210 / 342
210話 カルフーイ火山
しおりを挟む
「ユキムラ達はこのような装備を使っているのか……これは武具というよりも戦術兵器……いや、戦略兵器だな……私の弓でさえおいそれと街中では放てん」
ユキムラ達と装備の試打をしたアスリの感想である。
ユキムラたちも普通に鍛錬や模擬戦をすると地形を変えてしまうので、最近は専用の魔道具内での鍛錬をしないと周囲への影響が大きすぎる。
ゲームではなく現実だとそういうことを気にしなくてはならない。
慣れていればきちんと力加減をもって訓練も出来るが、急速に強くなった場合などはうまく調整ができずに大惨事、なんてことになりかねない。
ガニとイオラナの父のように……不幸な事件だった……
めでたく? 二人は婚約を発表できたのだから、結果良ければ全て良しなのだ。
アスリは自分の職務の引き継ぎをあっという間に済ませた。普段からそういった備えはしてあったそうで、自分に何かあっても問題がないようにしてあるそうだ。
ユキムラはそういった準備の大切さの重要性を改めて学ばせてもらった。
白狼隊やサナダ商会の幹部連と非常事態マニュアル作りは『あの事件』から行っていた。
そこにアスリのノウハウが加わりより完成度の高い物になっていく。
「さて、そしたら明日には出発しましょう。予定より少し遅れましたが、フィリポネア王都へは余裕を持って到着できるでしょう」
数日の訓練を経て出立の準備が完成する。
相変わらず短期間でファンをつくるレン、ソーカ、ヴァリィは衛兵たちに惜しまれながら出立する。
猛烈な速度で移動しながらその衝撃を殆ど感じない移動手段にアスリは驚きを隠せない。
「もう、我々の考えている戦いは別の次元になりそうだな……」
「そうですねー、魔王や魔神の侵攻が始まったら人同士のいがみ合いなんてしている暇はなくなると思いますよー」
「確かに南には人の入れない死の海がある。
その向こうには魔王が統べる大陸があるとは伝えられているが……」
「マギカポイント魔国、魔王ザルティスが治める国。おとぎ話の話ですよね師匠?」
ユキムラがいろいろとネタバレを話そうとするといつもの耳鳴りと同時に女神の声が聞こえる。
『ユキムラ、駄目よ話しちゃ。その話はその時が来るまで禁止。
もし話しても貴方以外には意味不明に聞こえるように変えますからね』
そしてすぐに女神の声は聞こえなくなる。神様が出てくる時の独特の空間、雰囲気も消失する。
「う、うん。まぁおいおいきっとわかるさ」
あまりの突然の出来事にぎこちなく返答するので精一杯だった。
多少のネタバレはしてきたけど、まだ明かされていない謎の大陸の詳細を話すのはどうやら駄目なようだ……それにしても、女神たちはユキムラ達をそれなりに見ていてくれているんだな、とユキムラは変なところに感心していた。
「見えてきましたな、あの白煙が上がっている山がカルフーイ火山です。
もう少し進むと地面から火柱やガスなども出ており危険地帯になってくる」
「師匠、そう言えばそのダンジョンにはどうやって近づくんですか?」
「そうか、説明してなかったね。実は火山から少し離れた場所に火山の地下へとつながる洞窟が有るんだよ、今はそこに向かっているんだよ」
「なんと!? そんなことは聞いたこともなかったが、ユキムラが言うならそうなんだろう……」
「カルフーイ火山の南の小島にある打ち捨てられた祠。その祠に海神の護りを祀ることで扉は開かれるのです。そして海神の護りはこないだのリヴァイアサンの宝に入っていたってわけだよ」
「ユキムラさんはなんでも知っているんですねー」
「いやー、最近は知らないことのほうが多いから、たまに知っていることがあるってぐらいに思っておいてもらったほうが嬉しいなぁ……。自分たちで考えることは忘れないでね」
ユキムラもあまりにVOの知識に頼る危険性は感じていた。
すでにゲームで言ったら別ゲーになっている。
各地の一部のイベントはこの世界でも知識を使ってなんとかなることもある。その程度に考えることにしている。
武器の情報やアイテムの情報としての知識、技や魔法の知識はユキムラの真骨頂として役に立てまくれるので、ユキムラとしてはそちらを活かして今後の冒険に寄与したいと思っている。
「ユキムラ! 目の前は海だぞ! うおっ!!
