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254話 帝都テンゲン
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夢のような前日の食事を受けて、白狼隊は本当はこの日に出立だったが、予定を変更してみんなで海岸沿いで釣りをしている。
もちろん海岸線の釣りポイント上での、スキルによる釣りだ。
レッドイーセシュリンプの効率の良い釣りポイントはあるのかの統計を取りに来た。
スタッフに任せればいいのに、ユキムラ達は頑なにその役目を渡さなかった。
「あれ、捕れたてを刺し身で食べたらどれだけ旨いんだろうね」
きっかけはユキムラの一言だった。
その一言で全員に火がついた。
テンゲン和国での日程はかなり余裕が出来ている。
1日や、数日、数週、数ヶ月ずれても体勢に影響は少ない。
と、ユキムラは明言している。
ユキムラが言うのだから間違いない。そう、間違いない。と皆信じている。
そんなわけで早朝から釣りスキルをフル稼働している。
今のところレッドイーセシュリンプはユキムラが2匹、レンが1匹、タロが1匹だ。
すぐにアイテムボックスに収容し、鮮度を保っている。
なお、他の魚介類は危険な量がアイテムボックスにスタックされていっている。
一部をサナダ商会に流して加工食品や商品に利用してもらうためにスタッフが何度か往復している。
「来ました!!」
ソーカの弾むような声が通信機から聞こえる。
「おお、おめでとうソーカ。どうやら場所はそんなに関係してなさそうだね」
「そうですねー、場所も今のところまんべんなく出てますからねー」
「私は、釣り苦手なのよぉ~~……」
「ヴァリィ頑張って! お昼までに一人3匹は手に入れよう!」
「頑張るわぁ~、ってまた大マグロだわ……」
「前だったら大喜びなんですけどね……あの味は反則です……」
「大マグロは大マグロでありがたいからナイスだよヴァリィ!」
こんな感じで談笑しながらの釣りだ。
大マグロは、一匹取れれば一家族が一年遊んで暮らせると言われるこの地方の大物だ。
すでに2スタック分ぐらいあるわけだ……
刺し身のプールで泳げるようになる日も近い。
結局お昼時間には12匹の宝石をゲットできていた。
基本的にヒット率は0.1%くらいだろうとユキムラは体感から感じていた。
ユキムラの体感である以上、実測値とほぼほぼ一緒で間違いないであろう。
新鮮なエビの身を熟練の料理スキルで刺し身へと変える。
とろりとした濃厚な身が、ぷりぷりと輝いている。
一切れを箸でつまむとまるでゴムまりでもつまんだように箸に弾力を伝える。
ほんの少し醤油につけて口の中へと放り込む。
ぐっと歯で噛みしめると、箸への抵抗が嘘のようにあっさりと身が千切れる。
そして、身が唾液と口の中の温度によってクリームのようにとろけて口全体を陵辱していく。
ガツンと殴られたように広がる濃厚なエビの香り、舌に絡みつきとろけさせる旨味の甘み……
ゴクリと飲み込むのがためらわれてしまうが、身体が早くのみ込めとのどを動かしてしまう。
喉の奥に消えていく余韻さえ美しい、ぷはーと満足したため息が無意識にこぼれてしまう。
そして、そのため息の香りですら鼻孔を強烈に攻撃して食欲が噴火してしまう。
「やばい、もうずっとここで釣りしてたい……」
「だ、ダメですよ師匠……で、でも……」
「ユキムラさん……ここに、この町に家を買いましょう!」
ユキムラとヴァリィはいつの間にか酒を取り出して一杯やっつけている。
この世の至福の時間を知ってしまった瞬間だ。
「あっ、でも昨日もう一杯軽く飲もうかなーって入ったお店で、テンゲンにもそれはもう美味しい魚があるそうよー。
塩でもタレでも焼いても蒸してもホロホローってとろけるような旨味とジューシーな油が絶妙なハーモニーで一度食べたら忘れられないってそこのお母さんが言ってたわー」
「よし! 目的地は帝都テンゲンだ!」
「「「おーー!!」」」
グルメ探求の旅になってきている。
ヴァリィの情報のおかげでようやく帝都テンゲンへと旅立つ気になった白狼隊の一行は一路帝都へ向けて走り出す。
移動し始めれば早いもので快適な車の旅を楽しんでいるうちに帝都テンゲンへと到着する。
本土と帝都テンゲンの間には内海が広がっているが、水陸両用万能車の前にはなんの障害にもならない。
陸を爆走し、海岸線に出るとそのままハンドルを切って、海上を滑るように進み対岸の地へとあっという間にたどり着いてしまう。
そしてそのまま陸路を通ってテンゲンへ到着というわけだ。
帝都テンゲンを囲む城壁は真っ赤に塗られ威風堂々とした佇まい。
和風をモチーフとしたテンゲンだが中華風な作りになっている。アジアンテイストと言うやつだ。
場外でサナダ商店の人間が待っていてくれた。
すでに帝都内で話題の新店として名を売っている。
レンの部下たちの働きでお上にも顔が売れている。
入場の手続きもすでにしっかりと取られており、商人や旅人の列を一気に追い抜いて帝都内へはいることが出来た。
場内の移動に車は使えないので馬車に乗り換える。
あとで聞いた話だが、場内で馬車を利用するのは結構厳しい許可を得ないといけないらしく、結構無理をしてもらっていたりする。有能なレンの部下たちは難なくそういう困難を可能にしてくれる。
「ユキムラ様、到着早々申し訳ございませんが、このまま冒険者ギルド本部へ向かっていただきます。
ギルド長がお待ちになられています」
商会の人間に連れられてギルド本部へと到着する。
街全体もそうだが、帝都はどちらかと言えば中華風だ。ギルド本部も大きな龍が柱に絡みついていたり、扉に虎が描かれていたりする。今までの町の和風な建物からするとかなり豪華絢爛な印象を受ける。
ギルドの内部は少し広く立派ではあるけど他の場所とほとんど変わりない。
ぞろぞろとギルド内へと入ってくる白狼隊を他の冒険者たちが訝しげに伺っている。
「白狼隊の皆様ですね。お待ちしておりました。
二階の応接間でギルドマスターがお待ちです」
受付の綺麗な女性がよく通る声で一同を案内してくれる。
白狼隊という名前を聞いてギルド内にいた冒険者たちが騒がしくなる。
アレが……、噂ではもうダンジョンを3個も攻略したとか、馬鹿、帝都のダンジョンでテンゲンの全てのダンジョン攻略って噂だぞ……
などなど、値踏みするかのような視線はあまり好きではないが、ユキムラ達も諦めている。
応接間へと通されると2mはありそうな恵体の男性が立ち上がる。
立ち上がると更にその鍛えられた肉体が際立つ。ヴァリィといい勝負ができそうだ。
「はじめまして、白狼隊のリーダーをしているユキムラです」
「ようやくお目にかかれました。私がテンゲン国で統括ギルドマスターをさせてもらっているライコと申します。よろしくお願いします」
差し出された手をにぎるとよく鍛え上げられた分厚い手をしている。ユキムラはこのライコという男性が只者ではない事を実感する。
「どうぞ、お座りください。
しかし、白狼隊のリーダーがこのような美青年だとは思いませんでした。
白狼隊のメンバーの一人でさえあの強さ、それを束ねる皆さんはさらに別次元と聞いていましたので、さぞ屈強な方々が来ると身構えていたので、いささか気が楽になりました」
嫌味ではなく、本当にホッとしたような表情で語るライコ。
すでにライコは白狼隊の先発到着したメンバーと手合わせ済みだ。
そして、完膚なきまでにコテンパンにされている。
以前は常勝無敗、敵なしだったライコを赤子扱いする白狼隊隊士、そしてその上に立つ白狼隊の正規メンバー、ライコの緊張は仕方のないものだった。
もちろん海岸線の釣りポイント上での、スキルによる釣りだ。
レッドイーセシュリンプの効率の良い釣りポイントはあるのかの統計を取りに来た。
スタッフに任せればいいのに、ユキムラ達は頑なにその役目を渡さなかった。
「あれ、捕れたてを刺し身で食べたらどれだけ旨いんだろうね」
きっかけはユキムラの一言だった。
その一言で全員に火がついた。
テンゲン和国での日程はかなり余裕が出来ている。
1日や、数日、数週、数ヶ月ずれても体勢に影響は少ない。
と、ユキムラは明言している。
ユキムラが言うのだから間違いない。そう、間違いない。と皆信じている。
そんなわけで早朝から釣りスキルをフル稼働している。
今のところレッドイーセシュリンプはユキムラが2匹、レンが1匹、タロが1匹だ。
すぐにアイテムボックスに収容し、鮮度を保っている。
なお、他の魚介類は危険な量がアイテムボックスにスタックされていっている。
一部をサナダ商会に流して加工食品や商品に利用してもらうためにスタッフが何度か往復している。
「来ました!!」
ソーカの弾むような声が通信機から聞こえる。
「おお、おめでとうソーカ。どうやら場所はそんなに関係してなさそうだね」
「そうですねー、場所も今のところまんべんなく出てますからねー」
「私は、釣り苦手なのよぉ~~……」
「ヴァリィ頑張って! お昼までに一人3匹は手に入れよう!」
「頑張るわぁ~、ってまた大マグロだわ……」
「前だったら大喜びなんですけどね……あの味は反則です……」
「大マグロは大マグロでありがたいからナイスだよヴァリィ!」
こんな感じで談笑しながらの釣りだ。
大マグロは、一匹取れれば一家族が一年遊んで暮らせると言われるこの地方の大物だ。
すでに2スタック分ぐらいあるわけだ……
刺し身のプールで泳げるようになる日も近い。
結局お昼時間には12匹の宝石をゲットできていた。
基本的にヒット率は0.1%くらいだろうとユキムラは体感から感じていた。
ユキムラの体感である以上、実測値とほぼほぼ一緒で間違いないであろう。
新鮮なエビの身を熟練の料理スキルで刺し身へと変える。
とろりとした濃厚な身が、ぷりぷりと輝いている。
一切れを箸でつまむとまるでゴムまりでもつまんだように箸に弾力を伝える。
