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108話 再び謁見
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まぁ、以前のことがあったせいで白狼隊はサクサクっとハワード王との謁見の運びとなった。
「いやー、お前らには驚かされっぱなしだな! こないだ王都を出たと思ったらもう帰ってきて、しかも前人未到のダンジョン制覇に、国庫を溢れさせんばかりの宝を持ち帰ってくるとは……」
カラカラと楽しそうに笑うハワード王、周りの大臣もガレオンもすでに止めない。
ポストはそんな王の一面はあまり知らないのかユキムラの隣で呆けたような表情をしている。
「さて、真面目な話に移ろうユキムラ殿。流石にコレほどの品の質と量のオークションは、今まで開催されたことはない。全世界へ通知して、準備をして、その結果となるとかなりの時間が必要になる。
それまで報酬は待機という形になってしまうが許してほしい」
王が頭を下げる。このあたりが人を惹き付けるところなのだろう。
「お気になさらないでください、ただ、もしよろしければこちらの希望する物は事前にいただけたら嬉しいなー、なんて、思ったり……」
「ああ、聞いたぞ。ほんとにそれでいいのか? まぁこちらとしても扱うこともできない鉱石よりは武具のほうが助かるが……ユキムラ殿はあれを有効に使える。ということか……」
そこには気さくで大らかな王ではなく、治世者としてのハワード王がユキムラを見据えていた。
「あ、はい。早くいろいろ作りたくてウズウズしてます!」
「……ああ、師匠……」
ユキムラの背後で控えるレンが思わず愚痴ってしまうほどあっさりと、そしてまっすぐとユキムラはその事実を公表してしまう。
「ふ……ハーーーーッハッッハッッハッハ!! まこと来訪者とは恐ろしいものだ!
ユキムラ、あとでじっくり話を聞かせてもらおう。よろしい。ユキムラ殿は宝を得た冒険者。
その権利である宝の移譲はこのハワードの名に懸けて迅速に行おう!」
その後、本当にトントン拍子でユキムラたちの手にオリハルコン、レインボーダイヤ、グラビストーン、爆炎石、豪水石、暴風石、山岩石、光聖石、影黒石が引き渡された。
条件は王国専属鍛冶、魔道具作成、魔導研究その他学者達の面前でそれらの加工や叡智を見せてほしいということだった。
もちろんユキムラは二つ返事でOKする。
そんなことよりも早く新しい材料を使いたいのだ!
見学者が多いので鍛冶などはユキムラ特製移動式鍛冶場、研究所を内庭に展開した。
周囲には観客席のように国内の有力な鍛冶屋、魔道具生成師、各学者達がびっしりと座っている。
「えーっと、まずはオリハルコン塊とグラビストーン塊を鉱石にします」
ユキムラは街で指導するのと同じようにVOでのミニゲームの説明をしていく。
あっと言う間に塊が複数の鉱石に変化する。
そのまま説明を続けて鉱石からオリハルコン鉱、グラビストーン鉱を作り出す。
一流の鍛冶師も多いので今のやり取りだけでもスキル発現した人間もいるだろう。
「レインボーダイヤは、もったいないかもしれませんが7色粉にします。
これは各種属性石から作られたパウダーと、魔力触媒と合わせると、なんと任意で属性変化する武器防具が作れるのです! ちょっと鉱石の数なども少ないので基本的には合金製の武器防具を作りますが、オリハルコンやグラビストーンを使った合金はその硬性、軽量性、対魔、対属性、対物も今までの装備とは格段にスペックが上がります。また魔力伝達速度も段違いなので……」
その後数時間に渡ってユキムラのVOうんちくを延々と聞かされた聴衆。
しかし、そこに秘められた様々な叡智の価値を見分けることのできる一流の聴衆は大量のスキル発現に成功していく。レンも止めるのも忘れてその独壇場に聞き惚れていた。
上級魔石は基本的には生活魔道具などには過ぎたもので、兵器に近い運用になるのでこの場では明かさない。これはユキムラが事前に決めていたことだ。
あくまでもいずれ訪れる魔神との戦いに向けた、人間の自衛のための防備を整えるために技術は広げる。人と人との争いを益するような真似をするつもりはない。
それがユキムラの考えだ。
それは王にも伝えてある。もしこれを破るようなら全力をもって止める。強い意志を持った眼差しで王へとユキムラは勧告した。珍しく強い口調で。
ユキムラとレンは質問攻めにあっていた。
Q.属性耐性を100%、全属性で取れば無敵の兵士ができるじゃないか!
