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ルール2

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勇者の仲間になって数日が経った。
勇者は大きな戦いが無い間は、俺が召喚されたこの砦で仲間と共に暮らしているらしい。
この数日間、俺は常に勇者と行動を共にしていた。
というか、勇者が俺に付いてくると言うべきか。
意外なことに、勇者は俺以外と契約していないらしい。
ユーリが初めてだよ、といつものキラキラしい笑顔で話していた。
仲間からしてもユリウス元敵とはいえ契約相手を持ったことは好意的に受け入れられているらしい。
良好な関係に見えるらしく、他の仲間の態度も軟化してきた。
勇者の仲間は基本善人揃いの甘ちゃんだ。
精々油断するがいい。



「ん…ちゅ……」

一方でキスの方はなかなか上達しない。
俺からのキスの後、毎回こうして勇者にトロトロにさせられてしまう。
これは素直に反省すべき点だ。もっと練習しなくては。
顔を離すと、唇の間に名残惜しそうに銀色の橋がかかった。
勇者のものが混ざった唾液を嚥下すると、嬉しそうに微笑む。
この表情を引き出せると勝ったような気分になる。
俺は満たされたような気持ちになり、自然と口角が上がった。
ただ困った事に、この短い間で俺はキスから官能を拾うようになっていた。
今も俄かに兆している己の中心を隠すよう、上着の裾を引っ張った。

「ユーリ、どうしたの?」
「な、何でもありません!」

身じろぎしたのを目敏く咎められる。
動揺して言い淀んだ俺の手を取り、下を覗き込まれた。

「やっ!見ないでください……」
「ユーリ、もしかして勃起してる……?」

確認するようにやわやわと揉まれ、余計に反応したそれは、今やガチガチに硬くなってしまった。

「契約者が勃起した時は解消してあげ。これもルールだよね。大丈夫、俺に任せて」

そう言って勇者は俺を椅子に座らせると、トラウザーズを寛げ、下履きから俺の中心を取り出した。

「これがユーリの……綺麗だよ」

勇者はしゃがんでそこに顔を近づけると、くん、と匂いを嗅いだ。

「あっ、だめ、嗅がないで……」
「ユーリの匂い、凄くエッチだ」

膝の間に勇者の体が入っているので、脚を閉じる事ができない。
勇者からは俺の昂りが丸見えだろう。
それをじっと舐めるように見る勇者を直視できず、俺は目を逸らした。

「触るね。痛かったら言って」

勇者は棒を掴むように握り、唾液を垂らすと上下に扱いた。

「っふ、んあっ……」

ぬちゃぬちゃと粘度の高い水音が響く。
自分でする時はただ熱を発散させる程度だった。
棒の部分を適当に擦って射精しておしまい。
当然勇者もそうするのだと思っていた。
しかし、勇者は俺の棒を扱くだけでなく、先っぽの敏感なところをくるくると撫でたり、先端の穴をくすぐったり、下の袋を揉んだりしてくる。

「あぅ……っ!あ、……あっ」

これまで感じたことの無い直接的な快感に、つい声が出た。
両手で口を押さえると、勇者は嗜めるようにその手を退けた。

「気持ち良い時は素直に言わ…気持ち良さを共有するのは絆を深めることに繋がるからね」

そうだ。これらのルールは契約者同士の絆を深め、より多くの魔力の受け渡しを可能にするためのものだ。
目的の為には従った方が良い。

「あ、勇者殿…っ、気持ち良い!きもちいい……!」

勇者は満足そうに笑うと、赤い舌を見せつけるように出し、そのまま俺の棒をぞろりと舐めた。

「あ!それも…っ!きもちいいっ!」

指とは違う刺激に、腰が跳ねた。
勇者は下から上へ、丁寧に舐めたかと思うと先端を口に含みねぶったり、唇で挟んだりしてくる。
勇者に責め立てられて、俺は官能の高みへと追い詰められる。
下半身は限界まで張り詰めていた。

「ぅぁ……出そう……っ!」
「射精する時はイクって言わよね」
「イク…っ!イク!!」

勇者の頭にしがみつき、大きな声で叫びながら俺は白濁を吐いた。
その寸前、先端を咥えた勇者が、俺の吐き出したものを全て飲み込んだ。
紋様が刻まれた右手を通し、勇者の魔力が流れ込んでくる。
射精の快感と魔力の熱とで力が抜けてしまった。
カクリと椅子に体重を預けると、張り詰めた勇者のトラウザーズが目に入った。

「……勇者殿の熱は契約者として私が何とかします」

勇者を立たせ、丁度目の前に来たトラウザーズを緩めると、赤黒く滾った怒張がビンと飛び出てきた。
勇者のそれは大きさこそ俺のものと大差ないが、ビキビキと太い血管を纏わせて堂々とそそり勃つ姿は生命力の塊のようだった。
勇者を真似て匂いを嗅いでみると、体の芯が熱くなるような、不思議な香りがした。

「っ、ユーリ……」

勇者から熱を孕んだ視線を感じる。
おずおずと指先で触ると、とろりと透明な先走りが垂れた。
傷つけないよう優しく握り込むと、熱い滾りはビクビクと跳ねた。
撫でるように上下に動かすと、勇者は熱い息を吐いた。

「っ、もうちょっと強くして」
「でも、痛くないですか?」
「痛かったら言うから大丈夫だよ。ほら、下の方も触って……」

勇者の指示を聞きながら手を動かすと、勇者の息に甘い声が混じってきた。
良い気になって動きを速めると、先端から次から次へと透明な蜜が溢れ出てくる。
それが勿体無くて、俺はペロリと舐めてみた。

「……っ!ユーリ!ああ、凄い!気持ち良いよ……!」

ほのかに勇者の魔力を感じられるそれは、食べたことの無い不思議な味がした。
もっと欲しくて垂れてくる蜜をペロペロと舐める。
さらに強請るように舌先で先端を突くと、それに応えるように蜜がどんどん出てくる。
もっともっと飲みたい。
俺は先端を咥え、ちゅうちゅうと夢中で吸った。

「っ!もうすぐ射精そうだ……!」

勇者の手が俺の手ごと棒を掴み、激しく上下に動かした。

「ユーリ、イクよ、全部飲んで!」

ぎゅっと一層大きく収縮すると、勇者の怒張は勢いよくその熱を吐き出した。
喉の奥に叩き込まれた濁流は、信じられないほど甘美だった。
溢さぬよう必死に口を窄め、飲み下す。
白濁とともに魔力の流れが喉を通り体内へ入ってきた。
細胞の一つ一つに勇者の魔力が染み渡る。
暫くの間、俺は全身でそれを感じ取っていた。

射精が終わると、力を無くした勇者のものがだらりと口から出て行った。

「あ……」

それが寂しくて、つい追ってしまいそうになる。
勇者はそんな俺に笑いかけると、ぎゅっと抱きしめてくれた。
体内で二人分の魔力が混ざり合っていく。
魔力過多で体が重い。
俺はくたりと勇者にもたれかかり、そのまま意識を失った。
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