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148話 糞パッチ
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中部から西、帝都の近くや、仮想敵国であるプラネテル王国と接している領土を持つ領主たちは、東の僻地にいる子爵ごときの台頭を、快く思わない貴族も現れてもおかしくなかった。
しかし、レンは早期から手早く対処をしている。
遠いものとは交われ、という外交の基本通りいろいろな形で手厚い援助を送っている。
帝国の安全は貴殿らのおかげ、我らのような田舎貴族が平穏に暮らせるのは勇士たる貴族の皆様のおかげ、などとりあえず下手に下手に武具や金属などを送り続けた。
もともと領地の領民が幸せであればそれでいい、カレンの幸せが一番だが、というハイランベルグはそういったところにこだわりがなかった。大物なのだ。
帝都に近い貴族と直接的な関わりを持ってしまうと、敵、この場合クーデターを起こす第一皇子とその周囲の人間、との接点を持ってしまうため、そこはうまいこと回避していた。
そして、上手に第二皇子とその支持層である貴族への援助を厚くしていく。
黒い、黒いよレン!
しかし、それらの謀略によって第二皇子派の貴族と地方貴族はサナダ商店、すでに商会となっているが、に対して並々ならぬ恩を感じているのだった。
帝国は北西をプラネテル王国と接しており、そこから大陸西側南側を完全に囲う大城壁を持つ。
貿易は大城壁の外側にある街で行い、厳しい検問を経て帝国内へ入る。
これは結果としてユキムラ達の身を逆説的に保証してくれている。
内部に居る人間だから問題がなかったのだろう、と。
帝都は南西部に存在する。基本的に帝都から離れるほど過疎地になっていき。
ボーリングの街などはその最たるものだ。
北東に巨大な山脈があり、そこには古龍の一種である風龍が住んでいる。
大変気性の荒い龍で周囲の土地は風龍の狩り場のようになっているため人が住めるような場所ではない。ボーリングの街がその地帯の南西に位置しているので余計に僻地化している。
内政謀略、そんなことを3年ほど行い帝国での地盤を盤石な物と確信したユキムラは次の行動へと移る。
「よし、人の理は得たね。そしたら僕達の準備をしよう。北東にある風龍の洞窟へ行こう」
こうして一大商会の会長となったユキムラは最後の準備にかかる。
残暑が残る日、ユキムラたちは風龍が居るという洞窟へと出発する。
MD攻略による武器防具などの調達だ。
現状でも様々な原料を手に入れられるようになっていて、目立たないようにはしているが以前のサナダ隊くらいの武具は揃えてある。
しかし、あの戦い。あの一方的な虐殺を経験している以上、あいつらに抵抗できる物を手に入れないといけない。
もちろん4人+1匹の成長も重要だ。
そこでユキムラはVOの知識から未発見のMDめぐりを最後の仕上げとして計画していた。
レベルは以前のまま、さらにハイレベルなダンジョンを攻略することでより良い鉱石や武具を手に入れれば戦力の増強へとつながる。
ユキムラの変態的欲求も満たされる。Win&Winだ。
冗談はさておき、ユキムラは必死に惨劇を回避するための案を考えている。
あの時の圧倒的な実力の差ははっきり言って異常だ。
Lv100くらいの時にLv1000 くらいを相手にしているような、そんな絶望感があった。
ユキムラは考えたくなかったが、もう一つ考えられる物があった。
終末期に入って、VOにとどめを刺した時間操作系エンチャントだ。
これは課金アイテムを課金でエンチャすると、天文学的な確率でエンチャがつくと手に入る装備で、それを装備すると10倍早く動ける。嘘みたいだが10倍早く動ける。
どう考えてもMMO向けなアイテムではない。
しかも使った側を10倍早くは出来ないので、使われた側が10倍遅くなるという糞みたいな仕様にした。
ただでさえ金を巻き上げる課金ガチャに嫌気が差していたのに、それでトドメを刺した。
さすがのユキムラをしてもその装備の製造は諦めたほどだ。
問題は同時に作られたダンジョンの中ボスとボスがそれを使ってくるのだ。
対抗策は同じアイテムを作るしかないという鬼畜仕様だった。
ユキムラがただ一つクリアの出来なかったMD『終末の深淵』。
皮肉にもその出現がVOに終末を訪れさせた。
その後の2ヶ月掲示板でもずっとなぜあんなエンチャやダンジョンを入れたのか正気を疑われていた。
運営に質問する奴らもいたが、一切の返信はもらえなかったばかりか、しつこく質問を繰り返すと垢BANをしてくるという最高の対応をしてきた。
そして、それから2ヶ月で突然のVOの終焉だった。
ユキムラはそのことを振り返ると無性に腹が立ってきた。
自分の全てを運営の思いつきのような課金制度で滅茶苦茶にされ、挙句世界をぶっ壊された。
いくらなんでも素人が考えたようなシステム、いままでの運営からは考えられなかった。
老舗MMOであるVOはいい意味でも悪い意味でも大きな変化がなく少しづつ上位互換装備をチマチマと足して属性の組み替えたダンジョンを足していく。そういう形式美がずっと続いていたのだ。
そこまで残っているプレイヤーは、正直それでよかったんだ。
それをあの最後のアップデートで無茶苦茶になった。
あの惨劇の不条理さと合わさって怒りは倍増する。
「絶対になんとかしてやる……」
しかし、レンは早期から手早く対処をしている。
遠いものとは交われ、という外交の基本通りいろいろな形で手厚い援助を送っている。
帝国の安全は貴殿らのおかげ、我らのような田舎貴族が平穏に暮らせるのは勇士たる貴族の皆様のおかげ、などとりあえず下手に下手に武具や金属などを送り続けた。
もともと領地の領民が幸せであればそれでいい、カレンの幸せが一番だが、というハイランベルグはそういったところにこだわりがなかった。大物なのだ。
帝都に近い貴族と直接的な関わりを持ってしまうと、敵、この場合クーデターを起こす第一皇子とその周囲の人間、との接点を持ってしまうため、そこはうまいこと回避していた。
そして、上手に第二皇子とその支持層である貴族への援助を厚くしていく。
黒い、黒いよレン!