A.残念ながらそう単純ではなくて、攻める側も相手の耐性を落とすスキルや魔法がある。
単純な魔物相手ならほぼ属性攻撃に対しては無敵だろうが、強力な敵の場合そういった方法を取られるので完璧はない。
Q.武器も全属性をもたせれば必ず弱点をつけて最強じゃないか?
A.時間あたりのダメージで判断すれば弱点属性一点に絞った特化武器のほうが遥かに上になる。
汎用の誰でもそれなりに優位に戦えるそれなりの武器でしかない。
さっき話した防具についても同じ、相手の攻撃に合わせた適切な耐性を積んだ防具の方が強い。
Q.さっきの技法は何なんだ!? あんな方法は見たことがない!!
A.才能ある方はもう先程の方法が使えるようになっていると思います。
もっと詳しく学びたい方は是非サナダ街スキル学校へいらしてください。
推薦状を書きますので入校料、授業料は勉強させていただきますよ。
Q.今聞いた様々な知識、どれをとっても斬新で革新的で魅力的だ。なぜそんなことを知っておられる?
A.来訪者だからです。
なるほど。
一通りの疑問に答えていると時間はすっかり遅くなってしまった。
ハワード王は白狼隊を晩餐へと誘い、ダンジョンでの冒険譚などを皆で楽しみながら食事の時間を過ごした。
「ああ、そういえば封印された女神の情報もはいったぞ。我が城北東にあるゴルゲン古城に伝承があるそうだ。今、あそこはゲッタルヘルン帝国との最前線になっておりとても侵入できないが、今回のオークションに絡めて一時停戦を申し出ている。もちろん応じなければ参加させないと脅している。停戦がなれば調査にも向かえるだろう」
きちんとフラグが立っていくのでありました。
「いやー、お前らには驚かされっぱなしだな! こないだ王都を出たと思ったらもう帰ってきて、しかも前人未到のダンジョン制覇に、国庫を溢れさせんばかりの宝を持ち帰ってくるとは……」
カラカラと楽しそうに笑うハワード王、周りの大臣もガレオンもすでに止めない。
ポストはそんな王の一面はあまり知らないのかユキムラの隣で呆けたような表情をしている。
「さて、真面目な話に移ろうユキムラ殿。流石にコレほどの品の質と量のオークションは、今まで開催されたことはない。全世界へ通知して、準備をして、その結果となるとかなりの時間が必要になる。
それまで報酬は待機という形になってしまうが許してほしい」
王が頭を下げる。このあたりが人を惹き付けるところなのだろう。
「お気になさらないでください、ただ、もしよろしければこちらの希望する物は事前にいただけたら嬉しいなー、なんて、思ったり……」
「ああ、聞いたぞ。ほんとにそれでいいのか? まぁこちらとしても扱うこともできない鉱石よりは武具のほうが助かるが……ユキムラ殿はあれを有効に使える。ということか……」
そこには気さくで大らかな王ではなく、治世者としてのハワード王がユキムラを見据えていた。
「あ、はい。早くいろいろ作りたくてウズウズしてます!」
「……ああ、師匠……」
ユキムラの背後で控えるレンが思わず愚痴ってしまうほどあっさりと、そしてまっすぐとユキムラはその事実を公表してしまう。
「ふ……ハーーーーッハッッハッッハッハ!! まこと来訪者とは恐ろしいものだ!
ユキムラ、あとでじっくり話を聞かせてもらおう。よろしい。ユキムラ殿は宝を得た冒険者。
その権利である宝の移譲はこのハワードの名に懸けて迅速に行おう!」
その後、本当にトントン拍子でユキムラたちの手にオリハルコン、レインボーダイヤ、グラビストーン、爆炎石、豪水石、暴風石、山岩石、光聖石、影黒石が引き渡された。
条件は王国専属鍛冶、魔道具作成、魔導研究その他学者達の面前でそれらの加工や叡智を見せてほしいということだった。
もちろんユキムラは二つ返事でOKする。
そんなことよりも早く新しい材料を使いたいのだ!
