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第1章 少年期〜覚醒編〜
第3話 お互いを向き合うとき
しおりを挟む「私は、偶然には思えません。
これは……もしかすると、神のお告げに近いものなのかもしれません」
「神官様の持つスキル《宣告者》の新たな能力ってこと?」
「えぇ、私にはずっと謎だった"神に認められし者と交流する可能性(大)"という終期効果があります。
確か、六、七年ほど前に獲得したような……」
"神に認められし者と交流する可能性(大)"って、変わった効果だな~。
まず、"神に認められし者"って何だ?
六、七年ほど前に獲得したってことは、ちょうど僕が生まれる頃じゃないか。自分のことだと疑ってしまっても無理はない。
僕が"神に認められし者"?……そんなの、思い当たる節がまったくない。
いや、でも。
なぜだか、妙に懐かしい感じがするような……
「まぁ、分からないことを悩み過ぎても仕方がありません。
ひとまず、今日の大事なことは固有スキルの授与です。
さあ、こちらへ」
「……うん」
神官様の言う通りだ。
僕が今日ここに来たのは、固有スキル獲得のため。
神様がどうとかには、今時間を割くべきことではないな。
気持ちを改めて、神官様の方へ進んだ。
「では、始めます。
……神よ、我に授けしスキルによりて、この者に合うべきスキルを授け給へ!」
神官様が、両手の平を僕の方へ向けてから、そう叫ぶと、固有スキル《宣告者》の"スキル使用者を身寄りに神の力を引き出し、対象へ固有スキルを授ける"初期効果が発動したのだろう。
突然、僕の目の前にいろんな色の光みたいなものが流れ集まりだして、二つの玉のような形になって安定した
……そして、そのまましばらく時間が経過した。
「え~っと、このあとどうすればいいとかある、神官様?」
「あ、あり得ない……見たことがない」
「神官……様?」
「こんなのは、はじめて見る。
やはり、"神に認められし者"なのだろう……ファミリア」
見たことがないって、この目の前にある二つの玉のことなのかな?
確か、玉が作られる前までは、神官様は驚いた顔はしていなかったはず。
ということは、神官様が見たことがないのは、二つの玉のことなんだろう。
「で、このあとどうすればいい?」
「あぁ、そうでした。
なにせ、生まれてはじめて遭遇する事態でしたから、申し訳ございません。
……通常でしたら、この玉は一つしか作られません。
そして、玉の方から自然と対象者の身体の中へ入り込んで消えていくのです。」
「……けど、ボクには二つの玉が現れた。」
「はい。……定説では、この玉は固有スキルの素だと考えられています。
ですから、一人の心身に宿っていくのは一つの玉なのです。
しかし、ファミリア……あなたの目の前にあるのは二つの玉。
普通に考えれば、あなたには二つの心身があるということになります。」
いや、そんな馬鹿な!
心身が二つってことが、まずおかしいはず……
僕の身体は、ここに一つしか存在していないんだから。
ってことは……
「ファミリア、あなたの身体には、二つの心が宿っているのかもしれません。
常識的にはあり得ないことですが、あなたが"神に認められし者"だと仮定すると、あり得なくもないのでしょう。
現に、神はステータスやスキルといった、我々の常識の世界を超越するものを創り上げています。」
そんな……
「私の考えが当っているなら、あなたの目の前にある二つの玉は、あなたが自身と向き合って、真の状態を理解しない限り、固有スキルを得ることはできないでしょう……」
あぁ……そんなこと言われたって、やらなきゃいけないことは分かったけど
そんな急に言われても……
真の状態……心が二つ
僕は何者なのか
僕?
なんで、ボクは僕って思ってたんだ?
ボクは僕じゃないのか?
同じことだよ、きっと……
ううん、やっぱりおかしいよ
今やっと気づいた
今日の朝から、おかしかったんだ
いつもと同じような朝なのに、頭の中はとてもスッキリしていて、パパやママのことだって、お父さん、お母さんって。
まるで、ボクがボクじゃないみたいに……
あぁ、そういうことか
僕も今、やっと思い出したよ
僕とボクは一緒じゃない……僕とキミは違うんだね
うん、そうだよ。
ボクも、お兄さんのこと気づかなかった。
いつから一緒に居たんだろ、ボクたち?
それはきっとね……
ごめん、今はまだ思い出せないことが多くって
分からないや
そっか
あっ、でもひとつだけ思い出したよ
僕には、この世界で、やらなきゃいけない目標があるんだ
ほんと!?
ボクもあるんだ、目標!
……それはね
「この世界で、いちばん……」
「パパを超えて、誰よりも……」
「「強くなる!!」」
音がした。
それは今朝と同じ
けれど、今までとは全く違う
二つの殻が割れる音だった。
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