しかし、それらの謀略によって第二皇子派の貴族と地方貴族はサナダ商店、すでに商会となっているが、に対して並々ならぬ恩を感じているのだった。
帝国は北西をプラネテル王国と接しており、そこから大陸西側南側を完全に囲う大城壁を持つ。
貿易は大城壁の外側にある街で行い、厳しい検問を経て帝国内へ入る。
これは結果としてユキムラ達の身を逆説的に保証してくれている。
内部に居る人間だから問題がなかったのだろう、と。
帝都は南西部に存在する。基本的に帝都から離れるほど過疎地になっていき。
ボーリングの街などはその最たるものだ。
北東に巨大な山脈があり、そこには古龍の一種である風龍が住んでいる。
大変気性の荒い龍で周囲の土地は風龍の狩り場のようになっているため人が住めるような場所ではない。ボーリングの街がその地帯の南西に位置しているので余計に僻地化している。
内政謀略、そんなことを3年ほど行い帝国での地盤を盤石な物と確信したユキムラは次の行動へと移る。
「よし、人の理は得たね。そしたら僕達の準備をしよう。北東にある風龍の洞窟へ行こう」
こうして一大商会の会長となったユキムラは最後の準備にかかる。
残暑が残る日、ユキムラたちは風龍が居るという洞窟へと出発する。
MD攻略による武器防具などの調達だ。
現状でも様々な原料を手に入れられるようになっていて、目立たないようにはしているが以前のサナダ隊くらいの武具は揃えてある。
しかし、あの戦い。あの一方的な虐殺を経験している以上、あいつらに抵抗できる物を手に入れないといけない。
もちろん4人+1匹の成長も重要だ。
そこでユキムラはVOの知識から未発見のMDめぐりを最後の仕上げとして計画していた。
レベルは以前のまま、さらにハイレベルなダンジョンを攻略することでより良い鉱石や武具を手に入れれば戦力の増強へとつながる。
ユキムラの変態的欲求も満たされる。Win&Winだ。
冗談はさておき、ユキムラは必死に惨劇を回避するための案を考えている。
あの時の圧倒的な実力の差ははっきり言って異常だ。
Lv100くらいの時にLv1000 くらいを相手にしているような、そんな絶望感があった。
ユキムラは考えたくなかったが、もう一つ考えられる物があった。
終末期に入って、VOにとどめを刺した時間操作系エンチャントだ。
これは課金アイテムを課金でエンチャすると、天文学的な確率でエンチャがつくと手に入る装備で、それを装備すると10倍早く動ける。嘘みたいだが10倍早く動ける。
どう考えてもMMO向けなアイテムではない。
しかも使った側を10倍早くは出来ないので、使われた側が10倍遅くなるという糞みたいな仕様にした。
ただでさえ金を巻き上げる課金ガチャに嫌気が差していたのに、それでトドメを刺した。
さすがのユキムラをしてもその装備の製造は諦めたほどだ。
問題は同時に作られたダンジョンの中ボスとボスがそれを使ってくるのだ。
対抗策は同じアイテムを作るしかないという鬼畜仕様だった。
ユキムラがただ一つクリアの出来なかったMD『終末の深淵』。
皮肉にもその出現がVOに終末を訪れさせた。
その後の2ヶ月掲示板でもずっとなぜあんなエンチャやダンジョンを入れたのか正気を疑われていた。
運営に質問する奴らもいたが、一切の返信はもらえなかったばかりか、しつこく質問を繰り返すと垢BANをしてくるという最高の対応をしてきた。
そして、それから2ヶ月で突然のVOの終焉だった。
ユキムラはそのことを振り返ると無性に腹が立ってきた。
自分の全てを運営の思いつきのような課金制度で滅茶苦茶にされ、挙句世界をぶっ壊された。
いくらなんでも素人が考えたようなシステム、いままでの運営からは考えられなかった。
老舗MMOであるVOはいい意味でも悪い意味でも大きな変化がなく少しづつ上位互換装備をチマチマと足して属性の組み替えたダンジョンを足していく。そういう形式美がずっと続いていたのだ。
そこまで残っているプレイヤーは、正直それでよかったんだ。
それをあの最後のアップデートで無茶苦茶になった。
あの惨劇の不条理さと合わさって怒りは倍増する。
「絶対になんとかしてやる……」
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