見学者が多いので鍛冶などはユキムラ特製移動式鍛冶場、研究所を内庭に展開した。
周囲には観客席のように国内の有力な鍛冶屋、魔道具生成師、各学者達がびっしりと座っている。
「えーっと、まずはオリハルコン塊とグラビストーン塊を鉱石にします」
ユキムラは街で指導するのと同じようにVOでのミニゲームの説明をしていく。
あっと言う間に塊が複数の鉱石に変化する。
そのまま説明を続けて鉱石からオリハルコン鉱、グラビストーン鉱を作り出す。
一流の鍛冶師も多いので今のやり取りだけでもスキル発現した人間もいるだろう。
「レインボーダイヤは、もったいないかもしれませんが7色粉にします。
これは各種属性石から作られたパウダーと、魔力触媒と合わせると、なんと任意で属性変化する武器防具が作れるのです! ちょっと鉱石の数なども少ないので基本的には合金製の武器防具を作りますが、オリハルコンやグラビストーンを使った合金はその硬性、軽量性、対魔、対属性、対物も今までの装備とは格段にスペックが上がります。また魔力伝達速度も段違いなので……」
その後数時間に渡ってユキムラのVOうんちくを延々と聞かされた聴衆。
しかし、そこに秘められた様々な叡智の価値を見分けることのできる一流の聴衆は大量のスキル発現に成功していく。レンも止めるのも忘れてその独壇場に聞き惚れていた。
上級魔石は基本的には生活魔道具などには過ぎたもので、兵器に近い運用になるのでこの場では明かさない。これはユキムラが事前に決めていたことだ。
あくまでもいずれ訪れる魔神との戦いに向けた、人間の自衛のための防備を整えるために技術は広げる。人と人との争いを益するような真似をするつもりはない。
それがユキムラの考えだ。
それは王にも伝えてある。もしこれを破るようなら全力をもって止める。強い意志を持った眼差しで王へとユキムラは勧告した。珍しく強い口調で。
ユキムラとレンは質問攻めにあっていた。
Q.属性耐性を100%、全属性で取れば無敵の兵士ができるじゃないか!
A.残念ながらそう単純ではなくて、攻める側も相手の耐性を落とすスキルや魔法がある。
単純な魔物相手ならほぼ属性攻撃に対しては無敵だろうが、強力な敵の場合そういった方法を取られるので完璧はない。
Q.武器も全属性をもたせれば必ず弱点をつけて最強じゃないか?
A.時間あたりのダメージで判断すれば弱点属性一点に絞った特化武器のほうが遥かに上になる。
汎用の誰でもそれなりに優位に戦えるそれなりの武器でしかない。
さっき話した防具についても同じ、相手の攻撃に合わせた適切な耐性を積んだ防具の方が強い。
Q.さっきの技法は何なんだ!? あんな方法は見たことがない!!
A.才能ある方はもう先程の方法が使えるようになっていると思います。
もっと詳しく学びたい方は是非サナダ街スキル学校へいらしてください。
推薦状を書きますので入校料、授業料は勉強させていただきますよ。
Q.今聞いた様々な知識、どれをとっても斬新で革新的で魅力的だ。なぜそんなことを知っておられる?
A.来訪者だからです。
なるほど。
一通りの疑問に答えていると時間はすっかり遅くなってしまった。
ハワード王は白狼隊を晩餐へと誘い、ダンジョンでの冒険譚などを皆で楽しみながら食事の時間を過ごした。
「ああ、そういえば封印された女神の情報もはいったぞ。我が城北東にあるゴルゲン古城に伝承があるそうだ。今、あそこはゲッタルヘルン帝国との最前線になっておりとても侵入できないが、今回のオークションに絡めて一時停戦を申し出ている。もちろん応じなければ参加させないと脅している。停戦がなれば調査にも向かえるだろう」
きちんとフラグが立っていくのでありました。
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