……なんと……私は夢を見ているのか……船でもないものが海を走っている……」
わざと黙っていてアスリを驚かせることには成功して、目的の島へと到着する。
小さな小島に静かな森、そしてその森を暫く進むと真っ白な石で作られた祠が、ところどころ崩れてはいたが、たしかにそこに存在していた。
「みんなで手分けして祠を修復しよう」
全員で崩れた祠を修復していく。場合によっては手持ちの石材などを利用して出来る限り元の形に近いように作り上げていく。
「この中に海神の護りをお供えすれば……完成っと!」
美しく輝く蒼い龍を象かたどった像を祠の中へ供える。
森に囲まれた祠の直上から光が差し込み、龍の像へと降り注ぐ。
周囲に青い光を反射させ、そして像が光り輝いていく。
ドドドドドと地面が振動を起こす。
祠の背後の大きな石が後方へとずれて、火山へと通じる洞窟の入り口が口を開く。
その入口にはいつもの空間の歪みが存在しており、MDであることを示している。
「そしたら、ここからが本番だから、気をつけていこう」
ユキムラの指示で全員がその階段を降りていく。
その先には入り口からは想像ができない美しい通路が広がっていた。
ユキムラ達と装備の試打をしたアスリの感想である。
ユキムラたちも普通に鍛錬や模擬戦をすると地形を変えてしまうので、最近は専用の魔道具内での鍛錬をしないと周囲への影響が大きすぎる。
ゲームではなく現実だとそういうことを気にしなくてはならない。
慣れていればきちんと力加減をもって訓練も出来るが、急速に強くなった場合などはうまく調整ができずに大惨事、なんてことになりかねない。
ガニとイオラナの父のように……不幸な事件だった……
めでたく? 二人は婚約を発表できたのだから、結果良ければ全て良しなのだ。
アスリは自分の職務の引き継ぎをあっという間に済ませた。普段からそういった備えはしてあったそうで、自分に何かあっても問題がないようにしてあるそうだ。
ユキムラはそういった準備の大切さの重要性を改めて学ばせてもらった。
白狼隊やサナダ商会の幹部連と非常事態マニュアル作りは『あの事件』から行っていた。
そこにアスリのノウハウが加わりより完成度の高い物になっていく。
「さて、そしたら明日には出発しましょう。予定より少し遅れましたが、フィリポネア王都へは余裕を持って到着できるでしょう」
数日の訓練を経て出立の準備が完成する。
相変わらず短期間でファンをつくるレン、ソーカ、ヴァリィは衛兵たちに惜しまれながら出立する。
猛烈な速度で移動しながらその衝撃を殆ど感じない移動手段にアスリは驚きを隠せない。
「もう、我々の考えている戦いは別の次元になりそうだな……」
「そうですねー、魔王や魔神の侵攻が始まったら人同士のいがみ合いなんてしている暇はなくなると思いますよー」
「確かに南には人の入れない死の海がある。
その向こうには魔王が統べる大陸があるとは伝えられているが……」
「マギカポイント魔国、魔王ザルティスが治める国。おとぎ話の話ですよね師匠?」
ユキムラがいろいろとネタバレを話そうとするといつもの耳鳴りと同時に女神の声が聞こえる。
『ユキムラ、駄目よ話しちゃ。その話はその時が来るまで禁止。
もし話しても貴方以外には意味不明に聞こえるように変えますからね』
そしてすぐに女神の声は聞こえなくなる。神様が出てくる時の独特の空間、雰囲気も消失する。
「う、うん。まぁおいおいきっとわかるさ」
あまりの突然の出来事にぎこちなく返答するので精一杯だった。
多少のネタバレはしてきたけど、まだ明かされていない謎の大陸の詳細を話すのはどうやら駄目なようだ……それにしても、女神たちはユキムラ達をそれなりに見ていてくれているんだな、とユキムラは変なところに感心していた。
「見えてきましたな、あの白煙が上がっている山がカルフーイ火山です。
もう少し進むと地面から火柱やガスなども出ており危険地帯になってくる」
「師匠、そう言えばそのダンジョンにはどうやって近づくんですか?」
「そうか、説明してなかったね。実は火山から少し離れた場所に火山の地下へとつながる洞窟が有るんだよ、今はそこに向かっているんだよ」
「なんと!? そんなことは聞いたこともなかったが、ユキムラが言うならそうなんだろう……」
「カルフーイ火山の南の小島にある打ち捨てられた祠。その祠に海神の護りを祀ることで扉は開かれるのです。そして海神の護りはこないだのリヴァイアサンの宝に入っていたってわけだよ」
「ユキムラさんはなんでも知っているんですねー」
「いやー、最近は知らないことのほうが多いから、たまに知っていることがあるってぐらいに思っておいてもらったほうが嬉しいなぁ……。自分たちで考えることは忘れないでね」
ユキムラもあまりにVOの知識に頼る危険性は感じていた。
すでにゲームで言ったら別ゲーになっている。
各地の一部のイベントはこの世界でも知識を使ってなんとかなることもある。その程度に考えることにしている。
武器の情報やアイテムの情報としての知識、技や魔法の知識はユキムラの真骨頂として役に立てまくれるので、ユキムラとしてはそちらを活かして今後の冒険に寄与したいと思っている。
「ユキムラ! 目の前は海だぞ! うおっ!!
……なんと……私は夢を見ているのか……船でもないものが海を走っている……」
わざと黙っていてアスリを驚かせることには成功して、目的の島へと到着する。
小さな小島に静かな森、そしてその森を暫く進むと真っ白な石で作られた祠が、ところどころ崩れてはいたが、たしかにそこに存在していた。
「みんなで手分けして祠を修復しよう」
全員で崩れた祠を修復していく。場合によっては手持ちの石材などを利用して出来る限り元の形に近いように作り上げていく。
「この中に海神の護りをお供えすれば……完成っと!」
美しく輝く蒼い龍を象かたどった像を祠の中へ供える。
森に囲まれた祠の直上から光が差し込み、龍の像へと降り注ぐ。
周囲に青い光を反射させ、そして像が光り輝いていく。
ドドドドドと地面が振動を起こす。
祠の背後の大きな石が後方へとずれて、火山へと通じる洞窟の入り口が口を開く。
その入口にはいつもの空間の歪みが存在しており、MDであることを示している。
「そしたら、ここからが本番だから、気をつけていこう」
ユキムラの指示で全員がその階段を降りていく。
その先には入り口からは想像ができない美しい通路が広がっていた。
10
あなたにおすすめの小説
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる