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第1章 少年期〜覚醒編〜
第1話 キミと僕の物語
しおりを挟む長い夢のあと
僕が辿ってきた道のりは途方もなく長くって
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
心地良い風が吹いてくる。
僕は目を覚ます。
フライパンの縁で生卵の殻を割る音が聞こえた。
目を擦ってからよく見ると、中からこぼれ落ちたそれは、じっくり、けれど確実に、そのキミを焦がしていった。
それは何だか、僕には決して遠くないものに感じた。
似ていた。
「あら、ファミリア。今起きたの?
随分早起きなのね~」
「うん、ママ。
今日はね、なんか、目が覚めちゃったの」
「そうなのね~。
ファミリアちゃん、美味しい卵焼きできてるから食べましょ」
「うん!……って、ママ~。
ファミリアくんでしょー!
今日は、ボクが大人になるための一歩目になる、大事な日なんだから、かっこよく呼んでよねー」
お母さんといつも通り、他愛のない会話をする。
僕のお母さんは、いつも優しい。
だから僕は、お母さんみたいな優しい人になりたいんだ。
朝食を食べてからしばらくすると、階段を降りてくる音がした。
お父さんだ。
「おはようさん。カレン、ファミリア」
「ハルス、おはよう~♡」
「パパ、おはよう~」
お父さんは、かっこいい。
僕の憧れの人だ。すっごく強くて、お母さんのこと大好きで、僕にも優しい。
今も、僕の頭を大きな手でわしゃわしゃしてくれてる。
僕は、うれしくなって自然と笑顔になった。
「ファミリア~、今日は待ちに待った固有スキル授与の日だな。
心の準備は大丈夫そうか?」
「うん!少しドキドキしてるけど……
パパみたいに強い効果のあるスキルだといいなぁ」
固有スキルっていうのは、この世界に生まれた者が1つだけ神様から授かるといわれている特別なスキルのこと。
スキルは、技能のことで、生まれつき備わっているものや、経験を積むことで習得していくものなど様々ある。
こういったスキルは、ステータスと呼ばれる、神様から与えられる技術によって、いつでも自由に確認することができる。
ただし、ステータス、それから固有スキルを直接授けるのは、神様ではなく神官様だ。
神官様は皆、固有スキル《宣告者》を持っている。
特殊な力が付与された神様の言葉を神官様が告げることで、僕たちはステータスと固有スキルを授かることができるらしい。
「強くなりたい。
そう思うのは男の子としていいことだと、お父さんは思う。
けどな、だからといって、スキルに善し悪しを求めるのは違うと思うぜ」
「どういうこと?」
「いくら特殊な固有スキルだろうと、強くなれるかどうかは本人次第だ。
一見、強くはなさそうなスキルでも、強さを求める意志を持って努力し続ければ、見えなかったもんが見えるようになる。
分かるか、ファミリア?」
「う~ん……半分くらい?」
どんな固有スキルでも、強くなりたいって気持ちを捨てずに、スキルと向き合って努力し続けることが、最強への道ってことなんだろうけど……
"見えなかったもんが見えるようになる"か。
「さて、言いたかったことも伝えれたし
……そろそろ出発だ、ファミリア!」
「うん!」
よしっ、決めたぞ!
僕は、どんなスキルをもらっても、絶対頑張って最強を目指す!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
少年は、自分の、生卵の殻の中の違和感に気づかないまま、その日の朝を過ごしていた。
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