ほんの少し醤油につけて口の中へと放り込む。
ぐっと歯で噛みしめると、箸への抵抗が嘘のようにあっさりと身が千切れる。
そして、身が唾液と口の中の温度によってクリームのようにとろけて口全体を陵辱していく。
ガツンと殴られたように広がる濃厚なエビの香り、舌に絡みつきとろけさせる旨味の甘み……
ゴクリと飲み込むのがためらわれてしまうが、身体が早くのみ込めとのどを動かしてしまう。
喉の奥に消えていく余韻さえ美しい、ぷはーと満足したため息が無意識にこぼれてしまう。
そして、そのため息の香りですら鼻孔を強烈に攻撃して食欲が噴火してしまう。
「やばい、もうずっとここで釣りしてたい……」
「だ、ダメですよ師匠……で、でも……」
「ユキムラさん……ここに、この町に家を買いましょう!」
ユキムラとヴァリィはいつの間にか酒を取り出して一杯やっつけている。
この世の至福の時間を知ってしまった瞬間だ。
「あっ、でも昨日もう一杯軽く飲もうかなーって入ったお店で、テンゲンにもそれはもう美味しい魚があるそうよー。
塩でもタレでも焼いても蒸してもホロホローってとろけるような旨味とジューシーな油が絶妙なハーモニーで一度食べたら忘れられないってそこのお母さんが言ってたわー」
「よし! 目的地は帝都テンゲンだ!」
「「「おーー!!」」」
グルメ探求の旅になってきている。
ヴァリィの情報のおかげでようやく帝都テンゲンへと旅立つ気になった白狼隊の一行は一路帝都へ向けて走り出す。
移動し始めれば早いもので快適な車の旅を楽しんでいるうちに帝都テンゲンへと到着する。
本土と帝都テンゲンの間には内海が広がっているが、水陸両用万能車の前にはなんの障害にもならない。
陸を爆走し、海岸線に出るとそのままハンドルを切って、海上を滑るように進み対岸の地へとあっという間にたどり着いてしまう。
そしてそのまま陸路を通ってテンゲンへ到着というわけだ。
帝都テンゲンを囲む城壁は真っ赤に塗られ威風堂々とした佇まい。
和風をモチーフとしたテンゲンだが中華風な作りになっている。アジアンテイストと言うやつだ。
場外でサナダ商店の人間が待っていてくれた。
すでに帝都内で話題の新店として名を売っている。
レンの部下たちの働きでお上にも顔が売れている。
入場の手続きもすでにしっかりと取られており、商人や旅人の列を一気に追い抜いて帝都内へはいることが出来た。
場内の移動に車は使えないので馬車に乗り換える。
あとで聞いた話だが、場内で馬車を利用するのは結構厳しい許可を得ないといけないらしく、結構無理をしてもらっていたりする。有能なレンの部下たちは難なくそういう困難を可能にしてくれる。
「ユキムラ様、到着早々申し訳ございませんが、このまま冒険者ギルド本部へ向かっていただきます。
ギルド長がお待ちになられています」
商会の人間に連れられてギルド本部へと到着する。
街全体もそうだが、帝都はどちらかと言えば中華風だ。ギルド本部も大きな龍が柱に絡みついていたり、扉に虎が描かれていたりする。今までの町の和風な建物からするとかなり豪華絢爛な印象を受ける。
ギルドの内部は少し広く立派ではあるけど他の場所とほとんど変わりない。
ぞろぞろとギルド内へと入ってくる白狼隊を他の冒険者たちが訝しげに伺っている。
「白狼隊の皆様ですね。お待ちしておりました。
二階の応接間でギルドマスターがお待ちです」
受付の綺麗な女性がよく通る声で一同を案内してくれる。
白狼隊という名前を聞いてギルド内にいた冒険者たちが騒がしくなる。
アレが……、噂ではもうダンジョンを3個も攻略したとか、馬鹿、帝都のダンジョンでテンゲンの全てのダンジョン攻略って噂だぞ……
などなど、値踏みするかのような視線はあまり好きではないが、ユキムラ達も諦めている。
応接間へと通されると2mはありそうな恵体の男性が立ち上がる。
立ち上がると更にその鍛えられた肉体が際立つ。ヴァリィといい勝負ができそうだ。
「はじめまして、白狼隊のリーダーをしているユキムラです」
「ようやくお目にかかれました。私がテンゲン国で統括ギルドマスターをさせてもらっているライコと申します。よろしくお願いします」
差し出された手をにぎるとよく鍛え上げられた分厚い手をしている。ユキムラはこのライコという男性が只者ではない事を実感する。
「どうぞ、お座りください。
しかし、白狼隊のリーダーがこのような美青年だとは思いませんでした。
白狼隊のメンバーの一人でさえあの強さ、それを束ねる皆さんはさらに別次元と聞いていましたので、さぞ屈強な方々が来ると身構えていたので、いささか気が楽になりました」
嫌味ではなく、本当にホッとしたような表情で語るライコ。
すでにライコは白狼隊の先発到着したメンバーと手合わせ済みだ。
そして、完膚なきまでにコテンパンにされている。
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