文明論の意義

平 一

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1 文明の6つの要素

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文明論に、興味があります。
それは文明論が、人類の全ての文明活動や、
それに関わる環境条件をもとに、
最も大きな規模スケールで、私達人類の未来を考えるのに役立ち、
あらゆる人々にとって、有益な思考の道具ツールになると思うからです。

人類の文明は、豊かな生活水準を達成する一方、
経済・社会活動の拡大・複雑加速化や少子超高齢化が進行し、
地球規模の自然的限界、社会的統合も見えてきました。

人類文明の持続可能な発展が問われている今、
文明論は私達の未来を考えるうえで、
とても役に立つ考え方だと思います。

文明とは、土木技術のような自然科学的技術や、
国家制度のような社会科学的技術のように、
高度な技術を伴う、知的生命活動の様式です。

知的生命活動とは、頭脳という専門分化した器官によって、
環境の違いや変化に応じてよりよく活動を制御し、
よりよく自己と種族の保存を行うことができる生命活動です。

文明には、その発展を左右する6つの要素があると思います。

① 自然・社会環境 
( 地形 ・ 気候や天然資源、近隣文明、先行文化など )
② 科学・技術 ( 社会的な事実認識 ) 
③ 物的資源 ( 科学・技術の実現に必要 ) 
④ 経済・社会活動 ( 社会的な現実活動 )
⑤ 人的資源 ( 制度・政策の実現に必要 ) 
⑥ 制度・政策 ( 社会的な意思決定 ) 

これらは、①を頂点として⑥までが右回りに並ぶ六芒星ろくぼうせい(✡)、
いわゆる『ダビデの星』、あるいは『籠目かごめの紋様』として
図示できるので、
私はそれを『文明の星(The Star of Civilization)』と呼んでいます。



6つの要素は全てが相互作用の関係にありますが、
そこには大きな流れもあると思います。

人間は①自然・社会環境の中で、
②科学・技術(始めは経験的な技術)を獲得し、
③物的資源に具現化して、④経済・社会活動を豊かにします。

その余裕を生かして⑤人的資源を育成・確保することにより、
経済・社会活動を健全に保つための
⑥制度・政策が作られていく。

またその制度・政策が、
①自然・社会環境の影響(恩恵や制約)のもとで、
次なる②科学・技術を開発・普及していく……。

このような螺旋(らせん)的上昇の循環スパイラル・アップ・サイクルが、
文明の発展を形作っています。



技術が進めば生活が変わり、生活が変われば政策も変わります。

科学・技術が進歩すると、
経済・社会活動は大規模化と共に複雑化・加速化し、
またその中における肉体労働や単純事務労働が
意思決定など頭脳労働に移行シフトします。

そこで制度・政策も高度化し、巨大化と同時に分権化してゆきます。
すなわち、必要とあれば大勢が動くが、
それにあたっては衆知を集めて企画や改善に活かせるよう、
国際協調主義やグローバルガバナンスのように巨大化すると同時に、
政治的民主化や経済的自由化、地方分権のように分権化してゆきます。

ではそうした文明活動において今、何が問題となるのでしょうか?
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