がちょっと狂うだけでも味に大きな影響があるためにゲームのあまり味がわからない状況でここまでのクオリティーを出していたオーナープレイヤーのこだわりに舌を巻く。
食事を終えると街に繰り出すために着替えだ。今日は昨日買いそびれたトレーニングマシン用の素材と2人の日用品の買い足しだ。服はいいとして靴を買っていなかったことを思い出したのだ。他にも2人の生活必需品を買い足したい。イベントリ内にあるものでもいいのだが旅の間はこの3人なら問題ないがそうでない時があるために自分の分を含めて買い足したいのだ。服が高級品だと突っ込まれそうだがそれとこれとは話が違う。身を守るものは高くていいのだ。
ロアナのが真っ先に着替え終わるとドアのそばでそわそわとしている。
レインは自身の着替えを手早く済ませてプルシアーナを呼びに行くと裸で突っ立っていた。
「どうしたの?て、手伝った方がいいのかな?」
「え?あ!いや!その…月の物が始まったようで…汚してしまいました…ごめんなさい。」
プルシアーナはそういうと街に来た時に買った下着用かぼちゃパンツを差し出す。締め付けが慣れないからと寝間着用にと使っていたのだが赤い染みが付いている。
「あらら。まぁ大丈夫だからさっき刺繍したの使ってよ。つけ方わかる?」
生理用品のことをすっかり忘れていたレインである。すぐさま自身の記憶を辿り何種類かの生理用品を思い出すとどうやって作るのか考える。
「え!でも汚れてしまいますよ!腰帯を…そうだ私が履いてたパンツがあったはずですからそれを」
そういうとプルシアーナは自身のリュックに入れた下着を取り出そうとする。
レインが助けた時に履いてた少しくすんだかぼちゃパンツだ。
「大丈夫だって清潔化の魔法を付与してあるから汚れないからね。あとでちゃんと用意するから今はこっち履いといて。」
魔法付与してるので汚れたとしてもちょっと水で雪ぐだけで汚れが落ちるはずだと言葉を付け足す。
少し渋ったプルシアーナだが自分の手にする汚れたかぼちゃパンツと着替えの服を何度か見比べると汚い下着を着た上からレインに買ってもらった服を着るのも申し訳ないと引き下がることにした。
レインの目の前で恥じらいながら下着をつけ始めるプルシアーナだがブラのつけ方を注意され結局レインがつけることになる。その際胸を寄せて上げたためにプルシアーナは頬を染めつつ軽く喘ぐとようやく自分が胸を触り揉みしだいてることを理解するレイン。
「ごめん!」
「い、いえ…レインさんならいいです、よ?その…やじゃないです……」
顔を赤くして見つめあう2人。ゆっくりと顔が近づいて
「まだ~~~~」
ロアナが空気をぶち壊す。
「あ、ちょ、その、後の着替えはできるよね?」
「はははい!大丈夫です!」
ロアナの言葉に我に帰る2人は顔が燃え上がるように熱く火照る。
若干ぎこちなさはあるものの平静を取り戻した2人はロアナとともに街に繰り出すことにした。
「おはようございます。」
宿の玄関まで行くとナターシャが待っていた。
どこか気まずいレインはスッと視線を外すが自分が悪いことはわかっている。これではダメだとナターシャを見ると胸元がV字になったいつもと違う侍女服。
清潔感ある服装なのにV字の襟越しに谷間が目に飛び込む。
しかもナターシャの腕の位置によって谷間が見えたり見えなかったり自由自在のようだ。レインが目をそらそうとすると前に合わせていた手を少し下げて肘を伸ばす。すると腕が胸を挟み込んで谷間が『こんにちは!』レインがナターシャを見るや否や肘を軽く曲げると寄せていた胸が『さようなら』と横乳を自由自在に操っているようだ。
なんともけしからん!
目をそらすに反らせないレインにゆっくりと近づいてくるナターシャ。
(ク!やられた…そんな小狡い作戦に引っかかるとはまだまだだな。)
アホな思考が頭を駆け巡る。
ナターシャがレインの前で止まると一度深く頭をさげる。
「昨日は申し訳御座いませんでした。すでに主人も落ち着きを取り戻しております。改めて謝罪したいと申しているのですがここでは目立ちますので一緒に来ていただけませんでしょうか?」
「え、ええそうですね。わかりました。」
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